No.623671

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第九十七話 文化祭の出し物は?

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2013-09-29 15:21:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:24482   閲覧ユーザー数:21785

 「諸君!!我々は戦争(うんどうかい)に敗れた!!だがそれが何だーーーー!!!」

 

 教室内に我が親友にして変態のスケベーマン、杉村謙介の大声が響く。

 奴は現在黒板の前の教卓の側に立っている。

 担任の富竹先生、副担任の阿部先生は教室にはいない。

 

 「曇る日もあれば、晴れる日もあるのです!!!」

 

 「何のこっちゃ」

 

 訳ワカメだ。

 

 「例え、地獄の日々が続こうとも、我々には輝ける未来が残されているのであります!!」

 

 「何で軍隊口調なのかしら?」

 

 首を傾げるリンディさん。

 

 「我々は敗れた!!それは何故か!!」

 

 「「「「「「「「「「坊やだからさーーーーーーー!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 レヴィを筆頭に男性陣が吠える。ノリノリだなオイ。

 

 「み、皆…LHRとはいえ、今は授業中なんだから静かにしないと…」

 

 オロオロするフェイト。

 

 「相変わらず賑やかなクラスよね」

 

 他人事の様に呟くテレサ。

 

 「そこの君ぃ!!」

 

 「はっ!!」

 

 謙介が1人の男子生徒を指差すと男子生徒は元気良く返事をし、起立する。

 そして見事な直立不動と共に敬礼をもって応える。

 

 「君はどこの出身だぁ!!?」

 

 「北海道でありまーす!!!」

 

 謙介が指差した男子は海小の卒業生じゃないのは知ってたけどまさか北海道出身とは…。

 随分遠い所から来たんだなぁ。親の都合か何かで来たのだろうか?

 

 「北海道には牛、熊、鮭しかいないそうだが君は牛かぁ!!?」

 

 それだけって事は無いだろ。

 

 「違うのであります!!!」

 

 「じゃあ君は熊かぁ!!?」

 

 「違うのでありまーす!!!」

 

 「じゃあ鮭なのかぁ!!?」

 

 「違うのでありまーーす!!!」

 

 「じゃあ君は誰だぁ!!?どこの所属だぁ!!?」

 

 「「「「「「「「「「海中!!!海中!!!海中!!!」」」」」」」」」」

 

 レヴィと男性陣達による『海中』コールが教室内で響く。

 

 「日本でもっとも楽しい学校はどこだぁ!!?」

 

 「「「「「「「「「「海中!!!海中!!!海中!!!」」」」」」」」」」

 

 「日本で1番思い出に残る文化祭を開催できるのはどこの学校だぁ!!?」

 

 「「「「「「「「「「海中!!!海中!!!海中!!!」」」」」」」」」」

 

 「レヴィさんと楽しい文化祭を迎えたくはないかーーー!!?」

 

 「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」

 

 いやレヴィ。お前は『おー』って叫ぶ必要無いだろ?

 

 「今年もテスタロッサさんの手作りの差し入れが食べたいかーーー!!?」

 

 「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 いや、俺達今年入学したんだから『今年も』って言い方は可笑しいだろ?

 

 「私、差し入れを作らないといけないのかな?」

 

 「…そこはフェイト個人の判断に任せる」

 

 「テレサさんと教室で寝泊まりしたくないかーーー!!?」

 

 「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「…私、ちゃんと帰るから寝泊まりするつもりは無いわよ」

 

 「アイツ等には聞こえてないぞテレサ」

 

 どんどんテンションが上がっていってるレヴィ+クラスの男性陣。

 ホント、静かにしないと怒られるぞ?

 

 「リンディさんと雑魚寝したくないかーーー!!?」

 

 「「「「「「「「「「おーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「私もちゃんと家に帰るから雑魚寝も何もないんだけど…」

 

 「……………………」

 

 もう完全にアイツ等の中ではクラス全員が学校で寝泊まりする事が決定している様だ。

 

 「命削るかーーー!!?」

 

 「「「「「「「「「「サー!!!イエッサーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「魂削るかーーー!!?」

 

 「「「「「「「「「「サー!!!イエッサーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「よかろう!!!!」

 

 シーーーーーーーン

 

 謙介が強く頷くと今までの騒ぎが嘘の様に教室内は静まり返る。

 

 「これより!!我々1年1組は、文化祭準備期間に突入する!!!」

 

 「「「「「「「「「「うおおおおおおおおーーーーー!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 男性陣の咆哮が教室や廊下に響く。

 

 ガラッ

 

 「うるさいぞお前等!!少しは静かにせんか!!!」

 

 当然他のクラスの先生に怒られる。首謀者と思われた謙介は鉄拳制裁を受け、男性陣は一瞬で着席していた。

 我がクラスは至ってマイペースだなホント………。

 

 

 

 「1時間目は随分賑やかでしたね」

 

 「むしろ五月蠅かったぞ」

 

 「ちょっとは自重した方が良いと思うんですけど」

 

 「いや、ホント申し訳ない。クラスのテンションが無駄に跳ね上がってな」

 

 自宅にて。

 今日の事について俺はシュテルやディアーチェ、ユーリに頭を下げて謝っている。

 やっぱりと言うか当然と言うか…2組や3組にまで我がクラスの大音量は届いていた様だ。

 

 「まあまあ皆、ユウはこうやって謝ってるんだから許してあげてよ」

 

 「いえ、別に怒っている訳では無いんですが…」

 

 「ていうかお前、そのノリノリの1人だったじゃねえか」

 

 レヴィ、普通ならお前が謝るべきなんじゃね?

 

 「それで、あそこまでテンションが高いぐらいなんだ。何の催しをするかは決まったのか?」

 

 「「全然」」

 

 俺とレヴィの声がハモる。

 

 「…何のために騒いでたんだか分かりませんね」

 

 ……言うなユーリ。

 

 「まあ、来週のLHRの時に決める事になるだろうな」

 

 果たしてウチのクラスは何をやるのかねぇ………。

 

 

 

 一週間後…。

 

 「今日は我がクラスの催し物を何にするか話し合って決めたいと思う」

 

 先週同様に謙介が教卓の前に立ち、宣言する。

 ……よく考えたらアイツ、クラス委員長でも文化祭実行委員でもないのに何で指揮とってんだ?

 

 「まずは何をやってみたいか意見を出してくれ」

 

 その言葉を合図に挙手をして自分の意見を答えるクラスメイト達。

 いくつかの案が出て黒板に書かれていく。

 その後、候補を3つまで絞ってみた結果

 

 「……喫茶店、お化け屋敷、射的か……定番だな」

 

 以上の3つが残った。

 

 「さて…この3つの中で1番利益が出そうなのは…」

 

 「喫茶店だろ?」

 

 「お化け屋敷も捨てがたいぞ」

 

 「コストの低さなら射的だろ?」

 

 悩む謙介に周囲がワイワイ騒ぐ。

 

 「杉村。喫茶店はただの喫茶店だけじゃなくコスプレ喫茶にでもすれば集客率が上がるんじゃないのか?」

 

 「喫茶店に決定だ!!」

 

 1人の男子の意見を聞いた謙介が即座に答えを出した。

 

 「いや、悩めよ!?1人の意見だけでアッサリ決めんなよ!!」

 

 皆だってそう思っている筈だ。

 

 「「「「「「「「「「俺達も喫茶店に異論は無い」」」」」」」」」」

 

 「おいっ!?」

 

 さっきお化け屋敷や射的に賛同してた連中も声を揃えていた。

 何でそう簡単に意見を覆すんだよ!?

 

 「「「「「「「「「「言わずとも分かるだろうが」」」」」」」」」」

 

 男性陣の視線はレヴィ、フェイト、テレサ、リンディさんへと順番に回っていき、

 

 「「「「「「「「「「ここで皆さんにコスプレさせず、何時させるんだ!!?俺達は天使の皆さんのコスプレが見たい!!ああ、見たいとも!!!」」」」」」」」」」

 

 一言も嘘偽る事無く清々しく言い切った。

 

 「勇紀、レヴィさん達がコスプレするだけで僕達やお客さん達は目の保養が出来、クラスの利益は跳ね上がる。つまり一石二鳥なんだよ」

 

 謙介もうんうん頷きながら説明してくれる。

 確かにレヴィ達がコスプレしたら集客率は上がるだろうさ。男性の目を惹き付ける容姿を持っている訳だし。

 もっとも、本人達がコスプレを了承してこそコスプレ喫茶が成り立つのだという事を男子達は忘れているのではないだろうか?

 

 「ていうか他の女子の意見は?」

 

 さっきから沈黙を保っているクラスの女子一同。

 女性陣の了承も出し物としてコスプレ喫茶を行うには必須ですよ?

 

 「「「「「「「「「「可愛い服だったらやっても良いよ♪」」」」」」」」」」

 

 ……そんなんで良いのか?

 

 「僕はむしろカッコイイ服が良いなぁ…」

 

 「コスプレ…………はぅ(服のデザインによってはジロジロ見られるよね…うう……)//」

 

 「喫茶店の事なら翠屋を参考にすれば問題無いかしらね」

 

 「あらあら♪コスプレなんて初の体験だから楽しみだわ♪」

 

 で、コスプレの中心になりそうなレヴィ、フェイト、テレサ、リンディさんはそんな事を言っていた。

 

 「勇紀、何か他に言いたい事はあるかい?」

 

 「……いや、皆納得してるなら良いんだけどさ……」

 

 フェイトは恥ずかしがっているが完全に否定してもいない。

 

 「じゃあ我がクラスの出し物はコスプレ喫茶に決定という事で…」

 

 バーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 

 「ちょっと待ったーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

 突然教室の扉が開き、開けた人物からの大声が上がる。

 声の主はズカズカと教室に踏み込んで来たのと同時に、ビシッと俺の方を指差してきた。

 

 「勇紀のクラスでそんなことされたら困る!私のクラスと出し物被るじゃん!!」

 

 指を差された俺は目が点になっていた。

 いや、俺だけじゃない。教卓の前で立っている謙介や、レヴィ、フェイト、テレサ、リンディさん…クラスの男子、女子も皆目を点にして教室に入って来た乱入者を呆然と見ていた。

 そんな中、いち早く硬直が解けた俺は乱入者の名を口にした。

 

 「……アリシア?」

 

 「あっ、ヤッホー勇紀。どうかなコレ(・・)?似合ってるかな?」

 

 乱入者…フェイトの双子の姉であるアリシアはセクシーポーズをとる。

 その服装は制服ではなく、チャイナドレス(・・・・・・・)だった。

 約3~4秒という短い静寂の後、

 

 「「「「「「「「「「おおおおおーーーーーーーっっっっっ!!!!」」」」」」」」」」

 

 俺以外の教室の男子達がどよめいた。

 何つーか…似合い過ぎている。

 アリシアはフェイトと違い、色気より元気が前に出るタイプの同い年の女の子だ。

 もっとも何も知らない人からすれば俺達と同年代に見られる事がまず無い。

 徐々に差を縮めているとはいえ、身長がフェイトよりも低いせいでフェイトの『妹』として間違われる事が多々あるのだ。

 しかし身長とは裏腹に同年代の中ではスタイルは抜群。今ですら真紅のチャイナドレスによって程良く膨らんだ胸元と、くびれた腰のラインが強調されている。

 そのうえ、スリットの部分はかなり深い所にまで入っており、不覚にも『ドキッ』とさせられた。スリットの隙間から覗き出ている白い太股のラインは注目するなと言われてもついつい目が入ってしまう。

 

 ギュウッ×2

 

 「ふぎゅっ!?」

 

 突然俺の左頬をレヴィに、右頬をフェイトに抓られた。

 リンディさんはニコニコ笑みを浮かべているが背後に黒いオーラが浮かんでいるのは気のせいだと思いたい。

 

 「ユウ、今卑しい目でアリシアを見てたよね?」

 

 「駄目だよ勇紀。視姦は犯罪なんだからね?」

 

 「そうねぇ。知り合いが犯罪者になるのは見過ごせないわねぇ」

 

 「ひゃ、ひゃって…」(だ、だって…)

 

 仕方ねーじゃん。

 俺だって健全な男の子なんですよ。いくら友達とはいえ、あんな風に太股が見えていたらどうしても目がいっちゃうんですよ。

 アリシアがバリアジャケットを纏っている時はミニスカートなので太股は普通に晒し出している。その時は視界に入ってもここまで意識しないんだけど…。

 

 「(これもコスプレの魅力だとでもいうのかねぇ?)」

 

 だとしたら恐ろしいな。

 

 「《ていうか俺よりも先に他の男子を注意しろよ》」

 

 頬を抓られ、上手く言葉に出来ないので念話で喋る。

 男子達、アリシアをガン見しながら鼻の下伸ばしてるじゃんか。謙介は鼻から赤いナニカが流れ出している。

 

 「「「他の皆はもう手遅れだから」」」

 

 口を揃えてレヴィ、フェイト、リンディさんが言う。

 哀れ……クラスの男子達。

 

 「さて…ここで問題(クエスチョン)だよ♪」

 

 教卓の前に立っているアリシアがニンマリと嫌らしい笑みを浮かべながら口を開く。

 

 「このチャイナドレスのスリット部分からは下着のラインが見えない訳だけどそれは何故でしょう?」

 

 「「「「「「「「「「っ!!!?…………ゴクリッ」」」」」」」」」」

 

 男子生徒達が一斉に生唾を飲み込んだ。

 

 「1…紐パン」

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」(ツツー…)←鼻血が出る男子達。

 

 「2…前張り」

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」(ダラダラ)←鼻血が湧き出す男子達。

 

 「3…穿いてない」

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」(ブシャー!)←鼻血が噴出する男子達。

 

 男子達の机の表面が徐々に血で染まっていく。

 ちなみに他の男子達より一足先に鼻血を出していた謙介はうつ伏せで倒れ、教卓の周辺の床を赤く塗り替えていく。

 

 「答えは勇紀に直接見て、確認してもらおうかな?////」

 

 ガタガタガタガタガタッ!!

 

 「「「「「「「「「「長谷川ぁーーーー!!!!そんなに死にたいのか貴様はーーーーー!!!!」」」」」」」」」」

 

 いや、俺何も言ってないし。

 謙介以外の男子達が一斉に立ち上がり、吠え出すのだが悲しいかな。鼻血出しながら凄まれても全然怖くも何とも無い。むしろ…

 

 ギリギリギリギリギリッ!!!!

 

 「ひぎぎぎぎぎぎぎぃっ!!!?」

 

 頬を抓る力を強めるレヴィとフェイト…それに笑顔から無表情になったリンディさん。瞳から光を消した3人の方が怖い。

 

 「勇紀、私はいつでもバッチコイだよ////」

 

 いかねえよ!!!

 むしろコイツ等何とかしてくれよ!!!このままだと俺の頬が本当に引き千切られそうな感じがしてならないんだよ!!!

 

 「……何だかまた怒られそうな気がするわね」

 

 テレサが呟く様な声で言うのと同時に

 

 「貴様等!!先週に続きいい加減にせんかーーーー!!!!!」

 

 先週同様怒られた。

 そして倒れている謙介を無理矢理に起こして鉄拳制裁。

 先生……アリシアの方も注意してくれよ………。

 

 

 

 「コホン…じゃあ本題に戻るけど勇紀、私はウェルカムだからね////」

 

 「それ本題じゃねーよ!!」

 

 あれから少し時間が経ち、クラスが落ち着いた所で両頬を解放された俺。

 先生は謙介だけボコり、アリシアには目もくれず退出していった。

 謙介に何か恨みでもあるんだろうか?

 

 「冗談だよ冗談………1割は」(ボソッ)

 

 後半何言ったアイツ?

 

 「「「……………………」」」

 

 で、俺を睨むのは止めてくれませんかね?レヴィさんフェイトさんリンディさん。

 

 「とりあえず私達のクラスもコスプレ喫茶やるんだよ。だけど同じ学年で出し物が被ったら面白くないじゃん。だから1組にはコスプレ喫茶を諦めてほしいんだよ」

 

 『お願い!』と両手を合わせて頭を下げるアリシア。

 

 「残念だがこればっかりは譲れないよテスタロッサ(姉)さん。理由としては目の保養と売り上げの為に」

 

 顔にモザイク必須な程ボコボコにされた謙介が異を唱える。

 

 「えー!?目の保養だったら今度私がフェイトの着替えを盗撮してきてあげるから我慢してよ」

 

 「な、ななな何言ってるの姉さん!!?////」

 

 ガタッと音を立て、勢いよく立ち上がって顔を赤くさせたフェイトが吠える。

 

 「おい聞いたか!?」(ヒソヒソ)

 

 「ああ、テスタロッサ(妹)さんの着替え写真だと!」(ヒソヒソ)

 

 「どうする?コスプレ喫茶諦めて写真をゲットした方がお得じゃないか?」(ヒソヒソ)

 

 「だが俺はコスプレの方を見てみたいぞ」(ヒソヒソ)

 

 「俺は写真が…」(ヒソヒソ)

 

 ヒソヒソと声を抑えつつも盗撮写真かコスプレかで論議されている。

 フェイトにとっては迷惑以外の何物でもないがな。

 

 「…ていうかアイツのせいで、ほとんど話が進まずにLHR終わりそうだなぁ」

 

 そもそも自分のクラスはどうしたんだ?

 

 「私のクラスはもうコスプレ喫茶一択だからね。今は自習みたいなもんでもうやる事が無いんだよ♪」

 

 俺の心を読んだかの様に答えるアリシア。コッチを見てウインクする。

 

 「だからって自分の教室を出て良い理由にはならないだろうに」

 

 ハア~…。

 

 「ユウ、何だか凄く困ってそうだね」

 

 「そりゃあ、困ってるからな」

 

 「この状況、どうにかしたくない?」

 

 「出来るもんならしたいわな」

 

 アリシアが教室に帰れば万事解決なんだが、俺達のクラスが『コスプレ喫茶止めます』と言わない限りは居座ってそうだし。

 そもそも2組にはシュテルもいる筈なんだがアイツ、アリシアの事止めなかったのか?

 なのはは止められそうに無いだろうし、はやてはむしろ悪ノリしてアリシアの後押ししてそうだし。プレシアさんは……今のアリシアの姿を見て悶絶してそうだし。

 

 「だったらこの僕にお任せだよ♪」

 

 自信満々に答えるレヴィ。

 

 「…どうにか出来るのか?」

 

 「モチのロンだよ♪ちょっと待っててね♪」

 

 そう言い残し、上機嫌で後ろの扉を開け、教室を出て行くレヴィとそれを見送る俺。

 何だ?2組からシュテルでも呼んでくるのか?

 レヴィの行動に疑問を抱きながら待つ事1分弱。

 

 バーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!

 

 「やあやあやあやあ待たせたね♪」

 

 アリシアの時同様に、教室の扉を勢い良く開けて入室してきたレヴィ。

 ただし教室を出た際の制服姿とは違って今はバリアジャケット(・・・・・・・・)を身に纏っている。

 

 「困った悩みをズバッと解決!強くて凄くてカッコイイ!そう…それがこの僕、雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)!!」

 

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 この瞬間、男子達の怒涛の咆哮により教室が揺れた。比喩的表現じゃなくマジで揺れた。

 

 「良いぞー!!レヴィさーーん!!!」

 

 「馬鹿野郎!!彼女は『レヴィさん』じゃない!!『雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)』だって言ってただろうが!!」

 

 「雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)!!」

 

 「その眩しい太股が最高だーーー!!!」

 

 あの露出度の高いバリアジャケットを見て歓声を上げる男子達。

 しかもそれだけじゃない。

 

 ババババババババババババババッ!!!

 

 額に水色のハチマキを巻き、背中に『レヴィさん命』と文字が刺繍されたハッピを羽織った多数の男子達が教室前の廊下を埋め尽くす。

 間違い無くレヴィ(非公認)のファンクラブだ。

 おそらくはバリアジャケット姿のレヴィを見に来たのだろう。

 

 「おいおいおいおいおい!!!」

 

 レヴィがバリアジャケット纏って教室に戻って来てから10秒経ってないぞ!!?

 なのに教室前に集まるとかどれだけ情報伝達するのが早いんだよ!!?

 

 「《…ダイダロス。室内に盗聴器や隠しカメラの類は設置されてるか?》」

 

 「《………それらしい機器類の反応は無いよユウ君》」

 

 あ…有り得ねえよ。

 教室の外の連中はどうやってこの状況を知ったんだ?

 男子達の咆哮で想像出来るとは思えないんだが…。

 

 「またこのクラスか!!!貴様等は何だ!!!ここで何をしている!!?」

 

 そして再度現れる先生だが

 

 「死ね!!バーコードハゲ!!」

 

 ドズンッ!!!

 

 「げぱぁっ!!?」

 

 ファンクラブの1人が先生を一撃で沈めた様だ。

 これでこの騒動は誰が止めるのだろうか?

 

 「あの2人が決着つけない限り止まらないんじゃない?」

 

 …テレサさん。冷静に答えてないで事態を収拾する方法考えて下さい。貴女のIQ200を超えるその頭脳で。

 

 「解決法を見付けるよりも彼女達…動くわよ」

 

 「ん?」

 

 『前を見なさい』とテレサに顎で指されたので視線を前に戻すと

 

 「ユウを困らせる邪悪の権化アリシア・テスタロッサ!!強くて凄くてカッコイイこの僕が直々に成敗してくれる!!」

 

 バルニフィカス(魔力刃は出さず)の先端を『ビシッ』とアリシアに向かって突き出す。

 

 「ほほう?このアリシアさんに1人で挑むと?レヴィ、それは無謀というものだよ」

 

 そんなレヴィに対し、アリシアは不敵に微笑む。

 

 「勿論僕1人じゃないさ。僕の相棒を呼ばせて貰うよ!!」

 

 相棒?そんな存在いたっけ?

 シュテル?ディアーチェ?ユーリ?違うクラスから家族の誰かを呼ぶつもりか?

 

 「さあ!今こそ僕と共に肩を並べて戦おう……フェイト!!」

 

 「私!!?」

 

 突如ご指名されたフェイトさんは驚愕の表情を浮かべ、混乱気味のご様子。

 

 「そうだよ!!今こそ時空管理局首都防衛隊の僕と本局執務官のフェイトが手を組む時が来たんだ!!!」

 

 待て待て待て待て待て!!!!

 今さらっと言ったけど出してはいけない単語連発してたぞ!!!

 リンディさんも若干冷や汗を掻いている。守秘義務もクソも無いな。

 

 「おい、時空管理局って何だ?」

 

 「さあ?防衛隊とか執務官っていうのも聞こえたけど?」

 

 「何かの役職か?」

 

 「そんな職業聞いた事無いぞ」

 

 ざわざわとクラスがざわめき出す。

 

 「ちょっとレヴィ!!本職名乗ってどうするのよ!!」(ヒソヒソ)

 

 「ご、ゴメン。勢いに乗っちゃってつい…」(ヒソヒソ)

 

 教卓の前のレヴィとアリシアも焦り気味だ。

 アイツ…後先考えろよ。

 

 「……分かった!!レヴィさんとテスタロッサ(妹)さんは厨二なんだ!!」

 

 1人の男子が声を上げる。

 

 「え?厨二なの?」

 

 「レヴィちゃんはともかくフェイトちゃんも?」

 

 「普段はマジメな子なのに?」

 

 男性人より女性陣の方がショックは大きいみたいだ。皆、かわいそうな子を見る様な目でフェイトに視線を向ける。

 

 「ちち、違うよ!?私厨二なんかじゃないよ!!」

 

 反論するフェイト。

 厨二の意味知ってるんだ…。

 

 「あのマジメなテスタロッサ(妹)さんが…」

 

 「誰よりも純粋で見栄えする金髪のテスタロッサ(妹)さんが…」

 

 「女子の中でも発育の良さが上位に食い込んでいるテスタロッサ(妹)さんが…」

 

 そう言っているのはフェイト(非公認の)ファンクラブの連中だろう。

 3人目の発言はちょっとどうかと思うがな。普段から何処を見ているのやら…。

 しかし流石にショックなのか?

 

 「「「厨二………思わぬ事実の発覚だ……萌える!!!」」」

 

 萌えるのかよ!!!

 

 「(皆が勘違いしてる今がチャンスかも)さあフェイト!!僕と一緒にアリシアをやっつけよう!!」

 

 「フフフのフ。1人が2人になった所で私には勝てないって事を教えてあげるよ♪」

 

 …元はと言えばお前等の悪ノリが原因なんだがそこん所理解してる?

 

 「さあ、皆で僕の相棒を呼ぼう!!その名は『雷光の執務官(フェイト・テスタロッサ・ライトニング)』だよ!!せーの……」

 

 「「「「「「「「「「雷光の執務官(フェイト・テスタロッサ・ライトニング)ーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 …一体何のヒーローショーだこれは?

 男子達は期待に満ちた目でフェイトを見つめる。

 

 「うう~…《勇紀、どうしよう?》////」

 

 フェイトの視線と念話が俺に届く。

 

 「《済まん…こうなったらアイツ等のノリに合わせてさっさと事態を収拾してくれ》」

 

 「《そんな!?》」

 

 本当に済まんフェイト……見捨てる様な事して。

 けど俺は……無力なんだ………。

 

 

 

 ガラッ…

 

 「お…お待た……せ……//////」

 

 あれから散々拒否っていたフェイトだが結局は押し切られる形で頷き、教室を出て行った。

 そして1分程で帰ってきた。

 アリシアやレヴィの時と違い、静かに扉を開ける。

 その姿はレヴィと全く同じバリアジャケット姿。勿論バルディッシュも握られている。

 レヴィ(非公認)ファンクラブの人達はフェイトの通行の邪魔にならない様、道を開けている。

 ……まるでモーゼだな。

 

 「やっと来たねフェイト!!さあ、フェイトも名乗りを上げよう!!」

 

 「ええ!!?な、名乗りなんて無いよ!?」

 

 「大丈夫大丈夫……ゴニョゴニョ……」

 

 フェイトの耳元でレヴィが囁く。

 

 「……って、言えばいいよ。さあ、フェイト!!」

 

 「~~~~~っ!!うう~………////////」

 

 顔を真っ赤にさせているフェイトの前口上を皆が待っている。

 目を瞑って周知に耐えていたフェイトだが意を決した様で

 

 「は、疾風の様にササッと登場!立ち塞がるなら斬り伏せる!!私こそが正義の象徴、雷光の執務官(フェイト・テスタロッサ・ライトニング)ーーーーーっっっっ!!!!////////」

 

 最早、ヤケクソ気味に叫ぶフェイト。

 

 「「「「「「「「「「イヤオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 この瞬間、男子達の更なる咆哮により海中が揺れた。比喩的表現じゃなくマジで揺れた。

 

 「キタコレキタコレ!!!時代がうねりを上げてキタヨコレーーーーーー!!!!!」

 

 「フェイトさんの太股もレヴィさんやアリシアさんに負けず劣らずの眩しさがーーーーー!!!!」

 

 「お揃い!!レヴィさんとテスタロッサ(妹)さんがお揃い……」

 

 「ペアルックという事は……禁断の百合百合関係か!!?」

 

 「ありがとう!!この様な至福の光景にカチ合わせてくれて本当にありがとう!!!!」

 

 「ああ……羞恥で顔を染めながらも頑張るフェイトの姿……萌え」(ガクッ)

 

 感涙の涙を流しながら手を合わせて拝む男子生徒達とデジカメ片手に鼻血ダラダラのプレシアさん。

 ………ん?

 

 「プレシアさん……アンタ何時来たんですか?」

 

 「ぐ…愚問よ勇紀君。『アリシアとフェイトが揃う所に私有り!!』よ!!!」

 

 いや、だからってホント、どこから教室に入ったの?

 廊下は男子達(レヴィ(非公認)ファンクラブに加え、何時来たのか金色のハチマキに『フェイトさんこそ至高の存在』と刺繍されたハッピを羽織る『フェイト(非公認)ファンクラブ』とこれまた金色のハチマキに『プリティーラブリーアリシアたん』と刺繍されたハッピを羽織るアリシア(非公認)ファンクラブ』)によって埋め尽くされているのに。

 …まあ、そんな事より今はこの騒動だよな。教室にいる富竹先生もいい加減怒りそうな…

 

 「富竹フラッシュ!!富竹フラッシュ!!」

 

 パシャパシャパシャパシャ!!!

 

 ……雰囲気は全く無く被写体の3人(レヴィ・フェイト・アリシア)を激写するのに全力を注いでいる。

 

 「中々良い素材なんだがな。吉満(アイツ)の味を知っちまった以上、女相手では不十分だな」

 

 ……味って何の事ですか阿部先生?

 

 「じゃあ、役者も揃った事だし勝負はこれで決めようか!!」

 

 アリシアが教卓の下から出したのはヘルメットとハリセン。

 

 「これより、『コスプレ喫茶開催権利』を賭けた『叩いて!被って!ジャンケンポン!』を行いまーす!!」

 

 「「「「「「「「「「イエーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「『イエーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!』じゃねーーー!!!どっから出したその道具一式!!?」

 

 「気にしたら負けだよ勇紀♪」

 

 「気にするわ!!!」

 

 「さあ行くよー!!」

 

 俺の言葉は無視された。

 

 「最初は私VSフェイト」

 

 「うう…早く終わって……////」

 

 「ガンバだよフェイト!!負けても僕がいるからね♪」

 

 ……もう勝手にしてくれ。

 

 「「「「「「「「「「叩いてー♪♪」」」」」」」」」」

 

 「「「「「「「「「「被ってー♪♪」」」」」」」」」」

 

 「「「「「「「「「「ジャンケン・ポン!!!」」」」」」」」」」

 

 こうして壮絶な死闘(?)が始まり、俺は深く溜め息を吐いてアイツ等の自由にさせた。

 勝負の結果は……フェイトを下したアリシアがレヴィに負け、俺達1組がコスプレ喫茶の開催権利を得たのだった。

 

 「グスン…もう私、このジャケット変える……」

 

 尚、今回の一件で男子生徒達に、ひたすら舐め回す様に見られたフェイトの精神的ショックは大きく、バリアジャケットはSts仕様のモノに変更されました………。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
30
9

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択