No.495619

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した

たかBさん

第七十四話 一発でも多く叩ければそれでいい!

2012-10-13 11:58:54 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:7639   閲覧ユーザー数:6530

第七十四話 一発でも多く叩ければそれでいい!

 

 

 

 私、アリサ・バニングスには今年中に達成したいことがある。

 それは今年の夏に転校してきた男の子。沢高志に名前を呼ばせることだ。

 アジサバとかニンニクとか、あんたは年中腹ペコ人間か!

 それからというもの高志とはぶつかり合っている。

 フェイトが来てからは私達から離れようとしたが、それの理由を理解出来た。…納得はしてないけど。

 はやての事があってから魔法の事を知った。

 なのはと春に喧嘩したのも私達をそのことの危険性に巻き込みたくなかったから…。

 あと、ついでにクロウのことも。

 皆が私に気を遣ってくれるのは嬉しいけどやっぱり相談してほしかった。親友だからね。

 

 だ・け・ど!

 

 理解は出来ても納得はできないのよ!

 魔法についてはなのはとフェイトとはやてにぶつけたからいいとしても…。

 高志は未だに私の事をアジサバという。すずかは月村という。

 魔法使い組の皆には名前で呼ぶのに!

 

 「という訳でこの着物姿でアッと言わせてやるのよ!そして、話のイニシアチブを取って名前を言わせてやるんだから!」

 

 桃色の下地に浮世絵のように筆で書かれたような犬のデザイン入った着物をみて呆けている間にあいつに今日こそは呼ばせてやる。

 

 「アリサちゃん、気合入っているね…」

 

 リムジンの中で気合を入れている私の隣でいつものようにニコニコ顔のすずかは空色の下地に猫のデザインが入った可愛い着物だ。

 

 「だって、あいつはなのはやフェイト。はやての事は名前で呼ぶのに私達の事は名前で呼ばないのよ!こっちは名前で呼んでいるのに!」

 

 「まあまあ」

 

 クリスマスに会ったはやて関連の事件。

 その時、あいつはライオンの鎧を着こんで黒い鎧の男の人。アサキムと戦った。

 カッコいい男の人だと思ったのは最初だけであとは残忍な性格だと思った。今思い出すだけでも震える。

 だけど、高志は彼の事を知っていて、恐れながらも何か思い当たる所がある。何となくだけどそう思う。

 

 「………」

 

 「アリサちゃん?」

 

 「…何があるのかぐらい相談しなさいよあの馬鹿。まるで春の時のなのはみたいじゃない」

 

 「…そうだ、ね」

 

 あいつは私達を子ども扱いするみたいに馬鹿にする。だけど、時々誰よりも寂しそうな顔をする。それはアリシアの頭を撫でている時に時折見せる。

 あれじゃあ、悩みがあります。と言っているようなものだ!

 だけど、それを聞かないで。と言っている表情でもあるからこちらとしても迂闊に聞けない!

 大人っぽいかと思ったら迷子みたいに寂しそうにしている時もある。

 だから、名前で呼び合える仲になって相談してもらってこのもやもやをすっきりさせるのだ。

 決してあいつが気になるとかそういうのじゃないんだからね!

 

 「…いや~、アリサちゃんって本物だよね」

 

 「何の話?」

 

 すずかは何でもないよ。と、いうけど…。まあ、いいか。

 とにかくあいつに私達の着物姿を見せてアッと言わせてやるんだから!

 と、思った矢先。リムジンが信号待ちをしていると…。

 

 

 キキキィィイイイイ一、ドンッ!

 

 

 「I CAN FLY!」

 

 

 着物を見せつけるはずの少年が目の前の十字路で車に跳ね飛ばされているという衝撃シーンを目にした。

 

 

 「…ヨソウガイデス」

 

 

 鮫島!宇宙人で家政夫的なことは言わなくていいから!

 あと、それは私の台詞だから!

 

 

 「…うう、クロノや武装局員と模擬戦で受け身の取り方を練習していなかったら死んでいた」

 

 「綺麗な受け身だったよね」

 

 「…すずかちゃん。そのコメントはどうかと思うけど」

 

 テスタロッサ一家からM疑惑を受けていてもたってもいられなくなった俺は飛び出したのが悪かった。

 すっかり日が暮れて暗くなった道路付近でスポーツ選手並のスタートダッシュを決めた俺は交差手に差し掛かると、その勢いを殺せずに飛び出し軽自動車に跳ね飛ばされた。

 地面に叩き付けられる際にガンレオンの自動障壁と訓練の成果のおかげで事なきを得た。

 自動車側の日には、お互いに不注意だという事でお互いに『無かったこと』で示談を成立させた。

 あの交差点。暗くなると見通し悪いよね。

 さすがガンレオン!装甲重視(スーパーロボット)は伊達じゃない!

 ダメージを受けたのは生身…。関係ないか…。

 

 「それでもう痛くないですか?」

 

 「すまいないねぇ、シャマルさん。…だいぶ楽になりました」

 

 周りの人間からは背中をさすられているように見えるが実はこっそりと回復魔法をかけてもらっている。

 八神一家もその交差点に偶然居合わせていたので、今はお嬢様方(アリサとすずか)の乗っているリムジンの中で手当てをしてもらっています。

 

 「じじむさいで、高志君」

 

 リムジンって初めて乗ったけど八神家とテスタロッサ家が乗ってもまだ幾ばくかの余裕がある。

 ところでリムジンの前後ってなんであんなに長いの?狭い日本の道をよく走れるよね。

 

 「幸せになれるんだったら爺で結構」

 

 「…あんたって本当に訳が分からないわね」

 

 この狭い日本の道でリムジンを走らせるお金持ちが言うかね?

 

 「あんた、今から行く神社でお祓いしてもらえば?」

 

 アリサはため息交じりに俺に一つ提案してくる。

 お祓いか…。

 厄払いでもしてもらえば少しは良くなるだろうか?アサキムのこととか…。

 

 「そこでは大きな鐘をつくことも出来るしね」

 

 それでアリシアの色ボケやプレシアの親馬鹿も払えたらいいな

 

 「カネ?」

 

 「カネを突く?」

 

 フェイトとアリシアは首を捻って疑問をすずかとアリサにぶつける。

 

 「…あ、フェイトちゃんは知らないか。年明け。この国では新年を迎える直前に百七回、鐘。えーと、日本製の大きなベルと言えばいいかな。それを一回叩く毎に一つの欲望が浄化されるの」

 

 「ちなみに新年を迎えたら更に一回。計百八つの欲望が払えるという。いわばおまじないね」

 

 「…私の闇もそれで浄化できたらよかったのにな」

 

 俺のいた世界とあまり変わらない除夜の鐘だな。

 あと、リインフォースさん。そんなに除夜の鐘に期待は込めないで。答える方も大変だから。

 

 「この世界にはそんなまじないがあるのか」

 

 「はやてちゃんのいる世界は不思議な国ですね~」

 

 シャマルさんとシグナムさんはわかったようなわからないような顔をしながら首を縦にうんうんと振っていた。

 

 「あたし知っているぞ。確か木の枝で出来た人形に釘を打ちこむんだよな」

 

 「ヴィータ、それはおまじないちゃう」

 

 枝じゃなくてわらだけどね。

 確かに呪い(まじない)呪い(のろい)のパッと見は似ているけどさ。

 

 「そこではよく当たるおみくじもあるんだよ。高志君も引いてみたら?今年は皆頑張ったみたいだし…」

 

 「…主。おみくじとは?」

 

 「うーん、とな。預言書の切れ端というべきかな?その年はこんなことをした良いですよとか、悪くなるから注意とか書かれとるんよ」

 

 ザフィーラの質問に答えたはやてに今度はあるも続く。

 

 「例えば?」

 

 「そうやな、水難注意とか、刃物に気をつけろと書かな。でも、他にも勉強はよくできるとか、お金が沢山手に入るとか、良い事も悪い事も書かれているくじやね」

 

 「「へー」」

 

 テスタロッサ姉妹が感心していると、すずかが続けていった言葉に何人かが反応した。

 

 「あと、恋愛とか結婚とかもあるんだよ。お姉ちゃんと恭弥さんもそれは絶対に引くと思うな~」

 

 「「「そう((なの))(なん)(なのか)!?」」」

 

 ちなみにアリサ・アリシア・はやて・リインフォースの順です。

 

 「すずかっ。あの二人やっと結婚するの?!」

 

 「まあ、あの二人は海外で新年を迎えることになるみたいだけどね」

 

 普段は外国で迎えているわけですか…。

 なんか貧困の格差を感じる。

 って、忘れがちだけど異世界で新年を迎える俺も対外凄い。…か?

 

 「そ、それはどのように書かれているのだ!」

 

 「え、えーとね。『待ち人』の欄に書いていると思います。どこに行けば会いやすいとか、それをしていれば相手からくるとか書かれています」

 

 「リインフォース少し落ち着こか。まずは何処で売っているかを聞かな」

 

 すずかの肩をがっちりと掴んで揺らすリインフォースを見てはやても落ち着かせようとしているけど、はやても落ち着こうか…。

 しかし、リインフォースに好きな人がいるのか?

 妬ましい。今度会ったらぶん殴らせてもらおう。

 俺も引こうかな?おみくじ。よく当たるっていうし…。

 

 はっ!

 

 これで大凶とかひいたらどうしようっ。

 よく当たるというし…。

 

 転生特典が逆転しているし…。

 ある一定の女性からは酷い目にあっているのかな。

 

 「例えば、『右乳首を撫でると体がびくっとする』とか?」

 

 なんてピンポイントな所を言うんだアリシア?!

 てか、そこは俺の性感帯だ!

 まだフェイト達と知り合う前に寝ている俺に悪戯してきたアリシアが発見した。

 

 「ちなみに左は?」

 

 「いまいち」

 

 「…いまいちなのか」

 

 はやて!?リインフォースさん?!

 なんであなた達も興味津々?!

 …もしかしてショタコンだったのか!?

 

 「私のおみくじには『新たな発見がある』がいいな」

 

 お願いアリシア!

 俺より俺の体に詳しくならないで!

 

 「…私は健全祈願(主に娘の精神)にしようかしらね」

 

 そうしたほうがいいよ!

 俺もそうするよプレシア!

 

 「高志君、まだ動いちゃ駄目ですよっ」

 

 治療中だが、俺は未だに痛む体を起こそうとするとシャマルさんに止められた。

 離してシャマルさん!俺は鐘を叩いて目の前の少女を欲望から解き放つんだ!

 

 「除夜の鐘を叩いて、この煩悩たちをどうにかしないと…」

 

 「甘いよ。お兄ちゃん。…わたしの欲望は百八つなんかゆうに超えるよ!」(ドヤァ)

 

 「一発でも多く叩ければそれでいい!」

 

 そして、目の前でドヤ顔をしているアリシアから一個でも多くの煩悩を吹き払うんだ!

 

 

 そんなことをしている間に海鳴の街にゴーンと除夜の鐘の音が響いた。が、俺の耳には届いてはいなかった。

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
11
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択