No.591204 バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十四話ザルバさん 2013-06-25 22:47:51 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1157 閲覧ユーザー数:1129 |
時間が過ぎるのは早い。強化合宿三日目、男子の女子風呂を覗くのは失敗した。雄二達はC、D、Eクラスを味方に攻撃するも全くダメであった。だがそんなことよりも全体が気になっているのは赤い仮面の魔戒騎士と戦う魔戒騎士三人のことである。彼らの戦いに入ろうとした者はすべて補習室行きになった。そのため彼らを恨む女子も多い。教師も例外ではなかった。
女子風呂を覗こうとする男子<魔戒騎士
と、優先順位が変な状況である。
「それにしてもあの魔戒騎士、一体何者なんだろうね?」
最終日の今日は何故か俺だけがAクラスと姫路、美波と共に勉強している状況になっていた。
「美波、そこは今触れないほうがいいぞ。」
「ソウダナ。邪気ガ凄マジイゾ。」
Aクラスの女子の殺気が誰にでもわかるほど出している。
「それに、先生達なら前もって聞いているはずだしな。」
「どういうことですか?」
「魔戒騎士同士の戦いを邪魔することは侮辱に等しい。互いの意地とプライドを掛けて戦っているのだ。そんなところに易々と入れるはずが無い。仮に姫路と美波が何かで争っていたとする。そこに第三者が身勝手に介入してきたら怒るだろう?」
「え、ええ・・・」
「まあ・・・・」
「つまりそれと同じだ。真剣勝負に水を差すことはよろしくないんだ。」
周りの鋼牙の言葉を少し理解する。
「理解出来ないかもしれないが俺たちにとって戦いは、誇りを掛けた戦いなんだ。鎧よりも大事な誇りを汚されては怒るのも無理ないと思うがな。」
その日の夜。ついに最後の大勝負が始まろうとしていた。今回はB、C、D、E、Fクラス男子が合同に作戦を行う。
「ここまでしなくてもいいのではないのか?」
「何を言ってんだ鋼牙。鋼までしないと女子風呂を覗けないだろ。」
「覗く以外に策はないのか?」
「無いな。あったとしても俺はしたくない。」
・・・・・神童が今や落ちたといっても過言ではないが・・・・・やはりあのことが原因なんだな。
「雄二。」
「なんだ鋼牙。」
「個人的に話したいことがある。こっちに来い。」
鋼牙は人気の無い廊下に雄二を誘う。
「なんだよ話って。」
「お前に聞きたいことがあってな。前々から少し気になったんだ。どうしてAクラスにこだわっているんだ?」
「なんのことだ?」
「とぼけなくてもいい。システムデスクなんかFクラスがもらっても意味は無いのはお前も十分わかっているはずだ。B、Cクラスのでも狙えばそれで十分なくらいだ。そこで考えたんだが・・・・お前、あの日のことを帳消しにして霧島に告白するつもりだろ。」
鋼牙の言葉に雄二は驚きを隠せなくなる。
「な、何のことだかさっぱりだな。」
「隠さなくても俺は知っている。確か小学・・・5年生のころだったか?お前は上級生にリンチされていたな。」
「なんでお前がそんなことを知っているんだよ。」
「その日俺は、久々に日本に帰っていてな。父の墓参りを一人でして来た後、父が昔通っていた学校に足を運んだんだ。」
「じゃ、じゃあ、あの時俺を助けたのは・・・・」
「俺だ。あの時俺は倒されるお前を見て少し過去を思い出したんだ。」
「過去?」
「そのことは話したくないから聞くな。俺は、お前を助け、そして去った。」
「あの時お前が俺を助けたのかよ・・・・・・」
「それから後は知らないがおそらくお前は力を得るために不良まがいになったのだろ。だが、力を得たとしても貴様は強くない。」
「どういう意味だよ?」
「俺の座右の銘を覚えているか?」
「確か・・・・『守りし者』だったか?」
「そうだ。守りし者とは誰かのことを思い、その笑顔をなくさないようにするために戦う者のことだ。心身共に強くなくては強いものとは言えない。お前が持っている力はまがい物だ。」
「お前に何がわかんだよ・・・・。俺はあの時力がなかった自分が悔しくてこの力を得たんだ!お前は力を持っているからそんな偉そうな口が言えるのかもしんねえが、俺は持ってなかったんだよ!お前に俺の気持ちがわかるのか!」
雄二は息を荒くしながら叫ぶ。
「・・・・・・・お前はまだ失っていないではないか。」
「なんだと?」
「お前は、まだ霧島を、大事な人を失っていない。」
「・・・・・・」
鋼牙の表情がどこか悲しく見えることに雄二は罪悪感を感じる。
「・・・・悪い。言い過ぎた。」
「気にするな。俺も過ぎた事をした。雄二、早めに言って置けよ。」
「・・・・ああ。」
「俺は観察処分の仕事があるから行くが、せいぜい失敗しろ。」
「うるせぇ。」
『いたわ!主犯格たちよ!』
『こいつらよりあの魔戒騎士のほうが重要よ!』
女子との攻防戦はもはや総力戦になっていた。男子の方が押しているがそれもそのはずだ。だって大半の女子は・・・・
「おっりゃ!」
「喰らえ!」
「せい!」
「甘い!」
魔戒騎士たちとの戦闘に注目している。
「たった二日で腕を磨いたな。若い者は成長が早いな。」
「そらどうも!」
ガキィンッ
ソウルメタルがぶつかり合う。魔戒騎士の召還獣が蛇崩とワタルの納棺銃を押し戻し構えた途端、魔戒騎士の召還獣は剣を下ろした。
「どうしたんだ?」
「何故剣を下ろすのですか?」
蛇崩と楠神は頭に疑問符を浮かべる。
「お前ら気付かないのか?」
「・・・・囲まれたな。」
魔戒騎士とワタルにはわかっていた。
「隠れてないで出て来たらどうだ。」
魔戒騎士がそう言った途端にA、B、C、D、Eクラスの女子たちと教師四人が出てきた。
「よくわかりましたね。」
「これだけ人が多ければ隠せるものも隠せない。お前たちに提案があるんだが。」
「奇遇だな、俺もだ。」
「不本意ですが私も。」
「じゃあ一斉に言うか。」
『一旦休戦にしてこいつらを倒す!』
そう言って四人は召還獣に構えさせる。その途端であった。
Priiiiiiiii
突然電話が鳴る。
「すまない。」
赤い仮面の魔戒騎士は携帯電話を取り出し電話に出る。
「はい・・・・・わかりました。スピーカーホンにします。」
赤い仮面の魔戒騎士は携帯電話をスピーカーホンにする。
『お前ら聞こえるかい?』
「学園長!」
「「藤堂さん!」」
「お前ら知っているのか?」
ワタルが聞くと二人は思いもよらぬ答えを言い出す。
「「だってこの人は俺たちの依頼人なんだから知っていてもおかしくないだろ。」」
「なに!」
「そういうお前もなんで知っているんだよ?」
「元々文月学園の魔戒騎士であったっから知っているのと、バイトを紹介した本人だからだ。」
『その通りさね。』
「じゃあ、お前に教師を襲うようにしたのも・・・・」
『もちろん私さね。』
スピーカーホンから聞こえてくるカヲルの言葉に回りは戸惑う。
「もう戦わなくていいよ。もし周りがお前さんたちに戦いを申し込むようなら・・・・・・相手にしな。それと。」
『!?』
「もう脱いでいいよ、鋼牙。」
「・・・・・・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・え?」
『ええええ~~~~~~~~~~~~!!!』
女子と教師一同は驚きの声を上げる。蛇崩と楠神もカヲルの言葉に耳を疑った。
「わかりました。」
魔戒騎士は仮面とフードを脱ぎ捨てる。すると鋼牙が顔を出した。
「鋼牙・・・・・」
「すまないな。学園長からやれといわれてやっていたんだ。最も、教師とだけ戦うとしか聞いていなかったがな。」
「お前たちも話したいだろうが・・・・」
ワタルは後ろを向くと既に皆召還獣を召還している。
「先にこいつらを倒すことが先決だな。」
「おっしゃ!冴島鋼牙さんがいるんだ。」
「格好悪いところは見せられないな。」
「いくぞ、お前ら。」
四人はそれぞれ構える。
「たった四人で勝てるとでも思うの?」
「舐められたものね。」
「アンナやつら、いちころにしてあげるんだから。」
「我々教師も魔戒騎士に負けて入られないですからね。」
相手のほうも戦闘体勢に入る。
「おっしゃ、いくぜ!」
蛇崩猛竜 9978点 VS Aクラス女子3人平均2000点
総合科目 Bクラス女子4人平均1700点
Cクラス女子3人平均1650点
Dクラス女子3人平均1550点
Eクラス女子3人平均1480点
船越先生 7520点
「点数では負けても数ならこっちが有利よ!」
「勝てるわ!」
「あいにく、冴島鋼牙さんが見ている前で倒されるわけには以下ねえんだよ!」
蛇崩の召還獣はしゃがむと青龍刀の刃を地面に叩きつけ、自分を中心に円を描く。円からは光が漏れ、鎧が召還される。
「炎刃騎士・ゼン!やってやるぜ!」
ゼンは剣を逆手に持ち突っ込む。女子は対応しようとするがゼンは切り裂いていく。
「やばっ!」
「アタシの召還獣も倒されちゃった!」
この時点でAクラスの召還獣2、Bクラスの召還獣3、Cクラスの召還獣3、Dクラスの召還獣3、Eクラスの召還獣3倒された。
「残るは三人だけだな。」
「まずいよ。このままじゃ・・・・」
「まだ終わってないわ。それに彼は連日冴島君と戦っていたんだから集中力は切れているわ。」
A,Bクラス女子二人の召還獣がゼンを左右から挟み込むように攻めてくる。
「舐められたもんだな。たった四日の召還獣の操作なんざ―――」
ゼンは剣に魔導火を纏わせ、回転し魔導火の刃を跳ばす。二体の召還獣は消滅する。
「屁でもなえぜ!」
「「なっ!!」」
「まさかこんなに強いとはね。あなたは一体何者なの?」
「俺は蛇崩猛竜。炎刃騎士・ゼンの継承者だ!」
ゼンは身体を回転しながら船越先生の召還獣に接近し、そして倒した。
「あいつはいつもうるさいな。まあそこがいいところなんだが。」
「随分余裕ね。君は弓矢を武器にする。こっちは剣や槍を持っている召還獣が多いのよ。勝てると思うの?」
「思いますね。あなたたちが攻めてくるよりもボクの矢があなたたちを早く倒します。」
楠神哀空吏 11078点 VS Aクラス女子3人平均2050点
総合科目 Bクラス女子3人平均1760点
Cクラス女子5人平均1610点
Dクラス女子4人平均1530点
Eクラス女子2人平均1480点
長谷川先生先生 8420点
「いきます!」
楠神は魔導弓を両手で持ち、8の字を描くようにに左、右と円を召還獣を挟むように円を描く。円から光が漏れ、鎧が召還される。
「みんないくわよ!」
『うん!!』
『ええ!!』
一斉に攻めてくる。ガイは連続且つ的確に召還獣一体一体を倒していく。
「あいにく、私は速射が得意なので。」
「まさかあの楠神哀空吏!」
一人の女子生徒は彼のことに気付くがもう既に長谷川先生以外の召還獣は消滅している。
「まさかここまでやるとはね。楠神哀空吏君、君は一体何者なんだい?」
「私は天弓騎士・ガイの称号を継承する魔戒騎士です!」
ガイは一本の矢に力を溜め、ゆっくりと引く。やからはとてつもない光が発せられている。そしてガイは矢を右に放った。
「何処に射ているんだい?」
長谷川先生は余裕の表情を見せているが楠神はにやりと微笑む。矢は光の屈折のように何度も壁や床にぶつかりながら進む。
「ど、どうしてこんなことが・・・・」
そして矢は船越先生の召還獣の後ろに刺さり、召還獣は消滅した。船越先生は回りを確認すると何枚もの赤い札が貼られていた。
「まさかあの最中にこれだけの札を貼ったのかい!?」
「いえ。貼ったのではなく矢に付けて飛ばしたのです。計算してね。」
「あっちの方もやられたみたいね。」
「でもこっちだって余裕かましていられないわ。」
四十万ワタル 11978点 VS Aクラス女子4人平均2020点
総合科目 Bクラス女子1人平均1790点
Cクラス女子2人平均1730点
Dクラス女子3人平均1690点
Eクラス女子5人平均1580点
布施先生 8920点
「布施先生、お久しぶりです。」
「四十万君、まさか君と戦うことになるとはね。」
「退く事はしないんですか?」
「どうせなら君と戦いたくてね。」
「ならば先生のその覚悟に敬意を表し、鎧を召還します。」
ワタルの召還獣は剣先を地面に向け召還獣を囲むように円を描く。召還獣は腕を交差させている。円は召還獣の上に上がり、光が漏れ、鎧が召還される。
「元文月学園魔戒騎士四十万ワタル、雷鳴騎士・破狼、参る!」
破狼は跳躍し回転しながら召還獣を次々と斬ってゆく。
「なによこの戦い方!」
「うかつに近づけない!」
破狼は蹴りと斬撃を匠に使いながら攻撃する。
「喰らえ!」
Aクラス女子の召還獣がレイピアで破狼を突いてくる。破狼は足払いをし、倒れた召還獣に剣を叩きつける。召還獣は消滅する。
「力技のところは相変わらずのようだね。」
「鋼牙には負けますが!」
破狼は布施先生の召還獣にパンチを喰らわす。布施先生の召還獣は斧で受け止めるがあまりの力に弾き飛ばされる。
「おおおおおお!」
波浪はジャンプし上から剣を振り下ろしてくる。
「そんなみえみえの攻撃が通用するとでも!」
「どうでしょうかね!」
布施先生の召還獣は波浪に向かい飛翔する。二体の召還獣の字距離が徐々に縮まってゆき、二体は同時に武器を振る。船越先生は勝利の確信を持っていた。
「先生、よろいについて何か忘れてはいませんか?」
「?なんのこ・・・・・はっ!」
船越先生は思い出す。学園長から言われている重要なことを。
『魔戒騎士が鎧を纏っていると受けるダメージは半分になる。魔戒騎士の鎧はある一定のダメージを受けると強制的に解除される仕組みになっている。他にも刻印に強い衝撃を与えれば解除されるが、そう簡単には解除されない。よほどの力をぶつけない限りね。』
「思い出していただけたようですね。ではさらばです!」
破狼は布施先生の召還獣に近づき、そして二つに斬る。布施先生の召還獣は消滅する。
「これが俺の今の力です。」
「・・・・・今回は負けだね。」
冴島鋼牙 14978点 VS Aクラス女子5人平均2170点
総合科目 Bクラス女子5人平均1890点
Cクラス女子5人平均1840点
Dクラス女子5人平均1790点
Eクラス女子5人平均1680点
高橋先生 9920点
「この点数・・・・観察処分てのはただの肩書きのようね。」
「冴島君、どうしてあんなことをしたのか後で説明してもらいます。」
「高橋先生、それは学園長から聞いたほうが懸命です。」
鋼牙の召還獣に向かいA、B、C、D、Eクラス全員の召還獣が一斉に攻めてくる。鋼牙の召還獣は懐から惑うライターを取り出し、剣に魔導火を纏わせる。
「喰らえ!」
鋼牙の召還獣は剣を横に振る。魔導火の刃が各クラスの召還獣を3体ずつ消してゆく。
「固まって攻めれば相手の思う壺よ!」
「少しずつずらして攻撃しましょう!」
女子の召還獣が鋼牙の召還獣を囲むように迫ってくる。Eクラスの召還獣が槍で突いてくる。鋼牙の召還獣は前転し一方の召還獣に剣を突き刺す。突き刺された召還獣は槍を手から離す。鋼牙の召還獣は落とした槍を片手に持ち、もう一体の召還獣に向けて投げる。投げた槍は召還獣に突き刺さり、そのまま召還獣は飛ばされ、後ろにいたB、Dクラスの召還獣二体に突き刺さる。
「一気に4体!」
「このままじゃまずいわ!」
残りの召還獣が鋼牙の召還獣を囲む。
「これで逃げ場はなくなったわ。」
「これなら勝てる!」
女子の召還獣は一斉に鋼牙に向かって突いてくる。
「もう少し考えてから行動しろ。」
鋼牙がそう言うと鋼牙の召還獣は上に高く飛翔する。
『え?』
女子の召還獣は勢いを殺せないまま仲間同士で刺し合う。鋼牙の召還獣は魔導ライターに魔導火をつけると勢いよく吹く。魔導火はガスバーナーのように燃え、女子の召還獣全てを焼き尽くす。女子の召還獣は消滅する。
「嘘でしょ!」
「まさか負けるなんて・・・」
女子一同ショックを受けている。
「冴島君、残っているのは私と君だけです。」
「高橋先生、本気でいきます!」
鋼牙の召還獣はザルバに刃を擦りつけ、そのまま点に向け剣先を向け円を描く。円からは光が漏れ、牙狼の鎧が召喚される。
「あの鎧!」
「あれを見られるとは!」
高橋先生の召還獣は鞭を牙狼に振ってくる。牙狼は牙狼剣で鞭を徐々に短くしてゆき、そして高橋先生の召還獣に近づくと左足を大きく踏み込み牙狼剣で胴を捕らえ、そして斬る。高橋先生の召還獣が消滅すると同時に鋼牙の召還獣は鎧を解く。
「・・・・・・・まさか冴島君に負けるとは。」
「いい戦いでした。」
その後男子の悲痛叫び声が聞こえてきたが鋼牙達は気にしないことにした。
男子全員(鋼牙、ワタル、蛇崩、楠神以外)は学園長の権限の元停学処分のため別室で反省中。鋼牙達は女子達と教員たちによって見張られているのだが・・・・・
「流石楠神の家計の者だな。速射が得意なのは噂どおりだ。」
「いえ、それ程でもありません。それに鋼牙さんだってさっきの戦いはすごかったですよ。」
「本当にすごかったですって!雷鳴騎士の四十万さんもあの豪快な振り、真似出来ませんよ。」
「君だって少々荒かったがなかなかだったではないか。」
(何この状況?)
周りにいる一同は鋼牙達の置かれている状況が変なものだと思う。
そこへ優子、霧島、工藤、姫路、美波が入ってくる。
「なんだかこの部屋が騒がしそうですけどなにか・・・鋼牙・・・君?」
「ちょっと鋼牙、ここで何をしているのよ。それとそこにいる二人は誰?」
「なんだか面白い光景だね~。」
「・・・・・不思議。」
「どうしたらこんなことになるのよ。」
それぞれ反応が違うのは言うまでも無いが・・・・・そんなに変な状況か?
「そろそろ話していただけませんか?」
高橋先生の問いに蛇崩が答える。
「それは出来ないことですよ。依頼主のカヲルさんが来ない限り話しても信じてもらえないでしょうし。」
「それは・・・・」
「人は証拠がないと信じない生き物です。仕方ないと思いますよ。」
蛇崩の言葉を楠神がアシストする。そこへ文月学園学園長こと藤堂カヲルが入ってくる。
「待たせた・・・・・なんだいこれは?」
『学園長!/カヲルさん!』
「蛇崩に楠神、今日までの戦いは修行になったかい?」
『はい、とても!』
二人は喜んでいるようだが他の者は納得していない。
「学園長、どういうことか説明してください!」
「そうさね。じゃあ説明するよ。まず鋼牙にあの格好をさせたのはアタシだよ。これの目的は教員達への再認識だよ。鋼牙が観察処分になってから教師たちはしばらくの間召還獣を召喚していなかった。あんた達への教師としての正念を叩き直すのと、学校交流が目的なんだよ。」
「でもどうしてこんな手の込んだことを?」
「赤い仮面の魔戒騎士の姿で教師を襲うことはもう伝統的でね。知ってるだろ、文月学園七不思議のひとつ、『赤い仮面の男』。」
「あ、あれってこのことだったんですか!」
「そうさね。」
「じゃあもう一つ、この子達は一体何者なんですか?」
「アタシから言うのもなんだから本人たちに自己紹介してもらおうかい。」
カヲルがそう言うと二人は立ち上がる。
「改めまして。青桐学園一年生魔戒騎士、蛇崩猛竜です。」
「同じ青桐学園一年生魔戒騎士、楠神哀空吏です。」
『え!?』
二人の言葉に一同(鋼牙、ワタル、カヲル以外)は驚く。
「今何か変なこと言いましたか?」
「だって今一年生って・・・・・」
「はい。」
「一年生であの点数・・・・」
「どんだけすごいのよ・・・」
皆が驚く中、一人の女子生徒があることを訊ねる。
「あの・・・・・楠神君に聞いていいですか?」
「何でしょう?」
「もしかして中学の頃に弓道部に所属していましたか?」
「ええ。」
「やっぱり。あの楠神哀空吏君だったんだ。」
「あんた知ってんの?」
「弓道部の間じゃ有名だよ。短時間で正確に的の中心に矢を何本も放った天才だって。」
「あの頃は魔戒騎士になるための修行の一環としてやってただけです。今でも時々大会には出ていますが。」
「さて、話はこのくらいでいいだろう。そろそろ犯人を当てるとしますか。」
「なんのことですか?」
「女子風呂の盗撮反のことさね。」
「それは坂本君たちが・・・・」
「とんだ大違いさね。前の印象だけで犯人扱いとは勘違いもいいとこさね。まああいつらは鋼牙を覗いて一週間停学処分になるが。」
「それで犯人は誰なんですか?」
「・・・・・・・清水美春、貴様だな。」
そのことに皆は驚く。
「ど、どうして見張るが犯人なんですか!」
「簡単なことだ。お前が俺宛に書いた直筆の手紙。あれが決定的翔子だ。お前は諮問が付かないように手袋を使ってたが筆跡が証拠になった。」
「あ、あなたなんかにわかるんですか?そんな専門家でもないこと出来るんですか?」
「知り合いに専門としている奴がいてな。そいつに頼んだ結果お前とわかった。勝手ながら学園長と西村先生に協力してもらった。」
「・・・・・っ!」
「これでも否定するのならば、最後の手段だ。」
鋼牙は清水の前に魔導ライターを向け、魔導火を付ける。清水の瞳に文字が浮かび上がる。
「な、なにをするんですか!」
鋼牙は魔導ライターを収める。
「お前はさっきの質問に否定した。魔導火は否定した者の瞳に紋章を出す。」
「う・・・・・」
「これ以上否定しても貴様を苦しめるだけだ。素直に受け入れろ。」
「・・・・・・・・・・ごめんなさい。」
その後、清水は一週間の放課後の西村先生の特別補習と反省文が言い渡された。
「清水。」
「・・・なんですか?美春を侮辱するつもりですか?」
「いや、貴様に言っておくべきことだ。自分の行動には責任を持て。」
「どうしてそんなことを美春に言うんですか?あんたなんかになにがわかるんですか?」
「・・・・・・俺は、自分の愚かな行動で大事な人を殺してしまった。」
「っ!?」
「お前には・・・・・・・・・・・・・・・・いや、誰にも俺のような思いはして欲しくない。お前はまだやり直せる。少し、今までの考えを変えてみろ。世界が変わるはずだ。」
鋼牙は美春の前から去ってゆく。
(な、なんなんですか・・・・・今の。心が何故か苦しくなる。あいつは・・・・本当に何者なんですか?何故かあいつの顔が頭から離れません。)
夜はもう遅いにもかかわらず、文月学園生徒及び教員は中庭の方に注目していた。
遡ること一時間前。
『お前たち、バイト代と一つ願いを叶えてあげる約束だが・・・・・何を望むかい?』
『俺は何も。鋼牙と久々に召還獣で戦えましたから。』
『そうかい。二人は?』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
二人は見つめあうといきなり土下座をした。皆はいきなりのことに驚く。
『『どうかお願いします!冴島鋼牙さんと魔導空間で戦わせてください!』』
『まあ、予想は出来ていたが、いざとなると驚くものだね。さて、お前は受けるかい?』
『俺のお前たちと一度闘って見たいと思った。』
『それじゃあ!』
『だが、一気に二人だと実力が図りにくい。一人は今日の夜、一人は明日の朝に対戦だ。』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
『『最初はグ、じゃんけんほい!』
蛇崩パー、楠神グー
『よっしゃ!』
『悔しいが・・・・・仕方ない。』
『それじゃあ決まりさね。一時間後に中庭にお互い魔戒騎士の正装で来るように。』
そして現在鋼牙は黒いデニムの服にキロイコートを羽織っている。左胸にはお守りが付いている。一方蛇崩は赤いコートに髪にひも状の髪飾りを付けている。
「こうして戦えることは魔戒騎士にとって名誉以上のものです。」
「そうか。なら全力でいくぞ!」
「はい!」
『試獣召還!』
魔導空間の中で二人は抜刀する。
「おおおおおおおおおおお!」
楠神が勢いよく鋼牙に向かい走り、飛翔し剣を振り下ろす。
ギンッ
「威勢はいいな。」
「それはどうも。」
鋼牙は剣で攻撃を受け止め、蛇崩を押し返す。
「全力出します!」
蛇崩はしゃがむと青龍刀を地面に叩きつけ、自分を中心に円を描く。円から光が漏れ、鎧が召喚される。
「いくぞ!」
ゼンはジャンプし片手で剣を振り下ろす。
「見切った!」
鋼牙はゼンに向かいジャンプ、空中で剣先に小さな円を描き、円を突く。円を貫いた剣と手に牙狼の鎧の一部が召喚される。鋼牙はその状態でゼンを突く。
「ぐああ!」
ゼンはその攻撃を胸部に喰らい、地面に向かい落ちていく。鋼牙が地上に着地すると牙狼の鎧が召喚される。
「まだまだ~!」
ゼンは剣を逆手に持ち、牙狼に向け振る。
ギンッ、ギンッ、ギンッ
牙狼は押されるどころか逆に剣を左右交互に振り上げゼンの脇を空ける。牙狼はゼンにエルボを一発喰らわせる。
「ぐああ!」
「はあああああ!」
牙狼剣をゼンに勢いよく刻印に向けて突く。鎧は強制解除され蛇崩倒れる。
「そこまでだ!勝者、冴島鋼牙。」
鋼牙は蛇崩に近寄り手を差し伸べる。
「荒い太刀筋はまあ仕方ないがなかなかよかったぞ。もっと頑張れば強くなれる。」
「は、はい!ありがとうございます!」
「これから遅めの風呂だが一緒に入るとしよう。と言っても俺達四人だけだがな。」
「ありがとうございます!」
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ジカンッテノハイガイニモハヤクスギルモノダナ。
「犯人」
コイツガハンニンダッタノカ!