よし、完璧だ。
黒いローブを着た男が一人、薄暗い廊下でグッと拳を握った。
ようやく…ようやく、この時が来たのだ。
待ち焦がれたほどのこの瞬間のために、どれだけ苦労と重ねたことか。あの男に勝つためだけに。ただ、それだけのために私はここにいるのだ。
そう言い聞かせてきたがそれも今日で終わりであろう。
蟻の子一匹通さないように使い魔には命令してある。窓や出入り口には結界を張った。これで抜け出せるはずがない。
「…完璧だ」
自然と、男の口元に笑みが浮かぶ。
あの男が自分に敗北する姿が、男の脳裏にありありと浮かんでいた。
部屋の扉の前で、一度深呼吸して扉を叩く。
「クラウスです。入ります」
片手に資料の束を持ち、クラウスと名乗った男はドアノブに手をかけた。
「……」
部屋の中は沈黙に満ちていた。
「師匠…?」
その人物は、クラウスに背を向けるようにして椅子に腰掛けていた。彼の姿を見てクラウスは笑いをかみ殺す。
「師匠、どういう風の吹き回しです? こんな天気のいい日に閉じこもって、持病の癪ですか?」
思いっきり皮肉を言ってやった。あまりにも嬉しすぎて腹で茶どころか風呂が沸かせそうだ。
勝った。
五年間。長かったがようやく私の想いが天に通じたのだ。
ああ、神様ありがとう。
その場に誰もいなければ、そう叫んでいたことだろう。
「まあ、ようやく師匠も真面目に働いていただけるようになったことですし、私としても嬉しい限りで…師匠?」
おや? とクラウスは思った。
おかしい。
明らかにおかしい。普段ならば、人の皮肉には倍返しにしてくるはずの男が今日に限って何一つ言わない。何故かずっと沈黙を保っている。
「師匠…師匠!!」
勢いあまってクラウスは男の肩を掴む。
ゴトン、と男の身体が床に崩れ落ちた。その様子にクラウスの顔が青ざめた。
「…っ!?」
クラウスの視線は男の顔に釘付けになっていた。彼の手から落ちた資料が床に散らばる。
爪が、掌に食い込むようにクラウスは手を強く握り締めた。
それに追い討ちをかけるように机の上に置いてあった紙が彼の視界に入る。
「……」
クラウスはその紙をにらみつけた。理由は単純だ。その紙は手紙であって「有能なる皆々様へ」と書いてあったからだ。
嫌な予感がしながらも、クラウスは手紙の封を切った。
『有能なる皆々様へ
最近、梅雨の季節も去ったということで、久しぶりに外に出てみたくなりました。こんな天気のいい日は外に出てリフレッシュ。ということで、しばらくここに戻ることはないでしょう。後のことは有能なクラウス=アルベルト君に一任します。
追伸。
魔術の実践はいいですがほどほどに。真実の目を養いたければ、見かけだけに惑わされていてはまだまだですね』
「レグルス!!」
手紙を握り締め、今度こそクラウスは絶叫した。
それと同時にクラウスが倒した人形は砂になって虚空へととけてしまった。
少女が一人、森の中を歩いていた。
黒いローブを羽織っており、大きな杖を持った所謂魔女の格好をしている。彼女は十五歳にもみたない少女であり、目深までかぶったフードから金色のきれいな髪が見え隠れしていた。
夜、顔を隠した魔術師が杖を握り締めてひたすら森を歩き続けている。ぶかぶかのブーツが地面を擦る音だけが響いていた。
森の名前は『迷いの森』
本来ちゃんとした名前があるのだが、このあたりでは地元の人間は皆そう呼んでいる。
普通の人間では決して通り抜けることのできない魔の樹海であるからだ。
そんな場所を、成人もしていない少女が夜一人で歩いている。普通ではなかった。
少女の足音以外何も聞こえなかった森の奥から、ふと馬の走る音が聞こえてきた。それはだんだん大きくなってきて、彼女の目の前で止まった。
「そこなる人の娘。ここは人の在るべき域ではない。早々に立ち去るがよい」
少女の目の前に現れたそれは、馬上から少女に言葉をかける。
すると少女は凛とした美しい声で歌うように言った。どこか相手を小馬鹿にしたような表情で。
「人には人の生きる道を。魔には魔の生きる道を。彼らが交差は魔の邪域。我等は彼の世界を知らず。彼等は我等の世界を知らず。時の狭間に入りみて、我は我が道を行かん」
小難しいことを言っているようだが、早い話が「私がどこを通ろうと私の勝手。あなたたちの道理は知らん」ということだ。
『迷いの森』は魔物たちの通い路である。本来人間が踏み入るべき場所ではないのだ。
「それがそなたの答えなれば、私はそなたを殺さねばならない」
「それが出来るのならば…やってみるといい」
初めて、少女が顔を上げた。濃い紫の瞳で、相手を見据える。馬上にいる、鎧をまとった骸骨を。
「……」
小さな魔女の鋭い瞳に、骸骨はやや怯んだ。
少女とは思えないその気配に気後れしながらも、骸骨は腰の剣を抜く。そんな骸骨を見て、少女は再び口を開いた。
「あなたは世界の理を知るだろう。魔性という存在を、化生という存在を。そして魔性を喰らう魔獣という存在を」
はっきりとした笑みが魔女の口元に刻まれた。
「何を…」
するつもりだ、と言う前に骸骨は地面に放り出されていた。それは一瞬の出来事で、何が起こったのかすぐにわからなかった。
「月の眷属は我が眷属。我らが女神は月の神。月は我らを護り給う。彼等は月の女神に敵うはずもなく」
高らかと詠う魔女の傍らに、獣の姿を骸骨は見た。それは銀色の毛を持った狼だった。
「彼等は世界の摂理を知るだろう。弱き者は生きる術もなく、強き者が覇道を歩む」
魔女が笑った。骸骨に向かって。
「死人が逝くは死者の国。灰は灰へ、塵は塵へ。正しき道へと導かん」
まるで歌を歌っているように魔女は宣言した。とても少女とは思えないような声で。
骸骨は背筋に嫌なものを漢字ながらも、剣を構えると魔女へ向かってそれを振り下ろす。
「…眠りなさい。永遠なる棺の中で」
骸骨の剣先が魔女の脳天に届く直前、何かが軋む嫌な音が聞こえた。
軋む音は骸骨の側で何度も何度も聞こえる。それを見た少女は露骨に顔をしかめた。
「何で打ち合わせどおりできないかなぁ」
少女の声の質が一瞬にして変わった。先ほどの凛とした精練な声ではなく、ただの普通の小娘の声に。
「獲物を前にして黙っている狼がどこにいる?」
喋ったのは骸骨の首を噛み砕いた狼だった。骸骨の頭が地面に転がり、それはぴくりとも動かなくなった。
「まぁ、気持ちはわからないでもないけど…折角のサンプルがいなくなっちゃったじゃないの」
顔をしかめて少女は言った。まだ幼さの残っている可愛らしい顔で。
サンプル…さらさらと白い粉を撒き散らしながら虚空へ解けていく骸骨を見て、少女はため息をついた。
実態がなくなると、そこに白い光がふわふわと浮いていた。それを狼が一口でたいらげる。
「ここは既に魔の領域。サンプルになるものなんていっぱいいるだろ」
「嫌だ。私は骸骨君がよかったの」
「じきに出てくるさ」
「むー」
少女はふてくされて頬を膨らませる。そんな彼女の態度に狼はやれやれとため息をついた。
「さあ、仕事は早く済ませようぜ。レグルスと創世書とやらを探すんだろ?」
「そーだよ」
心なしか、狼の表情が生き生きしているように見える。少女は、どうせ狩りができることを喜んでいるのだろうと解釈した。
狼に聞こえないようにこっそりとため息をつく。
何であたしが。
原因はわかっていた。それは数日前に遡る。
「大変だ!!」
全ては、誰かのその一言から始まった。
フレイルドール魔術師連合本部。
有望ある魔術師を育て、世に送り出している団体の本部である。王都の学術区にある一際大きな建物だ。王都からの多大な援助を受けており王立学院以上の大きさを誇っている。
それは新米魔術師——アリスが食堂で遅めの昼食をとっていたときのことだった。
「魔獣が研究室から脱走した! 直ちに生徒は外に避難を!」
教師の一人が食堂へやってきてそう大声で言うと廊下の向こうへ走り去る。
ざわざわと食堂が騒がしくなった。
「……」
アリスはため息をついてフォークを手放す。まだ、おかずが残っていたがまずい飯が更にまずくなったというように顔をしかめた。そんな彼女の横や前を他の生徒が次々と走りぬけていく。
「…魔獣か」
さして興味がなさそうにアリスはテーブルに頬杖をついた。避難するつもりはないようだった。
魔獣とは人里離れた場所に住んでおり、動物はもちろん人をも食料にする凶悪な魔物である。生徒はもちろんのこと教師たちが騒ぎ出すのは当然だった。
そんなことよりも、アリスにとってはこれからの追試の方が大問題だった。
「…めんどくさい」
アリスはいわゆる落ちこぼれと呼ばれる部類の生徒で、いつも成績は下から一番め。その原因が極度のめんどくさがりであることと興味がないことにはとことん興味がないこの性格が災いしていた。
唯一の趣味である魔法生物の合成は寝る間を惜しんで研究に没頭するくせにそれ以外のことには全くといっていいほど努力をしようとしないのである。その唯一の魔法生物の合成も才能がないのか失敗してばかりなのだが。
辺りが静かになったので顔を上げるとアリスは食堂に一人取り残されていた。生徒はもちろん、食堂で働いている人たちの姿も見えない。皆外に避難したのだろう。
「魔獣ねぇ…」
紙パックに残っているジュースをストローで口に流し込む。
すると廊下から足音が聞こえて誰かが食堂に入ってきた。
「まだこんなところにいたのか。君、ここは危険だから早く避難なさい」
最後の見回りに来たのか、さっきの教師がアリスの姿を見てゆっくりと近寄ってくる。
アリスは食べ残しのスパゲッティを見ながら教師に聞こえないようにそっとため息をついた。
その時、食堂の窓が割れた。教師が驚いて音がした方を見るとそこには一匹の狼が息を切らせてその場に佇んでいた。
銀色のきれいな毛並みを持った狼がジッと彼等を見つめている。
「ひ、ひいっ!!」
教師の間抜けな悲鳴が食堂に響いた。
「これが…魔獣」
そこでようやくアリスは立ち上がった。
狼の額には月の紋章を模した刺青のようなものが浮かび上がっており、その凛々しい姿は威厳に満ち溢れている。
なんて、美しい生き物なのだろう。
アリスはその獣を見て感動していた。
狼もジッとアリスを見つめている。
その場から誰も動かずしばしの沈黙が辺りを支配していたが、それを破ったのはさっき悲鳴を上げて尻餅をついていた教師だった。
教師が何か呟くと、魔獣がいた場所に炎の柱が立った。轟音を立てて炎が魔獣を焼き尽くすが、魔獣は目にも止まらぬ速さで瞬時に教師の後ろを取っていた。
「なっ…!?」
教師の顔が恐怖に歪む。魔獣は爪を立てて教師に飛び掛った。
「やめなさい」
凛とした第三者の声に、ぴたりと魔獣の動きが止まった。
騒ぎを聞きつけてやってきたのか、深々とフードを被った魔術師が杖を片手に高らかと言った。
「ルーンウルフよ、月の眷属である誇り高き獣よ、古の契約によりその牙と爪を収めなさい」
魔術師の言葉に、魔獣は唸り声を上げて相手を魔術師を睨みつけていたが、やがて観念したのかその場に座り込む。
魔術師は腰を抜かして座り込んでいる教師とアリスの姿を見つけると、被っていたフードを取った。
「またお前か、アリス」
黒い髪と黒い目を持った魔術師は、自分の弟子を見て深くため息をついた。
「まあ、お前が素直に避難してるとは思えなかったがな。でも、一歩間違えばダイスが死んでいたところだぞ」
アリスの師匠——レグルスの私室へアリスは連れてこられていた。ダイスというのは先ほどの教師の名前である。
「すみませんでした」
ひとかけらも反省していない態度で謝るアリスにレグルスは苦笑した。
「まぁ、過ぎたことはいい。しかし…」
「どうかしたんですか?」
アリスが尋ねるとレグルスは彼の足元で丸くなっている魔獣に視線を移す。
「どうやら彼は囮だったらしいな。アリス、俺はしばらく旅に出る。俺が戻るまで彼のことを頼みたいんだが」
彼というのはどうやら魔獣のことのようだった。
「…は?」
「大丈夫。人の言葉はわかるから」
それじゃあ、よろしくと言ってレグルスは部屋から出て行ってしまった。
その場に残されたアリスと魔獣は互いの顔をまじまじと見つめる。そしてアリスはふるふると震えだす。
「…あ、あの馬鹿師匠…!!」
相手の答えを待たずに押し付ける論法はレグルスの最も得意としているものだった。それで面倒をいくつかぶってきたかもう数えてすらいない。
それはアリスに限ったことではなく、本部の誰もが被っていることだった。本部の長も例外ではない。
アリスは他人が師匠の被害にあっているところを見るのは好きだったが自分が被害を被るのが何よりも大嫌いだった。
まあ、単に学習能力云々の問題ではあるのだが。それでもここ最近はアリスも師匠の被害を受け流す術は身についていたのだが、久しぶりに師匠に会ったことで油断していたのだ。
「まったく、やってらんないね」
怒りで震えるアリスをよそに、魔獣が口を開いた。つまらなそうに欠伸をして外見とはまったく似つかぬ少年のような声だった。
「…へ?」
まさか口を開くとは思っていなかったらしく、アリスは魔獣をまじまじと見つめる。
レグルスは「人間の言葉はわかる」と言った。しかし「人間の言葉を喋る」とは言っていない。
「あんた、喋れるの?」
「アリス=ウェルズドールか…僕の名前を当ててみなよ」
からかうような口調で魔獣はアリスのフルネームを口にした。アリスを試すような表情でジッと彼女を見つめている。
「…」
だが、アリスは答えなかった。
「どうした? 僕の名前、あいつの弟子なら当然答えられるよね?」
魔獣の言葉にムッとしたのかアリスが口を開く。
「魔獣が喋れるなんて師匠は言わなかったわ。だからあなたの声は聞こえない。おそらく、聞こえてはいけないのでしょうね。魔術師は特に魔物の言葉に影響されやすい。だからあなたの言葉は聞かない。わかった?」
見習いの魔術師は師匠の言葉を信じなければいけない。つまりは師匠の言葉は絶対ということなのだ。特に魔獣や魔物を扱う場合、力の弱い魔術師は簡単に魔物の言葉を信じ込み魅了されてしまう。そうならないように、師匠が魔物と対話し、魔物を理解した上で弟子の魔術師に扱い方をレクチャーするものなのだ。普通は。その辺りレグルスの場合は雑だが。
「師匠はあなたが人間の言葉を理解するとは言ったけど、あなたが人間の言葉を喋るとは言っていない」
アリスの言葉に、魔獣は肩をすくめた。
「屁理屈だな。実際に僕の言葉が聞こえているからそんなことを言うんだろ?」
「…」
「いつの時代になっても、魔術師というのは理解しがたい生き物だな。屁理屈の達人だ」
不本意ながらも、その通りだとアリスは密かに同意した。
「けど、あなたもおなじでしょ? 化け物の考えることなんてわからないわ」
アリスがわざと馬鹿にしたような口調で言うと、魔獣はムッとした。
「化け物じゃない。僕はライビットだ」
魔獣——ライビットの言葉にアリスはくすっと口元に微笑を浮かべる。
「相手の名前を当てるのにわざわざ魔術を使うまでもないでしょ? 遠回りしてでも名乗らせればいいのだから」
勝ち誇ったアリスの顔を見てライビットは小声で「レグルスより酷い」と呟いた。
地獄耳のアリスは、あえて聞こえぬふりをした。
そんなことをしていると、廊下から誰かが走る音が聞こえてきた。そしてアリスのいる部屋の扉が力いっぱい開かれる。入ってきたのは黒のローブを着た男だった。
「師匠!!」
「…あら、クラウスじゃない。おひさ」
アリスが軽く手を上げると、男——クラウスは息を切らせながら尋ねる。
「し、し、師匠を知りませんか…?」
「ああ、師匠なら旅に出るって出て行ったわ」
「な、な、な…」
「今から追いかければ間に合うんじゃない?」
アリスの提案に、クラウスはこくこく頷いて部屋から出て行こうとするがそれを遮るかのように数人の教師たちが部屋に入ってきた。
そして不躾にレグルスの私室にあるものを調べ始める。
「何の騒ぎです?」
アリスが尋ねると一人の教師がアリスとクラウスの前に立って言った。
「レグルスが創世書を盗んで逃げました。あなた方はあなた方の師匠がどこに行ったのか知っていますね? 正直にお話なさい」
「…はぁ?」
アリスとクラウスは互いに顔を見合わせた。
「しらばっくれても無駄ですよ。レグルスがそこにいる魔獣を使って騒ぎを起こし、その間に創世書を持ち出して逃げたのはわかっているのですから」
そう言ったのはさっきの無能教師——ダイスだった。
「師匠がそんなことをするはずがありません」
反論したのはクラウスだった。
「確かに、師匠は世界で一番仕事嫌いで、ずぼらで、なまけもので、一生を寝て過ごしたいなどと妄言を振りまく駄目人間ですが、盗みなんてちんけなことをするような人ではありません」
クラウスの言葉にライビットが吹き出したがアリスは無視する。酷いことを言っているが、クラウスは至って真面目だった。
「そうは言っても、実際にレグルスは姿を消し、彼以外に盗み出せる人がいないことも事実なのです」
「君も見たでしょう。レグルスがその魔獣をなだめるところを」
ダイスが今度はアリスに向かって言ってきた。
「確かに師匠はそこのルーンウルフと契約しているようですが…お言葉ですが、私がいなければ師匠はルーンウルフの暴走を止めなかったと思いますよ」
「うっ…」
アリスの言葉にダイスは絶句した。アリスのような生徒が危険に陥ったとき、契約のうちだと言ってレグルスは重い腰を上げて助けるかもしれないが、同じ職員、教師が危機に陥った時、無関心を貫くのがあのレグルスだ。
「確かに。仮に師匠がその創世書を盗み出すにしても魔獣を暴れさせてその隙を狙うよりもっといい方法があの師匠なら取れる気がします」
クラウスの言葉に教師たちは少しの間沈黙した。
「…しかし、ならば何故レグルスは我々に何も言わずに姿を消したのですか。彼の弁明がない限り我々は彼を犯人として手配します。もちろん、弟子である君たちにも手伝ってもらいますよ」
「ええ!?」
「わかりました。おまかせください」
全く正反対の返答をするアリスとクラウスが再び顔を見合わせる。
「アリスさん。あなた仮にも僕の姉弟子なんですから。一緒に師匠の無実を晴らしましょうよ」
本当は面倒くさいの一言だったが、あまりにも真剣に見つめてくるクラウスに、アリスは観念して首を縦に振ったのだ。
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オリジナルです。別サイトに載せているものです。駄文ですが、読んでいただけると嬉しいです。宜しくお願いします。