No.497594 いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生したたかBさん 2012-10-18 20:13:38 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:7200 閲覧ユーザー数:6418 |
第七十五話 ワロス。
「やったー、私、大吉!家族運最高だって!」
「あ、私もだ。…待ち人は意外な所で出会う?」
テスタロッサ姉妹は見事に大吉を引いたようだ。
その横でははやても笑顔を浮かべている。彼女もまたいい結果が出たのだろう。
シャマルさんとシグナムさんとリインフォースもいい笑顔。ヴィータと子犬フォームのアルフは難しくしている。
…おや?
「…ザフィーラさんは引かないんですか?」
俺は周りにいる人には聞こえないように小声で話しかける。
「…一応、主はやての連れている。…犬、だからな」
「…まあ、こんな所で狼がおみくじを引いたら引いたで大変ですもんね」
「っ!」(犬とは言わなかった!)
「どうかしたんですか?」
「い、いや。何でもないぞ」
何やら嬉しそうだが?
まあ、はやてが嬉しそうだからかな?
「あんたもさっさと引きなさい」
「すずかとなのはが戻ってきてからな」
「本当は怖いんじゃないの?」
やや不機嫌な顔で俺に話しかけてくるアリサ。彼女の今年の運勢は末吉。
中途半端なのが気に入らなかったらしい。
そして、俺にもそれを伝播させようというのかおみくじを引くように促す。
「…ああ、怖いね。新年早々の度胸試しにしては心臓に悪すぎる」
そして、俺はそれに正直に答える。
めっちゃいい笑顔で。
「…否定しなんかい。たかがおみくじにそこまでビビってんじゃないわよ」
ほっとけ。
俺だってまさかおみくじでここまでビビるなんて前世から今まで無かったわい。
それでもここのおみくじを引くのが怖いんだ。
だからせめて大吉を引いた人を連れてその運にあやかろうとして何が悪いか。
「…だから、皆が帰って来るまで待っていたのかよ」
「いいじぇねえか別に…」
ヴィータが冷めた目で俺を見てくる。
健康運で食べすぎ注意と出たのではやてにアイスを食べるのを控えようかといわれたのが不服みたいだ。
はやての事だから冗談だろうに…。
「あ。ヴィータちゃん」
人ごみの中から着物を着こんだなのはがお姉さん二人を連れてやって来た。
これで待ち合わせをしていた全員が来たことになるな。
「あ、高志君も。あけましておめでとう」
ぺこりと頭を下げられたので俺も下げる。
「おう、おめでとう。そして、お年玉をあげよう。B太と酢漬けとアジサバも並べー」
「B太じゃねえ!ヴィータだ!てか、お年玉ってなんだ?」
「酢漬けって…。もしかして私の事?」
「にゃっ?!なんでなのはは同い年の高志君からお年玉をもらわないといけないの?!」
しまった。
未だに前世の記憶があるせいか、ついつい癖で。
生活保護受ける前はバイトして、年上のメンツを保つためにお金を稼いでいたしな。
受給していたのはほんの三ヶ月だよ。
あと、すずかは俺の発言に困惑した顔をしていた。
だって、昨日の昼にお前からは
「…年明けに貰うちょっと多いお小遣いみたいなものよ。って、あんた何でそんなお金があるの?」
「まあ、この世界で生きていくためにいろいろしたからな」
俺はそう言いながらなのはに、ぽ○袋。ではなく、お年玉を渡す。
アリサは俺の顔を掴んで自分の方に向ける。
「遠い目をしないでこっちを見なさい」
…アースラからお給金が出たんで。
と言ったらなのはにも渡さないといけなくなる。
それに、給金を貰うという事は労働を提供するという事。
ボランティアの精神で頑張って来た女の子にはまだ早い。
「…俺、汚れちゃったな」
「あんた、本当にどうしたの!?なんか、クリスマス過ぎてから地が出てきているのかどうかわかんないけどどんどん老け込んできているわよ!」
「ほら、アジサバ。俺からのお年玉」
「…いや、妙に哀愁を漂わせながら渡されても」
「子どもが遠慮なんかするな」
「同い年でしょ?!」
「気にするな。中身は成人だ」
「精神が大人とでも言いたいの?!というか、行き過ぎて残業をやりすぎたおっさんか初老を思わせているんだけど!」
「大丈夫。足のつかない金だから」
「逆に受け取りづらいわよ!そんな怖いお年玉!」
「いいんだ。持っていきなさい」
「あんたは孫にこっそりお小遣いあげる爺さんか!」
ほったらかしにされたなのはとヴィータはふてくされていた。
「私をほったらかしにして。…二人共。実は仲がいいでしょ」
そんな状況でも俺の一挙一動にアリサのツッコミが飛ぶ。
感動した!
俺のボケを取りこぼすことなくツッコミを入れたアリサに俺は感動した!
いつまでもそのままの君でいて!
俺とアリサがふざけ合っている間に待ち合わせをしていた全員が集まって来たので、結果発表。
テスタロッサ姉妹。はやて。シグナム。シャマル。リインフォース。大吉。
結局買った、ザフィーラ。忠き、じゃなくて忠吉。否、中吉。
なのは。すずか。小吉。
アリサ。アルフ。ヴィータ。末吉。
…ふむ。この中で選ぶとしたら…。
「シグナムさん。リインフォースさん。おみくじを買うのに付き合ってください」
大吉を引いたこの二人についてきてもらおう。
「ちょっと待って!」
「ちょい待ち!」
そうしようとしたらアリシアとはやてに止められた。
「なんで私じゃないの!私だって大吉だよ!」
「せや。私だって大吉やで!」
「だって、お前等俺の運を全部吸い上げそうで…」
「「…うっ」」
俺の一言に言いよどむ二人。
自覚があるんかい!というか、運を吸い上げる方法とかあるのだろうか。
「…仕方がないか。でも、結果はちゃんと教えてよね」
「引き直しは無しやで」
二人に見送られておみくじ売り場に行く。そして、おみくじを買う前に一緒に来てもらった二人を拝んでからおみくじを買う。
拍手と礼をされて二人は戸惑っていたが、今は我慢してもらう。
特に祝福の風。リインフォースがそばにいるのは心強い。
そして、おみくじを引く。
燃えろ!俺の何か!
凶。
「「「地味にリアル!」」」
皆の所に戻って来るまでおみくじを開けなかったのが悪かったのか?
いざ開封してみると、そこに書かれていたのは凶。
ちなみに中身はというと。
家族運。家族サービスはほどほどに。
「サービスなのにほどほど!?」
環境運。運命からは逃げられない。
「どんな運命やねん!」
金運。結構ある。…が、割に合わない。
「どういうことよ!」
仕事運。過酷。
「…俺、もしかして(管理局に務める事)早まった?」
健康運。体力面では大丈夫。体力面では…。
「怖いわよ!…何か、別のものが起きそうで怖いわよ!」
待ち人。(字がかすれて読めなくなっている)
「どうしてここだけピンポイントになってん!?」
総合運。全てワロス。
「せめて『ワロス』じゃなくて『悪す』って書けよ!」
「なんでここだけ誤字ってんねん!」
「て、これはもう凶じゃなくて大凶でしょ!」
俺とはやてとアリサのツッコミがたかが百円で買えるおみくじに飛び交う。
このおみくじが何をした!いや、総じて俺が何をした!
去年の俺は結構頑張ったと思うんだ。それなのにこの仕打ち。
「俺。…ちょっとお清めしてもらうわ」
「…あ、うん。ちゃんと清めてもらうおうか」
「ついて行ってあげるわ」
我らツッコミ三人衆。どこに行くのも常に一緒!
風邪の治ったばかりの俺だが井戸から水をくみ上げてそれを浴びて水浴びを行い、この神社に務めている可愛い系のお姉さんにお清めしてもらった。
寒空の中。そんなことをするのは辛かったが、やり遂げた。
そのせいもあってか見事に…。
「…沢くん。沢、高志君はいませんか?」
「先生、タカシなら風邪をひいて今日は登校できないんだそうです」
「そうなの。ありがとうね。アリサさん」
一月四日。三学期の最初の登校日。
「…げほげほ」
俺は風邪をひいて布団の住人になっていた。
お腹がすいたのでプレシアかユーノにおかゆを作ってもらおうと思ったが、二人は今忙しい。代わりにシャマルさんがおかゆを持ってきてくれた。
「熱いから冷ましてから食べるんですよ」
新年早々に金髪美人さんに介護してもらうなんて…。
今年のおみくじは散々だったけど幸先がいいぞ。
「あ、はい。それじゃあいただきます」
ちなみに普通の白くて熱い普通のおかゆですよ?
ずず…。
…
オイシカッタデス。
コノチョウシナラ、アシタニハ、トウコウ、デキソウデス。
その日の夕暮れ時。
フォトランサー!と叫ぶお見舞いに来た少女の声が聞こえたとかなんとか。
真実はマンションの住人だけが知っている。
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第七十五話 ワロス。