拠点:瑠理
「姉弟の過激な買い物」
「一刀、今休憩?……」
「姉上?、どうしたんだ?」
それは、一刀が少し長めの休憩が取れた時のことだった。どこで休憩しようかと思いながら歩いていたら瑠理
に声を掛けられる。
「一緒に買い物に行こう」
「え?、ちょ、待っ……」
瑠理は一刀の返事を待たず彼の腕を掴み、町へと連れて行った。
「それで、買い物って何を……」
「私の服……最近忙しくてなかなか買えなかったから」
洛陽を追い出されたとき、最低限の物しか持ってこなかったためお洒落な服といったものが不足していた。一
刀は既に揃えているのだがどうやら瑠理はまだだったらしい。そこまで理解した一刀は彼女の買い物に大人しく
付き合うことにした。
一刀は自分は荷物持ちとして連れてこられたのだろうと思っていた。服屋に入るまでは……
――そして目的の店に入った後……
「一刀、これはどう思う……」
「うん、似合っているよ、姉上」
瑠理は選んだ服を試着した姿を一刀に見せていた。そして一刀は見ながらどの服が瑠理に似合い、買うべきか
を考えながら返事をする。
一刀は荷物持ちのためだけに連れてこられたと思っていたため、最初は戸惑っていたが洛陽に居た頃を思い出
した。
(そういえば少し前もこんなことがあったっけ)
一刀は此処最近の忙しさによってそのことをすっかり忘れていた。もっとも覚えていて遠慮しようとしても結
局は連れてこられていただろう。そう思うと戸惑うのも馬鹿らしいと思った。どうせこうなるのなら瑠理に似合
う服を選ぼうと開き直ったという訳だ。
そうして何度か同じことを繰り返し一刀は瑠理にどの服が良いかを伝える。彼女は一刀が選んだものをそのま
ま購入した。
(これで終わりだな……)
いくら開き直ったとはいえここは男女総合の服屋ではなく女性向けの服屋である。やはり居辛さというものは
あった。一刀はすぐに此処から出ようとしたが瑠理に腕を掴まれる。
「あ、姉上?」
「まだ、終わっていない」
「え!?」
一体どういうことなのか、と一刀考える。此処は服以外では下着だけである。無論女性用の……
「ま、まさか……」
一刀は恐る恐る彼女に聞くと、
「下着も買う」
(う、嘘~)
これはさすがに動揺した。だが掴まれた腕を引っ張られ、結局は付き合わされることになった。
――そして……
「これはどう……」
「に、似合ってると思います」
下着も選んだものを試着し、一刀に見せていた。姉弟とはいえ年頃の女子の下着姿を見せられ一刀は敬語に
なってしまい顔も赤くしていた。瑠理も若干頬を赤くしている。
「まぁ、殿方にあんな姿を見せるなんて……あの二人って恋人同士なのかしら」
「え?、でもあの人たしか姉上って……」
(う、うわぁ~)
周りのひそひそ話に一刀は居たたまれなくなってしまう。だがそれでも瑠理は試着を続けては一刀に見せ続け
る……
(前まではこんなこと無かったのに……早く終わってくれ~)
早く終わることを願いつつ、それは続いた。
終わった後は服と同じく彼に選んでもらいその下着を購入した。
一刀に下着を選ばせる瑠理は大概といえるが、ちゃんと考えて選んでいたあたり、彼もけっこう大概ではあっ
た。
服屋から出た瑠理は頬を赤くしながらも機嫌が良い足取りだったが一刀はげんなりとしていた。その後一刀は
すぐに仕事に取り掛かるが買い物のことで頭から離れられずなかなか効率よく作業が出来ず、結果終わらせるの
が遅くなってしまう。当然いつもより疲労が溜まってしまった。
「一君!?、どうしたの?」
「ああ、ちょっと疲れただけだ。さすがに今日は休ませてくれ」
「う、うん分かった」
美華はその様子を見てさすがに心配になり、かまってとは言えなかったので、今回は添い寝だけということに
なった。
――余談だがその真相を知った美華は瑠理とひと悶着を起こしたようである。
あらすじ
これから彼女は一刀が選んだ服や下着をつけることになるでしょう。
次は江里香と理奈になります。
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少し調子が良いので連続投降できましたー。