No.554746 リリカルなのはSFIAたかBさん 2013-03-13 17:44:21 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:6430 閲覧ユーザー数:5690 |
第三話 試験結果の通知と勧誘
はやて視点。
「試験の結果、スバル・ナカジマ合格。ティアナ・ランスター不合格の通知や」
「え!?」
「・・・そうですか」
試験場から比較的に近い管理局の宿舎で、フェイトちゃんとなのはちゃんと一緒に先程まで試験を受けていた二人に試験結果を報告する。
「二人のスペック的には合格にしたいんだけど、ね。ティアナの瓦礫攻撃というのがかなり減点なんだ」
なのはちゃんは私の言葉に続いて言葉をつなげる。
「もし、あの機械の中に爆発物があったらどうなっていたと思う?」
「・・・大爆発を起こしますね」
「それだけじゃない。もしかしたら機密のデータが収まっていたかもしれない。今回の試験は機械を相手にする。という事と機械の危険性や利用性を試していたんだ」
「で、でも、私が合格で、なんでティアが不合格なんですか!?木っ端みじんにしたのは私の方が多いし、爆発してダメージを負うのは私だし!」
「うん。まあ、そうなんやけどティアナの攻撃は、それ自体を失いかねないという事なんや。あと、撃破確認の問題」
「要するに『危険性を残したまま』になるんだよ」
いくら廃墟とはいえ利用価値はある。
科学力が発展しているミッドではあれくらいなら修復して再利用できる。だが、今回のティアナの瓦礫攻撃だと訓練機械が埋まったままになる。
それは不発弾のように回収するまでは、その上で安心して暮らせない。利用できないという事だ。
「・・・なるほど。それは盲点でした」
「なるほどじゃないよ、ティア!私の所為でティアが不合格にな、あうっ」
「今は試験監督が目の前にいるのに慌てないの。それにあんたの所為じゃないわよ。埋めたのは私なんだし、公安が公共を壊すのもイメージが悪い。この人達が言うのは正しいわ」
ありゃ~、ティアナを引き抜くのは難しそうや。
この子は主席で卒業したと聞いたからこういう挫折は慣れてないから食いついてくるかと思ったのに・・・。
だが、目の前のティアナはどうか?
自分の悪かったところをすぐに理解して反省している。
相方のスバルは涙目になりながら私とティアナを見比べている。
「と、いうわけなんだけど。条件次第ではティアナも合格させることが出来るんだ」
「条件次第ですか!」
「・・・」
ティアナよりもスバルのほうが食いついてくる。ティアナの方はというととりあえずは聞いてみるかという表情だ。
この子はフェイトちゃんと同じ執務官になりたいはずだからもっと食いついてくると思うんやけど・・・。
こういう交渉の時の雰囲気は高志君そっくりや。
相手に喋らせるだけ喋らせてどこまで相手の意見を飲めるか。自分の意見を通せるか。そして、交渉する価値があるかを吟味している。
「ティアナの方は二週間ほど、スバルのほうはティアナと一緒に後半の一週間ほど研修を受ければ内申点として加算。それで今回の試験を合格にしたいんだけど、どうかな?」
なのはちゃんが笑顔で提案してくる。
それに対してスバルは元気よく手を上げる。
「や、やります!」
「・・・少しいいですか?」
「どうぞ」
「私はともかくスバルへのメリットがありません。スバルは合格なんでしょう?それなのにどうして?」
う、やっぱ気づくか。
「それはやな。スバルはティアナとのコンビで経験を積まそうと思ってな」
「いつまでもコンビでいられるわけでは無いのに?」
「ティア?!」
私の質問に答えたティアナの答えにスバルの目がさらに涙目に。
あ~、ダメやな。これ以上遠回しに言ってもティアナには不信感を買うだけや。
「・・・『傷だらけの獅子』」
「?」
「・・・何のことです」
スバルのほうは疑問符を浮かべ、ティアナはピクリと眉を動かした。
「私は近々、私だけの部隊を持とうと思っている。ミッドでは試験的に試される新しいやり方の部隊。その部隊の任務の中には『傷だらけの獅子』を含むスフィアリアクターの保護もはいっとるんねん。そこで二人には私達の部隊に入って欲しいんよ」
(ちょ、はやて!)
フェイトちゃんは無表情ながらも念話で私に忠告してくる。
スフィアの存在は未だに管理局内では機密事項扱い。部隊が出来上がってもいないのに二人にばらすのはよくないと思って慌てているようやった。
だけど、正直に入隊を願わないとティアナは動いてくれないやろう。
「・・・それって、引き抜きですか!」
「せや。二人にとってはかなりの経歴になるで。スバルは救助隊へのティアナは執務官への足掛かりになるで」
二人の履歴はばっちり抑えとるからな。
さて、スバルはかなり揺れまくってるけど、ティアナはこれで動くかな?
「・・・その任務内容を把握してからでもいいですか?いきなりそうしろと言われても内容が分からないのに入隊はできません」
ティアナの兄。ティーダさんは過去。任務中に上司の管理局員の不正を発見した時に負った怪我で魔導師生命を絶たれた。
そのこともあってか彼女は慎重に私に資料を請求してくる。
「ははは、ティアナには敵わんな。ええよ、後でデータを送っとくからな」
これ以上ティアナが私への不信感を高めると高志君のことは聞き出せんな・・・。
今日の所はこの辺にしといたほうが無難か・・・。
「ありがとうございます」
ティアナは淡々としながらも礼儀正しく頭を下げる。
そして、試験結果の報告を受けた二人は席を外して宿舎の外へと出ていった。
それからしばらくしてなのはちゃんとフェイトちゃんと一緒に別の部屋で結界も張りながら話をする。
「…ちょっと、はやてちゃん。今のはまずいよ。スフィアの事は秘密だよ。局の上層部の人達も少ししか存在を知らないんだから」
「だからこそや。今のうちに『スフィアは私達が管理します』と銘を打っておけば後からスフィアの存在を知った連中に取られることもない」
「だけど私達より偉い部隊の人達が来たら・・・。リインフォースとリニスもただじゃ済まないよ」
フェイトちゃんは自分の家族でもあるリニス。そして、私の家族のリインフォースも心配している。
ほんま優しいなぁ。フェイトちゃん。
「大丈夫や、フェイトちゃん。いざとなったらその二人はゼクシスに預けることになっているから」
今ではゼクシスはフェイトちゃんの義母。リンディ・ハラオウンが後継人に、アースラを拠点にして管理世界の治安を守ったりするチームになっている。
そして、それは私の作る部隊。
管理局。機動六課に非常勤シフトだけど協力してもらうことになっている。
「でも、よくそれを許してくれたよね」
「うん。アリサは戦力過多だって言ってあまり納得してなかったよね」
まあ確かにうちの家族の守護騎士達は一人一人が小部隊から大部隊までの隊長を務めきれるほどの実力の持ち主。
なのはちゃんは教導官を務めることのできる実力者。そして、現管理局内ではエースオブエースと呼ばれるくらいに強くなっている。
フェイトちゃんも敏腕の執務官として数多くの凶悪事件を解決してきた戦闘のスペシャリスト。
そして私も管理局内では歩くロストロギアとか呼ばれるほどの魔力の持ち主。
「もともとゼクシスはスフィアを探すために設立されたのに…」
「だけどゼクシスは所詮派遣チーム。しかも管理局には属さないチームという事でパシリみたいなことをさせられているってすずかちゃんも言っておったやろ?これでゼクシスも管理局の力を正式に堂々と使える」
中には仕事を回してほしければ・・・。なんて言い寄ってくる男もおったようやけど逆にそれをネタに破滅に追い込んだとも言っておったな。
プレシアさんもリニスさんも美人やし、アリサちゃん達もかなりの美人になった。
アイドル部署と陰では言われているけど、誰もが一騎当千の実力持ち。
プレシアさんは最近新しいDエクストラクターを作ったときくし・・・。
「本当に、ね。ねえ、はやてちゃん。本当に機動六課で何をするつもりなの?」
「うーん。やっぱり話さないと納得しない?」
「うん。母さんとリニスは知っているみたいだけど・・・」
話さないかんか…。
「二人共、お願いがあるんやけど今日から三日後。必ず時間を空けてくれないかな。ちょっと話したいことがあるから」
「ここじゃ駄目なの?」
「うん。場所は聖王教会。カリムも忙しいやろうから」
「カリム。て、あの予言騎士の?」
「せや。カリムがまたスフィアの話をしてきたんや。それも管理局の存在も関わる予言をな」
少しでも変わっているなら変わっていて欲しい。
そう願いながらも私はカリムが言っていた予言を思い出した。
無限の欲望が動く時、古の宝は目覚める。
正義を語る心の天秤は砕け、偽りの正義は戦火に焼かれ、法の塔は落ちる。
悲しみの涙で、慈愛の水瓶は満ちる。王は目覚め、獅子は堕ちる。
偽りの平和は続かない。知りたがる放浪者がいる限り。
そこには
気になるのはアサキムが持っているはずの『偽りの黒羊』。
そして、まるで『傷だらけの獅子』の末路を謳った予言だった。
絶対に高志君は堕とさせない。あんなのはあの時だけで十分や!
だからこそ、この予言は覆す!絶対に!
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第三話 試験結果の通知と勧誘