フェイトSide
私は急いで仕事を終わらせて訓練場に向かって走っていた。
「思った以上に仕事が長引いちゃった……!」
本当は今日の模擬戦は私が引き受けて、なのはを休ませてあげようと思ってたのにな?…。
訓練場に着いて、空を見るとすでにスターズの模擬戦は始まっているみたい。
「ああ、やっぱり始まってる」
「遅かったな、仕事か?」
シュミレーターで出来たビルの屋上でみんなと合流する。
「うん、仕事が長引いちゃって…本当は今日の模擬戦は私がやろうと思ってたんだ」
「そりゃ助かる…最近のなのはは頑張り過ぎてるからな」
空を見上げると模擬戦もそろそろ終盤になってきていた。けれど……
「なんだか…ティアナさんの動きがおかしくないですか?」
「よくわからないですけど……何か変なんです」
ティアナを見ると動きが鈍くキレがない。
「チッ……あいつら訓練で習った事を変な風に使ってやがる」
ヴィータの舌打ちに思わず苦笑いしてしまった。
模擬戦の方はスバルがなのはに突撃している間に少し離れたビルの上からティアナが砲撃の体制をとっていた。
「ティアナが砲撃を?」
「いや…ありぁ囮の幻術だ。本体は……上か!」
ティアナがウイングロードを走り、なのはの頭上辺りに来た時、ティアナはクロスミラージュに魔法刃を形勢して突撃を仕掛けた!
「レイジングハート……モード・リリース」
なのはがそう呟くのと同時に辺りが爆煙に包まれた。
「可笑しいな二人とも…どうしたちゃったのかな?頑張ってるのはわかるけど模擬戦は喧嘩じゃないんだよ?」
煙が晴れるとなのはがティアナの魔法刃を素手で受け止めていて血を流していた…。
「「あ…」」
「練習だけは言う事聞いて、実戦でこんな無茶したら……教導の意味が無いじゃない………ねえちゃんと聞いてる?……私の教導…私の教え方そんなに間違ってるの?」
なのはの言葉にティアナとスバルは動揺し、ティアナはなのはから離れて銃を向ける。
「私は……私はーーーもう誰も傷つけたく無いから!無くしたくないから!…だから……強くなりたいんです!!」
「駄目!止めて、ティアナ!」
「少し………頭を冷やそうか……クロスファイヤー……シュート」
ティアナが撃つ前になのはの一撃がティアナに放たれた。
「ちょ……やり過ぎだろ……」
ティアナに向けて放たれたなのはの一撃は彼女に直撃し、その爆煙でティアナ姿が見えなくなる。
「うわ……ティアナさん、大丈夫かな…」
煙が晴れていき、その姿が見え始める…。
「……どうして邪魔をしたのかな……ティエリア。」
ティエリアside
(まるで、昔の僕のようだ)
ティエリアもバリアジャケット内でなのはを睨んでいた。昔の自分を、否定した目で。だがそれをすぐにやめて、
「ティ、ティエリアさ…!」
後ろで名前を言おうとしているティアナにバズーカを向ける。もちろん撃つ気は微塵もないが、模擬戦を見ていたフェイト達も、睨んでいたなのはも驚愕の顔をする。
「ティアナ・ランスター!!君は自分がどれだけ愚かなことをしたか、分かっているのか?」
ティアナは震えながらティエリアを見る。
「君は目先のことばかりに集中し、周りを全く見ようともしていない!」
「私は見えてます!!兄さんの汚名を…」
「そんなものは単なる愚かな考えにすぎない」
それがさらにティアナを感情を逆なでする。
「あなたなんかに何が分かるんですか!!」
「君の思いが分かるのかと言われれば、そんなもの他人の僕では分からない。」
「だったら!!…」
「だが、君が行っなた行動はどうだ?他人どころか、自分の命も見ていないあの作戦、今とろうとした行動。もし、あのまま君が撃っていたらスバル・ナカジマも危険だった。」
「!!」
ティアナは何も答えられなくなる。
「時には無茶をするのは大事だ。そうでなければ、守る者も守れない。…だが、今は無茶をする時か?」
「私は…………」
「スバル・ナカジマ!」
もう片方に持ったバズーカを今度はスバルに向ける。
「君は一番ティアナ・ランスターと近くにいながら、なぜ彼女の無茶を止めなかった?」
「わ、私はただ……ティアの、パートナーだから…」
「なら、君はティアナが無茶をしすぎて、戦闘中に死んでもいいということか?」
「それは…!!」
「違うのか?なら、君はそこで止めるべきだった。ティアナ・ランスターの行き過ぎた行動を…」
ロックオンもまた、親の仇に集中し過ぎ、無茶をして死んでしまった。それを止めることができず、ただ見ていた自分を恨んだこともティエリアには一時期あった。
だがそれを乗り越え、今ティエリアはここにいる。その過去があるからこそ、行き過ぎた無茶が何を生むか分かるのだ
「時には無茶をすこともある。だが、それで無茶をしすぎて自分が倒れるようなことになっては本末転倒。そう言うことを僕は言っている。」
「………………」
スバルは黙って話を聞いていた。どうやら分かったようだ。
「だが、それよりも僕が許せないことがある。それは、高町なのは。」
今度はすべて武装をなのはに向けて叫ぶ。
「……!!」
なのは再び先程と同じ目をして、睨む。
「正直、僕はティアナのした行為は、今言ったように、君が思っているように、間違っていたと思える。」
「ならどうして…止めただけじゃなく、私に武器を向けてるの?」
「そんなものは決まっている。」
ティエリアははっきりと言う。
「君のやり方は間違っている。」
「どこがかな?私は、二人の教官だから……間違ってるところを正しただけだよ?」
「……僕は、君のそのやり方を認めない。どれだけのことがあろうとも、これだけは言える。今の君は、そこで間違ったことをしたスバルとティアナ以下だと」
本来こんなことはティエリアが言えたセリフではない。ティエリアは何度も自分の仲間を、自分の思うようにいかなかった、ふさわしくなかったと理由で殺そうとした。機密保持と言う名目で。
なのはのした行為は、それによく似ている。自分の教え通りにしなかった。だから撃墜した。
「君は、そんなことすら気付かないほど愚かな存在なのか?」
だからこそ、自分と同じようにだからこそ、今のティエリアがそれを見ると腹が立つのだ。
「てめぇ!!さっきから言いたい放題言ってんじゃねぇ!!」
観戦していたヴィータが急に大声を出した。
「おまえに、なのはの何が分かるんだ!なのはに何があったかもしらねー癖に!」
「彼女になにがあったかなど、見ていない僕が分かるはずもない」
「だったら!!!」
そこに容赦なくティエリアは言葉の剣を突き刺す。
「なら君は、今高町なのはが行った行為が本当に正しかったと言い切れるのか?」
「!!」
「言えないだろう?それが答えだ」
「けど・・・!」
「いいよ、ヴィータちゃん」
なのはがまだ何か言おうとしたヴィータを止めてレイジングハートをティエリアに向ける。
「……どうやら、今の君に何を言っても無駄のようだな……今の君に教導官などふさわしくない。」
ティエリアが光に包まれる。それが消えると、両腰には2門のGNキャノンが追加され、さらに両肩と両足にはGNフィールド発生装置がある。
「いくぞ高町なのは!ティエリア・アーデ目標を破壊する!!」
その言葉と同時に全砲門を同時発射した。
リヴァイヴside
「まったく感情的になるなんて彼らしくもない。」
僕は、現在アニュー、ブリングと共に六課内にある待機室で脳量子波で現在行われている模擬戦を鑑賞していた。
「仕方がないでしょティエリアもなのはさんに対する苛立ちやこの六課の甘さに白を切らせていたんだから。」
「たしかにね……しかしヒリングの言った通り本当に人間は不便だね。」
「同感だな。」
「にしても、ほんとになのはさん昔のティエリアみたいね。」
「・・・アレは、同僚が死ぬかしなければ変わらない。それに今回ティエリアは負けるだろうな。」
「…ですね……それともう一つわかったことがありますよ。」
「「???」」
「・・・このままだと…彼女…高町なのはは……イノベイターにはなれない。」
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14話目です
もうすぐGジェネのオーバーワールド発売ですね