No.594373

バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十七話

ザルバさん

テストハヨユウデオワッタナ。ダガホシュウハアルノガキズダ。
「妖怪」
コレハイッタイドウイウコトダ!

2013-07-04 21:37:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1124   閲覧ユーザー数:1090

 哭竜の騒ぎからだいぶ時間が経ち、もう夏休みになっていた。え?期末はどうだったかって?鋼牙の場合は余裕でした。雄二達も召還獣の装備が今回のテストで変わるからという理由で頑張っていたが鋼牙にとってはそんなものはどうでもよかった。むしろ問題なのは紛失した魔導具である。あれらがどこに行ったのかいまだ謎のままである。おそらくあの常夏コンビが持っておるはずだが本人達は白を切っている。

 現在Fクラスは授業が遅れた分を取り戻すために夏休みにもかかわらず補習を受けているのだが・・・・・・・・

『ぎゃ~~~~~~!!』

『ママ~~~~~~!!』

 馬鹿どもが悲鳴を上げている。西村先生の補習から逃げようとするのが愚かな行動だ。鋼牙は西村先生の体験談を聞いていても平気だ。むしろ感心して聞いている。

「ん!なんだお前ら、公害がいもうダウンか。」

 西村先生が話をやめると悲鳴は消え、屍のようになった馬鹿どもがいた。

「やれやれ、十分休憩をとることにする。」

「西村先生。」

「なんだ冴島?」

「後で続きを聞かせてください。どちらがどのような形で勝ったのか知りたいです。」

『お前は馬鹿か!!』

 いきなり逃亡しようとした馬鹿どもから馬鹿呼ばわりされた。全くもって侵害だな。

「お前よくあの拷問に耐えられるな。」

「何故あれが拷問になるのだ?」

「あの、何があったんですか?なんだか皆さんとても苦しそうなんですけど・・・・・」

 姫路が心配してこちらに来た。優しい心はいいがこいつらが行おうとしたことを聞けばその優しさは意味を成さなくなってしまうな。

「西村先生の過去の戦歴を聞いていたんだ。何故かこいつらは・・・・」

 一人土屋だけが卓袱台にもたれかかっていた。

「ムッツリーニは想像力が尋常じゃないからな。相当苦痛だったんだろうな。」

「全く、脱走なんて考えるからよ。」

「島田、そうもう言うがこの環境じゃ仕方ないだろ。」

「まあ確かにここは熱いからな。それに比べお前たち三人は健康面を考えられている。先生の優しいところでもあるがな。」

「だったらせめて何か涼むものでも補給してほしいものだぜ。」

「雄二。」

「なんだよ鋼牙?」

「仮にここに扇風機が一台あったとする。」

「ふむ。」

「何処に置く?」

「・・・・・・・はっ!」

「そういうことだ。」

 わかってくれて何よりだ。

「ところで皆に聞き体のじゃがもう皆は自分の召還獣の新しい姿を見たのかのう?」

 秀吉がその話を切り出すと皆は首を横に振る。

「そういやそうだな。」

「ウチも自分の召還獣の姿が気になるし。」

「私はあまり変わっていないみたいですが・・・・・」

「まあ少しは成績は上がっているのは微笑ましいことだな。」

「そ、そうですか////」

 また姫路の顔が赤くなったな。夏だからなのか?

「まあ、鉄人に頼めば召還獣を召喚することぐらい許してくれるだろ。」

「西村先生な。」

「おっ、ちょうど戻ってきたようじゃ。すまぬのじゃ西村教論。」

「なんだ木下?」

「召還獣を召喚させてはくれぬかのう?わしらの召還獣の姿が気になるのじゃ。」

「あ・・・・・いいか木下。試召戦争でもないのに召還獣を召喚することはあまりにもよくないことだぞ。」

 いつもの西村先生の対応じゃない。何か隠しているのか?

「鉄人。何をそこまでして隠しているんだ?俺たちの召還獣に何か不具合でもあったのか?」

「いや、なんでもないぞ坂本。それよりそろそろ休憩も終わりだ。席について次の授業の準備をするんだ。」

 皆も西村先生のどうようっぷりに疑問を抱いている。

「西村先生。私達の召還獣に何かあったんですか?」

「ウチらの召還獣は鋼牙の召還獣と違って実物に触れないから呼び出してもいいですよね?」

「・・・・・さて、授業を始めるぞ。」

「そうはいくか。いくぜ―――起動っ!」

 雄二は清涼祭の景品の白金の腕輪を発動する。今更だが白金の腕輪は教員の承認なしでも小さいながらも試召フィールドを展開することが出来る。つまり、先生がいなくても召還獣の召喚が可能になるということだ。

「では早速、試獣召還!」

 秀吉が召還獣を召喚するのだが・・・・・

「・・・・・なんじゃこれは?」

 何処からどう見ても猫まただ。しかも等身大の。

『ぐはっ!』

 一部男子が倒れた。・・・・・・・本当に馬鹿しかいないな。

「どういうことか説明してもらおうか、鉄人。」

「・・・・俺も詳しくは説明されていないが、どうやら召還獣を召喚すると化け物などの類が召喚されるらしい。」

「・・・・・また学園長がシステム調整に失敗したんですね。」

「・・・見もふたも無い言い方をするな。」

 仏頂面で西村先生は答える。にしても何回失敗すればいいのだろう?

「まあ、これを見る限りでは操作に支障はなさそうだな。」

「鋼牙よ、おぬしの召還獣も召喚してみてはどうかのう?」

「待て待て。坂本、お前のそれを解け。試召フィールドを展開してやるから。」

 西村先生がそう言うと雄二は白金の腕輪を止め、西村先生が試召フィールドを展開する。

「では鋼牙よ。」

「・・・・わかった。試獣召還。」

 鋼牙の召還獣が召喚れるかと思いきや召還獣が召喚されない。

「・・・・・・・どういうことだ?」

「システムの故障か?」

「だが秀吉のだけが召喚できるのはおかしいな。」

「じゃあ俺も召喚してみるか。試獣召還!」

 雄二が召還獣を召喚する。だが召喚されたのは上半身裸の雄二そっくりの召還獣だ。

「なんじゃこら!」

「どう見ても雄二そっくりだな。」

 鋼牙は雄二の召喚獣に触れようとする。

「おいおい鋼牙、流石に観察処分の召還獣じゃあるまいし召喚獣に触れることな・・・・・」

 鋼牙は普通に召喚獣に触れている。

「・・・・・なるほど。そういうことか。」

「なにがわかったんだよ?」

「今このフィールドは魔導空間と試召空間の混合した空間だ。俺の場合は魔導空間に射るのと変わりがない。故にこうして召喚獣に触れられるということだ。」

「なるほどのう。では今なら鎧も召喚できるのかもしれないのう。」

「それもそうだな。」

 鋼牙は赤みの鞘から剣を抜刀し上に向けて円を描くと鋼牙は後ろに下がる。牙狼の鎧だけ召喚される。

「こうやって召喚することも出来るのか。」

「触るな!」

 雄二が触れようとした瞬間、鋼牙は叫ぶ。

「な、なんだよ鋼牙。びっくりさせるなよ。」

「坂本、もしお前が触れていたら教室の床が抜けていたぞ。」

「ど、どういうことだよ。」

「これはソウルメタルで出来ている。素人が触ればとてつもない重さになる。簡単にここの床なんか抜けるぞ。」

「そ、そうなのか・・・・すまなかったな。」

 雄二は納得してくれたようだ。ん?なんか雄二の召還獣の様子が変なような・・・・

「おお!」

「・・・・これは。」

「狼男・・・・か。」

 雄二の召還獣が狼男に変化した。確か狼男は満月を見たら変化するはずだが・・・・・もしや!

「鋼牙君の描いた円でこうなったんですね。」

「おそらくな。だが狼男か。」

「んだよ鋼牙?」

「いやなに、お前の隠れた野生を見てみたいと思ってな。」

「どういう意味だ!」

「ほほう、口で言えと?」

「うぐ・・・・」

「瑞希も召喚してみたら?」

「そ、そうですね。試獣召還!」

 姫路が召還獣を召喚すると胸元を強調したサキュバスが出てくる。確か眠っている男に何かの夢を見せる悪魔だったな。

「きゃあああああ~~~~~~~~~!!」

 姫路は脱兎の如く試召フィールドの外に出る。身体能力が上がったな。

「サキュバスか・・・・・男への欲が姫路にはあるのか?」

「お前はどんだけ鈍感なんだよ。」

「?」

 鋼牙は首を傾げる。なんだか他の奴らも溜息を吐いているが・・・・何故だ?

「土屋、お前の召還獣も召喚してみてはどうだ?」

「・・・・・・試獣召還。」

 土屋が召還獣を召喚するがこれは・・・・

「吸血鬼か。土屋らしいが逆の気がする。」

「・・・・どういう意味だ?」

「お前の場合は『吸う』ではなく『出す』だ。」

『あ~~~~~~。』

「・・・・・何故納得をする。」

「お前はいつも出血している。輸血が半端ないだろ。」

「確かにそうだな。」

「そしてそれをよく多く出すのは工藤だけだな。」

「・・・・・・・!(クワッ)」

「じゃあ打ちも召喚してみよ。試獣召還。」

 美波の召還獣が召喚されるが・・・・・・ぬりかべだな。

「・・・・・ねえ鋼牙。」

「なんだ、美波?」

「・・・・これどういう意味?」

「うむ・・・・・・おそらくだが・・・・」

「おそらくだが?」

「ぬりかべは狙った相手を自分の中に塗り込み一体化させて捕食するという。そしてどんな攻撃にも耐えられる強靭な身体。貴様の心と素質を意味していると俺は思う。」

「ね、狙った相手を自分のものに//////」

 美波も顔が赤くなったか。今日はやけに暑いのだな。

「二人とも顔が赤くなったりしているぞ。塩キャラメルでも食べて脱水対策をしろ。」

 鋼牙は姫路と美波に塩キャラメルを渡す。

「あ、ありがとう・・・」

「いただきます。」

 二人は鋼牙からもらった塩キャラメルを食べる。そんな時鋼牙に連絡が入る。

「鋼牙、カヲルカラダ。」

『聞こえているかい、鋼牙?』

「はい、聞こえています。それよりこれは何ですか?」

『やっぱりお前さんのクラスが召還獣を召喚したんかい。』

「それで、これをどうやって誤魔化すつもりですか?」

『まあそんなこと言うのじゃないさね。元々、そういう計画だったんだよ。』

「はいはい。で、どうするつもりですか?お化け屋敷にでもするんですか?」

『おや!察しがいいね。』

「・・・・・・・学園長、まさか試召戦争の要素も入れるなんていいませんよね?」

『・・・・・お前はどうしてそう言うところに鋭いんだい・・・・』

「・・・・・本気でするつもりだったんですか。まあ、学園長の決定事項ならば拒否も出来ませんが。」

『そういうことさね。そっちの残り二日の補習は全て肝試しってことにするよ。』

「学園長、貴女って人は・・・・・・」

 こうして試召システムを応用した一風変わった肝試しが行われることになった。

 そんな文月学園のある町に、一人の黒いコートを羽織、首に銀色のペンダントを下げている男性の姿があった。

「久しぶりにここに戻ってきたな。」

「ゼロ、今日ハ文月学園二行クノ?」

「いや。今日は町を見回ってみるよ。どこか変わっているか換わっていないか知りたいしね。」

 そんやり取りをしている男性に葉月が声を掛ける。

「あっ、笑う騎士のお兄ちゃん!」

「ん?あ、葉月ちゃんか。久しぶりだね。」

「はいっ、お久しぶりです。」

「元気にしてた?」

「はいっ。」

「ところで聞いていいかな?」

「なんですか、笑う騎士のお兄ちゃん?」

「鋼牙の奴に会ったか?」

「はいっ!お姉ちゃんが言っている学校でえっと・・・・・五つ鎧を着てました。」

「銀色の鎧も着てたかな?」

「はいっ!お姉ちゃん達と戦っている時に剣をブンッて投げたら光がビャッて出て銀色の狼さんを着ました。」

「そっか。ありがとうね、教えてくれて。お礼にクレープ奢ってあげるよ。」

「わーいですっ。」

 


 
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