No.550768

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 健やかに願いて

本郷 刃さん

番外編になります。
3月3日ということは・・?
今回はかなり短めで、本編の話しと同じくらいになっています。

ではどうぞ・・・。

2013-03-03 10:29:20 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:16178   閲覧ユーザー数:15040

 

 

 

 

 

前書きです。

 

今回は特にネタバレになるようなこともないので注意はなしですかね。

それと今回の話しはほのぼのになっており、またいつもと違って短めです。

是非お楽しみいただければなぁと思っています。

それではどうぞ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 健やかに願いて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

「よし、これで揃ったな。手伝ってくれてありがとな、ルナリオ、エギル」

 

「これくらい問題無いっすよ」

 

「気にするな。サプライズにするからには、俺も協力を惜しまないぜ」

 

エギルに礼を言うと彼は笑みを浮かべながら答えてくれた。

現在ALOのイグドラシル・シティ、通称イグシティにあるルナリオの工房に来ている。

あるサプライズを行う為にルナリオとエギル、ここには居ないがシャインやラルドさんの力も借りている。

ルナリオの工房に来ているのはある物を作ってもらうためで、先程頼んだものが全て完成したのだ。

しかしこのアイテムを持っているとストレージが共通化している俺達ではバレてしまうので、

エギルに一度預かってもらうことにした。

シャインにはあるお菓子を再現してもらい、ラルドさんにはある服を作ってもらっている。

2人とも数日前から準備に取り掛かってくれており、ハクヤ達にはそちらの材料&素材調達を手伝ってもらっている。

シャインの方はある程度完成しており、ラルドさんも間もなく完成すると連絡があった。

 

「それじゃあアイテムの保存は頼んだぞ、エギル」

 

「任せろ」

 

「ルナリオはシャインの方に行ってくれ」

 

「了解っす」

 

「俺はラルドさんの方に行っておく」

 

2人にこの後の行動を伝え、俺達はそれぞれ動き出した。

俺はラルドさんのところに行き、作ってもらった服の様子をみた。

俺が到着した時、丁度全てが完成したとのことだ。あとは明日になるのを待つだけである。

 

 

 

翌日になり、俺は早朝からALOへとダイブした。

新生アインクラッドの第22層にある俺とアスナとユイの家、

言葉の誘導で昨日からユイにはアスナの端末に移動してもらっていたので、

ここで彼女を呼ばない限りバレはしないだろう。

 

「おっす、キリト~」

 

「持ってきたぞ」

 

「シャイン、エギル、よく来てくれた」

 

2人が到着したので、俺達は早速サプライズの準備に取り掛かった。

シャインはキッチンに立ち、持ち込んだ材料で調理を始めた。

エギルはアイテムを出現させると、俺と共に飾り付けを始める。

ちなみに服の方はラルドさんが持ってきてくれることになっている。

俺達は手早く準備を進めた。

 

キリトSide Out

 

 

 

 

明日奈Side

 

今日は学校が休みなので朝からALOへダイブしようと思っていたけれど、両親と共に朝から昼まで出掛けることとなった。

その為、先程まで外に居たのだけれどついさっき帰宅した。

 

「それじゃあユイちゃん、そっちに行くからね」

 

『はい、ママ。あ、パパから伝言を預かっていますよ。

 『イグシティに寄ってラルドさんを連れて来てくれ』ということです』

 

ラルドさんを? 何か用事でもあるのかなぁ?

疑問に思いつつも、アミュスフィアを被りベッドに横になった。

 

「リンク、スタート!」

 

明日奈Side Out

 

 

 

アスナSide

 

ダイブしたわたしはイグシティの家で眼を開いた。

わたし達の家は2つある、1つはこのイグシティの方の家、もう1つがアインクラッドにある家だ。

前回をこの場所で終えたので、ここからアインクラッドの方に向かおう。

 

「ユイちゃん、行こうか」

 

「はいです♪」

 

わたしが呼ぶとピクシーのユイちゃんが現れ、2人で家を後にし、ラルドさんのお店に向かった。

 

 

 

「「こんにちは~」」

 

「いらっしゃいませって、アスナちゃんとユイちゃん。じゃあ、もう時間なのね」

 

挨拶をしながらラルドさんのお店に入ると、わたし達に気付いた彼女が思い至ったようだ。

どうやらキリトくんとの予定は前から決まっていたらしい……少しだけ、嫉妬してしまう。

 

「ちょっと待っててね、すぐに準備を終わらせるから」

 

ラルドさんはアイテムストレージを操作して何かを確認すると、

満足そうに頷いてからわたし達と一緒にお店を出た。

 

「それじゃあ行きましょ。キリトくんが貴女達を待っているわ」

 

「え…?」

 

「行きましょう~♪」

 

ラルドさんの言葉にわたしは何か引っ掛かり、しかしユイちゃんが元気よく答えたので、

取り敢えずホームへと向かうことにした。

 

アスナSide Out

 

 

 

 

キリトSide

 

「これで終わりだな…。ありがとう、シャイン、エギル。本当に助かったよ」

 

「なぁに、気にすんなって」

 

「妻と子供の為っていうのは分かるからな」

 

俺達は全ての準備を終え、俺は2人に礼を告げた。シャインはニカッと笑い、エギルも快く受け入れてくれた。

 

「そんじゃ、俺達も帰るわ」

 

「サプライズ、しっかり成功させろよ?」

 

「ああ、成功させるさ」

 

シャインとエギルはそう言ってホームから去って行った。

あとはアスナとユイがラルドさんと共に来るのを待つだけだな。俺は彼女らの到着を待った。

 

 

 

10分程待った時、1通のメッセージが届いた…ラルドさんからだ。

もうすぐ到着するとのことだ、俺はソファに座って到着を待つ。

そして扉が開き、アスナとユイ、ラルドさんが入ってきた。

 

「おかえり。アスナ、ユイ」

 

「ただいま、キリトくん」

 

「ただいまです、パパ」

 

俺が声を掛けると2人は笑顔で応えてくれた。

 

「ラルドさん、態々ありがとうございました。こちらの要望に応えてくれて…」

 

「いえいえ、こっちも良い仕事をさせてもらったわ。これ、依頼の品物ね」

 

俺が礼を言うと彼女は笑みを浮かべてからアイテムをトレードして渡してくれた、代金は支払済みである。

アスナとユイは首を傾げているが気にしない。

 

「それじゃあね。キリトくん、アスナちゃん、ユイちゃん」

 

「「「さようなら」」」

 

ラルドさんは笑顔のまま帰っていった。

 

「パパ、ラルドさんから何をもらったんですか?」

 

「そうそう、教えてよ!」

 

ユイが不思議そうに尋ねてきたのに乗っかってアスナが問い質してきた。

ん~、アスナはもしかして嫉妬しているのか?

俺がラルドさんと内緒の話しを進めたことにヤキモチを焼いてくれたのかもな。そんな彼女に愛らしさを覚える。

 

「教えてあげるから、まずはユイ…元の姿に戻るんだ」

 

「? 分かりました」

 

指示を聞いてユイは首を傾げるもすぐに従って子供の姿に戻った。

 

「それと、2人共これに着替えてくるように」

 

俺はアイテムストレージから2着の服を取り出した。それは…、

 

「これって、着物?」

 

「綺麗です~」

 

着物である。1つは白地に水色の水玉模様の入った着物と紅の帯があるアスナの着物。

もう1つは同じく白地に桃色の桜の模様が入った着物とピンクの帯があるユイの着物だ。

 

「な、なんで着物?」

 

「いいから早く着替えて来て」

 

「ママ、とりあえず着替えてきましょう」

 

「うん、そうだね」

 

驚くアスナの背中を押し、ユイが彼女の手を引いてくれたので2人はそのまま奥に着替えにいった。

ほんの2分程で2人は戻ってきた。

 

「どうかな、キリトくん///」

 

「どうですか、パパ?」

 

「2人共良く似合っているよ。ユイは可愛くて、アスナも可愛くて綺麗だ…」

 

訊ねてくるアスナとユイに俺は頬を緩めながら答えた。2人とも嬉しそうにしている。

そして俺は2人の手を引いて2階に上がった。

1つだけ空き部屋となっており、そこの扉を開いて中へと招き入れる。その中には…、

 

「わぁ~お人形さんですね♪」

 

「こ、これって、雛人形!? しかも5段!?」

 

5段の雛壇に並べられた雛人形がある。ユイは喜び、アスナはかなり驚いている。

 

「今日は3月3日、雛祭りだからな。

 大題的なイベントにはなっていないけど、素材を集めれば作れるみたいだったから、ルナリオに作ってもらったんだ。

 女の子の健やかな成長を祈る日だから、娘であるユイ……そしてアスナも、な」

 

「キリトくん…///」

 

「パパ、ありがとうございます♪」

 

俺が言葉にするとアスナは嬉しそうな表情を浮かべ、ユイははしゃぎながら飛び付いてきた。

アスナとユイはそのまま雛人形に魅入ることになったので、俺は一度下の階に降り、

シャインが予め作っておいてくれた物を持ってきた。

 

「アスナ、ユイ。食べ物持ってきたぞ」

 

「菱餅と雛あられだ♪」

 

「これはちらし寿司ですね♪」

 

「俺のスキルじゃ作るのは無理だからな。シャインに作ってもらったんだ」

 

持ってきたものに気付いたアスナとユイ、作ってもらっていたのはこれだ。

今日はみんなに色々と手を貸してもらったからな、また今度なにか礼をしておこう。

2人ともちらし寿司を食べ始めたので俺も食べることにする。

雛あられと菱餅も食べ、その後3人で出掛けることにした。

 

 

 

 

穏やかな日の光が射す22層の湖の畔を俺達は手を繋いで歩く。

真ん中のユイの手を左右の俺とアスナが繋ぐというまさに親子の図だ。

ちなみに2人はただの散歩だと思っているが、この先にはある1本の木が立っている。

俺は2人にその木を見てもらいたくて散歩に連れ出したのだ。

そしてその場所に辿り着く。

 

「「わぁ~……」」

 

小高い丘の上に立つ1本の木、それには桃色の花びらが満開になっており、

その花びらはひらひらと舞い降りている。

そう、まるで……桃の花のように…。

 

「驚いただろ? 俺も初めて見た時は驚いたよ」

 

「これ、桃の木なの?」

 

「いや、そうじゃないみたいだよ。ただこういう花が咲く木みたいなんだ」

 

聞いてきたアスナに答えておく。

 

「でも、凄く綺麗ですね…」

 

「そうだね。綺麗…」

 

「あぁ、本当に…」

 

ユイもアスナも俺も桃色の花を咲かせる木に魅入る。

折角の雛祭りなのだ、桃の木がなかったから諦めかけたが、こんないい場所を見つけられるとは思わなかった。

 

「夜にはみんなで花見をしながら雛祭りだ。この場所に雛人形も運んでな」

 

「楽しみだね」

 

「はいです♪」

 

そう、夜には他のみんなも誘ってここで宴会になるだろう。

特に女性陣は喜ぶだろうな。

そして俺はユイに向き直るとある想いを伝える。

 

「ユイはどんな存在であっても、俺とアスナの娘だ。

 だからこそ、これからも健やかに元気よくいてほしい。

 俺とアスナからのお願いだ」

 

「っ…はい、パパ♪」

 

僅かに涙を浮かべ、だけど満面の笑顔で頷いたユイ。

俺も笑みを浮かべて彼女の頭を撫でてから今度はアスナの方を向く。

 

「アスナ…。キミもまた1人の女の子だ。これからも健やかに俺の隣に居て、俺を支えてくれないか?」

 

「っ、はい…キリトくん///♪」

 

彼女も涙を浮かべながら笑顔で応えてくれた。

俺は愛する女性と娘を抱き締め、これからの未来に想いを馳せた。

 

キリトSide Out

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

というわけで、今回は雛祭りネタでした。

キリアスユイのほのぼのが見たいという方々のご要望に出来るだけ答えたつもりですが、如何でしたでしょうか?

上手くかけていればなぁとも、思っています。

特に最近は下種郷討伐で忙しく、温かいものがありませんでしたからね。

それでは、また本編で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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