No.550766

ALO~閃光の妖精姫~ 第27魔 狂乱の閃光

本郷 刃さん

第27魔です。
アスナが単独でグランド・クエストに挑みます、その胸中や如何に。

どうぞ・・・。

2013-03-03 10:17:27 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12802   閲覧ユーザー数:11797

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第27魔 狂乱の閃光

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

アスナとの心の会話、《接続》を終えた俺の心は……何故か晴れない。

 

『どうしたのかね? アスナ君と話が出来たのだから、少しは喜んでいると思ったのだが…』

 

茅場の言葉は真剣そのものだ。だからこそ俺も応える。

 

「嫌な予感、というよりも……不安に近い、な…」

 

『ふむ……何か手を打つかね?』

 

「いや、必要は無い…」

 

なんとか返すが俺はどうにもアスナの様子が気になった。

会話をしていた時、彼女の心の奥底から何か暗いものを感じた。

 

「……杞憂で済めばいいが、みんな…アスナを頼む…」

 

俺は小さく、そう呟くしか出来ない。

 

キリトSide Out

 

 

 

アスナSide

 

グランド・クエストが行われるドームの中は真っ暗だった。

しかしすぐさま眩い光が降り注ぎ、ドーム内を満たした。

樹の内部になっているからか、壁や床は太い蔓や根で出来ており、

加えて円形水晶の窓のようなものがあってそこに何か影のようなものも見える。

光が差してくる天蓋を見てみると、十字の入った丸いゲートのようなものがある、アレが入り口だ。

 

「行く!」

 

わたしは翅を展開して空中へと飛び上がる。

その直後、水晶らしき窓の1つが光を放ち、そこから白銀の鎧を纏った騎士のようなモンスターが現れた。

あれが、リーファちゃんが言っていたガーディアンモンスター、敵は大剣を持っている。

そして急上昇を続けるわたしに向けて急速に接近し、その大剣を振るってきた。

 

退()きなさい!」

 

それを回避し、『クロッシングライト』を使って大剣の側面を叩きつけて体勢を崩させ、

鎧の隙間がある首元に突きを放ってから首を斬りおとした。

これならいける、そう思って再び天蓋を見上げてみて……呆然とした。

そこには数十、数百ともいえるガーディアン達によって埋め尽くされていた、まだまだ増えていく…。

 

「っ、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

裂孔の叫びを上げながら、わたしはその集団に向けて飛翔を始めた。

どんな数だろうと関係無い! 彼を、キリトくんを取り戻すんだ! だから!

 

「そこを……退けぇぇぇぇぇ!!!」

 

直進しながら騎士の鎧ごと愛剣で貫き、体を横真っ二つに斬り裂く。

 

―――助けるんだ! キリトくんを!

 

近づいてきた騎士が振り下ろした剣を僅かに横に避けて頭に剣を突き刺す。

 

―――あの男を殺して! 彼を助けて、また出会うんだ!

 

左右からわたしを剣で突き刺そうとして来たのでそれを回避して相討ちさせ、2体の首を斬りおとす。

 

―――そして、愛し合って……、

 

下から剣を振らんとする騎士の攻撃を回避してから踏みつけてさらに上空へと飛翔する。

 

―――この心の渇きを……潤す!…………………ちがう…

 

そう思った瞬間…、

 

「ぐっ!?」

 

嫌な不快感と共に1本の光の矢がわたしの背中を貫いた。

 

―――ちがう……違う、違う、違う!

 

無情にもさらに続けて矢がわたしの体を貫いた、左腕、左足、右肩。

 

―――渇きを潤したいんじゃない……わたしはただ…

 

今度は右腕、右足、左肩、下腹部が矢によって貫かれる。

 

―――キリトくんと、ユイちゃんと、みんなと……

 

HPがみるみると減っていき、危険域(レッド)まで到達する。

 

―――笑って生きていたいだけなのに……

 

本当の想いを認識したわたしはただ力が抜けて、落下を始めた。

追撃するように1体の騎士がその手に持つ大剣を駆って、わたしの体を貫いた。

HPが0になり、体が青白い炎に包まれて四散し、自身が小さな灯火になるのに気が付いた。

半思考状態の中、側には紫の文字で『You are dead』と現れている、死亡表示だ。

騎士達は自身が現れた水晶のような窓に戻っていく。届かない、あの窓の遥か上空にある天蓋に…。

 

 

 

『蘇生猶予時間』の文字とカウントがすぐ側に表示される。

初めての『ゲーム内における死』を体験することになった。

みんなに対して申し訳ないという思いが出てきた。

勝手な行動をしておいて、心配を掛けて、この様である。

HPが0になった瞬間、わたしは大きな恐怖を感じた。

もしかしたら、本当に死んでしまうのではないかと、そう思ったのだ。

同時にわたしはキリトくんがあの時どんな思いでやられたのかが、少しだけ分かった気がした。

大事な人を残して死んでしまうかもしれない、そちらへの恐怖の方が大きかった。

 

―――わたしは……一体何をやっているの…?

 

そう思考が至った瞬間、上空の窓から再び騎士達が出現し始めた。背後には煌めく何かが見える、それは……、

 

「「「「「「「「アスナ(さん)(ちゃん)!」」」」」」」」

 

―――みん、な…

 

仲間達だった。

 

アスナSide Out

 

 

 

ルナリオSide

 

まさか、本当に1人で『グランド・クエスト』に挑んでいたなんて!

しかもやられている状態って、マズイっすよ!

 

「シャイン、ティアさん、カノンさん! 3人は入り口を守っておいてくれ!

 リーファちゃんはアスナの灯火の確保を!

 ハジメ、ルナリオ、ヴァルは俺と一緒にリーファちゃんのガードだ!」

 

「「「「「「「了解!」」」」」」」

 

ハクヤさんの指示に従って、シャインさん達は入り口付近に残って敵の出口を守り、

ボク達は一気に上空にあるアスナさんの灯火へと飛翔した。

向かってくる白銀の鎧を身に纏ったガーディアンモンスターを各自武器で薙ぎ倒しながら進んだっす。

 

「アスナさん!」

 

リーファが青白い灯火を抱え込むと入り口に向かって撤退を始めた。

ボク達は背面飛行をしながら敵の矢を弾き飛ばしたり、接敵してくる奴を倒す。

リーファが入り口に到達して外へ出たのを見計らい、背面飛行をやめて直進して外へと飛び出したっす。

シャインさん達も身を翻して外に出た。

 

ルナリオSide Out

 

 

 

リーファSide

 

外に出てすぐさま地面に着地したあたしは、アイテムストレージから蘇生アイテムの『世界樹の雫』を取り出し、

小瓶の栓を抜いて輝く液体を小さな残り火(リメインライト)に注いだ。

そして蘇生スペルと似た立体魔法陣が展開して、アスナさんの姿が実体化した。

 

「アスナさん………アスナさん?」

 

「……………」

 

「ぁ…」

 

何も言わないアスナさん、彼女は体を震わせていた。

 

「リーファ!」

 

「アスナさん!」

 

戻ってきたルナリオ君とティアさんがこちらに近づいてきた、ハクヤさん達も一緒でみんな無事みたい。

するとティアさんはアスナさんを背後から抱き締めた。

 

「ティア、さん…わた、し……」

 

「落ち着いて、ゆっくりでいいですから…」

 

震えて、怯えるように言葉を紡ぐアスナさんをティアさんは宥めるかのように接している。

あたし達はその様子を静かに見守る。

 

「わたし…、キリトくんと、はなし…て。そし、たら……こころの、おくに…くろい、もの、が…あふれ、て……。

 キリ、ト、くん…に…あい、され…たくて…。すごぅ、を……ころし、たいっ、て…」

 

お兄ちゃんと話したというのは分からないけど、お兄ちゃんへの想いと須郷という男への怒りが、

アスナさんを無茶な行動に駆り立たせたんだ。

 

「わ、たし……じぶん、が…わからなく、なりそ…で……」

 

「っ、アスナさん。気をしっかり持って」

 

悲痛なアスナさんの言葉、ティアさんは彼女をしっかりと抱き締める。

アスナさんの胸ポケットから出てきたユイちゃんも、涙を流しながら彼女の頬に抱きつく。

あたしは自分の手を拳にして強く握り締めた。

ハクヤさん達にも須郷に対しての怒りなのだろうか、怒気のようなものが滲み出ている。そんな中……、

 

「ボク、ちょっと出て来るっす…」

 

「ル、ナ…君……」

 

ルナ君が一言告げてから身を翻した。その時見た彼の表情は、怒りに染まっていた。

僅かに名前を呼んで声を掛けるも威圧的な彼の姿に怯んでしまって、後を追えなかった。

そのあと一番近くの宿屋にアスナさんを連れていき、

そこの一部屋にアスナさんとユイちゃん、ティアさんとカノンさんが残り、男性陣も何処かへ行ってしまった。

あたしもこの場に居辛くなってしまい、街へと出てみることにした。

 

リーファSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はい、アスナが敗北しました・・・。

 

全員で取り敢えずアスナの救出を行った次第です。

 

え~、次回の話しはレコンが男をみせます、カッコイイと思いますよw

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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