No.490626

真・残念†無双 第11話

システマさん

白蓮たんの残念度>>>>一刀さんの自由度のようです。
実際の上司が白蓮たんだったら仕事もやる気になりますよね。
次回から話が進むはず・・・

2012-09-30 22:25:04 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2149   閲覧ユーザー数:1877

文官達の朝は早い。まだ日が昇る前に起きる。

 

そして夜は遅い。もう朝になるんじゃね?ってぐらいに。

 

 

そもそも何故こんなに仕事が多いかと言うと、まず太守ともなると領土に関する政治や軍事、外交等の仕事の量が多い、

さらに黄布党の本体が壊滅されたといってもいまだにその影響により村や街にも多数の賊が出る、その対処やなんやらで

また仕事が増える。それら量と文官の数が釣り合っていない。

太守様自ら下っ端の文官がやるような書類整理もやるのだからその忙しさが計り知れるだろう。

 

「なぁ、北郷・・・、これいつになったら終わるんだ?もう3日も同じような仕事してるぞ」

 

「・・・そーですねー。とりあえずこの資料は民の税に関するものですからそっちの山が終わったら終わりですね。

 次はあっちとこっちの山の軍事の資料に目を通さないといけないですね。

 これ、いつになったら終わるんでしょうね・・・ねぇ?」

 

積まれた竹簡を眺めて憂いながら伯珪様が言う。我が主である太守様の机の上には綺麗なピラミットが出来ている。

それらは何かって言うともちろん仕事だ。これが全部ただの竹なら俺は帰って寝たい。

お日様の匂いのする布団で寝て夢の世界にダイブするんだ。よ~しただの竹にな~れ♪・・・ならない。

 

「疑問に疑問で返すなよ!!ってか私太守なんだぞ!!太守ってのは最終決定だけでいいんじゃないのか?

 そこまでの仕事は文官の仕事だろ!?」

 

「おっしゃる通りです。ですが伯珪様も分かっていると思いますが人がね・・・いないんですよ。

 せめて・・・、せめて、あと優秀な文官が3人、何でもできる補佐が5人、使える部下が20人いないと

 私達はろくに夜も眠れませんね・・・」

 

「多いな!!?もうそれせめてって言う程じゃないだろ!!というかそんなに人集められないだろ!!

 だいたい昔はもうちょっと仕事少なかったぞ!」

 

「まぁ黄布党が現れて何人か逃げ出したり、ちょっと出来るやつは他の人のトコ行ったりしましたからねぇ・・・。

 別に伯珪様に魅力がないって言うつもりはないんですけど・・・、なんですかねぇ、人を惹きつける物がなかったんですかね?」

 

「言ってるよ!それすなわち魅力がないってことだよ!!くそっ私にもっと魅力があればこんなに仕事しなくても済むのに。

 ・・・っはぁ、そうか、やっぱり私は地味で普通で仕えるに値しないやつだよなぁ・・・」ズーン

 

どうしよう、伯珪様が落ち込んでいられる。ここは部下としてなんとか励まさないと。

傷ついた女性を慰めることができたらその女性はお前の虜になると及川が言っていたのを思い出す。

 

「いいか、一刀。女ってのは自分の事を見てくれる男に弱いんや。とにかく褒めろ。

 褒めて、宥めて、敬って、崇めて、愛して、頼み込んで、拝み倒せば大抵の女はモノになるってもんや」

 

そこまでしたら通報されるんじゃないのかってぐらいアプローチするのが及川流だ。

この言葉はあの及川のものだ間違いないだろう。

 

あの及川の言葉か・・・

 

 

っく、やはり頼れるのは自分だけだ。この状況を切り抜けるのはほぼ不可能だ。

だが俺には見えるぞ。ここで正しい選択肢を選べば好感度は鰻上りだ。

 

 

ピキューン

 

見えた!!

 

 

 

→ 踏みつける

  罵倒する

  踏んでもらう

  罵倒してもらう

 

 

ピッ、ピッ、・・・ピ

 

 

えっと、こんな時はどうすれば・・・、誰か助けて・・・

 

「・・・あ、その、肉まんでも買ってきます?」

 

「いらねえええええええよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ伯珪様も大変なのはわかるがもう少し落ち着いてくれればいいんだけどな」

 

仕事に追われると誰しもストレスを抱えてしまうものだ。俺も癒しの田豫ちゃんがいなかったら今頃廃人になっていただろう。

結局肉まんと甘味を数点買って伯珪様に届けたら少し機嫌は直ったようだ。

しぶしぶ肉まんをかじる伯珪様可愛すぎ、でもまだ仕事の山がかなり残っていてそれを疎ましげに見つめる伯珪様可愛すぎ。

あの選択肢では死亡フラグしか見えなかったのによくやったよ俺。

日常ではソフトMなので踏んでもらうのもアリだったがそれを言うと職を失う可能性があったのでやめておいた。残念だ。

仕事がひと段落し、昼食でもと食堂に足を運ぶ。君主様は仕事があるらしいので置いてきた。いや多分自ら残ったのであろう。

俺のことを恨めしげに睨んでいたが、興奮していたので詳しいことは分からない。

 

「あ、一刀さん!お昼ごはんですか?」

 

俺の癒しのマイエンジェル田豫ちゃんだ。その笑みで今日も仕事をがんばれる。こんな上司がいるのはこの世で俺だけなんじゃないか。

この世の幸せを独り占めしてしまって申し訳ない。この点においては全世界の人に謝罪しよう。

 

「田豫も昼飯か?ならお兄さんがおごってあげるよ。ッハハ」

 

「え、えっとお城の人は食堂の利用は無料なのでは・・・」

 

「甘いな、誰が城の食料だと言った。俺が生み出したこの時代の食べ物で再現した現代の漬物・・・。

それを2週間漬け込んだものがこちら。この釜の中に!!!」

 

 

 

パカッ

 

『すまん。酒のつまみに食べた。メンマには及ばないがなかなか旨かったぞ  趙雲』ヒラリ

 

 

 

「え、えっと喜んでもらえてよかったですね」

 

違う。違うんだ。これは愛しのマイスイートハニーシスターの為に用意したものなのに・・・、あの酔いどれメンマ星人が!

だがまだストックはあるはず。こっちの釜に・・・

 

 

 

『悪い、小腹が空いたので頂いた。一刀にしてはなかなか旨かった  元直』ヒラリ

 

 

 

ちくしょおおおおお。なんでこの城の警備はこんなに甘いんだ。俺の大事な漬物達が命を奪われたんだぞ。

仕事の合間に漬物の様子を見てかき混ぜるのが唯一の楽しみだったのに・・・。なんてひどい。

なんとか俺の権限で食料庫の警備を重点的に行うことは出来ないのか考える。

警備の弱みを握って圧力をかけこちらの味方にするとこまではできそうだ。

だが趙雲の機動力と元直の策を打ち破るのが難しすぎる。敵に回すと恐ろしいなあの2人。

 

「えっと、えと一刀さんの故郷の料理は面白そうですねっ。色々お話を聞きたいです」

 

田豫ちゃんが慰めのためか話を振ってくれた。ありがとう。その笑顔だけで十分だよ。

でもせっかく田豫ちゃんとお話できる時間なので色々話すことにした。

 

 

 

 

 

田豫ちゃんはこんなに愛くるしい幼女・・・、いや少し童顔な少女(法律に触れていない)

<この世界ではアンチエイジング技術が進んでいるため女性は若く見られがちである>

であっても、公孫軍の筆頭文官である。そのため政治や軍事の話にはよく食いつく。

 

「でもやっぱり公孫軍といったら白馬義従の精鋭が有名だよね。俺も鐙があれば馬に乗れるんだけどなぁ」

 

かつて及川と2人で女子大生の騎乗位が見られる・・・、もとい女子大生ときゃっきゃうふふできると思い、

1万5千円で某山の多い県で乗馬体験コースに参加したことがあった。

だがそこには女子大生の姿はなく、既に魅力溢れきったおばさん達しかいなかった。

消沈して物いわなくなった及川をよそに俺はしかたなく乗馬を楽しむ事にし、なんとか乗りこなせるようになった。

その後もおばさん達と和気藹々乗馬に勤しんだ。正直1万5千円は痛かった。女子大生・・・。

 

この時代には鐙はなかったので馬に乗るには技術を要する。1度伯珪様の秘書として馬に乗せてもらったが、

見事に落馬した。伯珪様には蔑むような目で見られた。興奮した。

 

「え、えっと鐙ってなんですか?」

 

「鐙?鐙はなんだろ・・・、足を引っ掛ける輪っかみたいなものかな。足を固定して安定するようにするものかな」

 

「えっとえっとそれって何で出来てるんですか?」

 

「ん~、革と鉄・・・かな、プラスチックのもあった気がするけど」

 

「ぷらすちっくはなにかは分かりませんが、革と鉄ならあります・・・。え、えっとえっと・・・」

 

田豫ちゃんが何やらぶつぶつ言い出して考え始める。こうなった国譲ちゃんは周りが見えなくなるため少し寂しい。

暇だなー。話しかけても答えてくれないしなー。かといって席をはずすのは論外だしなー。

 

 

っはこれを放置プレイと置き換えればっ!!天才かっ俺は!!そうと知れば早速脳内で変換を・・・

 

 

「あの一刀さん、えっとどうしよ。その一刀さん!!」

 

「ふむ・・・つまりそうくるか・・・、ちょそれ以上は・・・」

 

「全然聞いてない・・・。えっと・・・、あ、元直さん!」

 

「おお。田豫か。どうした?一刀に襲われたか?」

 

「ち、違います。その一刀さんがおかしくなってしまって・・・」

 

 

「・・っふふ、駄目だよ、そんなことしたら・・・、・・・ってそんなことまで?」

 

 

「っくく、一刀がこれ以上どうおかしくなると?ん~、見たところいつもの一刀だが?」

 

「そ、そうですかっ?何やらぶつぶつ言っていますよ」

 

「まぁ気にするな。それより何か考えてたみたいだが?」

 

「えっとそうなんです。一刀さんに聞いたんですが・・・」

 

 

 

 

 

 

「っくく、面白いな。聞いたことのない技術だ。早速軍事に使えないか検討しよう。いや、既に使えると思うがな。それも画期的に。

 予算を組み、増産すれば公孫軍の騎馬隊の向上は間違いない」

 

「確かに簡単、簡潔にして効果は絶大です。すぐに作業を開始したいのですが一刀さんが・・・」

 

「こいつはほって置いていい。いくぞ、田豫。まずは資料を作り伯珪様に報告せねば」

 

「え、えっと、は、はい」

 

 

 

 

 

「・・・っちょ、田豫ちゃん、それ以上は駄目だって・・・、田豫ちゃんにはまだ早いよ」

 

だが待てよ、迫られているのを拒むのは田豫ちゃんを傷つけるかもしれない。ここは兄としての威厳を見せつつ対応を決めねばならない。

大丈夫だ。俺と田豫ちゃんの間にはもう確固たる絆が出来ているはずだ。何も恐れることはない。法律とか。

さぁおいで。俺はそっと目を開ける。

 

 

 

 

キョロキョロ

 

 

 

キョロキョロ

 

 

 

・・・ポツーン

 

 

 

・・・って、あれ?俺に這いよる田豫ちゃんは何処に?

あれ?さっきまで田豫ちゃんと話してて、そして田豫ちゃんの放置プレイが始まってその後のご褒美がもらえるところだったのに

いつの間に消えたんだ?照れて何処かへいってしまったのかな。

 

ならばここは兄として待つしかないな。仕事の時間だが伯珪様に頑張ってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?北郷。こんな時間に戻ってきて、今まで何をやっていた?」

 

「何をやっていたのかと聞かれると何もやっていないのですが強いていうなら人生という悲しい現実に憂いておりました」

 

「その人生に憂うのは昼食を取りにいった者が太守に仕事を押し付けたまま夜までかかるような大事なことなのか?」

 

「大事なことです」

 

「言い切ったよ!!潔いなっ!?普通そこは弁解とかするとこだろ。まぁ良いけど、いや、良くないけど。

 お前への罰はあとで与えるとして・・・」

 

「ちょ、ちょっと待ってください伯珪様。さすがに罰を与えるのはひどいですよ。ちょっと太守様に仕事押し付けて

 妄想の世界に入り込んでただけじゃないですか」

 

「いや駄目だろ。仕事中に妄想の世界に入り込むなよ!私がどれだけ仕事してたと思ってるんだよ!」

 

「もちろん理解しております。あっちの山とこっちの山の分ですね?あれを1人でやるのは大変でしたでしょう。

 さすが伯珪様、優秀です。私めも伯珪様に仕えられて万感の極みでございます」

 

「そ、そうか?そこまで言われると照れるな」

 

「いえいえ本心を言ったまでです。では私はこれで」

 

「あぁ、しっかり休めよ。・・・っておいいいい!仕事まだまだ残ってるよ!!

 

 というかなんでこんなに仕事あるんだよ!おい、責任者でてこい!あと肉まん買ってこいよ!」

 

「責任者は伯珪様では・・・?」

 

「知ってるよ!!言ってみただけだよ!話の流れでつい言ってしまったんだよ!」

 

「あと肉まんはさっき食べたはずでは・・・?」

 

「それも知ってるよ!でも後からまた食べたくなったんだよ!誰かさんのせいで休憩もとれなかったからな!!」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

 

 

俺が言い返せないのを見て伯珪様が一息つく。

 

 

「はぁ、はぁ、・・・でだ。北郷、鐙の件は聞いたぞ」

 

「鐙・・・?あぁさっき田豫に言ったやつですね。あれ?じゃあさっきのは現実だったのか?」

 

「現実だろ?何言ってるんだ?

 とにかく、その鐙とやらの実物を作り、予算を組んで資料をまとめろ。実用できそうだからすぐにでも始める。

 だからお前は今から寝ずにそれを作れ」

 

「えーっと、伯珪様?最後の方が聞き取れなかったのでもう1度おっしゃっていただけます?」

 

「だからお前は今からその資料と実物が出来るまで休息を取ることを禁ずる。それが仕事押し付けた罰だ。あと肉まん買って来い」

 

「・・・」

 

「おい!聞こえてるか?」

 

「っは、はい。肉まんですね?買ってきますね」

 

「まったく都合のいい耳だな。とにかく仕事ができるまでは監視もつけるからな」

 

 

 

 

眠い。眠いネムイ眠い。伯珪様の罰で鐙の実用化に向けた仕事を始めてから休息がない。

少しでも休もうとするとどこからか矢が飛んでくる。おそらく親衛隊のものだろう。警備の使い方間違えてるだろ。俺の漬物守ってくれよ。

とりあえず設計図らしきものを描いて街の鉄工所に持っていく。おっちゃんに仕事を頼むと城に戻って予算を組んで資料作り。

他の文官達も仕事があるので誰も手伝ってくれない。というかこれ自分で仕事増やしてしまったな。

嘆きつつもやらないと終わらないので眠い目をこすりつつ仕事に励んだ。

 

 

 

 

なんとか実物もでき、それを実際に使ってみて武官達が驚きの声を上げた。すぐに量産体制が取られたが一応軍機となるようで

城の技術局で専任で作ることになった。これでとりあえず俺の仕事はひと段落だ。やっと寝れる。

布団にはいったら俺爆睡するんだ。あぁ夢の世界が俺を待っている。既に頭の8割は夢の中だ。

 

自分の部屋へと至福の足取りで歩いていると前から趙雲がやってきた。

あ~、趙雲が3人に見える。そのぐらい眠い。今なら布団に入って2秒で眠れる。

 

「おお、北郷殿ではないか。あの鐙とやら私も試してみたがあれはすごいな。馬上での動きが格段と変わるな」

 

「あー、ですねー」

 

「どうした?元気がないな。あぁそうか伯珪殿の罰で寝ずにあの仕事をやったのだったな。それなら仕方ないか。

 しかし、そなたを見込んだ私の目は間違ったいなかったということだな」

 

 

「あー、んー」

 

「ん?まだ寝ぼけているのか?・・・ふむ」

 

「んー」

 

 

「私はやはり美しく素晴らしいな?」

 

「んー」

 

 

「メンマは大陸一の食べ物だな?」

 

「んー」

 

 

「元直殿は胸が小さくてかわいそうだな?」

 

「んー」

 

 

 

ッガァッガッ ドスッ グャシャァ

 

 

「っぐふ、あれ?俺は自分の布団で寝てたはずなのになぜ頭に突き刺さるような痛みが?」

 

「子竜殿、あまり一刀をからかうのはよした方がいいでしょう。主に一刀の命的な意味で」

 

「っふふ、すまないな。まぁ良い仕事をしたのだ。少し休ませてやれ。私が言うことではないが」

 

「そうですよ、子竜殿。あなたのせいで私は誰か分からぬ悪漢から奇襲を受けましたよ」

 

「っくく、一刀よ。さらに傷が増えるぞ?まぁそれは別として休むのはもう少し後にしてもらおう」

 

「え?」

 

「ふむ、何かあったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、皇帝陛下がお亡くなりになった。そして劉辧様が即位された」

 

 

「・・・それは・・・」

 

「ふむ、都洛陽は今あまり良い噂を聞かぬからな。皇帝陛下が亡くなったことで大きな騒乱が起きねば良いがな」

 

「となれば伯珪様も今後の動きを考えねばならないな」

 

 

元直が深刻な顔で話す。

帝が亡くなったということは黄布の乱も既に終わっているしここから三国志の時代が始まるのか?

そうなったらここから先は戦争だ。どうすべきか考えねばいけないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、私もこのまま客将のままではいられないか・・・。さて今頃劉備殿は何をしておられるであろうな・・・」

 

 

 

 

 


 
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