No.520032

【読み切り】部室棟へ♪特別編 クリスマスマルシェ珍道中

enarinさん

○今回も恒例となった“クリスマス特別読み切り”です。
○主役達は“~部室棟へ♪”の3人、お店側はこれまでのシリーズのメンバーとなってます。

☆恒例のクリスマス専用ストーリーです。今年は部室棟のそれからをベースにして、“クリスマスマルシェ”を書いてみました。
☆クリスマスマルシェとは、クリスマス限定の市場の事で、クリスマスにちなんだ食品、物品を売るお店の集まりの事です。海外ではポピュラーで、最近日本のお洒落な街でも開催されているものです。

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2012-12-18 17:41:25 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:624   閲覧ユーザー数:624

ミキ:升太さ~ん、また私とテトちゃん、両方同伴のクリスマスなんですか?

升太:? なんかおかしかったかな?

ミキ:クリスマスなんて大事な日位、そろそろテトちゃん一人に絞った方がいいんじゃないですか?

テト:そんなことないです! 私は必ずや、升太とミキさんをカップルにするのです! ハイ!

升太:テトもそう言っているし、いいんじゃないの? これで?

ミキ:はぁ~(だめだこりゃ)

升太:それにテト人形と一緒のクリスマスより、ミキも一緒の方が楽しいし

ミキ:え!?(ドキッ)

 

テト:ところで、升太? 今年は部室棟の飲み会とか商店街散策とは違うんだね?

升太:そう。今年は各自予定が合わなかったから、この3人で“クリスマスマルシェ”のお店巡りでもしようと思って

テト、ミキ:クリスマスマルシェ?

升太:そ。“マルシェ”はフランス語で“市場”、要するに“お店の集まり”。クリスマス本番まで、クリスマス関連の食べ物とか物品を扱ったお店が集まって開かれる“クリスマス市場”なんだ

ミキ:ふ~ん、面白いね

升太:ここは話では、例の商店街とかからも出張みたいな形で出店しているお店もあれば、他の街からの出店もある、なんでも屋的なクリスマスマルシェなんだって。ストリート雑誌の“ブルル”に載っていたから、今年はこれで行こうと思って

ミキ:楽しそうですね

テト:そうです! そしてこの“くりすますまるしぇ”を境に、升太とミキさんの仲はラブラブになるのだった! 完

升太:ラブラブじゃないっての!

ミキ:それに終わってないし・・・

 

テト:では、“れっつごう“なのです!

升太:それは俺のセリフだっての

 

 こうして3人は、煌びやかなクリスマスイルミネーションに包まれた、クリスマスマルシェに入っていったのだった。

(出店「野菜ケーキのお店・HATSUNE」)

 

 まず入り口付近に出店していた、樅(モミ)の木の緑色が映える、一軒の出店に、3人の目と鼻が向いた。

 

ミク:いらっしゃいませ

 

 売り子のミクの前のテーブルには、緑色とオレンジ色と赤色がうっすらとしているカップケーキが売られていた。

 

ミキ:あら! なんかヘルシーっぽいカップケーキですね

 

ミク:はい。私、本業は青果店を営んでいるんですが、この時期は、野菜ケーキを作って売っているんですよ。これ、試食のケーキなんですが、一口どうですか?

ミキ:じゃあ、私、オレンジ

テト:テトは赤です!

 

 残った“緑色のケーキ”を前に、升太は冷や汗を垂らして、たじろいでいた。

 

升太:(まて升太。このケーキだけは食べてはいかん、そう、本能が叫んでいる・・・どうしよう・・・)

 

ミキ:あー美味しかった! これ“キャロットケーキ”なんですね!

テト:テトのは、“クランベリーケーキ“、でした!

ミク:あの~、そちらのお客様、どうされました?

 

升太:(い、いかん・・・女の子にあんな目をさせてはいかん・・・しかし・・・)

テト:升太も緑のケーキ、さっさと食べるのだ!

 

 ムギュ!

 

 テトは緑のケーキを無理矢理、升太の口に押し込んだ。

 

升太:むぅお!・・・・・・・・あれ? 旨い・・・これ・・・“ほうれん草ケーキ”

ミク:はい! 当青果店自慢の新鮮な“ほうれん草”を使ったケーキです

升太:あ、は、はい、すみません・・・過去にネギ料理の経験があったもので、つい・・・

ミク:あ! お客様凄いですね! 実は当店の裏メニューで、“葱カップケーキ”がありまして・・・

升太:あ! いえ! このカップケーキセットだけ頂いていきます!

ミク:はぁ、お買いあげ有り難うございます!(ちぇ)

 

 こうして1件目のカップケーキ屋では、カップケーキセットを買って、3人はお店を後にしたのだった。

 

***

 

(出店「クリスマスおみくじのお店・KAGAMINE」)

 

 次に一行が立ち寄ったのは、人目で“神社っぽい”のがわかる出店だった。扱っているのは、手作りミニチョコだった。

 

ミキ:うわぁ! 美味しそう!

升太:えー、リンさんとレンさん?

リン、レン:はい? なんでしょうか?

升太:ツッコミ所満載のお店なんだけど、ぶっちゃけ、神社がクリスマスで、大丈夫なんですか?

レン:実は、姉のリンが個人的に参加したお店なんです・・・

リン:いーじゃん、神社だってクリスマスしたいし。それに神社らしくしたし!

ミキ:神社らしく?

レン:はい。実は売っているミニチョコの中に、文字入りのあめ玉が入っているんです。

リン:その文字に対応する“おみくじ”を私たちがお渡しする、そういうクリスマスおみくじなんです!

 

升太:こういうのは女の子の出番だな。ミキさんとテトがやってみてよ

ミキ、テト:わーい!

 

 こうして、ミキとテトは、1個ずつミニチョコ飴を買い、口でコロコロさせてから、あめ玉を指でつまんで取り出した。

 

ミキ:“ふ-39”です

テト:“て-10”だよ

レン:はい、ではおみくじをお持ちします

 

 こうして対応するおみくじを両名が手にして、開いてみた。

 

ミキのおみくじ:恋愛運「本心に正直に」

 

ミキ:? どういうことなの?

 

テトのおみくじ:仕事運「意外に順調に運ぶ」

 

テト:やったー! って、本当???

 

リン、レン:有り難うございましたー!

 

 こうして3人は、不思議なチョコ屋を後にしたのだった。

(出店「ホットチョコレートのお店・LEO」)

 

升太:あれ? ここは喫茶店の雰囲気が・・・

ルカ:はい。喫茶店LEOの出店なんです。美味しいですよ?

ミキ:あの、“ホットチョコレート”ってなんですか?

ルカ:ホットチョコレートは、日本では“ココア”って言いますが、もっと甘いです

テト:はーい! 今度はテトが飲みます!

升太:うん、それがいいかな

ルカ:有り難うございます

 

 ゴクッゴクッ

 

テト:美味しかったのだ!

ミキ:クスッ、テトちゃん、口の周り、白いお髭♪

ルカ:当店のココアは、ミルクもふんだんに使っておりますので

テト:ありゃ、テトはサンタさんになってしまったのです!

升太:なかなか似合っているぞ♪

テト:でもテトがサンタになったら、今日はプレゼントを配りまくらないといけないので、ふき取りますよ~

 

 このお店では、和気藹々(わきあいあい)と和んだ雰囲気になって、お店を後にしたのだった。

 

***

 

(出店「秘密結社印のミニクリスマスツリーのお店・MEIKO」)

 

 次はやたら派手な電飾をあしらった、目立つお店だったので、とりあえず眺める事にした。

 

メイコ:よってらっしゃい、見てらっしゃい!

カイト:当秘密結社の科学の粋を集めて作られた、このミニクリスマスツリー! 実は食べられます!

メイコ:飾って楽しんで、食べて楽しんで! ついでに入っているリキュールで酔っぱらって! 1つで3粒美味しい!

カイト:さぁ、買った買った!

 

ミキ:な、なんか・・・

升太:バナナのたたき売りだな・・・

テト:秘密結社って言ってるし、ここはパスですね

 

 3人は、なんか掴まったら買わされそうという危険を察知して、そそくさとお店を後にしたのだった。

(出店「大江戸和風ケーキのお店・神威」)

 

 今度の目に映ったお店は、やたら江戸っぽい和風なお店だった。しかしお店に出されていたのは、ショートケーキっぽいモノだった。店先では緑の服の男の子が客引きをしていた。

 

ガチャポ:いらっしゃいませ~、僕もチャレンジしたくなるような、ヘルシーな和風ケーキですよ~!

 

 面白かったので、3人は店先に移動し、売り子の金髪の女性に聞いてみた。

 

ミキ:どのへんが“ヘルシー”なんですか?

リリィ:私みたいなスレンダーな体型になれまs

めぐみ:あー! ちょっと待ってください! リリィはもういいから

リリィ:えー、ここからが良い所なのに・・・

めぐみ:いいから

 

 めぐみはリリィを手でグィっと押しどけた。

 

めぐみ:すみません。では改めまして。このケーキ、生クリーム部分は“豆乳”から作ってます。スポンジ部分もそうで、卵は低カロリーのモノを。砂糖は三温糖を使っていて、甘み控えめ。この苺に見えるのは、和菓子職人の我が店長が作った生和菓子になります

ミキ、テト:へ~、美味しそう!

升太:で、もしかして、その店長って・・・

 

学歩:そぉい! 拙者でござる!

升太:わ!!!

 

 和菓子職人なのに、侍口調で侍の様な格好の変な人が奥から現れた。

 

学歩:うむ、今年の神威流和菓子職人の受講生は、この3名か?

升太:ち、違います

学歩:そうか、残念だ

升太:でもケーキは美味しそうだから、3個包んで下さい。

 

 こうして3人は和菓子ケーキを3個買って、箱に詰めて貰い、お店を後にした。

 

***

 

(出店「生チョコレートのお店・AHS」)

 

 マルシェ通りも随分来た所にあった、小さなお店は、臭いでわかった。生チョコのお店だった。そしてやはり店先で二人の女の子が、調理用のへらを持って、踊っていた。

 

ユキ:チョコ、ショコラ、チョコラッテ、イエーイイエーイイエーイ!

いろは:女の子の夢のチョコ~♪ 美味しいチョコ~♪

 

テト:随分ノリのいい女の子達ですね

升太:でも、いい匂いだな

ミキ:ちょっと寄っていきましょうか

 

テル:いらっしゃいませ。当店は、本店で作っているのと同じ“生チョコレート”のお店です

ミキ:凄いですね~

升太:ああ、確かに旨そうだな

テル:あ、でも、クリスマスパーティ用に、面白いチョコも用意しているんですよ。はい、これ試食です

 

 テルが3人に1個ずつ手渡したのは、小さいボール型の生チョコだった。各自、口に放り込み、コロコロしていると・・・

 

ミキ:美味しい!!

テト:さすが生チョコ!

升太:・・・・・・・ぬぉ!!!! 辛い!!!!!!!

テル:はい、お客さんが当たり! こういう“クジ”で使えるチョコを用意したんです

ミキ:面白そうね。1セット下さい

テル:有り難うございます

升太:辛~・・・それ、当たり全部、俺が引きそうだな・・・

ミキ:それが楽しみで買ったんだけどね

升太:鬼や・・・

 

 こうしてクジチョコを買った3人は、お店を後にした。

(出店「和風クリスマスおかしのお店・みずき」)

 

 次のお店は、随分と和風な感じだった。とりあえず見ていると、奥から和装の女の子が現れた。すると、アンコが乗っかっている“まな板”の前に立ち、ヘラを持っている両手を上げると、見えないような手さばきで、アンコや食用飾りを組み当てていき、いくつかの和風だが、どこかクリスマスおかしを彷彿とさせる、そんな美味しそうなお菓子を作り上げた。

 

升太:凄いな・・・

ミキ:本格的ですね

テト:でもさ・・・

 

 値段:1つ“1000円”

 

 助手のピコさんが自慢げに値札を抱えていた。

 

3人:さすが本格和菓子・・・逃げよう

 

 3人は値段にビックリして、そそくさと立ち去ったのだった。

 

***

 

(出店「マジカルスィーツのお店・フェアリーテール」)

 

 マルシェ通りも残り少なくなった所で見かけたのは、女の子二人でまかなっているお菓子屋さんだった。クッキーやチョコなど色々置いていた。

 

ハク:いらっしゃいませー、美味しいですよ~♪

ネル:ただ食べて美味しいだけじゃない、不思議なお菓子ですよ~、いらっしゃい!

 

升太:? ただ食べるだけじゃない?

ハク:あ、いらっしゃいませ。はい。実はこのお菓子、“魔法のお菓子”なんです!

ミキ:またまた~

ネル:では、お客さんに1個、試食で差し上げますので、試してみて下さい

ミキ:はぁ、まぁもらえるなら

 

 こうしてミキは、貰ったクッキーを1個食べてみた。

 

ミキ:もぐもぐ・・・・・

升太:?

ミキ:ま・・・・升太さんが好きです!

升太、テト:!!!???

 

ハク:このクッキーは“覚悟を決めなくても、告白できるクッキー”なんです!

 

ミキ:ち・・・・違うもん! こんなのインチキだもん!

 

 ミキは顔を真っ赤にさせながら、胸に手を当てて、恥ずかしがっていた。

 

ミキ:升太さん、違うんだからね! ほんと、違うんだからね!

升太:わかっているよ、そんな“全否定”しなくても・・・

ミキ:あ・・・ごめん・・・

 

 そんな中、テトだけが、がま口を手に持って、ネルの所まで来ていたのだった。

 

テト:すんばらしいクッキーですね。一箱、買います

ネル:貴方も告白したい男性がいるんですか?

テト:いえ、あの女の子に何度か食べさせて、そして、あの男性にも食べて貰って、あの二人をラブラブにさせる作戦なんですよ。良い物売ってますな~、女将~

ネル:いえいえ、貴方もなかなかの策士ですな~

 

テト、ネル:(にまにまにまにま)

 

 こうしてクッキー1箱を買った3人は、お店を後にして、先に進んでいった。

(出店「パワフルダイナマイトスィーツのお店・フォーリナー」)

 

 マルシェ通りも最後に近づいた場所で、なにやらパフォーマーらしき集団が、お店を紹介していた。

 

アン:ヘイッ! ソコノ ナイスガイ!

ローラ:マイ カントリーノ スペシャルスィーツ!

ミリアム:ゲッツ・・・ ゲッツ・・・

レオン:オイオイ ミリアム モット ハッチャケテ!

ミリアム:コレ ムリ・・・

アル:コレヲ コエレバ イチニンマエノ ゲイニンダゾ!

トニオ:ソウダソウダ!

ソニカ:ソウデスヨ!

ミリアム:ゲイニン イラナイ・・・

 

升太:アレはやばそうだ、スルーしよう・・・

 

 3人は見つからないように、お店を後にした。

(出店「クリスマスケーキのお店・アストラル」)

 

 マルシェ通りの最後の一角に、見慣れた雰囲気のお店がたたずんでいた。

 

テト:ありゃ? なんでお父様のお店があるの?

升太:あー、あれはケーキ屋アストラルの出店か・・・・お父様?

テト:知らなかったの? あのお店、私のお父さんがこっちに来たときに営業しているケーキ屋だよ

升太:そうだったのか・・・・。死神のケーキ屋さんか・・・凄い取り合わせだな・・・

ミキ:???

 

デス:おや? 升太君ですか。いらっしゃい

升太:デスさんが店長さんだったんですか~、驚きましたよ

デス:なんだ、テトはバラしちゃったのか。ははは、そう、こっちにいるときはケーキ屋のマスターをやっているんだよ。予約分は終わったから、楽しいコッチに来ているんだよ。どう? クリスマスケーキ。実のところ、傑作はこっちに持ってきているんだよね

ミキ:わ! あのアストラルの傑作ケーキが食べられるなんて!

升太:勿論、頂きます!

 

 デスは奥のテーブルから慎重にケーキが入っている白い箱を手さげビニール袋に入れて、升太に手渡した。

 

デス:私の娘も宜しく頼むよ

升太:こちらこそ。素晴らしいクリスマス、有り難うございました!

デス:Merry Christmas!

 

 こうして、3人は少し話をして、通りを抜け、電車に乗って帰っていったのだった。

 

デス:・・・そうか、ミキさんのホンネは升太君か・・・。こりゃ、娘もうかうかしてられんな・・・というか、テト、自覚ないらしいな・・・、困ったもんだ・・・

 

 全部お見通しだった、デスさんだった。

 

 それでは皆さん、メリークリスマス!

 

(おしまい)

 

CAST

 

升太:とあるボカロマスター(非ボカロ)

テト:重音テト

ミキ:miki(SF-A2 開発コード miki)

 

ミク:初音ミク

 

リン:鏡音リン

レン:鏡音レン

 

ルカ:巡音ルカ

 

メイコ:MEIKO

カイト:KAITO

 

学歩:神威がくぽ

めぐみ:GUMI

リリィ:Lily

ガチャポ:ガチャッポイド

 

ユキ:歌愛ユキ

テル:氷山キヨテル

いろは:猫村いろは

 

みずき:VY1

ピコさん:歌手音ピコ

 

ハク:弱音ハク

ネル:亞北ネル

 

外人軍団:海外ボカロ達

 

アストラルのおじさん:デスさん(非ボカロ)

 

他:エキストラの皆さん


 
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