この話はとても昔の話、そーだね……10年くらい前になるかな?
常夜 空亡ーーー神殺しの頂点と呼ばれる僕たち神にとって、最も恐れる天敵……その力は神に対してのみ発揮することができる。
全ての神の関連する力を拒絶、否定、無効化し無条件で相対する神のスペックの数倍の力まで自身を強化できる彼女の力、それは脅威以上のものだ。
更に彼女は自分より下位の神殺し属性の武器を無限に創造する能力まで秘めている。
正に神を殺すことを存在意義としているかのような、そう思わせるほどの力だ。
良くも悪くも大体の世界に存在している人間と言う概念は、神と言う存在を信仰、崇拝している。
人間は辛いこと、苦しいことがあると何かにぶつけたくなる、縋りたくなる。
例えば奇跡などと言う偶然の産物に形を、幻想で思い描いて自分は誰かに守られている!…なんて思う自分は特別な存在だ、自分は守られている等と薄っぺらい理屈を通して自分が壊れないように守る。ある意味で自己防衛とも呼べるそれは本能と言うだろう。
さて、万象が内包した無限の可能性が生み出した僕たちにとって最悪の天敵……そして、全世界に喧嘩を仕掛けることができる紅い夜の覇者、闇を総べる皇、原初を手にした大罪人等と言われている僕の親友、零崎 紅夜と共に保護したこの話の中心人物である空亡ちゃんとの出会い、そしてどういう過程で空亡ちゃんと紅夜が親子になったのか……お話しさせてもらうよ。
※この時の紅夜の中身はレイスです。そしてこの話は超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス 外伝的なもの、の続編だよ
「---報告は以上か?」
とても広い……それこそ幅や高さの概念がないようなマンホールの中で重厚な声音が響いた。
僕の目の前にいるのはオールバックの夜を印象されるほどの漆黒の髪にキリッとしたかっこいいメガネをして凛とした容姿である僕のお義兄さんであるクロウス・ラーズディング……神の種類で言えば次元神に当る全世界含めて文句なしの№2の実力者だ。
「うん、そうだよ」
報告内容は先ほど数日前に保護した神殺しの頂点のことを僕は調べて提出していた。
今から100年前から謎の神が殺される事件が勃発していた当初はどこぞの人間が神に憎悪とか抱いて何らかの方法で神殺しを成功された。
別に
その時は偶然、世界に住む人間達が神を殺すと言う大義を得たい望みが複数あって、神殺しを成功された世界があったんだろう……そう、判断されていた。
ぶっちゃけ、神って確かに崇高な存在なのは間違いないけど、善悪の神がいるんだ。
全ての生き物を自分の意思で定めるような神も世の中にいるから、反感を買ってしまった。
そしてーーー殺された。
「………ふぅ」
お義兄さんも僕が作成した書類に目を通すと眉に手を置いた。
神殺しの頂点ーーーその力は恐るべきものだ。
神に対しての絶対的な耐性能力
神に対しての絶望的な陪乗能力
神に対しての絶代的な神殺し武装の創造能力
……細かくしていけば更にその恐ろしさが身に沁みていく。
「零崎 紅夜は神殺しの頂点をどうすると言っている?」
「うーん、とりあえず預かるって言っているよ。あのお人よしのことだからきちんとお世話すると思うよ」
「………そうか」
これが人間なら引き取ってくれそうな人を探せるんだけど、保護しているのが神殺しの頂点だからね……人間には預けれない。
そもそも、人間が神殺しの頂点を道具として扱い様々な神が殺されたんだ。
強大な力の前に人間は理性を保っていられるか……人間一人は大して脅威じゃなけいけど凡人でも神殺しの頂点を使えば世界征服なんて余裕だろう。
「空、お前の意見を聞きたい。勿論、破壊神としてではなくお前の視点からだ」
「このまま黙っておいた方がいいと思う……紅夜は本気だし、紅夜のことだから自分の欲に任せて神殺しの頂点を使うなんてことはしないと思うし…」
「ふむ、しかし他の神々はどうする……俺やお前のように黙っているわけにはいかんぞ」
僕は大きくため息を吐いた。
『十六夜鏖殺の事件』ーーー十六の世界に存在する神や異体の生物、人間などの全て殺し尽くした最悪の事件だ。
その犯人である零崎 紅夜は今は自分の犯した罪を自覚して、理解して償いをするために行動している。
紅夜自身の能力は凶悪すぎるがゆえに僕が破壊したけど、十六世界分の全ての存在の絶望、怨念………とんでもない負を紅夜はその身に吸収している。
それを解放してしまえば、零崎 紅夜という存在は自分が殺してきた全ての存在と同化することになり紅夜は十六世界全ての生物と一体化することができる。
その戦闘能力は想像を絶する何せ、十六世界全ての存在と同化していることは全ての攻撃が防御が十六世界分なんだから……その戦闘能力は
なにこのムリゲーということは既に分かっている……まぁ、本人からすれば罪を使う技であるので使うことはないけどね。
デコピンで次元を消し飛ばした時だって僕が今の様に報告書を造るためになってもらってそれ以降、一度きりだしね。
「でも、お義兄さん紅夜はあの
「……………」
あれ、お義兄さんが黙った。
僕は嫌な予感を感じているとお義兄さんは徐に手を上げて何かを描く様に動かす。
すると、なにもない空間に突如ディスプレイが投影され、そこには『無限神アイン・ソフ・アートマン』と下行に書かれている絶世のイケメン君が映された。
僕はそいつに身に覚えがある……こいつ全世界の中で№7の奴だ。
性格はなんていうか……自分が神であることを思いすぎた感じで世界に住む全ての生物は神によって管理されるべきだとか言っている勝手と言えば勝手な奴だ。
「こいつがなんて言っているの?」
「神殺しの頂点は即刻、除去せよっと言ってきている」
除去……って、まるで害虫のような言い方だね。
ーーー奴らを除去してこい
「……気に入らないね」
「確かに神殺しの頂点は俺達にとって脅威だが…今は見分けの時間だ。このまま神殺しの頂点が世界の敵となるなら殺すが、情報によるとあの子は強制されていた…力が力だが、それだけを理由では殺害は出来ない。空、この件はお前と紅夜に全て任せる」
「……もしもの場合は紅夜に神殺しの頂点を殺させろと?」
お義兄さんは椅子から立ち上がり僕に背を向けて数歩、歩いた。
「そんなことにはならないだろう…最悪の殺戮者と言われている零崎には不思議な力があるからな……会議がある数日で戻る」
言いたいことだけ言い残してお義兄さんは姿を消した。
究極の次元神であるお義兄さんにとってこれは動作もないことで、僕にとっては知覚不能の空間移動だ。
過去現在未来全てが見えるお義兄さんの言葉だから、大丈夫でしょ……と僕は胸を一撫でしてから部屋を後にする。
豪華な紅いカーペットを歩き紅夜がいる部屋へ向かう。
神殺しの頂点……僕たち神を滅ぼすことが出来る最悪の存在、……見た目はまだ10歳にもなってない幼い少女の容姿で過酷な状況で道具として扱われていたから紅夜が保護した時は、死んでいるか生きているかと思うほどのやせ細っていた。
「………望んだ力なのかな……」
正直な所、僕は彼女が怖い。
最初見た時は確かに死にかけていたけど見た瞬間、僕の本能が逃げろと叫んだ。
これでも、それなりの実力者である僕がである。
この場まで昇るまでに相応の努力をしてきたことは胸を張って言える。そして自分が強いことにも自信があるけど、彼女はそんなこと関係なく、僕が神である理由だけで全てを破壊した。
努力も、能力も、可能性も関係ない。
神殺しの頂点だから負ける……そんな絶対運命なんだ。
「……………気に入らない」
頭を何度か振って考えを捨てる。
ここで僕がどんな考えをしたところで紅夜からすれば、神殺しの頂点は間違いなく被害者であることは変わりないんだ。
結論から言えば、紅夜が決めたことだから僕は黙って従おう…だ。
勿論、彼女がどんな立場であっても僕たちを滅ぼす力を持っているのは事実なので、もしもの時は紅夜に討伐を頼もう。
紅夜の部屋の前まで移動し、僕はこれからのことを憂鬱に思いながら扉を開けた。
「あっ、おかえり」
「ただいま」
紅夜は机に座って従者で黒い和服が特徴的なティシフォネは傍で立っている。
問題となっている神殺しの頂点は、紅夜の隣で座っている。
僕は紅夜とは反対側に座って、一息付いて、硬くなった肩を和らぐように動かす。
「……………」
神殺しの頂点は少しだけこちらに視線を向かせて僕を見て、何事もなかったように外へ視線を向ける。
その表情は無表情で、人形のように動かない瞳からは感情も読めないほど光が無くて、一目では呼吸の為に微かに動く胸で要約、生きていると思わせるほど、神殺しの頂点は生として必要な物が欠落していた。
『…………』
このやり取りに紅夜は困り顔だ。
恐らく、話しかけてもこんな感じで反応がなかったんだろう。
「えっと…喉、渇かない?…………」
途中で紅夜の顔が強張った。
彼女のことを気遣ってか神殺しの頂点と呼ばない様にしているんだろう、だがそれが彼女の名前だ。
「君さ、なにか名前とかないかな?どう呼んでいいか分からないんだけど……」
「……………」
紅夜の言葉に完全無視である神殺しの頂点……。
その隣で立ち尽くしているティシフォネは殺人鬼のような目で神殺しの頂点を睨んでいる。
溢れる殺気が窓を震わせ、罅が入り出した所で紅夜はティシフォネに向かって手を上げた。
「やめろ、ティシフォネ」
「………しかし、……分かりました」
反発しようとするティシフォネだが、紅夜の真剣な顔に気に入らないように神殺しの頂点を一瞬、睨みつけ顔を伏せ下がった。
「…………」
神殺しの頂点は終始、何事もないように外を見続けていた。
それは一枚の絵になるほど、果てしなく儚い風景と呼べるもので、そよ風でも吹ければ一瞬で壊れてしまいそうな危なさを感じれる。
「………綺麗だな」
「……?」
紅夜の呟きに神殺しの頂点は微かにこちらを見た。
「髪の色だよ」
「!」
初めて神殺しの頂点はリアクションを起こした。
驚く様に目を開いている。
神殺しの頂点の髪の色は一言で現すなら無垢だ。
何色に染まる前の真っ白なキャンパスを思わせる髪の色、それは色素を感じれない純白だ。
「あ、なた……は」
小さい口から聞こえたのは消えそうな声だ。
だが、その声は僕たちにちゃんと伝わっていて、紅夜は神殺しの頂点の頭を撫でた。
「やっと、返事を返してくれたな。俺は零崎 紅夜、あっちの恐い目つきの女性は俺の従者のティシフォネ。」
「僕は破壊神、夜天 空だよ。」
「…………」
神殺しの頂点は相変わらずの無表情だが、僕たちには状況がつかめない驚愕を確かに感じれてた。
どうやら、少しはこちらを意識し始めてくれみたいだ。
「名前、教えてくれないか……?」
「………名前って、なに?」
神殺しの頂点の言葉に紅夜の顔が凍りついた。
「紅夜、ちょっと……」
これ以上は進まないと思った僕はとりあえずお義兄さんと話したこと、そして彼女がどんな状況なのかを伝えるために手招きした。
紅夜は深い表情をしながら、ティシフォネにここを頼むと僕に付いてきてこの部屋から出た。
「………100年間、近く監禁されたんだ。知能は多分赤子と同レベル……そう思っていいだろうね」
「俺が、もっと早く気付けば…!」
「いや、その点に置いては完全に
「初めて見た……あんな空白を……
強く拳を握りしめる紅夜。
神殺しの頂点には生物として当たり前の感情が無いに等しい、道具として手荒く扱われてきたから仕方がないことだろう。
「それにしても、気づいている?」
「あぁ、あの娘は力を
紅夜が喰らった神の力が彼女を畏怖しているのを感じているのか……。
神殺しの頂点は恐らく力を使うことを強要されていたんだろう……そのせいで彼女の周りは常に濃い神殺しの力が放出され続けている。
この世界は神が作り出した所ではないから良かったものの、もしここが神が創造した世界ならとっくにこの世界は崩壊していくだろう。
僕もあれほどまでは思わなかった。
彼女と向かい合った時、目を合わせただけで意識が一瞬飛んだ。
「……紅夜、君に命令がある」
危険だ。それは僕の本能がさきほどまで煩いほど吠えている言葉だ。
多少は、庇うつもりであったけどあそこまでのレベルだと庇うどころか、僕が死んでしまう。
「殺せ……だろ?」
「……僕じゃ、あれを殺せない」
神殺しの頂点を殺す方法は単純だ。
相手が神の恩恵などを受けていない人物なら絶対に殺せる。
そして、紅夜は恩恵を受けているがそれをシャットダウンすることができ更に人間本来の存在を残しているため神殺しの頂点を殺すだけの条件はクリアしている。
僕は
多少は耐性はあるだろうが、精々足止め程度が精一杯だと考えてもいいだろう。
「名前すらない、幸福を知らない、少女を………未来の可能性があるのにそれを殺せと言うのか空……!
」
「僕だって、出来れば普通に生きてもらいたい……けど、たった一人の少女の為に世界の均衡を危ぶませることを比べるたら君でも分かるだろう……!」
神には天候を制御したり、運命や平和を保つことを仕事にしている奴がいる。
そんな神が、もし神殺しの頂点の暴走で殺されたらどうなる……バランスよい天候は狂いそれは災厄となり、平和が無ければ人は闘争本能に支配され殺し合う!運命を決めるものがいなければ人は足を止め堕落していく……!
「たった一人の少女を殺すだけで、世界の危機は救われるんだ………分かってよ。紅夜……!」
「分からない……、分かりたくねぇよ……!あいつは被害者なのに……なんで、なんで加害者になって、何もかもから邪魔者扱いされなきゃいけないんだよ!」
「
「っ!」
いつの間にか僕は吠えていた。
微かに神殺しの頂点は昔の僕と嫌に重なっていた。
だから、助けたいと言う思いもある!だけど……!
「どうしろっていうんだよ!!。彼女一人の命で失われる可能性のある未来が救われるんだよ!!!」
「目の前の一人の少女を助けれないでなにが、未来だ……!あいつだって生きる価値が、意味が、権利があるんだ!!!」
「だから、
僕の現実論と紅夜の理想論がぶつかる。
いつものことだ、自分が言うのもなんだけど仲はいいんだ。
だけど、こういうことになると、直ぐに僕たちの間に口喧嘩が始まってしまう。
「その、長年生きてきた経験はお前の頭を固くすることしかしないのか!?」
「紅夜の言っていることは夢物語だ!僕はただ彼女の命と世界の治安を天秤に掛けてその結果を言っているだけだ!!」
「お前は周囲のことに目配ってばかりで前を見ようとしないんだ!それにお前は俺の好きにしていいと言った筈だぞ!」
「予想を超えているんだ!あんな危険な………神殺しの存在を置いておくわけにもいかないんだよ!!」
とまらない嵐のような言い合い、互いに譲れないものが合って、僕たちはただ自分の思想をぶつけ合った。
「生きる価値なんてないんだ!。価値は、それぞれ見つけていくものなんだ!紅夜が勝手に決める物じゃない!」
「だから、殺すのか!!!価値がなきゃ死んでもいいのか!?お前たちはあの娘が恐いだけで殺そうとしているだけじゃないか!!!」
「………違う」
「違わなぇよ!!!」
分かってよ。
世界の中には神という存在に酔いしれている人類もあるんだ……。
神なくして世界は回らないだ。
今までの当たり前を破壊する存在は………誰だって拒絶するんだ!!。
「命令だ。零崎 紅夜……神殺しの頂点を殺せ」
自分でも分かる震え声で僕は紅夜の道を強制的に決めた。
まだ、情は浅いから悲しみも少ない。
君の実力なら痛みすら感じさせることもなく殺せるよ。
「…………」
紅夜はようやく黙って顔を下げた。
僕は暗い気分を晴らすために紅夜の肩に手を置こうとした時、紅夜の肩がぶれた。
「---ぐぁっ」
途端に口から強制的に吐き出る空気、そこで要約自分が殴られたことに気づく。
「断る!!!!!」
聞こえる裂帛の紅夜の声。
余程、力を込められていたのか壁は大破している。
強打した背中を摩りながら、僕は立ち上がる。
「やっぱりだね……!!」
互いの思想が重ならないなら相対するしかない。
そして、口で駄目なら拳で決めるしかない。
それが違う理論で世を見ている僕と紅夜の暗黙の決め事!
「「---うおぉぉぉ!!!!」」
喉がはち切れるほどの声を上げて僕と紅夜は同じタイミングで拳を重ねた。
紅夜の拳は腹部に打ち込まれ、僕の拳は先ほど殴られた顔部に抉りこんだ。
「う、ぐっ!!」
紅夜は車に跳ねられたように廊下に何度も自身の体を回転させばがら壁に激突した。
「神殺しの頂点は世界を犯す猛毒なんだよ!今の世を守るその意思は他の神々の総意でもあるんだ!それを分かれ!!!」
土煙が舞う崩壊した壁に向かって僕は叫ぶ。
僕だって出来れば救いたいさ!でもね、この世に全知全能が存在しないから、絶対的な神なんてどこにでもいないから!
例え君の思い描く未来が正しくても、間違っていても、僕は神として定めないといけないんだよ!!
「………だから、どうした…!」
土煙から吐かれるように出た声と共に廊下中のガラスが刹那に砕かれた。
目に入ったのは妖気のように揺れる物、思わず悪寒を感じさせるような濃密な闇を纏った紅夜がそこにいた。
「私情で世界を決めるな!!因果は巨大な物を拒むんだよ!!」
「だから、どうした……!!」
---っ、この野郎!完全に僕の言葉に耳を傾ける気がねぇな!
もう、いいさ……!互いに拳が出た以上……やることはただ一つ!!
「「どちらが、正しいかーーー白黒つける!!!」」
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外伝的なものをまた書いてしまった。
………早く、神次元編を書きたいな………