No.602536

真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」外史動乱編ノ四十八

 
 お待たせしました!大分早いですが。

 元の世界に帰る為に泰山へと入った一刀と朱里。

続きを表示

2013-07-28 17:52:37 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:6828   閲覧ユーザー数:5610

 

「北郷一刀、おとなしく俺に殺されろ!!」

 

 泰山に現れた左慈はそう言うなり俺に向かって突進してくる。

 

「ご主人様!」

 

「朱里は下がって。貂蝉、朱里を頼む」

 

「分かったわぁん」

 

 貂蝉は俺の言葉に頷くと、朱里を抱えて距離を取る。

 

「はわわ!貂蝉さん、私の事よりご主人様を!」

 

「大丈夫よぉん、今のご主人様に左慈が勝てるはずがないもの」

 

 その貂蝉の言葉に驚きの表情になった朱里が見た先には、

 

「なっ、当たらない…だと!?」

 

「その程度の攻撃でやられるか!」

 

 左慈の連続攻撃を全てかわしていた俺の姿があった。

 

「くそっ、多少はやるようになったようだな。だが、俺もまだ本気を出した

 

 わけではないぞ!」

 

 左慈はそう言うと、先程よりもさらに早い攻撃を仕掛けてくる。しかし確

 

 かに早いのだが、避けれない程の物ではない。こいつってこんなに鈍かっ

 

 たっけ?

 

 また俺に攻撃をかわされた左慈は激昂した表情でさらに連続攻撃を繰り出

 

 してくるが…正直、そんなに言う程の物には見えなかった。

 

 そして攻撃を全てかわされた左慈の表情は驚愕の色に染まっていた。

 

「何故だ…何故俺の攻撃が当たらない!?」

 

 

 

「さあ、俺にも良く分からないけど?別にお前が手加減してるとか弱くなっ

 

 たとかではないよね?」

 

「くっ、愚弄するな!!」

 

 左慈は怒りの表情で攻撃を繰り出し続けるが…何度見ても、じいちゃんの

 

 攻撃より数段落ちる。こんな程度だったか?

 

 それから四半刻程すると、攻撃をかわされ続けた左慈は肩で息をしており、

 

 俺はまだ汗一つかいていない状態だった。

 

「そんな馬鹿な…俺が北郷一刀相手にこんなはずは…」

 

「それがそうも言えないのよねぇん」

 

 そこに貂蝉が口を挿む。

 

「…どういう事だ?」

 

「今のご主人様は前の外史から帰った後、あの『天刀様』の修行を受けてる

 

 のよぉん。結果、ギリギリだけど合格を告げられているからもう左慈より

 

 も強くなってても不思議ではないのよぉん」

 

 左慈は貂蝉の言葉を聞いて完全に驚愕と絶望の色がない交ぜになった表情

 

 に変わる。

 

「な…なんだと?お前、あの天刀の関係者なのか!?」

 

「ああ、孫だけど?」

 

「くっ…くそぉ!!そんなわけあるか!俺はもう天刀よりも強くなったはず

 

 だ!!こんな程度で!!!」

 

 左慈はそう叫ぶと再び突っ込んでくる。だがその表情は何処か追いつめら

 

 れた物があった。

 

 

 

「悪いがその程度でじいちゃんより強いなんて言ってほしくはないな。じい

 

 ちゃんに比べたらお前の攻撃なんて死にかけた虫くらいに遅いぞ」

 

 左慈は俺のその言葉にさらに激昂した表情となったが、俺はそれにも構わ

 

 ず左慈の突進をかわすと右手で明鏡、左手で止水を抜いて構える。

 

 その俺の刀と構えを見た瞬間、左慈の表情が凍りつく。

 

「ま、まさか…その刀、明鏡と止水…そしてその構え…」

 

「ああ、これはじいちゃんから合格の印として貰った刀。そしてこれはじい

 

 ちゃんから伝授された剣術の構えだ」

 

 俺は構えを取ったまま左慈が動くのを待っていたが、左慈は急に固まった

 

 ように動かなくなってしまった。向こうが動かないのであればこっちから

 

 いくまでだ。

 

 俺は両足に気を込めると、一気に距離を詰めて左慈に斬りかかる。

 

 左慈ははっとした表情となるが、俺の攻撃を間一髪の所でかわす。しかし、

 

 その衣服は俺の剣圧で破れていた。

 

「どうした、俺の命が欲しいのだろう?だったら来な!くれてやるわけにも

 

 いかないけどな!!」

 

「う、うるさい!うるさい!うるさい!!この…北郷一刀の分際で管理者た

 

 る俺にその口の聞きようは何だ!!」

 

 左慈はそう叫ぶと同時にジグザグに動きつつ俺に迫ってくる。どうやら多

 

 少は考えたようだ…だが!

 

「甘い!!」

 

 俺は繰り出された攻撃を捻ってかわすと同時に明鏡を左慈の左肩に叩き込

 

 む。気で固めていたのか斬る事は出来なかったが、骨が折れるような音が

 

 したかと思うと、左慈はその場にうずくまっていた。少しして立ち上がり

 

 はしたものの、その左腕はだらりと下がったままであった。

 

 

 

「まだやるのか?」

 

「当たり前だ!俺は外史と外史を肯定する者を排除するのが役目だ!!誰が

 

 何と言おうとこの場でお前と諸葛亮を殺す!!」

 

「ほう…朱里もね。俺だけでなく?」

 

「そうだ!その女も邪魔な存在だからだ!たかだか外史の傀儡の分際で…」

 

 左慈がそこまで言った瞬間、俺は先程までより何倍もの速さで左慈に迫り

 

 鳩尾に膝蹴りを叩き込んでいた。

 

「がはっ…そんな、馬鹿な…この俺が…?」

 

「朱里を殺す?良く言った。本当は幾らお前と言えど殺すべきかどうか迷っ

 

 ていたが…その台詞を吐いたのがお前の運の尽きだ!!」

 

 俺はそのまま止水を床に刺し、両手で明鏡を握って左慈に振り下ろす。

 

 その攻撃は完全に左慈の身体を斬り裂いていた。

 

 ・・・・・・・

 

「まさか俺が…この程度の事で」

 

「お前の敗因は俺の力を甘く見ていたのと…朱里を傀儡などという暴言を吐

 

 いた事だ。朱里は…いや、どの外史の住人も傀儡などではない。お前ら管

 

 理者がどれだけ偉いのかは知らないが、そのような考えでいる限り俺は全

 

 てを斬り伏せる。これからもな」

 

 明鏡と止水を納刀しながら言った俺のその言葉を聞いた左慈は眼だけをこ

 

 っちに向けると、少し微笑んだような表情で呟くように言う。

 

「そうか…なら勝手にするがいい。もう俺にはどうする事も出来んからな」

 

 その瞬間、左慈の身体は手足の先から砂のように崩れ落ちていく。

 

「ふん、時間切れか…まあ、いい。何もかもこれで全て終わりだ」

 

 その言葉を最後に左慈の身体は全て砂のように崩れ落ち、風に飛ばされる

 

 ように消えていった。

 

 

 

「貂蝉、今のは一体…?」

 

「私達管理者は限りなく不死に近い存在。でも今みたいに命を終える事にな

 

 ると全て消えてなくなるのよぉん。それこそ塵一つ残さずねぇん」

 

「そうか…管理者っていうのも大変なんだな」

 

「ご主人様…」

 

 俺は朱里の肩に手を置いてしばらくそのまま佇んだ後、努めて明るい声で

 

 貂蝉に話しかける。

 

「貂蝉、俺達はあの鏡に行けばいいのか?」

 

「そうよぉん」

 

 俺達はそのまま鏡の前に行くと、鏡から強い光が発せられる。

 

「それじゃ、二人とも力を抜いて楽にねぇん。ぶるわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 貂蝉のその叫び声と共に鏡からの光は俺達を包み込むように広がる。

 

 そして泰山からの頂上から天へ向かって一筋の光が伸びて、何処までも天

 

 高く飛んでいったのであった。

 

 そして、それは大陸中から見る事が出来、皆が天の御遣いが天に帰った事

 

 を知り、涙を流さなかった者はいなかったとの事であった。

 

 

 

 俺達を包んでいた光が治まると、そこには…。

 

「帰ったか、一刀、朱里」

 

「お帰りなさい、二人とも」

 

 じいちゃんとばあちゃんが待っていた。

 

「じいちゃん…ばあちゃんも。まさか俺達が外史に行ってからずっとそこに

 

 いたのか?」

 

「何を言う。そもそもお主達が旅立ってからこっちはまだ一時間位じゃ。厳

 

 密に言えば、十分前位に貂蝉から連絡があって改めて出てきたのじゃがな」

 

 そうか、わざわざ貂蝉が…もう会う事も無いのだろうが、元気でやってほ

 

 しいものだな。もっとも、あいつが身体を壊すとか想像出来ないが。

 

「ところで…朱里?そのお腹…」

 

「はい、おばあ様。お二人のひ孫です」

 

「そうか…一刀、良くやった!しかし朱里も妊娠したままでは学校に行けん

 

 な。二人ともしばらくこのまま此処におれ。学校にはこっちから連絡して

 

 おくでな」

 

「そうですね。朱里、出産はこれからが大変なんだから。私がしっかり立ち

 

 会ってあげるわね」

 

「さあ、今日の所は二人の無事の帰還と朱里の懐妊祝いじゃ!!」

 

 俺達はそのまま家へと入っていった。正直、まだ実感は無いけども、これ

 

 からは外史にいた時とはまた違う大変さがあるだろう。でも、俺達はあの

 

 戦乱を駆け抜けたんだ。どんな事でも朱里と二人、手を取り合っていけば

 

 怖くない!さあ、頑張るぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

「貂蝉、良いのか?最後に二人に声をかけなくても?」

 

「いいのよぉん、もうあの二人が天の御遣いとして外史に関わる事は無いの

 

 だからぁん。それよりも…あの外史にいい男がいたわねぇん」

 

「ああ、華佗とか言ったのぉ。儂も眼をつけておったわ」

 

「ふふん、それじゃ…」

 

「ああ、早い者勝ちじゃぞ!!」

 

 こうして貂蝉と卑弥呼は管理者の特権を生かして再びあの外史に行き、今

 

 度は華佗を追いかけ回すのだが、それはもう一刀達には関係の無い話であ

 

 った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                          続く!?

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回はとても早く出来ましたので二日連続の投稿です。

 

 というわけで、ようやく無事に二人は元の世界へと

 

 戻っていきました。

 

 とは言っても実はまだ終わりではありません。

 

 次が最終回、エピローグそして…という事になります。

 

 そして外史の話は終わりなので、次回は「伏龍は再び天高く舞う・結」と

 

 させていただきます。

 

 

 それでは次回またお会いいたしましょう。

 

 

 

 

 追伸 作中で語った通り、実はじいちゃんは外史に行った時に左慈と

 

     戦っています。じいちゃんの圧勝でしたが。

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
46
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択