No.544480

酒!恋姫無双~鬼の御子使い~ 7話

イロハスさん

続きです!

2013-02-15 01:18:00 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4335   閲覧ユーザー数:3845

反董卓連合が檄分により各諸侯に伝わる中、董卓軍もまた対策を考えていた。

 

 

霞「相手の規模はどないな感じなん?」

 

詠「まず、一番の勢力として袁紹。君主が無能だけど部下はある程度優秀よ・・・そして何よりも兵  力が段違い・・・質は別としてね。

  次に、袁術・・・まぁこれも袁紹と似たようなもんね。

  ここからが本題、まず確実に曹操と孫策は参加するでしょうね。

  どちらも一度だけ見たことがあるけど、王として器は計り知れないわ。

  涼州の馬騰がどうするのか分からないけど・・・最悪を見越して考えたほうがいいでしょうね。

  

  大きいところではこのくらいかしら。」

 

焰耶「対してこちらの兵力は?」

 

詠「無理をして10万・・・だけど、あまり民を巻き込みたくわないわ。」

 

島津「それを考慮した場合の兵力はいくらぐらいじゃ?」

 

詠「7万・・・これが徴兵をせずに連れて行ける限界よ。」

 

島津「ふむ・・・」

 

華雄「陛下たちはどうする?」

 

チラッと今も寝室で寝ているであろう陛下・・・劉協の身を案じる華雄。

 

詠「そうね・・・陛下には長安に「その必要はない。」・・・!?」

 

劉協「その必要はない・・・朕はここに残る。」

 

詠「陛下!それはなりません!」

 

劉協「いいのじゃ詠よ・・・各諸侯は今回のことで漢に見切りを付ける・・・いや、もうとっくに見   切っていたのかもしれん。しかし、朕は民を見捨てて逃げることなどは出来ん・・・漢の人間   としての最後の意地なのじゃ。」

 

詠「陛下・・・」

 

場の空気が暗く沈む・・・その時

 

島津「がっはっはは!これは面白い!」

 

詠「なっ!?」

 

霞「義弘!?気でも狂ったんか!?」

 

急に笑い出した島津に驚きを隠せない詠と霞。

 

しかし、華雄だけは同じように笑みを浮かべていた。

 

島津「なに、そのような小さな子が覚悟を決めているのに辛気臭いのは似合わん。

   それに、今回の戦・・・武人ならわかるじゃろう焰耶、華雄、霞、恋。」

 

焰耶「・・・そうですね、お館!楽しまなきゃ損ですよね!」

 

華雄「あぁ、これほどの戦・・・楽しくない訳が無い。」

 

恋「ん・・・恋も楽しみ。」

 

霞「まぁ・・・実を言うとウチもだったり・・・」

 

将4名の言葉を聞いて開いた口が塞がらない詠と劉協・・・月だけは微笑んでいた。

 

島津「それに何も戦だけが勝負ではない・・・連合の奴らに洛陽の有り様を見せてやればいい。」

 

詠「・・・それは私も考えたわよ・・・でも時間が・・・」

 

島津「稼げばいい、お主はただこれだけ耐えろと言えばいい・・・あとは儂ら武人の仕事だ。」

 

霞「ええやんええやん、最高にかっこええで義弘!」

 

華雄「うむ、武人の心得をよくわかっている。」

 

恋「うん、義弘かっこいい。」

 

焰耶「お館だからな!」

 

島津「まぁ、猪が多いのが難点じゃがな。」

 

その言葉を聞いて落ち込む華雄を見て笑いが起こる・・・決して決戦前の緊張感はなかった。

 

詠「さて、思いっきり笑ったら楽になったし・・・対策を練りましょう。

  島津たちには最低10日間耐えてもらうわ。その間にこっちでの準備は整えておくわ。」

 

島津「一つ提案じゃ、民たちにその計画に合わせて祭りをさせてくれんか?」

 

詠「・・・理由を聞こうじゃない。」

 

島津「なに簡単なこと・・・民の活気を伝えるなら宴や祭りが一番というだけのこと。

   そして、何も知らずに洛陽に入る連合の奴ら・・・それだけで酒の肴になるわ。」

 

そう言ってまた豪快に笑い始める島津・・・彼がいると暗い雰囲気は一切感じなくなる。

 

霞「・・・確かに面白そうやな。」

 

イタズラを思いついたような顔をする霞。

 

恋「・・・・・・ごはん。」グ~キュルルル

 

・・・恋は相変わらずのようじゃのう。

 

詠「分かったわ、民には私が伝えるわ・・・ほかに意見がなければ各自準備に入って!」

 

そして和やかな空気のまま軍議を終える・・・場に残ったのは島津、詠、月そして劉協。

 

詠「・・・なにかあるの?」

 

島津「うむ、2つほどな。」

 

月「・・・なんでしょう?」

 

劉協「義弘の頼みとあらば無下にはできんの・・・」

 

島津「いや、1つは個人的な話だが・・・もう1つは月と劉協様に覚悟を決めてもらう必要がありま   す・・・よろしいですかな?」

 

詠「ちょっと!それって!」

 

月「詠ちゃん・・・・私は大丈夫です、義弘さん。」

 

劉協「朕もじゃ・・・漢の人間として、そしてこの洛陽のためじゃ。」

 

詠「月、陛下・・・ああ!もう!わかったわよ!聞くわよ!」

 

3人の覚悟を聞いて微笑む島津・・・戦いは近い。

 

霞「うっひゃ~、壮観やなぁ~・・・」

 

華雄「うむ、これは楽しくなりそうだな。」

 

島津「ちょっとは落ち着かんか・・・」

 

3人がいるのは汜水関、連合を最初に足止めする最初の砦である。

 

霞「いやいや、義弘が落ち着きすぎなんやて・・・」

 

華雄「霞の言うとおりだな。」

 

島津「確かに緊張するのはわかるが・・・お主らが落ち着かんと兵も落ち着かんぞ・・・なっ?」

 

そう言って兵に返事を求めれば兵が「アハハ・・」と目を逸らす。

 

霞「・・・次から調練倍やな。」

 

華雄「なら、こっちは3倍だな。」

 

兵士「島津の旦那ーーーー!?」

 

兵士が叫ぶことで周りに笑いが起こる・・・これで緊張も取れたじゃろ。

 

島津「落ち着いたか?」

 

霞「え・・・・・アハハー」

 

華雄「・・・・・むぅ。」

 

 

その言葉を聞いて自分が緊張していたことが分かったのか黙ってしまう2人。

 

島津「適度な緊張感は必要じゃが、行き過ぎれば毒・・・酒と同じよ。

   緊張感が取れなければ笑え、笑ってダメなら沢山の人と一緒に笑え。

   そうすれば大抵なんとかなるもんじゃ。」

 

その言葉を聞いた二人は顔を見合わせて笑っていた。

 

霞「あんがとな・・・・それは、わかったけどなぁ・・・」

 

華雄「・・・・その、腰に下げているのはなんだ?」

 

華雄と霞が指差すのは、島津の腰に掛かっている20個近くの瓢箪。

 

島津「・・・・酒じゃが?」

 

霞「いやいや、それは分かっとんねん。なんでそんな大量に持ってきとるんや言うとるんよ。」

 

島津「ここには10日間近く留まるんだろ?・・・酒が飲めなきゃやってらんないじゃろ。」

 

その言葉を聞いて二人だけでなく兵も唖然としていた。

 

しかし、そこは歴戦の武将・・・すぐに思考を切り替えた。

 

霞「ウチの分は?」

 

ニコニコ顔で聞いてくる霞に、島津も笑顔で返す。

 

島津「ない♪」

 

霞「義弘のドケチーーーーーー!」

 

 

汜水関はとても和やかな雰囲気に包まれていた・・・そこに

 

物見兵「伝令!関の前に各諸侯の将が集まっています!」

 

島津「やれやれ、やっと開戦か。」

 

霞「まぁ、ウチらは気長に待つだけやけどなぁ。」

 

華雄「そうだな・・・そういえば島津は武器はどうした?槍が一本足りないようだが?」

 

島津「あぁ、日本号か・・・恋の方天画戟が治ってないらしくてのう、貸した。」

 

霞「貸したって・・・簡単に言うなー」

 

島津「まぁ、簡単には折れんしの・・・おっ、なんか言っとるぞ。」

 

華雄「あれは・・・・孫策か!」

 

霞「やばっ!」

 

語られたのは武人としてはとても耐えられないような罵詈雑言、そして孫堅に負けたという傷に塩を塗るような侮辱の数々・・・以前の華雄ならこの時点で突撃していただろう。

 

しかし、今の華雄は違う。

 

孫策「どうした華雄、我が武を前に怖気ついたか・・・はっ、我が母孫堅文台に負けて戦が怖くなったか!?猛将華雄も落ちたものだな!」

 

華雄はというと・・・

 

華雄「・・・ふぁ~」

 

あくびをしていた。

 

霞「・・・華雄、大丈夫なん?」

 

華雄「あぁ、この程度そよ風と変わらん。それに見ろあの孫策の顔・・・宛が外れて悔しそうな顔を   してるではないか。」

 

華雄は逆に相手のことを笑う余裕すらあるようだ・・・覚醒華雄はすごいのう・・・

 

島津「しかし、これではつまらん・・・出んか、華雄よ?」

 

霞「ちょっ、義弘!」

 

華雄「う~む、ここは辞退させてもらおう。」

 

島津「そうか・・・霞は行かんか?将一人誰か相手してくれたら酒をや「やる!」・・・お、お     う。」

 

霞「そんじゃ、華雄。頃合見て撤退の合図だしてな~」

 

華雄「あぁ、分かった。」

 

島津「それじゃ、行くかの。」

 

霞「え?義弘なんで城壁に登るん?え、なんで助走付けるん?ちょっ!?まっまさか!?・・・

 

 

いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

 

 

次の瞬間、関に霞の悲鳴が響いた・・・・「霞、生きろ」という華雄の呟きは聞こえなかった。

 

連合side

 

孫策「うーん、出てこないわねぇ・・・」

 

黄蓋「仲間が止めてるのかもしれんのう・・・」

 

 

夏侯惇「しゅ~ら~ん、いつになったら始まるんだ~?」

 

夏侯淵「姉者は可愛いなぁ・・・・」

 

 

関羽「・・・なんなのだ、この緩い雰囲気は・・・」

 

張飛「鈴々は嫌いじゃないのだ!」

 

星「愛紗よ、少しは鈴々を見習ってはどうだ?息を抜くのも必要だ。」

 

関羽「流石に抜きすぎじゃないだろうか・・・」

 

 

馬超「あー暇だなぁ・・・」

 

馬岱「もうお姉さまったら・・・・お姉さま!関から誰か降ってきた!」

 

馬超「・・・・はぁっ!?」

 

 

次の瞬間、一人の悲鳴と一人の笑い声が聞こえ、それは落ちてきたとは思えないほど静かに地面に降りた。

 

島津side

 

霞の悲鳴を聞いて笑いながら地面に降りる・・・・若干膝に来るのう。

 

島津「・・・・むっ!」

 

殺気を感じ、顔の前を鷲掴みにすれば二本の矢。

 

その矢を見て悲鳴を正気にもどる霞・・・結構な腕の持ち主じゃのう。

 

島津「自己紹介もなしとは・・・せっかちは嫌われるぞ?」

 

その言葉を聞いて反応したのは2人。

 

黄蓋「それもそうじゃな、我が名は黄蓋・・・相当の手練とお見受けするが?」

 

夏侯淵「曹操軍、夏侯淵だ・・・まさか、見切られるとはな・・・」

 

島津「島津義弘だ・・・こうも美女に睨まれると男としては辛いのう。」

 

霞「微塵にも思ってないこと言うな・・・張遼や。」

 

孫策「あら、美女って私のこと?孫策伯符よ、華雄はどうしてるのかしら?」

 

島津「あやつなら関の中で欠伸しとったぞ?」

 

孫策「なっ!?・・・そ、そう、ありがとう。」

 

 

関羽「お主らが二人で相手するのか?・・・この関雲長も舐められたものだな!」

 

張飛「鈴々は張飛なのだ!どっちでもかかってこいなのだ!」

 

趙雲「我が名は趙雲・・・油断はできぬようですな・・・」

 

 

馬超「私は馬超!押していくぜ!」

 

馬岱「私は馬岱だよ!怪我しても知らないんだから!」

 

夏侯惇「ん?私が最後か・・・我が名は夏侯惇!華琳様のためにしゅね!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・噛んだ。

 

黄蓋「噛みましたな。」

孫策「噛んだわね。」

 

関羽「噛んだな。」

張飛「噛んだのだ!」

趙雲「しゅね!・・・・ぷっ」

 

馬超「流石にあれは気の毒だな・・・」

馬岱「お姉さまに気を使われてる・・・」

馬超「おい!どういうことだ蒲公英!」

馬岱「キャーーー♪」

 

夏侯淵&島津「姉者(夏侯惇)は可愛いなぁ。」

 

夏侯惇!「う、うるさい!」

 

霞「なんでこうも和やかになるんやろなぁ・・・」

 

場の空気は戦どころではなっかた。

 

島津「・・・さて、大体名前も覚えたしのう・・・そろそろ始めようかのう。」

 

霞「せやな・・・ウチ、関羽あいてしてええか?」

 

島津「好きにしてもいいが・・・危なくなったら退くんだぞ?」

 

霞「分かっとる・・・心配せんでもええ。」

 

孫策「あー、戦場でイチャイチャしないでほしいのだけど?」

 

島津「なんじゃ、僻みか?もうちょっと包容力身につけたほうがいいぞ?」

 

孫策「・・・・」ピキッ

 

霞「ウ、ウチは関羽の相手してくるー!」

 

関羽「張遼が相手か・・・不足はない!」

 

鈴々「じゃあ、鈴々たちの相手はあのお兄ちゃんなのだ!」

 

趙雲「ふむ、これはこれで面白そうだ。」

 

島津「まぁ、誰が相手でもいいが・・・・この殺気に耐えられるか?」

 

その瞬間、今までの和やかな空気はぶち壊れた。

 

黄蓋「ぐっ!?・・・・策殿、これはちとまずいかもしれん。」

孫策「なっ!?・・・・えぇ、頭の中で首が飛ぶのが見えたわ。」

 

馬超「なっ!?なんだよ、この殺気!?・・・・手が震えて槍が・・・」

馬岱「お姉・・・様・・・・・蒲公英、耐えるので限界・・・」

 

張飛「にゃにゃっ!?勝手に体が震えるのだ!?」

趙雲「鈴々・・・それが恐怖だ・・・最も私も恐怖で動けんがな・・・」

 

夏侯淵「ぐっ!?・・・姉者!?大丈夫か?」

夏侯惇「こ、この程度・・・なんてことは・・・ない・・・」

 

 

島津「ふむ・・・気絶しなかっただけマシといったところかのう。」

 

島津がしゃべり始めると殺気は収まる。

 

各諸侯の猛将たちが息を切らして膝をつく。

 

島津「一番まともなのが夏侯惇と馬超、そして黄蓋か。」

 

島津がブツブツ言っている間も猛将たちは動けない。

 

孫策(なによあの殺気は!母さまでもあそこまでいくかどうか・・・)

 

趙雲(まずい・・・ここで島津殿が動けば・・・)

 

夏侯惇(まさか・・・この私が一歩引いただと・・・!)

 

島津「さて、お主らには質問に答えて貰おうかの・・・何、兵たちは皆気絶しておる、恥も外聞もな   い、素直に答えると、いいことがあるかもよ?」

 

そう聞いた各諸侯は自軍の状況を見て唖然とする・・・誰ひとり立っていない。

 

島津「さて、援軍が来ても面倒じゃから、ぱっぱと聞くかの・・・・・・

   

   殺気を受けて「生きたい」と思ったものは得物を握れ。」

 

その言葉を聞いて真っ先に得物を握ったのは意外にも趙雲だった。

 

島津「ほう・・・意外じゃのう。」

 

趙雲「ふふ、あなたも人が悪い・・・あなたに得などありませんぞ?」

 

島津「それを決めるのは儂じゃ・・・お主酒は好きか?」

 

趙雲「それは失敬・・・ふむ、嫌いではないですな。」

 

それを聞いた島津はニヤリとして腰に下がっていた瓢箪を外し、一口飲むと趙雲に投げ渡す。

 

趙雲「・・・これは?」

 

島津「儂の酒じゃ。儂は気に入った輩には自分が飲んだ酒を飲ませとるんでな。」

 

趙雲「ふふ、島津殿は相当お人好しのようだ・・・ほう、これは美味ですな。」

 

飲んだ趙雲だ目を見開いて感想を述べる・・・黄蓋と孫策の喉がなった気がした。

 

島津「それ、飲んだらさっさと天幕に戻れ・・・次は戦場じゃないことを祈ろうかのう。」

 

趙雲「ふふ、どこまでも甘いお方だ・・・ではお先に失礼する。」

 

そういって趙雲は自軍に向けて駆けて行く。

 

島津「あ、張飛も行っていいぞ。これはお主にはまだ難しい話じゃった。」

 

張飛「む、鈴々だってわかるのだ!」

 

島津「そうじゃな、ならこれを持って友達と飲むといい。」

 

張飛「お酒はあんまり好きじゃないのだ・・・」

 

島津「大丈夫じゃ、それは甘酒と言って甘い酒じゃからのう。飲んでみるといい。」

 

そう言うとちょっとだけ飲む張飛。

 

島津「・・・甘いのだ!朱里と雛里にも飲ませるのだ!お兄ちゃんありがとうなのだ!」

 

そう言って駆けていく張飛を見て笑みを浮かべる島津。

 

島津「うむ、子供は笑顔が一番じゃな。」

 

夏侯淵「その言葉には私も賛成だな。」

 

島津「次はお主か夏侯淵・・・」

 

意識を向ければ弓を握っている夏侯淵。

 

夏侯淵「趙雲も言っていたが、こんなことをしてお前の得にはならんだろうに。」

 

呆れ顔で言う夏侯淵に笑ってしまう島津。

 

島津「儂から言わせてもらえば、美人がこんな血なまぐさいことしてる方がよっぽど信じられんわ    い。」

 

夏侯淵「お前・・・・変わってるな。」

 

島津「お主もな。」

 

そう言って酒を投げ渡すとお互いに静かに笑う。

 

夏侯淵「ほう、確かにうまい・・・我が主君にも飲ませてよろしいかな?島津殿。」

 

島津「別に構わんが・・・そうじゃな伝言を伝えてもらおう。」

 

夏侯淵「承ろう。」

 

島津「孤独な王に大陸の制覇は無理だ・・・こう言えば曹操ならわかるじゃろう。」

 

夏侯淵「・・・島津殿はとことん甘いな。」

 

島津「女には特に・・・な。」

 

夏侯淵「違いない。」

 

そういって夏侯惇の隣に立つ夏侯淵。

 

島津「・・・待っているのか?」

 

夏侯淵「姉者はこの質問の意味がわかっていないからな・・・」

 

島津「夏侯惇・・・おぬし「馬鹿」と言われたことはないか?」

 

夏侯惇「な、なんでそれ・・・言われてない!」

 

夏侯淵「姉者・・・もう遅い。」

 

夏侯惇「しゅ~ら~ん~」

 

島津「だが、夏侯惇よ・・・馬鹿で何が悪い!」

 

夏侯惇「・・・・ふえ?」

 

夏侯淵「・・・ほぅ。」

 

島津「いいか、武将に必要なのはちょっとの知識と大きな武力だ。

   どちらもできるのは王だけで十分、馬鹿は馬鹿らしく一つを極めればいい!

   文官の奴らにはこういってやればいい!

   なら、お前たちは武力をみにつけられるのか?

   そうすれば、夏侯惇・・・お主を無闇に馬鹿と言うものはいなくなる。」

 

夏侯惇&夏侯淵「・・・・」

 

島津「・・・なんじゃ、二人して変な顔して。」

 

夏侯惇「いや、まさか馬鹿という言葉で褒められるとは思わなかったのでな・・・」

 

夏侯淵「姉者に同じく・・・」

 

島津「馬鹿の一つ覚え・・・されどそれは中途半端な奴には届かない領域・・・つまり、馬鹿でしか   たどり着けないんじゃよ。」

 

夏侯惇「ふむ・・・よし!私の真名は春蘭だ!」

 

夏侯淵「なら、私も・・・私の真名は秋蘭だ。」

 

島津「急じゃのう・・・儂には真名がないのでな、好きに呼んでくれ。」

 

春蘭「なら、義弘と呼ばせてもらおう。義弘の考えはとても参考になった!」

 

秋蘭「ふふ、姉者があんなにはしゃぐとはな・・・感謝するぞ島津殿。」

 

島津「なに、同じ馬鹿というだけじゃよ・・・・まぁ、布陣と撤退を覚えればいいほうじゃろ。」

 

秋蘭「・・・・善処しよう」

 

春蘭「?何してるんだ秋蘭!酒も貰ったし急いで帰るぞ!桂花に一泡吹かせてやる!」

 

秋蘭「・・・・はぁ。」

 

島津「まぁ・・・頑張れ。」

 

その言葉を背に、自陣に帰ろうとしたその時

 

 

兵士「島津義弘!死ね!」

 

いち早く目覚めた兵士が弓を放つ・・・しかし、兵士の狙いは気絶直後で狙いが定まらず矢が目指すのは春蘭。

 

秋蘭「くそっ!」

 

弓を放った兵士の眉間に矢を放ち、すぐに春蘭に声を掛ける。

 

秋蘭「伏せろ!姉者!」

 

春蘭「なに!?」

 

・・・しかし、時すでに遅し。その矢は春蘭の目に真っ直ぐと飛んでいっていた。

 

秋蘭「姉者ーーーーーーー!」

 

ザシュッ・・・肉に刺さる音がする。

 

 

しかし、それは春蘭の目ではなく・・・・島津義弘の目に突き立てられていた。

 

島津「ふん・・・迷いがあるからこうなるのじゃ。」

 

島津は特に気にした様子もなく矢を放った兵士を見ている。

 

春蘭「義弘・・・なんで・・・」

 

そう聞く春蘭に笑顔で語りかける島津。

 

島津「なに、同じ杯を交わした仲間が危機なのだからかばうのは当然。

   それに、女は守るため以外の傷をつけるべきじゃなかろう?」

 

それを聞いた春蘭は顔赤くし、秋蘭もまたその姿に見惚れていた。

 

その時、関から撤退のアイズが鳴り響く。

 

島津「時間か・・・それじゃあの。次は戦場じゃないことを祈る。」

 

 

そう言って関に引き返す島津を負うものはいない。

 

結局最初の戦闘は怪我ををしたのは島津だけ、死者一人と戦闘と呼べるものではないが、明らかに連合軍の士気は敗北のそれと変わらなかった。


 
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