No.520987

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百六十九技 傷を癒す者

本郷 刃さん

第百六十九話です。
甘いですよ、濃くはないですが甘いですよw

では、どうぞ・・・。

2012-12-21 10:21:14 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:10081   閲覧ユーザー数:9284

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百六十九技 傷を癒す者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

話し終えた俺とクラインはアスナとカノンさんの元に歩み寄った。

 

「あ、お話し終わったの?」

 

「あぁ。お互いにすっきりした感じだ」

 

アスナが俺に訊ねてきたの軽く答えた。

 

「なら良かったわ、それじゃああたしはこれで「ちょいと待ってくれ」……えと、なんでしょうか? クラインさん…」

 

「カノン、今度はオメェに話があるんだ」

 

「あたしも、ですか…?」

 

クラインに呼び止められて、戸惑い気味であるカノンさん。

 

自分の過去を知られた後ならば不安なども当然あるのだろう。

 

「大事な話しなんだ。手間は取らせねぇつもりだ…」

 

「………分かり、ました…」

 

迷った末に答えたカノンさん。それなら俺達は…。

 

「帰ろう、アスナ…」

 

「ぁ、ぅ、うん…」

 

アスナも少々戸惑っているが、俺は彼女の手を掴み、≪転移結晶≫を二つ取り出してから使い、共に自宅へ戻った。

 

その際に、クラインに目で頼むと伝えたつもりだ。

 

キリトSide Out

 

 

 

カノンSide

 

キリト君とアスナちゃんが帰ってしまい、クラインさんとたった二人で残されてしまった。

 

いつもなら嬉しいところだけど、今は自分の過去を知られて、人を殺すところを見られて、そのせいで辛い…。

 

いまから話すことが分からなくて、怖い…。

 

何を言われて、何を聞かれるのかが、それだけでも…怖い。

 

「……キリトから、全部聞いた…」

 

彼がそう言った。キリト君から聞いた? 全部? どんなこと? まさか……。

 

「『嘆きの狩人』のこと、狩人が生まれた経緯と理由、カノンが『狩人の騎士(ナイト)』であることも、全部聞いた…」

 

「っ……そぅ、です、か…」

 

知られてしまった、全部…。

 

あたしはクラインさんの顔を見ることが出来なくなり、俯いてしまう。

 

そこに彼が近づいてきて…、

 

―――ぽふ、なでなで

 

「よく頑張ったな」

 

「え…?」

 

そう言って頭を撫でられた。いきなりのことについていけず、ボケッとしてしまう。

 

「あの、なん、で…」

 

あたしがそう言うと、クラインさんは苦笑しながら喋り始めた。

 

「カノンの過去を知って、今のことも知って、無茶してて、無理してるってのがよく分かった。

 だから、もういいんじゃねぇのか? 甘えても」

 

「甘えてもいい」…それは、誰にでもいいから、あたしが一番言ってほしかった言葉。

 

だけど、まだ心がそれを良しとしない。

 

「だめ、ですよ……あたしは、キリト君達のお姉さん、ですから…。彼らよりも、強くないと、いけないん、です…」

 

そうだ、あたしよりも年下の彼らはあそこまで強い。

 

なら、せめて心はあたしの方が強くないと…。震える声でそう伝えた。

 

「キリト達だって、甘えてんだよ。

 あいつ、『アスナがいなかったら、俺の心はとっくにボロが来ているはずだ』って、そう言ってた。

 多分、ヴァルやハクヤ、シャインとティアも同じなんだろ。

 勿論ハジメとルナリオも……皆、仲間や友達、大切な人に甘えてんだ」

 

「で、も……あたし、は…」

 

これ以上優しい言葉を掛けられたら、あたしは…。

 

そう思った時、あたしの体はクラインさんによって抱き締められた。

 

「もう、強がんなよ…」

 

「っ、ぁ、ぅ…うぅぅ……」

 

もう、涙が堪えきれなかった。

 

あたしは抱き締めてくれる彼の腕の中でしばらくの間、涙を流し続けた。

 

クラインさんはその間も、静かに、ただ優しく頭を撫でていてくれた。

 

 

 

しばらく泣き続けてようやく落ち着いたあたしは、今の状態は非常に大変な状況なのではと瞬時に理解した。

 

けれど、どうにも名残惜しくて離れられない…///

 

だからどうしても聞きたいことを聞いてみることにした。

 

「あの、クラインさん…」

 

「あ~、なんだ///?」

 

少々顔を紅くしている、照れているのだろうと思う。けど今は…。

 

「どうして……優しくしてくれるんですか…?」

 

「んなもん……好きだからに決まってるじゃねぇか…///」

 

「ぁ…//////」

 

あたしは自分の顔が真っ赤になるのが分かった。それと同時に、嬉しさが込み上げてきた。

 

「そりゃあキリト達みてぇにイケメンじゃねぇし、24になったおっさんだけどよぉ…」

 

少し拗ねた感じに言うクラインさん。

 

「そ、そんなことないですよ…年上の魅力といいますか、その、そういうのもあると思います…///」

 

それを聞いて少し呆気にとられた彼にそのまま話し掛ける。

 

「あたし、ホントは甘えたがりです…」

 

「おう」

 

「女の人どころか、男の人にも嫉妬するかもしれません…」

 

「そりゃ当然だ」

 

「その、恋愛経験無しですから…子供っぽいかもしれません…」

 

「子供っぽいってのはいい。恋愛経験無しってのは、俺が初めて?」

 

「は、はい//////」

 

「すんげぇ嬉しいぞ」

 

「っ…あたしも、クラインさんのことが好きです//////」

 

―――チュッ

 

あたしはそのまま彼の唇にキスをした。

 

クラインさんは驚いており、あたしが離れると自分の頬を抓ってから、顔を俯かせて両手を力強く握りしめた。

 

あれ、どうしたんだろう?

 

すると…、

 

「ぉ、おっしゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ひゃあ!?」

 

いきなり大きな声を上げました。どうやら喜んでくれたみたい……だけど。

 

「あ、あの…誰もいないけど、恥ずかしいのでやめてください…//////」

 

「あ、あぁ、わりぃ///」

 

少し申し訳なさそうに、だけど嬉しそうに苦笑したクラインさん。

 

本当にあたしも嬉しくて仕方が無い///

 

けどクラインさんはハッとした表情をすると、少し思案した顔をし、そして何かを決意したようだ。

 

ウインドウを開き操作してから、

 

「よし……えっと、カノン! 俺と、結婚してください!」

 

―――『プレイヤー・クラインからプレイヤー・カノンに結婚が申し込まれました』

 

そのメッセージウインドウが現れた瞬間に、彼は頭を下げた。あたしの答えは、決まっている。

 

「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いしますね///」

 

―――『プレイヤー・カノン、プレイヤー・クラインからの結婚の申し込みを受諾しました』

 

クラインさんは顔を上げると、再び喜びながらガッツポーズを取った。

 

あたしは、強くなれる。大切な人がいれば、どこまでも…。

 

こうしてあたしとクラインさんは、夫婦となった。

 

カノンSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

どうだ! ウチのクラインさんはカッコイイだろう!

 

他のメンツに比べて糖分は少ないが、これぞ大人の対応ってやつだ!

 

さて・・・次回も甘いぞ~w

 

ではでは、また・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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