拠点:美華
「究極の料理!?」
初平の変が終わった後、一刀達は忙しい日々を送っている。
「姉上、頼まれた仕事が終わったよ……次はどうする?」
「じゃあ……これをお願い……」
「これは……」
瑠理から紙を渡され内容を確認する。
「……分かった」
何をすれば良いかわかった後、その紙を持ってすぐに瑠理の部屋を出て走る。
――しばらく走っていると……
「あら?、一刀……」
理奈の呼び止める声が聞こえ、立ち止まり彼女がいる方向を振り向く。
「理奈様?、どうしたんです?」
「実は……」
どうやら彼女も一刀に頼みごとあるようだ。
「……なるほど、分かりました……では今の仕事が終わったらすぐに取り掛かります」
「お願いね」
そして再び一刀は走っていった。
――このように次々と仕事が入ってくるため中々時間を空ける事が出来ずにいた。当然、美華と一緒にいる時
間も減っていく……
(最近美華といられないなぁ……拗ねなければいいんだけど……)
彼女が拗ねたことによって起こる暴走……やはりそこがどうしても心配してしまう。かといって簡単に休んで
よいような仕事でもないのだ。
ちょっとした休憩時、どうするかと悩んでいたとき……
「一刀、お疲れ様」
「あ、理奈様もお疲れ様です」
理奈から労いの言葉を掛けられた。そしてすぐに彼女の手に持ったお菓子を渡される。
「これは……」
「休憩中でしょう? これは昨日作った私の手作りのお菓子なんだけれど……よかったら食べてみて」
「本当ですか!?、ありがとうございます」
手作りしたものをもらえた事を純粋にうれしかった一刀はうれしそうに礼をいうと早速そのお菓子を食べる。
「うん、美味い!!」
「良かった……うふふ……」
理奈は頬を赤く染めて微笑む。それからお茶を用意し、一刀に差し出すなどの世話をした。そのかいあって、
ささいな休憩なのだが十分に休むことができた。
(よし!! それじゃあ美華との時間を少しでも増やすために早く終わらせるか!!)
しかし、彼は既に過ちを犯していたことに気付いていない……そして先ほどのやりとりを見ていた視線を……。
理奈にお菓子やお茶を振舞ってくれたおかげでいつも以上に仕事を終わらせることが出来た。一刀はすぐに美
華と会いに自分達の部屋に入る。
「美華!!、仕事が終わった……ぞ?」
部屋に入った瞬間、一刀は異常な雰囲気を感じた。部屋を見渡しその原因を探る。それはすぐに見つかった。
(あれ? 美華? 何かものすごいもの感じるぞ……)
一刀の顔から冷や汗が出る。
(まさか……過ごせる時間が少ないからとうとう拗ねたのか!?)
そんな事考えると美華が一刀に気付き振り向いた。
「ア、一君ダ……オカエリ……」
彼女の目は虚ろになっていて声がいつもより低く鋭さがあって明らかに正気では無かった。
「マッテテネ……モウスグ料理、デキルカラ」
「お、おう……そうか、待ってるよ」
彼女の言葉に何とか返事をした一刀。
(な、何かとんでもないものが出来そうだ……)
今までの経験からそう思った一刀だった。
「フフ、メシアガレ」
「お、おう」
美華に催促されさっそく料理を口にする。
(え!?、なんだこれ?)
なんともいえない味の料理に思わず首をかしげ何が入っているのか聞いてしまう。
「なぁ、これって一体何が入っているんだ?」
「ワタシノ血……」
(血だけか? にしては……)
そう思った直後、
「ワタシノ唾液、ワタシノ汗、ワタシノ母乳、ワタシノ……」
次々に入っているものを淡々と言った。美華のありとあらゆる体液が入っていた!
(わ、わーい……美華全席だぁー)
一刀は思わず心の中でこの料理を美華全席と名づけた。
「えっと、どうしてそういう料理を作ろうと思ったの?」
「ダッテ……」
一刀の質問に美華は答える。
「雌豚ノオ菓子デ毒サレテルジャナイ!!」
(げぇ!!、あの時かぁー!!)
そう、先ほどの見ていた視線は彼女だったのだ。仕事で疲れて少し思考が鈍くなっていた事や理奈の手作りと
聞いてうれしくなった事で彼はすっかり失念していた。
「早ク食ベテ!!、完全ニ毒ガマワル前ニ!!ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク――」
壊れたように早くと何度も呟く美華。
(あー、大人しく食べる以外ないよなぁー……)
一刀は観念して先ほど名づけた料理、美華全席を平らげることにした……
あとがき
他に何が入っていたかは想像にお任せします……
次は瑠理の拠点に行きたいと思います。
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とりあえず拠点から投降することになりました。
わーお……