第百七十八技 黒猫夫婦
ケイタSide
キリトとアスナと別れたあと、俺達は行きつけの店で少しばかりの宴会をした。
宴会といってもいつもより少し豪勢に食事を頼み、飲み食いしただけなんだけど。
そのあとはギルドハウスに戻って、各自就寝することになった……はずだったんだけど…。
「「………」」
今の状況、簡潔に述べると俺の自室にサチが居る。二人きりなんだ、何故こうなった!?
い、いったいどうしたら…。
「……(ぽふっ)」
「っ//////!?」
焦る俺にさらなる追い打ちが掛かる。ベッドで隣に腰かけていたサチが凭れ掛かってきた。
「ねぇ、ケイタ…?」
「な、なんだ…?」
「キリトがわたしにキスのフリをした時、嫉妬してくれたんだよね?」
「う、うん…」
そんなことを聞いてくるサチ、俺はしどろもどろに頷く。
「それを聞いた時ね、わたし嬉しかった。ケイタが想ってくれているって…」
「サチ…」
「だから、だからね……///」
顔を紅く染めながら、彼女は俺を見つめてから言葉を紡いだ。
「その嫉妬……ぶつけてくれて、いいよ…//////」
「え……っ////// そ、それって……そういうこと、だよな…//////?」
「(こくっ)//////」
小さく頷いたサチ。これは、我慢なんて無理だろ……。俺の理性は、あっさりと崩壊した。
朝、目が覚めた俺は隣に眠るサチを見てから昨夜のことを思い出してしまい、
少しばかり悶絶していたが、とりあえず深呼吸をして冷静になることにした。
まぁ、恋人同士になったわけだから、問題は無いということで……よし、OK…。
ただ、なんとなくだけどキリト達の気持ちが分かった気がした。
大切だからこそ、命を懸けてでも守りたいと思える。そう考えていたらサチが目を覚ました。
「ぁ、ぉ、おはよう…//////」
「えと、おはよ///」
サチの挨拶に俺も返事をした。
お互いに照れくさくなるけど、なぜか笑みは消えない。幸せを感じられるからなのかも。
「ケイタ…。わたしって、ケイタのものでいいんだよね//////?」
「えっ、あっ、その…うん…///」
「それなら、ね……わたし、わたしと……//////」
何かを言い淀むサチ。
いくら鈍感だったとはいえ、今の彼女との関係とか、状況と雰囲気を考えたら、サチが何を望んでいるのかは分かる。
彼女はその先の関係に想いを馳せているんだ。それなら…!
「サチ、俺と…結婚、してくれないか//////?」
―――『プレイヤー・ケイタからプレイヤー・サチに結婚が申し込まれました』
俺は定番かもしれないけど、これが一番だと思い、そう言った。そして、
「っ、うん///♪ ありがとう、ケイタ//////♪」
―――『プレイヤー・サチ、プレイヤー・ケイタからの結婚の申し込みを受諾しました』
サチは涙を流しながらも満面の笑顔で受け入れてくれた。
ケイタSide Out
キリトSide
視線を感じて目が覚めた。目を開くとアスナが俺の顔を覗き込んでいる。
えらく上機嫌なようだ。俺は彼女を引き寄せて、キスを交わした。
「おはよ、アスナ」
「おはよう、キリトくん///」
挨拶を交わしたら、アスナがそのまま俺に覆い被さってきた。
「どうしたんだ?」
「えっとですね~、キリトくんに質問があるんです」
「質問? どんな?」
「あのね…わたし達が結婚する前に、その、デートとかしてたでしょ///?
その時にあった事故をね、サッちゃんに作戦として教えたんだけど…いくつかが、
キリトくんが意図的にやったって、ホント///?」
そう言ってアスナは俺に一枚のメモを渡してきた。
それに書かれていたのは確かに俺がアスナと結婚する前に、デートなどの時に発生した
なんか妙な名前になっているが…。
つまりこの事故の内のどれが、俺が意図してやったことなのかが気になるのか。
教えたのはサチだろうな、ふむ…まぁいいか。
「ホントだよ。俺がやったのは手を繋いだやつと……事故でキスのやつだ…」
「そ、それじゃあ、手を繋いだのはわたしと繋ぎたかったからなの///?」
「あぁ…」
「じゃ、じゃあキスの方も…//////」
「……監獄行きを覚悟して、したんだよ///」
「ぁぅ//////」
事故に見せかけてのキス、俺はあの時真面目にハラスメントコードで監獄行きを覚悟してまで、
アスナとキスをしたかった。
彼女の想いを知りつつも、繋がり合う前だったのでせめてもと思っていたのだ。
くそ、さすがに照れる…。
「えと、ありがとうございます//////」
「…どういたしまして///」
なにに対してのお礼かは分からないけど、一応答えておいた。
そうしているとメッセージが届いた、写真付きでケイタからだ。
俺とアスナは顔を見合わせてから笑みを浮かべ、このあとの展開を簡単に予想できた。
というわけで、今回の宴会場所は『月夜の黒猫団』のギルドハウス。
宴会の内容は勿論、ケイタとサチの結婚祝いだ。メンバーもお馴染みでいつものメンツ。
「それでは、ケイタとサチちゃんの結婚を祝って……乾杯!」
「「「「「かんぱ~い!!!」」」」」
今回はクラインの音頭で始まり、全員が乾杯をする。
それぞれがケイタとサチに祝いの言葉をかけていっている。
「いや~めでたいよな~。連続して結婚ってのも」
「ふふ、そうですね♪」
「そうだな。おめでとう、ケイタ、サチ」
「「ありがとうございます///」」
シャイン、ティアさん、エギルに祝いの言葉を掛けられて照れるケイタとサチ。
照れた様子を見せる二人を見ると微笑が浮かぶな、うん。
「そういえば、一つ気になってるんだけど…」
「ん、どうかしたか?」
「いや、それはこっちのセリフなんだけど……キリト、何があったんだい? そんなボロボロな様子になって…」
ケイタが言ったように、現在の俺は非常にボロボロ(髪や服の様子が主)になっている。
疑問は当然だろうな。
「いやなに…。アスナを傷つけてしまったから、ハクヤ達に鉄拳制裁を喰らっただけだ」
「「「「「うんうん」」」」」
ケイタの質問に俺が答えると、黒衣衆の男性陣は全員が頷いた。
その時の様子をここに居る全員に分かり易く伝えた。
場所は22層の自宅前、1ハクヤに投げ飛ばされて湖に墜落、2ヴァルに背負い投げをされて湖に(ry…)、
3ハジメに殴られて湖(ry…)、4ルナリオにハンマーで吹き飛ばされてみずう(ry…)、
5シャインからドロップキックを喰らって(ry…)、というわけだ。
みんなが若干引いている気がするが、まぁいいか。
「今回はキリトの自業自得だから、ケイタが心配することじゃないさ」
「……そもそも圏内ではダメージを受けないからな」
「そうですね」
「そうっす」
「だな(笑)」
「まったくだ、はっはっはっ」
ハクヤ、ハジメ、ヴァル、ルナリオ、シャインが順にそう言い、俺は笑って流した。
「なんて言えばいいんだろ、ロック」
「おい、テツ。お前ツッコメよ」
「やだよ。ヤマト、頼む」
「無理だね。エギルさんお願いします」
「こういうのはクラインの役目だろ?」
「断る!」
「「「「「あはははは!」」」」」
ケイタから始まり各自が答えた。
俺達の漫才ともとれる会話に女性陣が笑い声を上げ、それを皮切りに俺達も笑い声を上げた。
そのあとも宴会はいつもの如く続いた。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
今年最後の更新となりました。
ケイタとサチも結婚し、めでたいです♪
キリトが故意に起こしたアスナの嬉し恥ずかしイベントがどれか気になっている人がいたと思いますので、
その様子も描きましたw
それではみなさん、新年でお会いしましょう。
よいお年を・・・。
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第百七十八話です。
今年最後の更新ですねw
甘いですぞ~~~w
それでは、どうぞ・・・。