Side:ゼスト
俺達は今、ある犯罪者の根城へと侵入した、犯罪者の名はジェイル・スカリエッティ、罪状は世界規模のテロを行っている事と違法医学の実行等様々な罪を犯して来ている大犯罪者だ。
独自のルートでここを突き止め今、潜入した。もちろん、ジェイル・スカリエッティを逮捕することも目的だが・・・・
奴等の根城には少数で潜入することにした・・・・・俺の他に2人の隊員を連れて来た。
一人はメガーヌ・アルピーノ一等陸尉、彼女のポテンシャルは他の隊員より高く、自身が窮地に陥れば陥るほど発揮される。
そしてもう一人はクイント・ナカジマ一等空尉といい、彼女は体術の達人でありこの俺ですら負けることがあるくらいだ。
俺はこの2人と共に潜入したのだが思いのほか警備が厳しく、結果見つかってしまし奴等が放ったセキュリティAIの妨害にあっている。
だが、此処まで来て不自然なことに気づいた。
(・・・・人がいない)
そう、大分中に入ったというのに、人はおろかあまり言いたくはないが実験体としてとらえられた人や死体すらいない・・・もしかしたら
「隊長・・・・これは」
「ああ、もしかしたらすでに、もぬけの殻かもしれんな」
「ですが、端末などにもしかしたら情報が残っているかもしれません。このまま奥へ・・・」
「・・・・そうだな」
最も、あのジェイル・スカリエッティがそんな証拠を残すとは考えづらい・・・それよりも気になるのは・・・・
そう思言いつつも警備機械を倒していき、奥の扉へと入って行った。そこには―――
「・・・・きたか」
その中は凄惨としていた。様々な機会が壊され電流が走っている。そしてその中心には、全身黒い鎧のようなものを纏った
「君は・・・・この研究所の人間か」
「いや、違う」
少年はあっさりと答えた。
「じゃあ君はこの研究所に捉えられた子!?」
「よかったわ。私たちは時空管理局の者よ!さあこっちに・・・・」
そう言ってクイントとメガーヌが手を指し延ばすが、俺は嫌な予感がした。そして―――
「二人とも離れろ!」
「「え?」」
「遅い!」
俺は反射的に二人を突き飛ばし持っていた槍型のデバイスでその少年の持つ何かを防いだ。
ガキィィィィィン!!
「「きゃあ!」」
「勘がいいな・・・」
「お前・・・」
俺は信じられないものを見た。奴が持っているのは鉄パイプ。ただの鉄パイプが槍と拮抗している。ただの槍ならそれもある程度可能だろうがこちらの持っているのはデバイスの槍だ。普通なら叩き斬られて終わりだというのに・・・・いや、真に驚愕すべきはこの少年の腕力だ。何せこちらのほうが押されている。魔力強化を向こうはしていないのにもかかわらず・・・なんて馬鹿げた腕力だ!
「そら!」
そう言って鉄パイプで俺を弾き飛ばした。
「「隊長!」」
「大丈夫だ。それより奴だ!」
俺達は囲むようにして陣形を取った。しかし解せない。こちらは3人・・・・対して向こうは一人・・・・仮にあの霧が幻術の類だとしても今ここに実態がある以上コイツが偽物とは考えにくい。姿を偽るものだとして本当の姿が俺とそう大差ないとしても、コイツのこの落ち着き用はなんだ?
と、そう考えているとメガーヌが奴に話し掛けた。
「何をするの!?私たちは敵じゃないわ。時空管理局の・・・・」
「局員だろ?それくらい魔導に携わっている者なら余程俗世に疎いものでもない限りわかる。」
「だったら・・・・」
「ふん、嬉々として正義を掲げる組織ほど滑稽で傲慢なものもない。」
「な、なんですって?」
「当たり前だろ?この世界に正義を問い詰めたところで答えなどでてこない。そんな曖昧な物を掲げて何の意味がある?そんなものをまるで分っているかのように語る組織を傲慢と言わずしてなんだ?」
「いい加減なことを言うなぁ!」
そう言ってクイントが突撃していった。
「待て!」
俺は制止を呼びかけたがすでに遅く―――
「え?」
「「な!?」」
クイントは空中で不自然な形で静止した。
「ク!?バインド?こんなもの・・・」
「やめておけ・・・あまり力を入れたり動いたりすると―――」
その時ブシャと言う音と共にクイントの腕から血が出てきた。
「クゥ!!?」
「こうなる・・・」
俺は助けに行きたい衝動を抑え現状を見定めた。
よく目を凝らしてみるとクイントの腕や周りにワイヤーのようなものがある。まさかあれはただのワイヤーなのか!?さっきの鉄パイプといい・・・
「それから、まだこちらが話している最中だ。たかが自分の組織を悪く言われただけで癇癪を起すな。対立者と対峙するなら自分達や属する組織の悪口くらい日常茶飯事だろ。」
「・・・・」
そう言われてはクイントも黙るしかない。それにコイツの言っていることは的を射ている。しかしだからと言ってコイツを野放しにするわけにはいかない!コイツは危険すぎる!!
「お前を公務執行妨害の罪で逮捕する!」
しかしそう言われてもコイツは取り乱す素振りも見せず信じられないことを行って来た。
「・・・・君たちのどこにそんな権限がある?」
「何!?」
「私たちは管理局の―――」
「今いるここはどこだ?
「な、そんな出鱈目・・・」
「何処が出鱈目なんだ?そもそもちゃんと逮捕したいのならちゃんとここを管理すればいい。ずっと前からあったんだろ?すべてはお前たち管理局の怠慢が生んだことだ。」
「でもここは無人世界で・・・・・」
「だがお前たちが管理しなかったからここに犯罪者の根城を立たせてしまったのではないのか?それにこのような世界を管理するだけなら魔法は必要ない。これだけで人手不足は約8割がた解決する。」
「!?」
そう言われてはメガーヌも黙ることほかない。しかし
「それに管理外世界と管理世界で差別するような組織の手に誰が縋るもんか。」
「・・・・どういう意味だ!?」
「・・・ああ、そうか・・・お前たちは表の人間だったな。なら知らぬのも無理はないか・・・・」
そして、一つのディスプレイが上がった。そこには管理局によくある最新鋭の次元航行船があった。
「よく見ろ。これがお前たちの属する組織の正義のなれの果てだ」
次の瞬間信じられないことにその次元航行船からアルカンシェル並みの砲撃が放たれその惑星を消滅させた。こ、これはどういう・・・・
「今ので何人死んだかな?」
「何・・・」
「今の有人世界で一体何人の人間が死んだのかね?いったいどれだけの幸せが吹き飛んだんだろうな・・・」
「う、嘘よ!管理局がこんなこと・・・・」
「そ、そうよ!」
クイントとメガーヌが叫ぶが明らかに動揺している。かくいう俺も内心かなりの動揺をしている。
「嘘だと思うのなら見てみろ。」
そう言って次々と出されるディスプレイ。そこにはさっきの惑星以外にも別の惑星を次々と消滅させている管理局の船があった。これだけの状況証拠があれば言い逃れはできない。
余りの惨状に俺もクイントもメガーヌも唖然としていた
「一体あの星々ではどれだけの笑顔があったんだろうな・・・・今日が誕生日で幸福を感じながら誕生日ケーキの蝋燭を消してプレゼントをもらって祝いをやっている最中だったかもしれない。」
・・・やめろ
「テストで高得点を取って親に褒めてもらおうと必死で勉強している子供もいたかもしれない・・・・もしかしたらこの一年間必死に勉強して受験を第一志望で合格した奴もいたかもしれない。いたならそいつはおそらくこれから来るであろうキャンパスライフを夢見て幸福を感じていただろう。」
やめろ・・・・
「あの瞬間、結婚式を挙げていてこれからお前たちの言う幸せな人生を愛する人と共に歩む夢を見ていたかもしれない。もしかしたら愛する人との間に子を恵んでもらい名前をもらい今まさに至福の絶頂期を体験している家族もいたかもしれない」
それ以上言うな・・・・・・それ以上言ったら―――
「それをお前たちの言う正義とやらを誇示するために犠牲にしたわけだ。いやぁ~大したもんだよ。そして君たちの居るのかどうか知らないが子供たちはこの事実を知らぬまま誰もが感じるような幸せを歩むわけだ・・・・何百億以上の無関係な命を塵屑のように犠牲にして・・・・・これからも」
「それ以上言うなぁ!!!」
Side:三人称
その叫び声と共にゼストは伸に突撃した。しかし持っていた
「おいおい・・・自らの信じていた正義の組織の実態を見て錯乱したか?落ち着けよ。どうせこの突入だってお前たちの自作自演なんだろう?何を取り乱す必要がある?」
「な!?どういう意味だ!?そもそもお前は何者だ?」
「いまさらその質問か?まあいい、話を聞く気があるなら武器をしまえ。そしたら話してやろう。」
「・・・・いいだろう。ただしお前も武器を捨てろ。話し合うのに武器はいらないだろう」
「いいだろう」
そしてゼストたちはデバイスをしまい。伸は鉄パイプを放り投げ、ワイヤートラップを解いた。
(鉄パイプから赤い筋のようなものがなくなった?・・・・ということは、アレは奴のレアスキルか?)
「何をよそ見している?どうせお前が思考を張り巡らせたところで俺のことが解ることなどありはしないだろう?さて・・・まずひとこと言わせてもらうがこの施設・・・おかしいとは思わなかったのか?」
「「?」」
その言葉にクイントとメガーヌは頭に?を浮かべていたがゼストは心当たりがあったようだ。
「・・・・一犯罪者個人が持つにはこの施設は大きすぎる。ましてやここは無人世界。有人世界ならまだ何とかなるかもしれんが・・・・」
「流石エースストライカー、ゼスト・・・見事だ。」
「そういえば・・・」
「ということは彼の後ろにはバックがいるってこと?」
「ああ・・・そしてソレは其処の隊長も薄々気づいているはずだ・・・・因みに一つ言っておくとここは人造魔導師兼戦闘機人研究施設だ。」
「「!?」」
「・・・・やはり・・・か」
「おや?どうやらそこの隊長は分かったようだな・・・・ジェイル・スカリエッティの背後にいる存在に・・・・」
「・・・・・管理局・・・・か」
「そ、そんな!?」
「この施設は似すぎている・・・・管理局の施設の構造に・・・こんな偶然は起きない。」
「そんな・・・ありえません!隊長!!」
「おやおや・・・人生はありえないようなことが起きるのが常だ。それにお前たちも薄々内部に入って行くうちに感づいていたのだろう?」
「「・・・・・」」
「(・・・・となるとやはり・・・)」
「レジアス・ゲイズが関わっている?」
「!!」
「図星か・・・まあ、あの男は裏でコソコソあくどいことをしているらしいからな。」
「・・・・・」
「そう言われても反論できない・・・・か」
「ひとつ・・・聞かせてくれ」
「なんだ?」
「お前の言っていることが真実だとしてなぜ・・・管理局は・・・そもそもお前の目的は―――」
「俺なりの持論になるがよいか?何せおれだって全て知っているわけではない。」
「構わない」
「そもそも・・・正義の対義とはなんだ?」
「それは悪だろう」
「では・・・・悪の対義は?」
「それは・・・・・善・・・かしら?」
メガーヌが答えた
「では、果たして善=正義と言えるのか?」
「そうじゃないの?」
「ではこれは?」
そう言って伸は再びあの映像を出した。
「そ、それは・・・」
「ほら、この時点で善=正義という構図は矛盾している。管理局をお前たちの言う正義の組織とするならだが・・・さて管理局がなぜこんなことをするかを聞きたいんだったな。己に正義があると思うにはどうすればいいと思う?」
「「「?」」」
「答えは、己以外の何者かを自分以上の悪に仕立て上げればいい。簡単だろう?」
「そ、そんな!」
「・・・・最後に一つ言っておく・・・確信した正義は悪だ。本来俺は正義などという言葉は好きじゃないが・・・・正義が正義足りうるためには常に己の正義を疑え。・・・・お前たちも腹の底のどこかで己が正義を確信していたんじゃないのか?自分は絶対に正しい。だから自分に正義がある。そう思っていたんじゃないか?」
「「「・・・・・」」」
「自分がすべきことが分かったのならさっさと去れ。ああ、それから其処の隊長さん・・・・」
「なんだ?」
「近いうちにお前のお友達に会いに行く・・・・それから」
そう言ってずっと仕舞い込んでいた殺気を引き出した
「このことと俺のことを誰かに言ったら・・・・消す。」
「!!」
「勘違いするなよ・・・・消すのは、お前たちの守りたいモノをだ。」
「!?(コ、コイツ・・・殺気が無いから妙だとは思ったが・・・なんて殺気だ!コレが人間の放つ殺気なのか?)」
そう言って伸は呆然としている三人を尻目に転移魔法を使いそのまま家に帰った
「隊長!今すぐあの男の手配を!」
「奴は危険です!!」
「・・・・ダメだ。そんなことをして見ろ」
「あんなの奴のハッタリにすぎません!!」
「ではなぜ奴は俺達を殺さなかった?ここなら俺達を秘密裏に殺せる。管理局もジェイル・スカリエッティに殺されたと思い濡れ衣を着せることができるだろう。あれほど鋭い奴ならこれくらい考えられないわけがない。」
「そ、それは・・・・」
「それにアイツは・・・・・お前たちはどうか知らないが少なくとも俺のことは知っていた。・・・ならお前たちのことを知っていてもおかしくない・・・・
「「!!」」
「あの時言った『守りたいモノ』とはおそらくそういう意味だ。だからこのことは絶対に他言無用だ。」
「ですが・・・」
「だがこれほどにまで俺たちの内情を知っているとなるとおそらくミッドチルダの人間で現・あるいは元・管理局員である可能性は高いな。調べればおそらく・・・・」
「なら早速・・・」
「だが・・・」
「まだ煮え切らない・・・と」
「いや、此処まではいい。だがあいつはなんというのか・・・・危険な感じが全くしなかった・・・・犯罪者特有の狂気や禍々しさ・・・そういう類の雰囲気を感じられなかった。あまつさえ戦闘中も最後に見せた殺気でもだ。こういう経験は初めてだ。『危機や殺気は確かにそこにあるのに本能がコイツは危険じゃないと危険が感じられない』・・・・それはお前たちも気付いていただろう?」
「「・・・・・・」」
「それにアイツは管理局が裏でやっていることを俺達に暴露したり正義についてどうこう言っていたりはしたが一度足りとて『管理局を許さない』『管理局を潰す』とは言わなかった。」
「つまり彼自身も管理局の必要性は認めているってことなのでしょうか?」
「ああ、おそらく・・・・だが、だからと言って今回、奴が見せたことが事実なら放っておくわけにはいかない。彼の言うとおり数十億もの無関係な命を犠牲にしてまで示す正義などそれはもはや悪だ。俺達は一度立ち止まって見つめなおさねばならないのかもしれない。(それに、アイツのことも・・・)」
「もしかしたら・・・」
「どうした?メガーヌ?」
「彼は『正義、悪』の概念で物事を見ているのではなくて『善、悪』の概念で見ているのかもしれませんね。」
「かもしれん・・・とりあえず俺は少し調べる。お前たちは・・・」
「「私達も!」」
「ダメだ!お前たちが死ねば娘たちはどうなる!?少なくとも、管理外世界をどうとも思わないような連中だ・・・お前たちの娘を人質にとるくらい造作もないだろ!」
「う・・・」
「こういうのは俺のほうがいい・・・・とりあえず帰るぞ。」
「・・・・・・分かりました。」
オマケ
父神「さて、今回の転生記録を見てみたが・・・まず母神は・・・普通だな」
母神「まあ『とある、遊戯王、fate、H×H』ですからね。」
父神「ふむ、次に姉ここも普通・・・」
姉神「まあ、『ゼロ魔に、IS、SAO、東方にそれから・・・・』」
しばらくお待ちください
父神「まあよいそして妹神(伸を転生させた神)は・・・・いつも通りか・・・」
神「私リリなの一心なのです~!!」
父「まあ、確かにあそこはイロイロとフリーダム(設定的にも次元世界的にも)だからな・・・そして最後に兄神」
兄「ん?」
父「なんだコレ?『ナルト、ブリーチ、ワンピース、ドラゴンボール、フェアリーテイル』はまあいいとして・・・・最後らへん嫌がらせだろ!」
兄「だってウザかったし。俺のこと駄神とか『幼女神出せ』とかなんか好き勝手言って好き勝手特典やら容姿(そいつ等の容姿の要望は全部銀髪イケメンオッドアイ)言ってくるもんだからよ・・・」
父「だからってこれは・・・・プッ・・・」
兄「あんだよ?なんかワリィのかよ??」
父「許す!」
「「「許すの!?てか、内容何?教えてよ!」」」
父「いやな特典内容は『ワンピースの悪魔の実の能力全部と穢土転生時の全盛期マダラと同じスペックの肉体』なんじゃが転生先が」
「「「転生先は?」」」
「サザエさんなんじゃよ」
あとがき
ゼストがやけに物わかりがいいというか・・・・鋭い奴に見えますが仮にも部隊長でエース級なんでこのくらいはできると思いこうしました。
あと最後のおまけのあの転生君(性格はバカ男級)の転生先ですが当然あそこはサザエさん時空仕様です・・・・・後は・・・・分かるな?
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第六十四話:管理局の上の人間て結構バカだよな。