No.512789

ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第二話 行動開始

やぎすけさん

一気に行きます。

2012-11-27 18:57:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2247   閲覧ユーザー数:2134

大地視点

家に戻った俺は、鍵を開けると無言のまま家の中に入る。

俺には、もう家族や親戚はいないため家には誰もいない。

俺は普段使っているのとは別のPCが置いてある部屋に向かい、中に入ると扉を閉める。

5年間使っていなかった部屋は埃を被り、中においてある機械は使えるかどうかもわからない状態になっていた。

 

大地「動いてくれよ・・・」

 

俺は、埃を払う程度の最低限の掃除を行うと、パソコンを立ち上げる。

すると、PCは奇跡的に起動してくれた。

 

大地「よし・・・次はこれっと・・・」

 

続いて、近くの棚から1枚のフロッピディスクを取り出す。

この中には、俺が小学生の時に開発したハッキング用のシステムと、ファイヤーウォールなどのセキリティーを突破するのに必要なデータが収められている。

何度か改良を施しているため、普通のPCでは扱うことは出来ないがコードを入力するだけでハッキングを行えるという優れものだ。

それをPCにセットして、作業を開始する。

作業と言っても、ディスクに保存されているソフトが自動でパスコードやデータ破壊のコードを数字やアルファベットにして表示してくれるので、それを手動で入力するだけなのだ。

作業開始から3分でレクトの非公開部分、つまり社員しかアクセスできないデータベースに進入した。

 

大地「どれどれ・・・」

 

俺は、画面と睨めっこしてALOの情報を調べる。

そこで、面白い情報を見つけた。

どうやらALOはSAOのサーバーをコピーして作られたものらしい。

しかも、カーディナルシステムはそのまま使用しているため、クエストや一部のアイテムは自動で作成されているようだ。

 

大地「なるほど、SAOに迫るスペックじゃなくて、SAOのスペックそのものってわけか。通りでよく出来てるわけだ。」

 

いくら大物企業とは言えど、茅場晶彦のような天才が何人もいるわけではない。

にもかかわらず、フライトエンジンなどという高性能な装備を搭載して、なおかつSAOに迫るほどのVRMMOを作るとなれば、半年やそこらで出来るはずが無い。

しかし、フライトエンジンを作るだけなら数ヶ月でもそう難しくは無い。

納得した俺は、そのレベルのデータに一通り目を通し、さらにセキリティーレベルの高いところまで入り込む。

すると、やたらと強力なセキリティーの掛かったベースを発見する。

 

大地「これは当たりだな・・・」

 

普通は12桁のコードでアクセス可能な俺のハッキングだが、このベースのアクセスには47桁のロックが掛かっている。

しかも、コード入力が可能な時間は10秒。

それ以上経過すると、コードが変化して最初からやり直さなければならなくなってしまう。

その上、セキリティーのレベルによっては5回ミスした時点でハッキングがバレてしまう可能性もある。

しかし、こちらは軍事コンピュータへの侵入経験もある(軍は78桁のコードが必要だった)。

たかが、会社1つのセキリティーを突破できないわけがない。

 

デュオ「この程度なら、余裕だな。一杯やる暇さえある。」

 

俺は瞬時にキーボードを叩き、セキリティーを突破した。

そして、一部関係者以外はアクセス不可能なデータベースへと侵入する。

そこに保存されていたのは・・・

 

大地「・・・っ!?・・・おいおい・・・嘘だろ・・・これ・・・」

 

俺は自分の目を疑った。

保存されていたデータには、SAO未帰還者のプレイヤーネームと、その人たちを使って行われた人体実験の記録が残されていた。

とりあえず、リストアップされている名前を確認していく。

すると、ある一つの名前が見つかった。

 

大地「うっそ~ん・・・」

 

そこに書かれていたのは、マイティーたちバスターズ全員の名前だった。

さらにその下には、サチを含む月夜の黒猫団や第一層のボス戦で命を落としたはずのディアベルの名前もある。

生存の表示がされている。

 

大地「生きてたのか・・・」

 

死んだはずの仲間が生きていたことへの喜びと、SAO未帰還者がレクトのサーバーに幽閉されていることに対する怒りが同時に溢れ出し、複雑な気分になった。

だが、今はそんなことを考えている暇は無い。

急いでデータを確認して、ログアウトの方法を探す。

だが、どんなに探してもその方法は見つからない。

 

大地「仕方ない・・・」

 

俺は新しいメモリーを取り出す。

これは、市販のSDカードなどを改造して自作したPCメモリーで、サイズと形状はフロッピディスクそのままだが、内容量は800TB、処理速度は最新のPCにも匹敵するという、驚異的なメモリーである。

それをPCに接続しデータベースのデータを全てコピーする。

開始から2分で、コピーが終了した。

 

大地「よし。じゃあ俺も行くとするかな・・・」

 

俺はPCの検索機能にデータの処理を任せると、

帰り道で買ってきたALOを入れてナーヴギアを被る。

二年もの間別世界に縛り付けて居た拘束具であり、同時にその間あの世界への道を壊れることも無く支え続け、二年の時を共に過ごした相棒でもあるこれに、俺は念じた。

 

大地〈もう一度、俺と戦ってくれ・・・〉

 

顎の下でハーネスを固定。

シールドを下げ、ベットに寝転んで眼を閉じる。

 

大地「もう一度、行くとするか・・・」

 

俺はそう呟いてから、ナーヴギアの起動を待つ。

そしてログイン可能になると、俺は口にした。

異世界へと旅立つ、魔法の言葉を。

 

大地「リンク・スタート!」

 

視界の中に有った瞼を突きぬけた光の感覚が、ぱっと消えさり、大地は仮想世界へと飛び立った。

デュオ視点

視覚、聴覚、触覚などの感覚器チェックが終わり、大地は暗闇の中をゆっくりと落下し始めた。

少しすると、足元に虹色のリングが出現し、それをくぐる。

 

システム[アルヴヘイム・オンラインへようこそ!]

 

システムアナウンスが聞こえてきた。

まずは、ALOのアカウント登録画面だ。

最初に新規IDとパスワードを登録する。

とりあえず、いつも使っているIDとパスワードを入れると、次は名前の設定だ。

今から考えるのも面倒なので《デュオ》と入れる。

そして最後は、種族の選択だ。

種族は風妖精シルフ、火妖精サラマンダー、水妖精ウンディーネ、土妖精ノーム、猫妖精ケットシー、影妖精スプリガン、闇妖精インプ、鍛冶妖精レプラコーン、そして、音楽妖精プーカの9つがある。

それぞれ種族ごとに容姿の特徴は出るが、結局は細かい容姿はランダムなので、あくまで選ぶ基準は好みの様だ。

全部見てから、俺はインプを選択する。

ボタンを押し、確認にYESを押すと、再びシステムの声が聞こえてきた。

 

システム[初期設定が、完了しました。それでは、貴方の幸運を祈ります]

 

その言葉を聞いた直後、周りが光の渦に包まれ、床の感覚が無くなると身体が落下し始める。

落下先に有るのは、パッケージにも描かれていたインプのホームタウンなのだろう。

俺の体は、そこへ向かってまっすぐに落下していく。

次の瞬間、世界がひび割れた。

いきなり周囲の映像が乱れ、モザイクとノイズが雷のように降り注ぐ。

 

デュオ「嫌な予感・・・」

 

そして世界が一瞬溶けるように崩れ落ち、直後に周囲のモザイクが無くなると、俺の体は仮想の重力に従って、何もない暗闇へと落下を再開する。

 

デュオ「ふざけんな~・・・」

 

俺は、何もない空間へと真っ逆さまに落ちていった。

デュオ「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁ・・・!!」

 

物理法則に従って頭を下にしながら落下して行く中、俺は必死に落ちる先を見続けた。

 

デュオ「げっ!?」

 

落ち行く先に見えるのは、森だ。

残念ながら、水は確認できない。

 

デュオ「仕方ない・・・」

 

俺は、エギルの言葉を思い出して賭けに出た。

背中に羽が生えたと仮定して、それを架空の筋肉で動かして、羽ばたくイメージを浮かべる。

すると、驚いたことに体は落下速度を落とすと、空中で停止した。

 

デュオ「おお・・・!!」

 

背中を振り返って見ると、そこには紫色の羽が伸びていて、それが動いて俺を空中に停止させている。

俺は、少しずつ力を弱めていき、ゆっくりと着地する。

 

デュオ「また来ることになるとはな・・・」

 

周囲を見渡しながら、そう呟いた。

どうやら、かなり深い森の中ようだ。

周囲には深い草むらと、非常に高い木が何本も立っている。

夜らしく、巨木の枝に生える木の葉の間からは星屑と軽く月灯りが見えて居た。

周囲からは虫たちの歌声や、梟の様な鳥の鳴き声や、狼の遠吠えも聞こえる。

草木の青々しい匂いが香り、軽やかな風が全身を包む。

その時、近くの草むらから、くぐもった悲鳴が聞こえた。

声のした草むらの方へと向かうと、黒い服を着たプレイヤーが頭から地面に刺さっていた。

 

デュオ「なんか・・・絵に描いたような光景だな・・・」

 

半ば感心して呟いてから、突き出している足を掴むと、上に向かって引き抜く。

出てきたのは、黒髪ツンツン頭の少年だった。

装備の特徴から察するに、スプリガンだろう。

 

デュオ「・・・大丈夫か?」

 

俺は、スプリガンの少年を地面に下ろす。

 

?「ああ、サンキュー・・・」

 

顔を上げたスプリガンの顔を見て、俺は目を見開いた。

 

デュオ「キリトか・・・?」

 

?「デュオ・・・?」

 

どうやら俺は、早速相棒と再会を果たしたみたいだ。


 
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