No.587992

真・恋姫†無双~家族のために~#25燃える関所、拭えぬ予感

九条さん

昨日と比べると文章量が……あれ?

息抜きとして読んでください。

2013-06-16 17:37:20 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2335   閲覧ユーザー数:2038

 さきの戦闘により全体の半数近くに被害を出した反董卓連合は、曹操の指示により部隊を再編。緊急の軍議を始めていた。一度退却するという案が出されたが、曹操がこのまま帰還しても瓦解するだけだと、これを一蹴。連合軍はこのまま洛陽を目指すことになる。

 連合軍が軍議を開いているとき、汜水関でも同様に将軍達が集合していた。大太刀を携えた小柄な黒髪の少女を交えて。

 

 

 霞、華雄、少女の三人が集まったことを確認した深は軍議を始める。

 

「さてと……孫堅から聞いているけど、一応自己紹介してもらえるかな?」

 

「はいっ! 私は周泰、字は幼平と申します!」

 

 はきはきと答える周泰を見た霞は、何か真面目な顔をして小声で深に問いかけた。

 

「……この娘、めっちゃ素直やん。こう……ナデナデしたらあかん?」

 

 真面目な顔で何言ってるんだ、と霞の頭を小突いて仕切りなおす深。

 

「じゃあ俺達もだな。俺の名前は黒繞、字は幽明だ。よろしくな、周泰」

 

「ウチは張遼、字は文遠や」

 

「私は華雄だ、字はない」

 

「はいっ! 皆さん、よろしくお願いしますっ!」

 

「……なぁ、やっぱナデナデしてええか?」

 

「だからやめろって……」

 

 霞に対して溜息を吐きながらも、気を引き締め本来の目的を果たしていく。

 

「周泰、この度は俺と孫堅の約束の為、危険を冒しながらもここに来てくれてありがとう」

 

 そう言い礼をする深にひどく慌てる周泰。

 

「い、いえっ! そんな、頭をあげてください! 私は命令の通りに動いただけですので」

 

「礼だけは受け取ってくれないかな? 君は孫堅にとって家族のようなものなのだろう。そんな君を策のためとはいえ、ここまで来てもらったんだからね」

 

「あ……はいっ! それではありがたく頂戴します!」

 

 俺と周泰のやり取りを見ていた霞が手をわきわきと動かし始めたので、華雄に押さえとくように指示を出してから作戦を話していく。

 

「今、孫呉は袁術から独立を果たすため、色々と動いているはずだ。そして今回の連合に参加したのは、そのために名声が欲しいからだろう。だから彼女達には汜水関を取ったという名声をあげることにした」

 

「そ、それは構わないのですか?」

 

「うん、最初からそのつもりだったし、何よりさっきの戦いでこっちにも被害は出てるから、ほとんど防衛する力なんてないからね」

 

 頷く周泰を見て、さらにさきのことを話していく深。

 

「俺達は今から三部隊に分かれて、張遼隊、華雄隊、黒繞隊の順番で、二刻毎に虎牢関へ向けて後退する。最初は周泰がここをでたらすぐにね。そして最後の黒繞隊が出たら汜水関に向けて火矢を放つ。だから申し訳ないけど、糧食はあきらめて欲しい。虎牢関の一戦目は絶対に前曲に出ないこと。これは被害を出したくないなら守ってくれ。その後であれば俺が孫呉の部隊とあたるように調整するから、武器の刃引きとかしてくれると助かるかな。……っと、ここまでは大丈夫かな?」

 

「…………あ、はいっ! 大丈夫です!」

 

「じゃあこの作戦の終結なんだけど……ちょっと耳を寄せてくれるかな?」

 

「……? はい、構いませんが……」

 

 素直に深の口元に耳を寄せてくる周泰。何も疑わずに言うことを聞く周泰に苦笑しながらも、作戦の最も重要な部分を伝える。

 最後の言葉を聞き終えた周泰は、あまりの衝撃に口を開いたままぽかんとしていた。

 そして、震える声で問いかける。

 

「そ、それで、黒繞……様は……いいのですか?」

 

「ああ、とっくに覚悟は決めたよ」

 

 霞と華雄は悲痛な表情を浮かべながら深を見ている。

 深は一度大きく息を吐いて、続きの言葉を発する。

 

 

「董卓は俺が殺す」

 

 

 

 深夜、辺りも暗くなり、月明かりのみが頼りの薄暗い闇の中。

 連携の取れていない連合軍はさすがに夜には攻めてこないのか、砦の周りに近付く者は一切見えなかった。

 そのことを確認した周泰が、城壁から三角跳びの要領で壁を駆け下りていくのを見届けた深は、早速行動を開始した。まず、先行して霞の部隊が虎牢関へ向けて出立する。気付かれないよう静かに、かつ迅速に。二刻後、予定通り華雄の部隊も虎牢関へ向けて出立し、ひとまず安堵の息を吐く深。

 すでに汜水関の中は、燃えやすいもの、油を染みこませた布などがいたるところに設置され、火矢を放てば即座に燃え広がるようにされている。深の部隊もすでに汜水関の外に出ていて、火矢の準備を完了させていた。あとは深の号令のみとなっている。

 

「そろそろ時間か……。一番隊! 糧食の蔵を目掛け、一……二……三、放て! 二番隊! 各自どこを狙っても構わんが絶対に外すなよ! 放て!」

 

 一射目は汜水関の蔵に目掛け、綺麗な弧を描き飛んでいく。そして蔵が完全に火に包まれたところへ第二射。今度は汜水関全体に飛んでいき、さらに炎の勢いが増す。

 そのことを確認した深達は踵を返し虎牢関へ向けて退却していった。

 

 

 汜水関が炎に包まれていると、各軍の伝令が報告に向かう最中、すでに出撃の準備を整えていた孫堅軍はいち早く行動していた。汜水関が燃え始めると即座に出陣。見事、汜水関一番乗りを果たす。孫堅軍が消火作業に着手し始める頃に、他の連合軍も汜水関に到着し、程なくして連合軍総員での消化作業が始まることになった。火は汜水関のほとんどを燃やしつくした頃に弱まり始め、完全に消化しきったのはすでに日が昇り始めた頃だった。

 連合軍は寝る間も与えられず夜通しの消火作業、そして全ての糧食が焼き払われるという痛手を受け、その日の進軍は断念し、しばしの休息を取ることになる。

 その間に深、霞、華雄の三部隊は虎牢関へと入り、守備にあたっていた恋、茜との再会を喜び合っていた。その際、恋の頭を撫でていた深を音々が蹴り飛ばし、それを恋が投げ飛ばすという、いつもの(?)光景が見られたが、それもご愛嬌というものだろう。

 

 話を戻すが、連合軍は糧食の問題を両袁家に頼ることにし、発言力のなくなっていた両袁家は、渋々ながら糧食の提供に同意を示した。曹操に指揮が移ったことにより軍の配置も再編。虎牢関では前曲を曹操・袁紹、右翼を孫堅・袁術、左翼を連携の取れている劉備・公孫賛、輜重隊の防衛を馬超に任命。重苦しい空気のまま、汜水関で行われた会議は終わりを告げた。

 

 

 

 

 孫堅は一人、汜水関の城壁から虎牢関の方角を見ていた。そこへ、娘の孫策もやってくる。母の様子が少し変だと感じたから、こっそりとあとを付いてきていたのだ。

 

「母様……どうかしたの?」

 

「雪蓮か……なんでもないわ」

 

 その受け答えはいつもと変わらない様に見えたが、孫策の勘が違和感を感じていた。 

 

「なんでもないようには見えないのだけれど」

 

「……ふふっ。さすがは私の娘なのかしらねぇ。特に雪蓮、あなたは私と同じ……獣の血を濃く受け継いでるものね」

 

「失礼ねー。母様ほど戦闘狂じゃないわよー」

 

 母の言い分にぶーっと頬を膨らませる孫策。自身が感じている嫌な予感を払拭するように……。

 孫堅は娘の様子に気付きながらも、胸の内にある予感を話すことにした。

 

「な~んか、嫌な予感がするのよね……」

 

 はっと驚いた顔で母を見上げる孫策。

 

「…………母様も、なの?」

 

「やっぱり雪蓮もなのね……。この予感が当たらなければいいのだけれど」

 

 口ではそう言いつつも、今も胸を締め付けるように感じる嫌な予感は、半ば当たるだろうことも予感していた孫堅であった。

 孫策もこれ以上口にすることはできず、母と共にただ……虎牢関を見つめることしか出来なかった。

 

 

 

 

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■次回拠点予告■

 っぽいものです

反董卓連合の話が終わったら、拠点パートをやろうと考えています

 

そして! 今回は試験的に投票制にしてみます!

 

 

 ●1話につき、1人2票までの投票

 

 ●投票は今日から#27が更新されるまで →つまり2話分です

 

 

例1)この話 → 周泰(明命)に2

   次話  → 周泰(明命)に1、孫策(雪蓮)に1

 

例2)    → 明命2

 

例3)    → ⑧1、⑨1

 

 ★ 前回と同様に、ネタの提供もお待ちしていますよ! ★

 

例4)    → 明命2 お猫様とのもふもふ合戦が見たい  など

 

※ネタ提供は御1人様1つまで! 1人で複数寄せられた場合はスルーさせていただきます

 

 

こんな感じで、必ず【キャラと投票数が判るように】して頂ければOKです

 

 

そして、気になる対象のキャラとは!!

 

①黒纏(影華)     ②徐庶(茜)     ③張遼(霞)

④華雄         ⑤呂布(恋)     ⑥陳宮(音々音)

⑦孫堅(蓮根)     ⑧周泰(明命)    ⑨???

 

???はお楽しみです

この中から上位2~3人の拠点パートを書きます

 

 

説明が長くなりましたが、皆様の投票 心よりお待ちしております

 

 

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【あとがき】

 

色々と長くなりました!

こんばんわ、九条です。

 

上記にもありますように、拠点の投票始まりました!

何人の方が投票してくれるか、戦々恐々しながら待ってます(苦笑

 

○○がいないじゃないか! とかあると思いますが

接点がなかったんだ……と諦めて下さい。

さすがに絡んでない人物は出せませんので……。

 

拠点パートは、票を集計し、かつ反董卓連合の話が終わったところから書き始めるので

少し遅くなるかもしれません……なるべく善処いたします

 

 

 

今回の話、前回と比べるとかなり短いです

キリが良いところだったので切りました

たぶん次回は長いかも?……

 

孫堅さんと孫策さん、ダブルで嫌な予感ですか……軍師真っ青ですよほんと

彼女達が何を感じたのか、全ては次回でわかるのか!?

 

 

ということで、次回もお楽しみに~


 
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