No.513146

ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第三話 娘との再会と甦る力

やぎすけさん

キリトの娘、初登場。

2012-11-28 22:58:46 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2379   閲覧ユーザー数:2272

デュオ「やっぱりキリトか。」

 

キリト「本当にデュオなんだな!?」

 

キリトとデュオは、もう一度お互いの名前を確認し合うと、自分と相手の姿を交互に見て言う。

 

キリト「なんか・・・」

 

デュオ「ああ、SAOの時と姿が同じだな・・・」

 

2人は肩をすくめて苦笑いする。

 

デュオ「でもまあ、よかった早速キリトに遭えて。」

 

デュオが満足気に言うと、キリトが言い難そうに問う。

 

キリト「なぁデュオ・・・?ログインする時・・・変な事起きなかったか?」

 

デュオ「ああ、あれか・・・原因の予想はついてるよ。」

 

キリト「本当か・・・!?」

 

キリトが食い入るように近づくと、デュオは両手でそれを制してから言った。

 

デュオ「このゲームはSAOサーバーのコピーなんだ。」

 

キリト「えっ・・・」

 

デュオ「アーガスの技術資産はレクトが管理してるだろ?レクトはその中にあるSAOのサーバーをコピーしてこれを開発したんだ。」

 

キリト「なるほど・・・」

 

デュオ「で、コアプログラムの基幹部分とかグラフィック形式とかも同一のものを使っているから、2つのゲームに共通するデータが上書きされたんだ。」

 

キリト「そう言うことだったのか。」

 

キリトは納得したように頷く。

その時、突然何かを思いついたような顔をしてウインドウ画面を開く。

 

「・・・もしかしたら・・・!」

 

キリトが俯いて小さくつぶやいた。

アイテムストレージを開いて画面に目を戻し、高速でアイテム欄をスクロールしていく。

 

キリト「あってくれ・・・頼む・・・」

 

デュオ「おいおい、アイテムは全部破損してるぞ・・・」

 

デュオの言葉に構わず、キリトはスクロールされていた文字の羅列を確認していく。

すると、その中に埋もれるようにして唯一文字化けしていない形を保っているアイテムがあった。

固有名は【MHCP001】。

キリトはそのアイテムを急いでオブジェクト化させる。

出現したのは、涙型にカットされた、驚くほどに透き通る無色透明のクリスタル。

出現させたそれを、キリトは掬いあげるように両の掌で包み込む。

そうして数秒、期待と不安、祈りと願望の光が入り混じった眼でそれを見つめた後、人差し指の先でそのクリスタルを二度叩く。

その瞬間、純白の光がキリトとデュオの目の前で爆発するように輝いた。

 

キリト「っ!?」

 

デュオ「何だ!?」

 

キリトの掌の上で光り輝いていたクリスタルが、徐々にキリトの掌を離れていき、

地上2メートル程度の場所で静止した。

それは、その輝きを更に増していくと、みるみるうちに形を変え、一つの人影を作り出す。

腰のあたりまで伸びた長い黒い髪に、服装は純白のワンピース。

白く透き通った綺麗な色の肌、天使という言葉よく合う容姿をした十歳くらいの少女。

光そのものを纏うかのようにして現れた少女は、地面にゆっくりと降り立った。

少女の瞼がゆっくりと開き、その深い黒をした瞳が、真正面からキリトとデュオを見つめる。

すぐに、その顔がまるで天使のような微笑みを浮かべた。

 

キリト「わかるか・・・?俺だよ、ユイ・・・」

 

ユイ「また会えましたね・・・パパ・・・」

 

ユイは泣き笑いしながら、キリトの胸へと飛び込んだ。

キリトは嗚咽を漏らし、ユイはそんなキリトに頬をすり寄せる。

デュオは、2人に気付かれないようにそっとその場を後にすると、

少し離れたところからホバーリングして上空から2人を見守った。

ひとしきり、その行為をするとユイとキリトは周りを見て、デュオがいなくなっているのに気付いてきょろきょろと辺りを見回す。

 

デュオ「終わったかい?」

 

キリトの様子を見たデュオは、キリトに声を掛けてから着地する。

 

デュオ「じゃあキリト、そのこのことを紹介してくれるかな?」

 

キリト「ああ、そういえば会うのは初めてだな。この子はユイ。俺とアスナの娘で、元はSAOのカウンセリングプログラムだったんだ。」

 

デュオ「てことはAI・・・!?」

 

ユイは、驚くデュオに微笑みかける。

 

ユイ「そういうことになります。」

 

デュオ「人間顔負けの感情表現というか、普通に人間でもおかしくないレベルだな・・・」

 

キリト「俺も最初はプレイヤーだと思ったくらいだからな。」

 

デュオ「茅場がくれた、お前たちの娘か・・・」

 

デュオはどこか微笑ましいものを見るような表情でそう言った。

 

キリト「ところで……ユイはこの世界じゃどういう扱いになるんだ?」

 

ユイ「えと、私は・・・プレイヤーサポート用の疑似人格プログラム。【ナビゲーション・ピクシー】となっていますね。」

 

デュオ「小妖精(ピクシー)っていう割には、大き過ぎないか?」

 

ユイ「いえいえ……」

 

ユイは先ほど同様に強い光を放つと、掌サイズまで小さくなった。

 

ユイ「これが、ピクシーとしての姿です!」

 

えへん!と言いたそうな顔をして、ユイは腰に手を当てて胸を張る。

 

キリト「おぉ・・・」

 

デュオ「便利だな・・・」

 

キリトもデュオも簡単としたように声を上げる。

キリトが手を出すとユイはその上に立った。

キリトは小さくなったユイの頬をつつく。

 

ユイ「く、くすぐったいです・・・」

 

若干嫌そうにしているユイをつつきながら、キリトが質問する。

 

キリト「前みたいに、管理者権限もあるのか?」

 

キリトが訊くと、ユイは申し訳なさそうに表情を沈ませる。

 

ユイ「いえ、出来るのは接触したプレイヤーのデータを見たり、リファレンスや広域マップなどへのアクセスといくつかのスキルの行使程度ならできるんです。」

 

キリト「そうか。」

 

その後、キリトがユイにアスナがこの世界に居るかもしれないという事、そのために、世界樹へと行く必要がある事を告げる。

するとユイは、権限で現在地等を確認と世界樹までの道を検索する。

 

デュオ「そういえばキリト、お前の破損したアイテムデータこっちに送ってもらえるか?」

 

キリト「ん?いいけど、もう使えないんだろ?」

 

デュオ「いや、SAOのデータをALO用に修復すればまた使えるはずだ。」

 

キリト「そうかもしれないけど、お前そんなことできるのか?」

 

デュオ「5,6分あれば装備は修復できると思うぞ。」

 

キリト「マジか・・・!?」

 

デュオ「ああ、今から一回落ちて修復作業をしてくるから、俺の体をしばらく頼む。」

 

キリト「わかった。」

 

キリトは、ストレージに入っているアイテムを全て選択すると、それをデュオに送る。

キリトとデュオのSAO時代最後の持ち物を全て所持すれば、

重量オーバーになり入り切らないアイテムは足元にドロップするはずだが、

破損したアイテムは重量0なので、事実上無限に所持することが出来る。

 

デュオ「それじゃ、頼むな。」

 

デュオは別れを告げると、ウインドウ画面からログアウトを選択した。

大地視点

ALOから早くも戻ってきた俺は、ナーヴギアのメモリーから破損したアイテムデータをPCに移動させる。

 

大地「え~と・・・これと、これで・・・」

 

俺はハッキング用のディスクをPCから取り出すと、別のディスクを取り出してPCに入れる。

これは、データクリーニング用のソフトに手を加えて、データの修復及び改造を行えるようにしたソフトだ。

PCの画面にディスクのデータが表示されると、それらを操作してデータを再構築していく。

続いて、再構築したオブジェクトのデータをALOの形式と組み合わせていく。

3,4分で全てのアイテムが再構築完了したので、

PCで分析してみる。

その結果、俺は顔が引き攣ってしまった。

 

大地「さすがは五十層以降の装備・・・レジェンダリーウェポンにも匹敵する性能になったよ・・・」

 

俺たちが1年以上掛けて集めたアイテムだけあって、攻撃力等の性能は初期装備の十倍近くある。

しかもALOの武器として構築したため、属性や特殊能力もついている。

 

大地「何々・・・ブレイズダスクは・・・火属性と闇属性でエクストラ効果は【フレア・シフト】・・・刀身が燃え上がり、一定上の衝撃を与えると爆発を引き起こす。」

 

俺の持っていたブレイズダスクは、そこそこな性能のようだ。

問題は、キリトのエリュシデータである。

 

大地「属性は闇・・・エクストラ効果【フライング・スラッシャー】は片手剣スキルが900以上あると、三日月形の斬撃を飛ばすことが出来る・・・」

 

SAOでキリトの相棒をしていた剣は、恐るべき能力を持ったまさに魔剣に進化してしまった。

俺は剣の能力に驚きながらも残りのアイテムを確認していく。

すると、キリトのアイテムの中には意外なものが交ざっていた。

それは、かつてリズベットが打ち上げた最高の剣の1つでありアスナが最後まで振るい、

キリトがヒースクリフを倒した際に使われた細剣(レイピア)【ランベントライト】である。

おそらく、キリトのダークリパルサーが砕けた時に左手の装備が無い状態になり、

その時にキリトがこの剣を掴んだため装備扱いになったのだろう。

それを、俺が再構築させたということになる。

ちなみに性能はというと、属性が聖でエクストラ効果は【ライトニング・レイジ】

突き技の威力と速度が2.5倍になる。

 

大地〈これもチート級だな・・・まあいいか・・・〉

 

大地「とりあえず、データ(これ)をナーヴギアに戻してっと・・・」

 

再生したデータをナーヴギアに戻し、PC等を片付けると再びナーヴギアを装着する。

 

大地「リンク・スタート!」

 

俺はもう一度、ALOの世界へと向かった。

デュオ「ただいま。」

 

キリト「おう、お帰り。」

 

ユイ「おかえりなさいです。」

 

戻ってきた俺は、体を起こすとキリトにアイテムを返す。

俺がいない間、何をしていたか訊くと、キリトはユイに飛行を教わっていたそうだ。

 

デュオ「娘に飛び方を教わる父親って、どうなんだ・・・?」

 

キリト「悪かったなダメ親で・・・」

 

俺の一言に、キリトはムッとした表情で答える。

 

デュオ「まあいいや。とりあえず装備を替えてから街まで飛ぼうぜ。」

 

キリト「そうだな。基本的な情報もほしいところだし・・・ユイ、一番近くの街はどこだ?」

 

ユイ「西の方に、【スイルベーン】という街があります。そこが・・・あっ!!」

 

デュオ「ん?どうした?」

 

急にユイが顔を上げ、驚いたような顔をしたので、俺は首をかしげ訊く。

 

ユイ「プレイヤーが接近してきます。数は……三人が一人を追っているようです」

 

キリト「おぉ、戦闘中かな?見に行こうぜ。」

 

ユイ「相変わらずパパはのんきですねぇ……」

 

デュオ「まったくだな・・・」

 

キリトのワクワク顔に、俺とユイは苦笑した。

それでも反対する気はないので、装備をSAO時代のものに切り替えてから、

夜の闇の中へと飛びたった。


 
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