陽ノ峰山。
標高百九十メートルのその小高い山は、明日美の通う学校の裏手にあるこの町の人達にとっては誰もが知る山だ。
頂上付近は展望公園も整備されていて、頂上には海上安全の神様が祭られている神社がある。
　海上安全というのは、この町は海を望み、港町として栄えていた歴史があるからだ。海上を航行する船からは、昔からこの山が目印になっていたらしい。夜には灯台と共に常夜灯でライトアップされた神社がその航行とこの町の発展と安全を祈願している。　　　　
その陽ノ峰山への頂上と続く入り口は、松ノ南中学校裏手門からでも、徒歩二十分程で辿り着ける距離だ。

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その道は車も通る車道登山道で、通常はそこから頂上へ向かうのが一般的だった。
　距離にして約一キロメートル。
　道はアスファルトで整備され道幅も広く、時間帯によっては車もほとんど通らないため、安全且つ快適に登ることができる。
　松ノ南中学校陸上部の明日美と夏奈は、そのコース上にいた。
　　　　　　　　　　　　　～こころのアスミ・ノベライズより～