第1章 1回目
教室の窓から見上げた空は、今日もやはり雪が降っていて――
別に、だからといってどうということはない。
教室を見渡せば、いつも通りの日常がある。教壇では英語教師が思いっきりスベったギャグを披露してるし、前の席の生徒は教科書の陰に隠れて寝ている。
いつもと変わらない空気。
「ふあぁ~」
思わず欠伸すれば、目ざとく教師から見つかってしまった。前の席の生徒は寝ているのに、と若干理不尽に思いながらも、見つかったものは仕方ない。
視線を黒板に移し、授業に意識を向ける。
授業終了のチャイムが鳴ったのは、それから15分ほど経ってからだろう。キーンコーンカーンコーンというような音ではなく校歌の一部を用いたチャイム音も、今となっては慣れたものだ。
「ユウ、災難だったね~~」
やや間延びした声で、隣の席の女子が声をかけてくる。
「そーいう楓夏だって、眠そうにしてたよね?」
「はぅっ!? バレてた」
「当たり前だろうが。途中、舟を漕ぎかけてたぞ」
「うぅ~ そんなとこまで見られてたの」
ちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめている女子生徒、名前を楓夏という。関係は、いわゆる幼馴染に近い。穏やか、というかノンビリしすぎじゃないかと突っ込みたくなる性格。そして、いい意味じゃないほうの、ワケありの生徒だ。
「ん~ 授業終わってるのか?」
ようやくというか、前の席の生徒が目を覚ました。
「おはよう、ヒロ。よく寝れたか?」
「あ~ やっぱ、無理な姿勢だったかな。背中イタイや」
目の前で背中を摩っている生徒、名を紘晄という。認めたくないが、1番仲がいいクラスメートなのだ。彼ももちろんワケありだが、普段から怪しすぎて、逆にワケありの中身が見当付かない。
「ヒロ君。昨日帰ったのは早かったよね?」
「あ~ 今までのクセかな。寝れるときは寝る。以上」
「待てこら。今まで授業中フルで起きてたことあったか?」
「心外だな、ユウ。ちゃんとあるぞ、しかも週2回は」
「ほほう…… 参考までに訊くが、いつだ?」
「月曜の3時限目と土曜の4時限目だ」
「えっと…… 体育、だね~~」
うん、まあ間違ってない。確かにその時間はフルで起きてるけどさ。
「座学は、全滅してるということだな」
「そこに気付くなよな~~」
全く悪びれる様子もなく、紘晄は笑う。
「まったく…… 何でこんなのより僕のが成績悪いんだろうね」
「俺に言われましてもねぇ。ユウだって、十分良いほうだろうが」
「そうじゃなくて、納得できないんだよ」
「でもね、ユウ。私から見れば、2人とも頭いいんだよ~~」
「「……スミマセンでした」」
「む~ 何か、余計に悲しくなってきたよぅ」
楓夏、決して勉強ができないわけではない。むしろ、この3人の中で1番真面目に取り組んでいるといえる。しかしまあ、成績は平均線上。悪くはないが、よくもなかった。
「あ~ ほら、先生来たし。終礼始まるぞ」
少し焦ったように紘晄が言い、席に戻る。
「全員、席に着け。終礼を始めるぞ」
淡々とした終礼も終わり、放課後。
「じゃ、今日は特に用事もないし、帰りますか」
「いいのか?」
「いいだろ。俺はお守りじゃねぇぞ、と」
立ち上がる紘晄に問いかけると、先輩をぞんざいに扱う返事が返ってきた。
しかし、紘晄の考えは甘かったようだ。
昇降口に辿り着くと、1人の女子生徒が目に付いた。
「うげっ!?」
「な~にが、うげっ!? よ。貴方の中で、生徒会長とは鉢合わせしたくない存在なのかしら? ヒロ君」
「いや、別にそういうことじゃないんだけどね」
「あら? じゃあ、さっきの反応の意味を説明してもらおうかしら」
紘晄で遊んでいる先輩は、ユウ達の1つ上の学年にしてこの学校の生徒会長である、姫花先輩。どこぞの大企業の社長令嬢だとか、華々しい噂が流れている。まあ、立ち振る舞いや纏う雰囲気からすれば、納得できる話だ。そして何を気に入ったのか、ユウ達3人を生徒会役員に指名したという関係を持つ。
「ユウ君達もヒドいじゃない。顔くらいは見せてくれてもよかったのに」
急に矛先がこっちにも向いた。
「いや、ヒロが今日は帰ろうと言いましたんで」
「なっ!? 俺を売るというのか!?」
焦る紘晄を無視して、
「そうだったよな? 楓夏」
「そうだね~」
冷静にやり過ごす。
「そう。ヒロ君。どういうことか、説明を要求するわ」
「ちょっと待って。何それ俺のせい!? あ、いや会長、落ち着いて話を…… ぎゃぁぁぁ」
僕は何も悪いことはしていない。全て正直に話しただけだ。嘘も誇張もないだろう。
「じゃあ、楓夏。帰ろうか」
どこからか聞こえる断末魔の叫びを聞き流し、靴を履き替える。
なかがき
中途半端なタイミングで終わってスミマセンorz
ただ、1度書き終えて仕舞った作品を発掘して修正するというのは、やっぱムリがある(というかしてはいけないんじゃなかったか?)と思う…… 修正が間に合わなかったですorz
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
では続きを… 無理やり圧縮したので、やっぱり違和感バリだなorz
ちょい修正加えてるが、段々悪化するよな、こーいうのって…