No.534266

魔法少女リリカルなのは~幸せを運ぶ蒼き魔導師~プロローグ

蒼崎夜深さん

古代ベルカ時代を生きた蒼き魔導師 彼は幸せを運ぶ事で有名だった。 だが、彼は不治の病に犯され若くして亡くなった。
多くの人と四人の家族に見守られて墓で眠った。

これはかなり思いつきで書いたものです!

2013-01-20 21:50:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3603   閲覧ユーザー数:3263

プロローグ 幸せな時間

 

「ゴホッ……ッ……」

 

「大丈夫ですか?兄上」

 

「大丈夫か兄貴」

 

「大丈夫ですかお兄さん」

 

「大丈夫か。兄者」

 

ベッドの上で上半身を起こして、少女三人と、獣耳と尻尾を生やした少年から心配された青年は、四人に聞かせていた本を閉じながら言った。

 

彼らは血の繋がりがまったくない家族だった。

 

戦争で身寄りを失くした四人を青年が引き取ったのだ。それからは実の家族のように過ごしてきた。

 

「うん。大丈夫だよ……ボクはね。それに四人とも、もうよる遅いんだ。寝るといいよ」

 

「嫌です。兄上と一緒に寝ます」

 

「そうだ!アタシも一緒に寝る!」

 

「二人の言うとおりですお兄さん」

 

「ああ」

 

そう駄々をこねる四人に苦笑しながら、青年は「わかった」と言った。

 

だが、青年は四人に気づかれないように何かを隠していた。

 

それはもう自分の命が残りわずかだという事。

 

「そうだ。明日は確か彼女が来る日だったったけ」

 

「そうですよ兄上。オリヴィエが来る日ですよ」

 

「そっか……もうそんな日だったのか」

 

青年は、自分を兄上と言うピンクの髪の少女の頭を撫で、横になった。

 

少女がいる場所とは違う右の方に居た赤い髪の少女と金髪の少女はスヤスヤと寝息を立てながら寝ていた。

 

獣耳と尻尾を生やした少年は、子犬に近い姿になり、青年の膝の上で丸くなって寝ていた。

 

「シグナム。ちょっと悪いけど窓を開けてくれないかな」

 

「はい」

 

シグナムと呼ばれたピンクの髪の少女はベッドから音を立てずに降り、カーテンを開け窓を開けた。

 

その窓からは、綺麗な満月が五人を見守るかのように姿を見せていた。

 

「綺麗だね。シグナム」

 

「はい。兄上」

 

青年はそう少女に言いながら、月をしばし眺めていた。

 

だが、突然青年は咳き込んだ。

 

「ゴホッ……グフッ…グフッ……」

 

最初は隠せなかったが、すぐに手で口を隠し、堪えようとした。

 

「兄上!」

 

「だい……じょう…ぶだよ……シグナム」

 

「ですが…」

 

シグナムは青年の身体を労わり、青年の使っていない手を握った。

 

彼は、それに微笑んだ。

 

「側においでシグナム」

 

「はい兄上」

 

彼の言うとおりにシグナムは、ベッドに入って彼の側についた。

 

それを確認した彼は、そっとシグナムを……いや、四人をそっと抱き寄せた。

 

シグナムは驚いたが、すぐに微笑んだ。

 

「ごめんね……四人とも」

 

「どうしました?兄上」

 

「いや……何でもないよ……シグナム」

 

そう言う彼の目には一筋の涙が流れていた。

 

「……寝るといいよシグナム。……ボクも、眠いから寝るからさ……」

 

その声には、さっきまでの元気がなく、すでに何かを悟ったような感じだった。

 

何もわからないシグナムは言われた通りにすぐに寝た。

 

<ああ……ボクは……こん…な……世界に…よに……んを………残す……なんて……神様…いるのだったら……こ……たち…に……しあ………を…………………………あげて……くだ……さ……>

 

<……シグナム……ヴィータ……シャマル……ザフィーラ……>

 

<……ごめんね……>

 

少女が眠り、一人泣いた青年の心臓は止まり、彼は亡くなった。

 

翌日、四人は彼の微笑みながら寝ている姿を見て泣いた。

 

最後の聖王オリヴィエも彼の死んだ事を聞き泣いた。

 

享年 二十二歳

彼……シュウキ・R・ジェイスは、多くの人達に見守られながら墓に眠った。

 

それから数年...

大人になった四人は、のちに闇の書と呼ばれる夜天の書の守護騎士として本にプログラムとして入る事になる。

 


 
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