No.484115

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第七十二技 ユイは二人と共に

本郷 刃さん

第七十二話です。
ユイと別れて、キリト達は今回の一件の終着を祝う・・・。

それではどうぞ・・・。

2012-09-15 10:11:20 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12624   閲覧ユーザー数:11871

 

 

 

 

 

 

 

第七十二技 ユイは二人と共に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

俺はユイが消えた場所にあるオブジェクト型コンソールに気付くとそれに向かって飛びついた。

 

「いつまでも思い通りにいくと思うなよ、カーディナル!」

 

俺は持てる知識の全てを注ぎ込みコンソールを高速で操作する。

 

次々に出て来る情報を必要なものだけ目につけて操作して、必要な設定を終えて決定を押した瞬間。

 

―――バガアァァァン!

 

「ガハッ!」

 

「キリトくん!」

 

目の前のオブジェクトが爆発して俺は吹き飛ばされた。すぐにアスナが駆け寄ってくる。

 

「キリトくん、大丈夫!?」

 

「あ、あぁ…」

 

「一体なにを…」

 

俺のいきなりの行動にアスナは疑問を持ったようで、俺はその答えを教えてあげる。

 

「これさ……」

 

「これは…?」

 

俺がアイテムウインドウを操作して取り出したのは小さなクリスタル。

 

アイテム名は『MHCP001』となっている。

 

「ユイだよ…」

 

「えっ!?」

 

アスナは驚愕の表情をしている。

 

「ユイが消えた場所にあったオブジェクト型のコンソール。

 あれでユイがGM権限を行使したのなら、まだ行使できると思ったんだ。

 それで操作してみたらGM権限が残っていたから、

 アクセスしてユイのプログラムをアイテムとして残せないか試してみたんだ。

 うまくいってよかった…」

 

俺の説明にアスナは驚きに染まっていたが、ユイが無事であると確認できるとまたポロポロと涙を流し始めた。

 

「ユイちゃん。ここにいるんだね…」

 

アスナは手に持ったクリスタルを大事そうに握り締める。

 

「元の世界に戻ったら、俺が必ずユイと会わせてみせる…」

 

「うん」

 

俺は誓った。アスナと共にユイと再会してみせると。

 

 

 

俺達が迷宮から戻ると黒衣衆のみんなが待っていてくれた。

 

だが、俺とアスナの表情で何かを察したのか「お疲れ様」と一言だけで済ませてくれた。

 

皆の気遣いが嬉しかった。

 

そのあとサーシャさんと会い、明日は教会でガーデンパーティをするから是非来てほしいと頼まれたので了承した。

 

家に帰ってからは俺もアスナも何かをする気にはなれず、すぐに二人でベッドに入った。

 

二人でユイのクリスタルを握り締めながらその夜は眠った。

 

 

 

「うまい…。まさか、この世界でこんなに美味い料理が食べられるなんて」

 

「ええ。すごく美味しいわ」

 

「ありがとうございます」

 

シンカーさんとユリエールさんはアスナ達の料理に舌鼓を打っている。

 

無事シンカーさんは生還する事ができた。それを祝って今日は教会でのパーティとなったのだ。

 

子供達はサーシャさんとアスナ、ティアさんとカノンさんが作った料理に夢中だ。

 

ちなみに黒衣衆のみんなも手を貸してくれたので俺が誘っておいた。

 

「今回は本当に助かりました。ありがとうございます、キリトさん、皆さん」

 

「気にしないでください。俺達はキリトの頼みを聞いただけですから」

 

「それに俺達は『MMOトゥデイ』には何度もお世話になりましたから」

 

礼を述べてくるシンカーさんにハクヤと俺が答えた。

 

「そうですか、それでもありがとう。『軍』からキバオウとその配下を除名しました。

 あとは今後の方針として軍は解散する事にしたんです」

 

シンカーさんが取った行動に俺は少しの驚きとやはりそうしたかと思った。

 

「今までキバオウが押収した税を街の皆に返して、

 あとはできるだけ協力体制をとれるようにしようと思っているんです。

 前線を攻略組の皆が、俺達は他の人達を守れるように……」

 

「頑張ってください。俺達も前で頑張ります」

 

シンカーさんの決意のある言葉に俺はできる限りの激励を送った。

 

「はい。そういえば、何故キリトさんは下層の情勢に詳しいんですか? ユリエールから聞いたんですが…」

 

ふむ、今後の事を考えると協力者は作っておいた方がいいか…。

 

「誰にも言わないと確約していただけるのなら…」

 

「……わかりました」

 

その返事を聞くと、俺はシンカーを連れて木の陰に来た。

 

 

 

俺はアイテムウインドウからあるアイテムを取り出してシンカーにみせた。そのアイテムとは『仮面』である。

 

「この仮面は……っ!? まさか……」

 

「ええ、ご察しの通りです」

 

俺が見せたのは『嘆きの狩人』が狩りを行う時の仮面である。

 

「シンカーさん、下の人達をお願いします。俺達は、これ以上人を殺したくはない」

 

「そうか、貴方達が……。分かりました、任せてください!」

 

俺の言葉にシンカーさんは深く頷き、意気込んで答えた。話しも終えたので俺達は皆の元に戻った。

 

 

 

「そういえば、ユイちゃんは……」

 

サーシャさんのその言葉に俺とアスナは押し黙ってしまう。サーシャさんも何かを察したようだ。

 

その時、アスナが口を開いた。

 

「ユイちゃんは帰りました…。帰るべき場所に……」

 

アスナはそういうと首から下げるネックレスについたクリスタルを優しく握った。

 

俺もアスナの手の上から優しく握り締める。

 

こうして俺とアスナとユイの短い間だけど、大切な親子の時間が終わった。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

ユイの消失はALOに繋ぐための布石として重要なものなので原作と同じ展開にしました。

 

というわけで、今回で「朝露の少女編」は終了となります。

 

次回から「釣り編」に入ります。とはいうもののさして長くはありませんがw

 

それではまた次回で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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