No.592017

バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十五話

ザルバさん

イラツイタココロヲナダメルノハイツモオンガクダナ。
「音色」
シズマリカエッテイクナ。

2013-06-28 17:47:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1148   閲覧ユーザー数:1100

 翌朝の合宿場。雄二達は目元にクマができていた。

「ふあぁ~。」

「・・・・・眠い。」

「そうじゃな。しかも昨日見たのが・・・・」

「秀吉、言うな。」

「すまぬのじゃ。それにしても昨日は女子がなにやら騒がしかったが・・・・・ムッツリーニよ。何かわからぬのか?」

「・・・・昨日鋼牙と他のやつが魔導空間で戦っていた。」

「ウチの生徒か?」

「・・・・・・いや。だが・・・」

「なんだ?」

「・・・・・盗聴器から知った情報で一年生の魔戒騎士だそうだ。」

「一年!まさか・・・・・あいつらか?」

「・・・・・おそらく。」

「一年であの点数か・・・・・確か二人いたな。」

「そうじゃな。つまりあやつらは鋼牙の後輩にあたる者かの?」

「だろうな。ん!なんだか外が騒がしいな。」

 雄二達は窓を開け中庭の方を見てみる。他の生徒達も注目しているのは一目瞭然である。中の方には鋼牙と楠神の姿があった。

 

「こうして冴島鋼牙さんと戦えるのは嬉しいあまりです。」

「俺も楠神の家のものと戦えるのは嬉しい。」

「そう言っていただけるとは・・・・」

 魔導空間が展開され、二人は『試獣召還』と叫ぶ。

「こい!」

「はぁ!」

 楠神は矢を射る。鋼牙は剣で矢を弾く。

 ビュンビュン

 楠神は二発連射する。鋼牙は剣で矢の起動を逸らす。

(この連射速度はまだ序の口だな。)

 鋼牙は着地し、サイド移動をする。

 ビュビュビュビュビュビュビュビュビュビュビュビュ

 ギン、ギン、ギン、ギン、ギン

 楠神は矢をマシンガンボウガンのように矢を放つ。鋼牙は避けながらも剣で弾く。

 鋼牙は止まると楠神は矢を射るのをやめる。突然のことに回りの生徒はわからなかったがすぐにわかった。矢を射た方向やあちこちに赤い札が貼られていた。

「・・・・・・まさかあの間に貼ったのか。術との組み合わせ攻撃が得意のようだな。」

「これが俺の戦い方です。」

 楠神は後ろに矢を放つ。矢は屈折して鋼牙の右腕に向かってくる。鋼牙は剣で弾く。その間に楠神は矢を二本上に向け放つ。一本は屈折し鋼牙の下から、一本は鋼牙の左から迫ってくる。鋼牙は体を宙に浮かせ、身体を回転させ矢を弾く。

「流石ですね。伊達にその称号は受け継いでいないお方だ。でも――――」

 楠神は八の字を描くように弓で左右に挟むように円を描く。円からは光が漏れ、挟むように鎧が召喚される。

「―――これを交わすのは困難を極めますよ。」

 ガイが弓を構えると何十本もの矢がガイの周りを四方八方に向けて浮いている。鋼牙は刃をザルバに擦り付け、剣先を天に向け円を描く。円から光が漏れ、鎧が召喚される。

「その姿で戦ってくれるとは・・・・嬉しいです。」

「・・・・来い。」

「射ちます!」

 外は弦を弾く。刹那、何十本もの矢は一斉に放たれる。同時に牙狼はガイに向け一直線に走る。矢は牙狼の進む道を塞ぐように迫ってくる。

「はああああああああ!!!!」

 牙狼は迷うことなくガイに向け掛け走る。牙狼は矢の渦をかいくぐり、ガイの目の前にまで迫る。ガイは弓を盾代わりに構える。牙狼は剣を持っている拳でガイの弓後と殴る。

「ぐわぁ!」

ガイは弾き飛ばされ体制を崩す。牙狼は構えガイに迫る。

「くっ!」

 ビュン

 キンッ

 ガイは矢を放つが、矢は牙狼の鎧をかする。牙狼はそのまま勢いを殺すことなくに近づき剣は胴を捕らえる。

「はあああああああ!」

 牙狼はそのままガイを斬る。ガイは鎧が強制的に解かれる。

「そこまで!勝者・冴島鋼牙!」

 周りの歓声が響き渡る。

 

「あれが・・・・・魔戒騎士の戦い・・・・・」

「あんな戦いは始めてみたのじゃ。」

「・・・・・いい写真が撮れた。」

 

 時間はすぎて帰宅十分前。姫路達はゴンザのリムジンを待っているのだが、鋼牙は三人と別れの挨拶をしていた。

「鋼牙、またいずれ戦うか共闘する機会があるだろう。その時までが待ち遠しいな。」

「そうだな、ワタル。」

「鋼牙さん!あなたにあえて嬉しかったです。今度会うときにはもっともっと強くなって戦わせていただきます!」

「私ももっと技術と技を磨き上げて、あなたに矢を一発でも多く打ち込みます。」

「二人とも、楽しみにしているぞ。」

「そうだ鋼牙。四人もいるんだからあれでも吹くか?」

「それって・・・・英霊たちへの鎮魂歌ですか?」

「私達魔導笛持ってますよ。」

「・・・・・わかった。せっかくだからここで吹くか。」

 鋼牙達は魔導笛を懐から取り出す。

「あいつら何をするつもりだ?」

 雄二達も疑問に思う。

 鋼牙たちは筆の毛の部分を押し、笛にする。そして鋼牙達は英霊達への鎮魂歌を吹く。

「この曲・・・」

「あの時の・・・・」

 その曲は心を沈め、穏やかに眠らせるささやきの曲。自然と聞く人々は瞳を閉じ、静まり返る。

「ふう・・・・」

「結構よかったな。」

「こうして吹くのもたまにはいいですね。」

「では私達はこれで。」

 楠神と蛇崩はお辞儀をしてその場を去っていった。

「鋼牙、またな。」

「ああ。」

 ワタルも去っていった。ちょうどそこへゴンザのリムジンがやってくる。

「皆様、お迎えに上がりましたが・・・・・どうかされましたか?」

「あ、いや・・・」

「鋼牙君たちが笛を吹いてたもので・・・・・・」

「おお、英霊たちへの鎮魂歌ですな。」

 ゴンザの言葉に優子が質問する。

「なんですか?その・・・」

「英霊達への鎮魂歌は六代目牙狼が過去の魔戒騎士たちへ送った曲です。魔戒騎士で知らないお方はまずもっておりません。それより先ほど鋼牙様たちと申されておりましたが・・・」

 雄二が合宿の間に起こった事を話す。

「なるほど。坂本様、土屋様、秀吉様。今後はそのような行いをしないことをオススメします。」

「面目ない・・・・」

「了解なのじゃ。」

「・・・・・はい。」

 鋼牙が雄二達の方へ歩み寄る。

「待たせてすまない。」

 鋼牙がそう言うとみんなはそんなに待っていないと返答する。鋼牙達はそのまま家に帰った。

 だが誰も予想しなかった。二年生の鋼牙以外の男子が停学中に誰も予想だにしない事件が起ころうとしていることを。

 


 
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