No.620196

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第九十五話 疑惑…勇紀にラブレター!?

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-09-16 23:46:03 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:25621   閲覧ユーザー数:22568

 ~~貴志視点~~

 

 「ほらよ。コイツで間違い無いんだろ?」

 

 『うむ。よくやってくれた貴志』

 

 ここは鳴海のおっさんの執務室。現在神と対談中だ。

 最強の魔導師にして超イケメンオリ主の俺様は、今回神の依頼を引き受け、見事完遂した。

 依頼の内容は『別世界に神の奴が落とした落し物を探して回収してくる』というものだ。

 

 「ったく、こんなつまんねえことで俺様の手を煩わせるんじゃねえよ。分かってんのか?」

 

 運動会には別の任務で参加出来ず、今回の一件のせいで地球に帰れずで俺の嫁達が心配してる姿が思い浮かぶじゃねえか。

 

 『…君は本当に失礼な態度を直そうとしないな』

 

 うるせークソ神だ。オリ主の俺様に意見してんじゃねえよ。

 

 「んな事ぁどうでもいいんだよ。とっとと俺様の願いを叶えて貰うぜ?」

 

 『(やっぱり勇紀、亮太、椿姫の誰かにでも頼むべきだったかな?しかし彼等にばっかり任せるのも悪いと思って今回は貴志に依頼した訳だけども…)』

 

 「おい、聞いてんのか?」

 

 『聞いてるよ。私のうっかりミスに対応してくれたんだ。ちゃんと約束通り願いは叶えよう』

 

 よしよし。今回依頼で行った別世界での新ハーレム構築の邪魔をしやがった事は許せねえが俺様は寛大だ。今回の事は大目に見てやるか。

 

 『それで願いは決まってるのかい?』

 

 「おう!俺様の願いは『吉満と暁の魔力と願いで頼んだレアスキルを俺様のモノにする』事だ!!」

 

 あの踏み台共はいくら俺様が警告してやっても理解しやがらねえからな。なら理解出来る様にアイツ等の力を無くしていい加減現実ってヤツを分からせてやるぜ。ついでに俺様が奴等の力を有効活用する事でパワーアップ……正に一石二鳥だぜ。

 

 『英伸と澪だけ?転生者は勇紀に亮太、椿姫にそこにいる理もいるんだが?』

 

 「あんなクソモブ共の能力なんざいらねえよ。どうせ大した力持ってねえだろ。それに椿姫はもう俺様にベタ惚れだしな。自分の女には手を出す理由がねえ。鳴海のおっさんは原作介入しねえしなのは達に興味無えんだろ?なら俺様の敵じゃねえからどうでも良い」

 

 『(…勇紀は『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』、亮太は『自然(ロギア)系・(ピカピカ)』を頼んでいたんだが…。特に勇紀の王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)は中古品だけどオリジナルより遥かに強い宝物庫なんだがねぇ…)』

 

 「何だよ?何か言いたい事でもあんのか?」

 

 『いや…願いはそれで良いんだね?』

 

 「たりめーだ。さっさとしやがれ!!」

 

 『(ハア~…)分かったよ。………むん!!』

 

 神の奴が力むと俺様の中に何かが流れ込んでくる。

 分かる…分かるぞ。これはあの踏み台共の魔力…そしてレアスキルだ。

 ヒャハハ…力が…力が信じられねえぐらい湧き上がってきやがるぞ。

 ただでさえ最強の俺様が更に強くなっちまった。

 こりゃーもう、StsのJS事件は俺様1人でも解決出来るだろう。

 

 『終わったよ。英伸と澪の魔力のほとんどとレアスキルは貴志の中に入った。それで満足かい?』

 

 「おう!!」

 

 『ならもう話す事も無いね。今回はお疲れ様』

 

 神の奴はモニターを消した。

 もうここに用は無いな。

 俺様は部屋を出る。

 ククク…せっかくだ。あの踏み台共の相手をしてやるか。

 自分の力が俺様のモノになったと知った時、アイツ等はどんな顔をしてくれるんだろうなぁ。

 ヒャハハハハハハハ………。

 

 

 

 ~~貴志視点終了~~

 

 ~~第三者視点~~

 

 太陽が昇り始めた早朝。

 ここは海鳴中学校の1年1組。

 

 「……………………」

 

 そこに1人の人影があった。

 人影はとある人物の机の側に移動する。

 

 「……………………」

 

 誰もいないとはいえ、周囲をキョロキョロと見渡し、人目が無いのをちゃんと確認する。

 そして何度か深呼吸をし

 

 スッ

 

 とある人物……長谷川勇紀の机の中に何かを入れる。

 

 「……………………」

 

 何かを入れ、静かに教室を出た人影は

 

 タタタタタタタッ

 

 すぐさまその場を離れて行った………。

 

 

 

 ~~第三者視点~~

 

 怒涛の戦争(うんどうかい)が終わり、いつも通りの平和(?)な学園生活が再開された今日この頃。

 来月には文化祭とかいうのが待ち構えている。

 前世の頃は中学校で文化祭なんてやらなかったから何だか新鮮な感じだ。

 

 「あ、勇紀君にシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ。おはよう」

 

 登校途中の俺達長谷川家とエンカウントしたのはなのはだ。

 

 「「「「「おはよう(おはようございます)なのは」」」」」

 

 俺達は声を揃えて挨拶し、一緒に登校し始める。ただ…

 

 「なのは、髪形変えたんだ?」

 

 レヴィがなのはの髪形について尋ねる。

 

 「うん。私、やっと念願だった教導隊に入れたんだ♪だから心機一転の意味を込めて髪形も変えたの♪」

 

 はにかんだ笑顔で答えるなのは。

 今のなのはの髪形はStsでご存知のサイドポニーである。

 

 「ジーーー……」

 

 「???どうかしたの?」

 

 「いや…結構似合ってると思うぞその髪形」

 

 「本当!?」

 

 ズイッと詰め寄ってくるなのは。顔が近い。

 

 「嘘言ってどうするよ?お世辞でも何でもなく本当に似合ってるぞ」

 

 「そ…そう?(似合ってるって言われちゃった。えへへ…)////」

 

 けどなのはがこの髪形にしたという事はStsにまた一歩近づいたという事だ。

 未だにあの脳味噌共を殺害した犯人(ヤツ)の足取りも掴めないし……どうなるんだろうねぇ、この世界のSts時間軸は?

 

 「「「「……………………」」」」

 

 「……で、何で俺を睨むので?」

 

 「「「「べぇ~つぅ~にぃ~」」」」

 

 スッゲー不満そうな言い方ですねアンタ等。

 

 ギュッ

 

 「なのはさんや。アンタも何で腕を組むので?」

 

 「気にしないで♪早く学校に行こうよ♪//」

 

 嬉しそうに表情を緩ませ、俺を引く様に歩くなのは。

 逆にシュテル達の視線は半端無くキツかった。冷や汗が垂れたぐらいだ。

 朝から勘弁してくれホント………。

 

 

 

 一緒に登校してきたメンバーとはレヴィ以外クラスが違うので教室前で別れた。

 で、別れた瞬間にレヴィに腕を組まれ、そのまま教室へ足を踏み入れる事に。

 

 「朝からお熱いねぇお2人さん」

 

 「えー?そーかな?謙介にもそう見えちゃうかー、参ったなー//」

 

 照れた仕草を見せるレヴィ。

 俺は溜め息を吐いて謙介に挨拶してから席に座る。フェイトやリンディさんはまだ来てないみたいだ。

 俺はカバンから教科書やノートを取り出して机の中に入れようとする……が

 

 「ん?」

 

 机の中に何かが入っている。

 俺はソレを取り出してみる。

 ピンク色の可愛らしい模様が描かれた封筒だった。

 

 「(差出人の名前は……無いな)」

 

 封筒の裏面はハート型のシールで封をされているだけで、名前は書かれていなかった。

 

 「(とりあえず後で読んでみるか)

 

 俺は一旦その封筒を机の中に仕舞い、予鈴が鳴るまではのんびりと過ごしていた………。

 

 

 

 ~~ユーリ視点~~

 

 ユウキがなのはの髪形を褒めた日から数日後。私達は今、家のリビングにいます。

 ……ここ最近、何だかユウキが可笑しい気がします。

 常に人目を気にしているかの様にキョロキョロして、用心深い態度を見せる事が多いのです。

 

 「ユウキの奴、絶対何か隠しておるな」

 

 「やっぱりディアーチェもそう思いますか?」

 

 「僕も何だかユウの行動が変だって思ってたよ」

 

 どうやら私だけでなくディアーチェ、シュテル、レヴィも当然の様にユウキの事に気が付いてますね。

 毎日家でも一緒にいるもんですから気付かない訳無いですね。

 

 「気になりますねぇ……」

 

 「言うなユーリよ」

 

 「ユウキが私達に言えない何か……」

 

 「うーん…」

 

 本当、何を隠しているんでしょうか?

 

 「ジークよ。何か知らぬか?」

 

 「ふぇ!!?」

 

 リビングで私達と同じく寛いでいたジークにディアーチェが尋ねます。

 ユウキと同じ部屋で過ごしているジークなら何か知ってるかもしれませんね。

 

 「えと…えと…」

 

 突然振られて動揺していますね。

 本当、ユウキ以外にはまだ完全に気を許していないジークとの距離感を感じます。私達としてはもっと仲良くしたいのですが。こればっかりは時間が解決する問題ですね。

 

 「部屋にいる時のユウキはどんな感じですか?」

 

 「何か見たり聞いたりしてない?」

 

 シュテルとレヴィもジークに聞きます。

 

 「に…兄さん、誰かとメールでやり取り…してました」

 

 「「「「メール?」」」」

 

 誰でしょう?私達にメールが来る時は『翠屋のシュークリームいるか?』とか『買い物手伝ってくれないか?』とか他愛ない内容ばかりですし。

 なのは達の誰かでしょうか?それとも誠悟達男性の友人でしょうか?

 

 「誰だと思う?」

 

 「「「……………………」」」

 

 レヴィのその問いに答えられる者はこの場にいません。ジークも誰にメールを送っているかまでは知らないみたいですし。

 

 「本人に直接……は聞けないでしょうね」

 

 「素直に答えてくれるなら隠す必要は無いからな」

 

 「じゃあ、ユウにバレない様にこっそり携帯の中覗いちゃう?」

 

 「バレたら怒られて確実に嫌われますけどね。それでも良いならばご自由に」

 

 「うっ…それは嫌だなぁ」

 

 リスクの方が大きいですもんね。それにしても誰とメールしているんでしょうか?

 

 「「「「(気になります(気になる))」」」」

 

 私達は考えれば考える程思考が深みにはまっていくのでした………。

 

 

 

 「…という事でユウキが誰と連絡を取り合っているのか知りませんか?」

 

 翌日の昼休み。

 私達魔導師組のユウキを除く長谷川家、なのは、フェイト、はやて、アリシア、リンディさん、プレシアさん、椿姫と非魔導師組のアリサ、すずか、テレサは学校の屋上にいます。

 今日も鬱陶しい3人がいないのでこうして教室以外の場所で昼食を食べているのです。

 

 「(モグモグ…ゴクン)うーん…勇紀君の友達じゃないのかな?」

 

 「すずか。相手が謙介、直博、誠悟なら私達に隠す必要がありませんよ」

 

 「じゃあ他の友達じゃないの?」

 

 「いや…友達と連絡取るだけでコソコソする必要があるか?」

 

 「それもそうか」

 

 「少なくとも私じゃないのは確かだねぇ」

 

 「「「「「「「「「私(わたし)も違うよ(違うで)(違うわよ)」」」」」」」」」

 

 アリシアに続き、この場にいるなのは、フェイト、はやて、アリサ、すずか、リンディさん、プレシアさん、テレサ、椿姫が口を揃えて言います。

 

 「しかし皆に隠し事してのやり取り……何かあるわね」

 

 椿姫が口を開きますがその表情は活き活きとしています。

 

 「何があるというのだ?」

 

 「例えば……彼女が出来たとか」

 

 「「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」」

 

 椿姫の台詞にテレサ以外の皆が反応します。

 かか、彼女!!?ユウキに彼女が!!?

 

 「ははは…お、面白い事を言うな椿姫よ」

 

 「まま、全くです。ユウキに彼女?有り得ないでしょう」

 

 ディアーチェとシュテルの動揺は見てはっきりと分かります。おかずを摘まんでいる箸がプルプル震えていますし。

 

 「そ、そうだよ。勇紀君に彼女が出来るなんて奇跡…お、起きる訳ないよ」

 

 「宝クジの1等を当てるより低い確率よねぇ…ふ、ふふふ…」

 

 というよりもなのは、リンディさん……いえ、この場にいる皆が動揺してますよね。

 私自身も内心穏やかじゃありませんし。

 

 「でも決して『有り得ない』と断定出来る訳じゃないですよリンディさん」

 

 椿姫のその一言でこの場は沈黙が支配してしまいます。

 彼女……まさか本当にいるのでしょうか?

 昼休みが終わって教室に戻ってからも私の胸中は不安でグルグル渦巻いていました………。

 

 

 

 ~~ユーリ視点終了~~

 

 ~~はやて視点~~

 

 「……という訳で尾行や」

 

 昼休み、屋上に集まっていたテレサちゃんを除く皆は今、勇紀君の後ろ姿を追ってる。

 理由は当然、事の真相を確かめるためや。

 

 「ねえ…やっぱり止めた方が良いんじゃ……」

 

 フェイトちゃんはどうも尾行する事に後ろめたさを感じとるみたいやけど

 

 「じゃあフェイトは抜ければ?」

 

 「そうですね。尾行するしないは本人の自由ですから」

 

 勇紀君の方を見据えたままのレヴィとシュテルが答える。

 

 「ていうかサーチャー使った方が良くない?」

 

 「止めておけアリシア。ユウキはサーチャーの様な監視物を見付けるのが何故か上手いのだ。どれだけ巧妙に隠してもすぐ発見される」

 

 「ユウキの直感が凄いのか、ダイダロスの性能が優秀なのか…もしくはその両方ですね」

 

 流石王様とユーリや。勇紀君の事よう理解しとるやん。

 

 「(むぅ…やっぱ羨ましいなぁ)」

 

 わたしも一緒に暮らしたい。

 

 「なあ王様ー…」

 

 「何だ?後にしろ。今は貴様と話している余裕等無いのだ」

 

 「今度1回わたしと入れ替わって八神家で暮らして見ぃひん?」

 

 「……いきなり何を言ってる?頭のネジが飛んだか?」

 

 「失礼な!!わたしは正常や!!」

 

 と言ってから少し声が大きかった事実に気付き

 

 「ん?」

 

 前方にいる勇紀君が立ち止まって振り返ったり周囲を見渡す直前にわたし等は物陰に隠れた。

 

 「……うーん、気のせいか。知り合いの声が聞こえた気がしたんだが……」

 

 軽く首を傾げてから再び歩き出す勇紀君。

 気付かれんかった事にホッとするわたし等。

 

 「はやてちゃん、声が大きいよ」

 

 「私達は尾行してるんだからバレたらアンタのせいだからね」

 

 「ご、ゴメンなさい…」

 

 すずかちゃん、アリサちゃんの言葉と皆からの視線を受け、素直に謝る。

 そして皆、再び前を向くと

 

 「っ!!皆、勇紀君が建物の中に入ったわよ!!」

 

 プレシアさんの言う通り、勇紀君が一件の建物に入って行く所だった。

 わたし等も急いで後を追い掛け、建物の前に来ると

 

 『スーパー〇〇』

 

 の看板があった。

 …………スーパー?

 ひょっとしてここに勇紀君と連絡取り合ってる子がおんの?

 

 「あっ、そう言えば今日はユウがご飯作る日だったっけ」

 

 今、思い出した様子のレヴィの言葉を聞いて長谷川家は『あっ!!』と思い出した様で、わたし等は『は?』って感じで目が点になった。

 つまり勇紀君がいそいそと教室を出たのは夕食の買い物のためなんか?

 

 「じゃあ今日の尾行は…」

 

 「無駄足だったって事かな?」

 

 フェイトちゃんの言葉に皆気落ちする。

 

 「ま…まあまあ。勇紀君が彼女おらんって分かっただけでもええやん」

 

 「やっぱり私達の早とちりだったんですね♪」

 

 「そーそー。ユウに彼女なんている訳無いよ♪」

 

 「これで付き合ってる子なんていたら、私達告白する前に敗者になってた所だったねー♪」

 

 わたしを含め、皆が活気付く。 

 

 「いえ、まだよ。ひょっとしたらレジ打ちのパートやバイトの子の中にいるのかもね♪」

 

 その言葉を聞いて皆一斉に固まる。

 ……せっかく勇紀君が『白』と判定出来そうやったのに椿姫ちゃんの一言で『黒』に逆戻りしつつあった。

 

 「た、確かにその可能性は否定出来ないけど…」

 

 「案外、レジで精算する時にその姿を拝めたりしてね♪」

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」

 

 もう……誰も言葉にせず、表情には不安と焦りが浮かぶ。

 アカン……考え事が負の方向に傾いとる。

 

 「……あれ?ディアーチェがいないね?」

 

 フェイトちゃんの指摘で皆、ついさっきまで一緒におった筈の王様がおれへん事に気付く。

 王様は……

 

 「ユウキよ。今日は肉じゃがとかどうだ?」

 

 「肉じゃがかぁ。最近作って無かったから良いかもしれないな」

 

 いつの間にか勇紀君の隣に並んで一緒に買い物しとった!!!

 

 「《何しとんねん王様!!?》」

 

 何で尾行対象と一緒に肩並べ取るんよ!!?

 

 「《べ、別にユウキと共に買い物するぐらい問題無かろうが!!》(本当に彼女なんていう下郎がいるかどうか直接ユウキの側から確かめてやる!!あ、後は…)//」

 

 王様は勇紀君の空いている片腕に自分の腕を絡めて密着し出した。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 わたし等は当然その光景を見せられて機嫌が良い訳あらへん。

 この機に乗じて買い物デートを満喫するつもりやな。

 そんな美味しい思いを1人だけ味わえると思ったら大間違いやで。

 わたしはスーパーの買い物カゴを手に取り、2人の側に駆け寄る。

 

 「おっ、勇紀君やん。勇紀君も買い物かー?」

 

 「ん?はやてか?今日は俺が夕食の当番だからな」

 

 よし!まずはさりげなく接触に成功や。

 

 「《おい子鴉!!貴様何のつもりだ!!?》」

 

 「《何って、わたしも夕食の買い物せんとアカンし♪》」

 

 「《ならさっさとどっか行け!!我等についてくる理由は無いだろうが!!》」

 

 「《一緒におったらアカン理由もないけどなー》」

 

 『むむむ…』とお互いに睨む。

 

 「ユウキ、調味料も一部なくなりかけてますからこの機に買っておきましょう」

 

 「そう言えばそうだったな…ん?シュテル?」

 

 「「って、何でシュテルが!!?」」

 

 いや、一緒に尾行してたからスーパーにおる理由は分かんねんけど、何でコッチ来てんの!?

 

 「何ですか?お菓子を買いに来たのですが何か文句ありますか?《抜け駆けとはやってくれますね2人共》」

 

 「そーそー。お菓子買いに来ただけだから気にしなくて良いって」

 

 「ゆ、勇紀は買い物?ここで会うなんて奇遇だね」

 

 続いてアリシアちゃんとフェイトちゃんも参戦。

 

 「勇紀君勇紀君。このお菓子、どっちを買えばいいかな?」

 

 「私も悩んでるんだ。勇紀君の意見を聞かせてほしいな」

 

 「ていうか私が食べるお菓子、アンタが選びなさいよ」

 

 なのはちゃん、すずかちゃん、アリサちゃんまで…。

 ていうかレヴィ、ユーリ、リンディさん、プレシアさん、椿姫ちゃん。尾行メンバー全員ここに来てるやん。

 

 「…なぁ、ここまでのメンバーとスーパーで鉢合わせるのは偶然なのか?」

 

 「「「「「「「「「「偶然です(偶然だよ)(偶然だな)(偶然じゃないかな)(偶然や)(偶然よ)」」」」」」」」」」

 

 「……そうですか」

 

 何か疑ってる感じの勇紀君やけど、とりあえず納得した。

 それからはもう皆で買い物する羽目に。

 結局レジ打ちの店員の中に彼女っぽい感じの人はおらず、この日は勇紀君がよそよそしい理由を知る事が出来んかった………。

 

 

 

 ~~はやて視点終了~~

 

 ~~アリシア視点~~

 

 うーん……。

 勇紀に『彼女がいる』っていう疑惑が生まれてからそこそこ経つけど未だにそれらしき人物を拝めていないんだよねぇ。

 けど『彼女なんていない』って言い切れないんだよね。勇紀がこそこそと何かしてるのは確かだし。

 それに……

 

 「…今日も追跡出来なかったね」

 

 「エイミィ、状況は?」

 

 『……駄目ですね。勇紀君に多重転移を使用されては追跡困難…ていうか足跡を全く残さないので追跡不可能です』

 

 リンディさんとエイミィのやり取りを聞いて嘆息する。

 時々、勇紀はどこか人目に付かない場所に行くと多重転移を使って転移してしまう。

 この徹底ぶりが『彼女』疑惑を完全に晴らせない証拠なんだよね。

 ひょっとして別の世界にいるのかな?

 でも勇紀だったら隠す様な事しないで普通に紹介してくれると思う。それで納得できるかと言えば別だけど。

 

 「…やっぱり彼女なんていないんじゃないかな?」

 

 「ですね。ここまで徹底されると何だか重大な任務の最中だって言われた方が納得いきますよ」

 

 確かに管理局の仕事もしくは任務なら信憑性があるよ。

 

 「でもその疑惑を払拭出来ないのも事実だよね?」

 

 「それに重大な任務やったらわざわざ学校に通いながら行うとは思わへんで」

 

 皆の様々な推測が飛び交う。

 

 「……こうなればユウキの周りにいる奴から情報を集めるしかあるまい」

 

 腕を組んだディアーチェが自分の意見を言う。

 

 「周りって……誰?」

 

 「一番身近にいる人物と言えばジークでしょうけど、ジークは『知らない』って言ってたじゃないですか」

 

 「ルーやメガーヌにも言って無さそうだもんねぇ」

 

 「異性には言いにくい事でも同姓には相談したりしておる可能性もあるだろう?」

 

 それって………。

 

 

 

 「…つまり『勇紀の最近の行動が怪しい理由を僕が知っているかもしれない』って事で拉致されたと思って良いですか?」

 

 「『拉致』では無いぞ変態。『任意同行』と言うヤツだ」

 

 「僕の意見を聞かず、有無も言わさずに引っ張ってきたのは任意同行とは言わないと思うんですが…」

 

 勇紀と長年の付き合いがある謙介を連行してきた私達。『付き合いが長いなら何らかの相談を受けているかもしれない』と思ったからだ。

 もっとも謙介は魔法関係者じゃないから、一部言えない事もあるんだけど勇紀ならその辺りの事をぼかして相談してそうだしね。

 

 「貴様の意見等聞いておらんわ!!知ってる事があるならキリキリ吐けい!!」

 

 それにしてもディアーチェは謙介に対する接し方がちょい乱暴的だよね。

 

 「知ってるというよりも僕は見てしまいました」

 

 「見たって何を?」

 

 すずかが聞き返すと謙介はポケットから携帯を取り出し、おもむろに操作し出した。

 

 「……これです」

 

 そして携帯の画面を見せてくるので私達が覗き込むとそこに映っていたのは何か手紙の様な物を見てるっぽい勇紀の姿が。

 

 「???これがどうしたと言うのだ?」

 

 「手紙を読んでる様にしか見えないけど?」

 

 「ていうか何でこんな姿撮ってんの?」

 

 「携帯の機種を変更したので早く慣れるために色々やってました。その時の写メ機能を確認するついでで撮ったんです。それより勇紀の制服の胸ポケットに注目して下さい」

 

 「………封筒?」

 

 「そうです。しかもその封筒の色と模様……じっくり凝視してみて何か気付きませんか?」

 

 そういって画面の一部…封筒のある部分を拡大してくれる。

 

 「………私には分かりませんね」

 

 「僕も分かんない」

 

 「これに何があると言うのよ?」

 

 シュテル、レヴィの言葉に皆頷き、アリサが封筒について尋ねる。

 

 「皆さん本当にご存知無いので?この封筒、女子の間ではラブレターを書いて相手に送るのに使われている封筒なんですよ?」

 

 「「「「「「「「「「ラブレター!!!!?」」」」」」」」」」

 

 「御意。しかも色や模様が女子の受けに良いみたいで結構売り上げも上々らしいです」

 

 売上とかそんな事はどうでも良かった。

 ラブレター…勇紀がラブレターを貰っていたなんて…。

 

 「それとついさっき、勇紀が呟いてるのも聞きました。『今日こそは……』と」

 

 「「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」」

 

 その呟きが何を意味してるのか即座に理解した。

 ラブレターの返事を相手に答える気だ。

 

 「(どど、どうしよう!?もし勇紀が『OK』を出す様なら…)」

 

 私だけじゃなく他の皆も動揺している。

 このままだと勇紀が見知らぬ相手に取られちゃうかもしれないよ………。

 

 

 

 放課後…。

 椿姫は管理局の仕事で結果を見れない事に落胆しながら私達と別れ、私達は例の如く勇紀を追っています。ただ…

 

 「やっぱりラブレターの話は本当だったって事だよね?」(ヒソヒソ)

 

 「そうでなければわざわざ人気の無い体育館裏(・・・・)になんて来ませんよ」(ヒソヒソ)

 

 「マンガとかだと告白スポットの定番だもんね」(ヒソヒソ)

 

 勇紀を追って辿り着いたのは学校の体育館裏だった。

 普段からこんな場所に人が来る事なんて無いから告白や密会、密談なんかを行うにはうってつけの場所だ。

 そんな勇紀を私達は物陰から顔だけを覗かせて様子を見ている。

 勇紀はしばらくその場で誰かを待ち続ける。

 それから10分…20分…30分と時間が経つが

 

 「誰も来ないわね?」(ヒソヒソ)

 

 「もう30分以上は過ぎてるんですが…」

 

 一向に誰かが来る気配が無い。

 

 「もしかしてイタズラだったんじゃあ…」(ヒソヒソ)

 

 「いや、それなら今までの不審な行動に説明がつかん。きっと相手はいる筈だ(ヒソヒソ)

 

 力強く言うディアーチェ。

 

 「っ!!?ねえ!!誰か来たよ!?」

 

 「「「「「「「「「「っ!!!?」」」」」」」」」」

 

 なのはの言葉に皆、息を潜めやってきたという相手を見る。その相手は…

 

 「おいクソモブ。わざわざ来てやったぞ」

 

 西条だった。

 

 「「「「「「「「「「(何であの男が!!?(アイツが!!)(あの塵芥が!!?)(彼が!!?))」」」」」」」」」」

 

 え!?勇紀に手紙出したのってまさか西条なの!!?

 今まで散々私達の事『俺の嫁達』って言ってたのに実は同性愛者だったの!!?

 

 「「「「「「「「「「(それは無いか)」」」」」」」」」」

 

 もしそんなおぞましい事実があればちょっとO☆HA☆NA☆SHIしないといけないし。

 

 「わざわざ呼び立てて済まんな西条」

 

 「けっ、テメエに呼ばれる筋合いは無いんだけどよ」

 

 「まあ、そう言うな。実は…」

 

 うう…西条は声が大きいから聞こえるけど勇紀の方はあまり大きい声じゃないから聞こえにくい。しかも私がいる場所は最後尾だし。

 もうちょっと…もうちょっと…。

 私は身を乗り出して耳を近付ける。

 

 「ちょ、ちょっとアリシアちゃん!?」(ヒソヒソ)

 

 「アリシア…駄目ですよ!!」(ヒソヒソ)

 

 「ば…馬鹿!!乗り出したら…」(ヒソヒソ)

 

 あ……。

 気付いた時にはもう遅かった。

 

 バタバタバタバタッ

 

 私が乗り出したせいでこっそり覗き見ていた皆が倒れ、その姿を晒してしまう。

 

 「「っ!!?」」

 

 勇紀と西条が驚いた表情を浮かべてコチラを見る。

 あたたた……やっちゃったなぁ………。

 

 

 

 ~~アリシア視点終了~~

 

 いきなり物音がして何かが倒れ込んだからビックリしたんだけど。

 

 「(コイツ等、こんな所でなにしてんの?)」

 

 振り返ったら折り重なって倒れているシュテル達がいた。

 

 「うう……姉さんの馬鹿」

 

 「重い…早くどいて」

 

 「アリシアちゃん……無茶したらアカンやん」

 

 「あはは…ごめーん」

 

 皆文句を口にしながら1人…また1人と上からどいていく。

 

 「おい、おm「ヒャハハ!何だそういう事かよ」………ハア~」

 

 俺が声を掛ける前に西条が笑いだし、何かを理解した様だ。

 皆起き上がって西条の方を見る。

 

 「モブが言ってた『俺に告白したい子』って言うのはなのは達の事だったのか」

 

 「「「「「「「「「「はあ?」」」」」」」」」」

 

 1人笑って機嫌を良くする西条に、『何言ってんのコイツ?』みたいな目で見る女性陣。

 

 「全く、そういう事ならクソモブになんて言わず直接俺に言ってくれたらいいのによ。ま、正面から堂々とは恥ずかしくて言えなかったんだよな?ホント、可愛い奴等だぜ」

 

 「……ユウキ、あの男は何を言ってるのでしょうか?」

 

 「俺としてはお前等がここで何してたのか……って聞くまでも無いか。けど何で覗いてたのかは今は置いといて…だ。俺は西条に『告白したい』っていう人がいるからここに西条を呼び出したんだよ。で、俺はその立会人って訳」

 

 けど西条は突然姿を見せたシュテル達が『西条に告白する子』達だと勘違いして今あんなに上機嫌なんだろう。

 

 「何ならお前等、リンディさんもプレシアさんもですけどアイツに告白します?」

 

 冗談のつもりで言ってみる。

 まあ答えは聞かずとも今皆が浮かべている表情を見れば分かるんだが。

 

 「「「「「「「「「「絶対嫌です」」」」」」」」」」

 

 だよねー。

 

 「照れるなよ皆。俺の事を好いていても本当に俺がお前等を好きなのか言葉にしてくれないと不安なんだろ?こう言った真剣な場で言って貰えないと不安で仕方ないんだろ?『言葉にしなきゃ伝わらない事もある』んだから。なあ、なのは?」

 

 「……言葉にしても伝わらない事ってあるんだよ」

 

 西条はかつて原作でなのはが言った台詞を言うが、なのは本人はその言葉を否定した。

 まあ、間違ってはいないよな。目の前にいる西条(コイツ)にはどれだけ言っても自分の都合の良い様にしか伝わらないんだから。

 まあ、今は西条の誤解を解いておくか。皆、さっきからずっと不快そうな表情浮かべてるし。

 

 「おい西条、俺が言ってた人物はシュテル達じゃないぞ」

 

 「ああ゛!?じゃあ他に誰がいるってんだよクソモブ!!」

 

 「お前に告白したいって言ってたのはこの学校の先輩だよ。名前は『くろがねおとめ』っていう人だ」

 

 俺が告げると西条は大きく目を見開く。

 

 「おいモブ!!今『鉄乙女』って言ったか!!?間違いじゃないよな!!?」

 

 スゲー食い付きだなオイ。

 

 「言ったぞ」

 

 俺が頷き、答えると真顔だった西条の表情が卑しく歪んでいく。

 

 「(ヒャハハ…そうかそうか。俺に告白したいのがあの『鉄乙女』か。まさか『リリカルなのは』の世界、しかもこの学校に存在していたとは。俺は前世で『つよきす』もバッチリプレイ済みだしアニメ版も観てた。アリサ、ディアーチェに続く新たなツンデレキャラとしてハーレムに迎えるのも悪くは無いな)」

 

 コイツ今『俺様のハーレムに加えてやるぜ』とか思ってそうだなぁ。

 まあ、別に良いんだけどね。コイツが何考えてようが。

 

 「で、クソモブ。その『鉄乙女』はどこにいるんだよ?」

 

 「相手は年上なんだから『先輩』を付けろ。…もうそろそろ来る頃だと思うけど…」

 

 俺は腕時計で時間を確認する。と同時に…

 

 「おまたせぇん♪」

 

 ここに居る誰のモノでもない第三者の声が聞こえた。

 皆一斉にソチラの方向を向き………俺以外は固まった。

 

 「遅かったですね『くろがね先輩』」

 

 「ごめんなさいねぇん長谷川君。色々準備が忙しかったのよん♪」

 

 やってきたくろがね先輩。

 その容姿はムキムキマッチョの肉体に学ランだけ羽織っている。しかも前ボタンは留めていないので見事な腹筋が丸見えだ。ズボンは穿かずピンクのビキニのみ着用……公然わいせつ罪に正面からケンカを売る様な姿で登場した。

 …くろがね先輩、性別は『♂』である。

 

 「それで西条君は…私のご主人様は?」

 

 「そこです」

 

 俺が指差し、目的の人物である西条を見るとその顔は歓喜に打ち震える。

 くろがね先輩が歩き始めると女性陣は何故か俺の方に避難し、背中に隠れる様にしている。

 

 「初めまして西条くぅん♪////」

 

 「……………………」

 

 西条は固まったまま動かない。

 

 「初めて貴方の笑顔を見た時から心を奪われて今も尚、一途に想い続けている『(くろがね)漢女(おとめ)』よぉん♪////」

 

 頬を染めながらくろがね…もとい、鉄先輩は身体をクネクネさせ始めた。

 

 「今回、やっと貴方に告白する決心がついたので長谷川君に頼んで貴方を呼び出してもらったのよん♪どうか私のご主人様になってくれませんか?////」

 

 さて…どう出る西条。

 

 「ふ……」

 

 「ふ?」

 

 「ふざけんなああああああっっっっっ!!!!!!」

 

 硬直の解けた西条が叫び出す。

 

 「クソモブテメエ!!!!どういう事だ!!?コイツが鉄乙女(・・・)!!?ふざけんな!!!どっからどうみても『恋姫†無双』に出て来る貂蝉(・・)じゃねえかあああああっっっっっ!!!!!!!この嘘吐き野郎のクソモブがあああああっっっっ!!!!!!!!!!」

 

 あーあ、言っちゃった。『恋姫†無双』『貂蝉』と思いきり言っちゃったよ。

 そう…鉄先輩の見た目は完璧に『恋姫†無双』や『真・恋姫†無双』に出て来る貂蝉そのまんまだ。

 

 「別に嘘なんて言ってないし」

 

 見た目が貂蝉でもこの人の名前は正真正銘『鉄漢女』だし。

 …漢字が『乙女』じゃなくて『漢女』ってなってるのは仕方ないんじゃね?

 

 「テメエ言ったじゃねえか!!!?俺様に『告白したい女の子』がいるってよおおおおおっっっっっっ!!!!!」

 

 「は?俺はお前に『告白したい人がいる』って言っただけだぞ?」

 

 その相手が『女の子』だなんて言った憶えは無いね。

 つまり西条の勝手な勘違いだ。

 

 「それで西条君、私のご主人様になってくれるかしらぁん?」

 

 「ふざけんな筋肉ダルマ。誰がなるか!!!!」

 

 顔を青褪めながら否定する西条。だが鉄先輩を援護する者がここにいた。

 

 「待って下さい」

 

 『待った』をかけたのはシュテルだ。

 

 「おおシュテル!!俺の嫁よ、お前からもこのダルマに言ってやってくれ」

 

 「では遠慮無く。鉄先輩、その男は自分の気持ちを素直に言えないツンデレ属性持ちなんです。ですから口では否定しつつも内心、凄く喜んでいますよ」

 

 「なっ!!!?」

 

 ……シュテル、恐ろしい子。

 

 「そうなのん?なら嫌がる素振りも好意を示していると思えばいいのねん?」

 

 「はい。先程否定したという事は先輩の告白を受け入れたという事です」

 

 …お前、容赦ねーなー。

 

 「あらん♪なら私達は相思相愛という事ねぇん♪」

 

 シュテルはコクリと頷く。

 

 「じゃあ、これからよろしくねぇんご主人様♪////////」

 

 「よろしくしてたまるかああああっっっっっっ!!!!!!!」

 

 ドゴオッ!!!

 

 キレた西条が鉄先輩の腹に蹴りを叩き込んだ。

 

 「ぶるぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 吹き飛んだ先輩。しかしすぐに立ち上がる。

 

 「あん♪ご主人様は私にドMになれというのねん♪ならお望み通りご主人様専用の『ドM牝奴隷』になるわよおおおおおんんんんん!!!!!」

 

 「ひいいいいいいっっっっ!!!!!!!」

 

 そう言って西条に飛び掛かる鉄先輩。

 ドM希望の人が襲い掛かってどうすんのさ。後、貴方は『♂』なんだから『雄奴隷』といった方が正しいのでは?

 悲鳴を上げて西条は逃げ出し、先輩は追い掛けていく。

 残された俺達。

 

 「…で、お前等何で覗いていたんだ?」

 

 改めて尋ねると

 

 「だって…最近のユウキがあまりにも挙動不審だったから気になったもので…」

 

 シュテルの言葉に皆頷く。

 

 「あー…やっぱバレてたのね」

 

 俺は苦笑いを浮かべ、観念して話し出す。

 机に入っていた手紙が鉄先輩からの物で、『西条とラブラブになりたいから相談に乗ってほしかった事』『決して他の人にはバレない様にしてほしかった事』を。

 

 「…じゃあ多重転移を使用したのは?」

 

 「まあ、誰にもバレない様にっていうのもあるけど……鉄先輩も管理局員でな。俺の所属してる救助隊の先輩なんだ」

 

 「「「「「「「「「「ええっ!!!!?」」」」」」」」」」

 

 やっぱ驚くよね。

 同じ学校の2歳年上の先輩で俺達以外の地球出身の管理局員だもん。

 

 「で、先輩の相談をミッドの喫茶店やファミレスで乗ってたんだ」

 

 後はその帰りにスバルやギンガ、ティアナに会いに行ってたぐらいか。

 カリムとシャッハには会いに行ってなかったけどな。あの2人からはやてに伝わる可能性を考慮すると会いにいけなかったし。

 

 「…そうだったんだ」

 

 「つまり手紙はラブレターじゃなかったんだね」

 

 「まあな」

 

 そう答えると皆何故か安堵している。

 

 「ていうか何でラブレターだと思ったんだよ?」

 

 「謙介が言ってたんです」

 

 ユーリが説明してくれる。

 この件について後日謙介に問い質したら、実は封筒の模様が件のラブレター専用封筒の模様と若干違っていたらしく、完全に謙介の勘違いだった。

 それを知った瞬間、ディアーチェに制裁を受けていた謙介………哀れな奴。

 

 「しかしアイツの笑顔に心奪われたなんて…僕には理解出来ないなぁ」

 

 レヴィが呟く。

 おそらく西条のニコポにやられたんだろうな。

 本命のなのは達には通じず、他作品の原作キャラ(にそっくりな人)に通じるなんて……。

 

 「(西条……頑張れ)」

 

 今後、アイツ絶対苦労するだろうなぁ………。

 

 ~~おまけ~~

 

 ~~西条HAPPY END(笑)~~

 

 俺は地上本部の廊下を歩く。

 

 「よお、モブじゃねえか」

 

 そんな俺に声を掛けてくるのは西条……俺と同じ転生者だ。

 

 「西条か…何でここに?」

 

 「出張任務が終わってな。今から帰るトコだよ」

 

 「そうか…ご苦労さん」

 

 「ヒャハハ…別にこれぐらい大した事ねえよ。それに家に帰ったらアイツ(・・・)や子供達がいるんだ。家族との触れ合いは俺の癒しだからな」

 

 「そ、そうか…」

 

 満面の笑みで答える西条に俺は引き攣った笑みを浮かべて答える。

 かつてはクソモブと言い、俺を見下していた西条はもういない。と言っても見下すのを止めただけで未だに俺や亮太に対する呼称は『モブ』だが。

 

 「そうだ。今度また俺の子供が産まれるんだよ」

 

 「そうか…オメデトウ」

 

 「ありがとよ」

 

 コイツがここまでフレンドリーに接し始める様になったのはコイツが結婚し、家庭を持つ前……ある人物と付き合う様になった頃からだ。

 そう…………あの鉄漢女先輩(・・・・・)と。

 2人が付き合う様になったのは確か地上本部が襲撃されたあの事件が起きた日。

 その日、鉄先輩と2人きりになった西条は必死の抵抗も空しく……食われたらしいのだ。

 それから数日後、2人を見掛けた時、肌がツヤツヤで満面の笑顔だった先輩と

 

 『は…はは……俺の嫁……漢女……』

 

 と力無く笑い、完全に死んだ魚の目になっていた西条だった。

 その時に精神もヤラれたらしく、かつての西条の面影はどこにも無かった。

 そしてその日以来、なのは達に一切興味を持たなくなった。

 

 「今度、お祝いの品でも持って行くから先輩によろしく言っといてくれ」

 

 「おう」

 

 そして今でも西条の目はあの時同様、死んだ魚の目をしたままだ。

 ていうか西条と鉄先輩……男同士なのに何故子供が産めるのか疑問でならない。

 この謎を解明するためミッド中の科学者や研究員も挑戦し、俺は高速思考(ハイパーハイスピード)悪魔図書館(ウィッチライブラリー)を使用したが解明できず、頼みの綱である神様にも尋ねてみたが遂にこの現象の謎を解く事は出来なかった。

 しかも産まれた子供はこれまでに5人…全員が男であり、容姿に関しては顔が先輩で髭(子供の時点でもう生えている)が銀色、瞳が西条と同じ色のオッドアイという2人の特徴がハッキリと遺伝しており、最早『プロジェクトFやってんじゃね?』と思うぐらいだった。

 が、遺伝子鑑定でも『クローン生成した痕跡は一切無く正真正銘2人の子供』だとハッキリ答えに出るのだ。

 

 「っと、そういや思い出したんだけど西条」

 

 「何だよモブ?」

 

 「お前と先輩、少しは音声を自粛しろ。また近隣住民の人達から苦情来てたんだよ」

 

 「ああ、悪い悪い。今後は気を付けるよ」

 

 「…俺が注意したのもそう言ってお前が返事したのももう4桁超えたんだが?」

 

 ほぼ毎日の様に注意してるからな。

 コイツと先輩は夜になるとほぼ毎日の様に『夜の営み』又は『子作り』の行為に励んでいる訳ですよ。

 別に『ヤるな』とは言わんよ。ただ声がデカすぎて近所迷惑らしいんだよ。

 何でも部屋から聞こえる物音が『ドスン』『バタン』『ガタン』『パララララッ』って鳴るとか。

 どうみても暴れてるとしか思えんし、最後の効果音なんて絶対マシンガン乱射してるだろ。

 それに先輩の喘ぎ声が『ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』って何だよ!!?

 本当に子作りしてんのか!!?

 その度に『防音結界張れば?』と案を出した事も有ったけど、未だに決行された事は無い。

 

 「…とにかく本当に注意してくれ」

 

 「オーケーオーケー。今夜はちゃんと声の量を控えるって。あ、俺もう帰るから、じゃあな」

 

 そう言って死んだ目をした西条は去って行く。

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「って、今夜もするのかよ!!?」

 

 そう叫ぶが当の本人の姿はもう無い。

 

 「………ハア~」

 

 明日も絶対苦情来そうだ。西条め、余計な仕事増やさないでくれよ本当に。

 

 「勇紀も大変ね」

 

 そんな俺の元へやって来たのはレスティアだ。

 

 「レスティア、どうした?」

 

 「貴方が意外に遅いから探しに来たのよ」

 

 「あー…悪い。西条と話し込んでたからな」

 

 「そう…それより早く行きましょう」

 

 「そうだな」

 

 「今日の仕事が終われば明日からしばらく休暇取るのよね?」

 

 「有休が溜まりまくってるからな。『消化して下さい』と人事部から泣きつかれた」

 

 「そう…まあ、コチラは私達に任せてゆっくりしてきなさいな」

 

 「そうするよ」

 

 そのために1人で小旅行する訳だし。

 それにもうすぐ…

 

 「『Force』が始まる時期だからな」

 

 「もし原作が始まれば休む暇無いものね」

 

 「そういう事だ」

 

 俺はレスティアと並んで廊下を歩きながら執務室へと向かうのだった………。

 

 

 

 ~~貴志視点~~

 

 「帰ったぞー」

 

 俺は数日振りの我が家に帰ってきた。

 

 「お帰りなさーい、ご主人様ー♪」

 

 「「「「「お帰りなさいお父さん(おとうしゃん)」」」」」

 

 出迎えてくれたのは俺の嫁である漢女と5人の子供達。

 漢女は腹を膨らませており、その中には俺達の新しい子供が宿っている。もう安定期だ。

 

 「おいおい嫁よ。無理すんなよ」

 

 「あらぁん。ゴメンなさい♪」

 

 舌を軽く出しながら謝る俺の嫁。カワイイナアコンチクショウ。

 

 「???何か私の顔についてるかしらぁん?」

 

 「イヤー。お前は相変わらず最高の嫁だなと思ってたんだよ」

 

 「あんもう♪子供達の前で照れるじゃない♪////」

 

 「ヒャハハ…それより飯食いたいから中に入りたいんだが」

 

 「そうねぇ。夕食も出来てるし冷めない内に食べましょう」

 

 「「「「「お父さん(おとうしゃん)、遊んで遊んでー(あしょんであしょんでー)」」」」」

 

 「よしよし、メシ食ったら遊ぼうな」

 

 「「「「「わーい」」」」」

 

 俺達は家の中に入り、一家団欒で平和な家庭を過ごす。

 思えばコイツと結ばれてから俺の目にはコイツしか映らなくなった。

 『なのは達は俺の嫁』とか『最強のオリ主』なんて言ってた頃が懐かしいぜ。

 初めての時はコイツに襲われたが今となっては良い思い出だ。あの時の出来事で俺は生まれ変わったんだ。

 周りの連中は奇異の目で俺達を見ていたがどうでもいい。

 俺は嫁と一緒にいられることに至上の喜びを感じているんだからな。

 ああ…オレハサイコウニシアワセモノダ……ヒャハハハハ………。

 

 

 

 ~~貴志視点終了~~

 

 ~~西条HAPPY END(笑)『完』~~

 

 ~~あとがき~~

 

 今回で投稿済みの作品数が100になりました。

 しかし未だに空白期……。

 ホント、何時になればSts原作時期に入れるのやら………。

 ま、のんびりゆっくり執筆していきますので気長に待っていただければ幸いです。

 後、『西条HAPPY END(笑)』は時期的に『なのはForce』原作開始前です。

 もっともコレを正史の流れにするかIF的な展開にするかは未定です。普通に西条は『誰とも結ばれない孤独END』でも良いモノでして………。

 自分の友人は正史の流れに組み込む事をメチャクチャ推奨してきますけどね。

 それと、悪魔図書館(あくまとしょかん)悪魔図書館(ウィッチライブラリー)へと名前が変わっているのはいずれ本編で明らかになります。

 最後にこの作品が100話を達成した時には何か出来ないかと現在模索中です。何も思い浮かばなければ何もしませんけど。

 


 
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