No.556933 リリカルなのはSFIAたかBさん 2013-03-19 20:33:18 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:5503 閲覧ユーザー数:4935 |
第四話 中に誰もいませんよ?
高志視点。
人がごったがえす駅の一角で、俺はプレシアと連絡を取りあっていた。
『来週から機動六課が正式に動くからそのつもりでね』
「了解。て、ティアナまで機動六課に入ったんかい・・・」
『あの子は大分渋っていたわよ。でも、私達ゼクシスが協力関係にあると聞いたらすぐに頷いたわよ。・・・それにしても貴方はどれだけフラグを立てるつもりなの』
「え?死亡フラグを?」
『タカ。貴方このままだと、お腹に包丁。首に鉈。中に誰もいませんよ?になるわよ』
物騒なことをテンポよく言わないで!?
じゃ、なく!ティアナにフラグは建てた覚えはないよ?!
大体今の俺は『放浪者』。
ティアナを恋愛対象にしたとしてもその思いを結ぶのは出来ない。恋人関係になれば彼女にもスティグマを刻むこと間違いなし。
フラグは出来るだけ立てないようにひっそり暮らしていくつもりなんだが・・・。
五年前から俺が生きていることはばれたし、アルカンシェルで吹き飛ばしたアサキムも復活した。
その上、聖王教会の予言騎士カリムが新たなスフィアの予言を出してくれた。
俺が堕ちる。という、嫌な予言を・・・。
『・・・忠告しておくけどアリシアを泣かせたらただじゃ済まさないわよ』
自信無いな~。だって、別れ際がアレだったし。
それに俺だって本当は離れたくなかった。
「ちなみに泣かせたらどうなるの?」
ちょっとふざけてプレシアに質問した。すると、返ってきたのは無表情のプレシア。そして、沈黙だった。
『・・・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・タカ』
「・・・はい」
『もう一回言ってみなさい』
「アリシアを泣かせないように全力全開粉骨砕身で努力します!!」
ここが個室の通信室でよかった。
だって目の前にはモニターじゃなくて床しか見えないんだもの!土下座だもの!
周りに人がいたらびっくりしているだろう。
「・・・プレシア。かなり変わったよな。出会ったことに比べて」
最初にあった頃はアリシアと一緒に全裸で地面をのたうちまわっていた俺をへんな物を見る目で見ていたし・・・。
それからいろいろあったが今じゃお互いに誰よりも信頼できる仲になった。
『親なんてものは可愛い娘がいれば変わるものよ。・・・特にフェイトみたいに遠慮がちな娘が出来れば何でもしてあげたくなるもの。フェイトじゃなくてアリシアもだけれど』
でも、アリシアが俺にじゃれついてきた時は俺に凄い調教。もとい嫉妬していたよね。
フェイトはハラオウン家に引き取られてからはクロノと同じ執務官の勉強をして執務官になった。
俺と言うイレギュラーな存在が無くなってからはテスタロッサ家を陰で変なことを勘ぐる奴や考えている奴が続出した。
あのフェイトとプレシアはまた次元犯罪を起こすのではないかと・・・。
それを防ぐためにリンディはフェイトを引き取った。そうすることでそのような輩や噂からプレシアとフェイトを守った。
その事もあってか今回の機動六課にゼクシスが協力することにプレシアも難色を示していた。が、あの家康。とんでもないものを切り出してきやがった。
もしこの協力を断ればフェイトにプレシアの事を『プレシア・テスタロッサ
それに半狂乱になったプレシアをラリアットからアルゼンチン・バックブリーガーで何とか押さえつけたリニス。
最近、柔術の事が書かれた本を無限書庫で呼んでいるところを目撃されたとか。関節技に興味を示してきたとか・・・。次は四方固めだろうか?それとも腕ひしぎ?
・・・プレシアの関節が心配だ。
『親は変わるものよ。特に可愛い娘が出来れば一万と二千秒で親馬鹿になるわ』
「生後一日どころか半日もしないうちに親馬鹿になるのか。世界中の親がプレシアみたいになったら実子虐待とか根絶やしになりそうだ」
『八千秒過ぎたころから私はこんな感じよ』
「三時間もしないうちにもっと酷くなるのか」
『私が生きていく中で娘を思う事は絶えないわ』
「俺のツッコミも絶えない」
機械天使さんがこの会話を聞いていたら何を思うだろうか?
リニスさんがこの会話を聞いていたら俺と同様のことを言っているだろう。
『・・・こほん。これ以上話しているとあの子達に気取られるわ。とりあえず気をつけなさい。私もこれから部隊の構成を整えないといけないから』
そう言ってプレシアは通信を切った。
ブラスタを介しての通信は交信中も勿論だが履歴も残さないという高スペック。
スパイ活動にブラスタはいかが?
と、言う名目で売り出したら絶賛されるだろう。売らないけど・・・。
そう考えながら個室を出ると、出会いがしらで赤い髪のツンツンした男の子とぶつかった。
「うおっと。すまんな。ちょっと考え事をしていて気付かなかった。大丈夫か?」
「あ、大丈夫です。その、こちらこそすいませんっ。怪我は無いですか?」
とても将来有望なイケメンに。そして、同世代の女の子からはさぞかしもてるだろうボイスに俺が嫉妬した。
まあ、冗談はさておき。
ぶつかった少年は体格差からか俺とぶつかると同時に尻もちをついていたので、少年の手を掴んで立たせる。
「でも、こんな人が多い所で走っていたら危ないぞ?」
迷子にしては元気すぎるぐらいに移動していたよなこの子。
「あ、そうだ。人を探しているんだった。あのすいません。ここで失礼させてもらいます」
「ん。気にすんな。だけど気をつけてなー」
シャレじゃないよ?
男の子はペコリと頭を下げてから「ルシエさーん。どこですかー」と声を上げながら走っていった。
また誰かにぶつからなければいいけど・・・。
そう思いながら俺は駅を出た。
次のお仕事は人身売買の現場を取り押さえる事。
情報提供者はプレシアとリンディ。
彼女達がカマをかけた所は十中八九でクロだ。
なんでも高い魔力を持った人のDNAでクローンを作っているそうだ。
プロジェクト・F。
管理局が人手不足で人工的に高資質の魔導師を増やすのはわからないでもない。
こう見えても俺だって事件現場や現状を見てきたが多すぎる。だからそれを防ぐ手を増やそうというのもわかるけど・・・。
「・・・子供を巻き込んじゃいけないよ。子どもを」
その資料に記されていたのはカプセルに入った少女の写真。
まるで、過去にアリシアが入っていたカプセルに似たその容器の写真を懐に収めながら、次の現場へと足を進めることにした。
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