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魔法少女と竜と漆黒の狂戦士とA’s編 空白期 第十四話

零冶がいなくても皆堕とされる。

2012-08-26 20:23:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6054   閲覧ユーザー数:5392

 

ボース 「よく来た諸君。私はここの本部長のボース・ブランドー少将だ。」

 

 

     卒業式から一週間、零冶達5人はボース少将の所へ訪れていた。

 

 

エリス 「お初にお目に掛かりますわ、ブランド―少将閣下。私はエリス・ノーレッジと申しますわ。」

 

 

     エリスは上品に挨拶をした。口調から分かる通り、エリスの家、ノーレッジ家は代々高ランク魔導師や高官を

     輩出している由緒ある家だった。そのための色んな関わりが有り、社交辞令はエリスにとって訳無いことだった。

 

 

ボース 「君がノーレッジ家の長女か。話はユンカース一曹から聞いているぞ?他の3人を含め、随分とやんちゃをしたらしい

     じゃないか。」

 

 

エリス 「あ、あれはその・・・・お恥ずかしい限りです。」

 

 

     エリスは顔を真っ赤にして俯いた。他の3人もボースの言葉にバツが悪そうな顔をする。

 

 

キール 「いやまぁ、なんていうか・・・俺たちがガキだったもんで・・・。」

 

 

ヘンリー「面目ないです。」

 

 

バライカ「恥ずかしいわ。」

 

 

ボース 「はっはっは!まぁ君たちの気持ちも十分に理解出来る。それに、ここにいるという事は、ちゃんとユンカース一曹を

     信頼して着いてきた証じゃないか。気にすることは無い。」

 

 

     ボースは笑って気にするなと言う。そして、今日ここに集まった本題に入った。

 

 

ボース 「さて、今日ここに集まって貰ったのは他でも無い。私が新たに設立する部隊についてだ。」

 

 

     ボースは真剣な表情になって言った。その言葉に4人は息を呑む。ちなみに、この部屋は盗聴対策がされてあるので

     盗聴の心配は無い。

 

 

ボース 「部隊の設立理由は表裏共にユンカース一曹から聞いているな?」

 

 

     全員は頷いて肯定する。

 

 

ボース 「ふむ、それならばそこは省略しよう。全く嘆かわしいことだ。まさか最高評議会が己の権力保持のために犯罪を

     犯すとはな・・・。」

 

 

エリス 「教官から聞かされた時は信じられませんでしたわ・・・。」

 

 

バライカ「そこまで腐っているとは思いませんでした。」

 

 

キール 「まったくだぜ。」

 

 

ヘンリー「ああ。」

 

 

ボース 「面目も無い。・・・話を戻すとしよう。部隊の設立だが、これは私以外に、ミゼット・クローベル統幕議長、

     ラルゴ・キール栄誉元帥、レオーネ・フィルス法務顧問にも協力を仰いでいる。」

 

 

エリス 「なっ!?」

 

 

バライカ「伝説の三提督も関わっているのですか!?」

 

 

ヘンリー「・・・予想外だ。」

 

 

キール 「・・・マジかよ。」

 

 

     エリス達は伝説の三提督が関わっていることに驚いた。

 

 

ボース 「驚いたか?一応ユンカース一曹を含めた君たちのことは伝えてある。さて、配属が正式に決まり次第、ユンカース一曹は

     昇格することになる。階級は三等陸佐だ。」

 

 

     ボースの言葉に部屋の空気は固まった。そして、零冶を含めた全員が叫んだ。

 

 

全員  「・・・・・はあああああ!!?」

 

 

零冶  「・・・・俺は聞いてないぞ?少将。」

 

 

     零冶はこめかみを押さえて言った。

 

 

エリス 「三等陸佐ぁ!?どういうことですの!?昇格しすぎではありませんか!!」

 

 

バライカ「いくらなんでもそれは拙いのでは?」

 

 

キール 「何考えてんだよ!?」

 

 

ヘンリー「何かしらの功績があるならまだしも・・・。」

 

 

     そして、ヘンリーの言葉にボースは返した。

 

 

ボース 「功績ならあるぞ?」

 

 

4人  「・・・は?」

 

 

零冶  「・・・まさか。」

 

 

     4人は首を傾げ、零冶は何か思い当たることがあったみたいだ。

 

 

ボース 「長年に渡って管理局が苦しめられてきた第一級捜索指定ロストロギア、“闇の書”。これで分かるだろう?ユンカース一曹、

     いや・・・黒澤零冶。」

 

 

     零冶はボースの言葉を聞いて手を額に当てて天を仰いだ。

 

 

零冶  「・・・ジェイルの奴め、また余計なことを・・・。」

 

 

     零冶の嫌な予感は的中した。ジェイルはボース少将にあらかじめ正体を教えていたのだ。そして、その名前を聞いた4人が驚愕した。

 

 

エリス 「く、黒澤零冶って・・・あの“闇の書”を単身で屠ったあの!?」

 

 

バライカ「以前、一度だけ聞いたことがあるわ。暴走した“闇の書”を僅か9歳にして強力な召喚獣である竜を操り、最後には

     たった一人で挑んで消滅させることに成功した人物。」

 

 

キール 「・・・・。(ポカーン)」

 

 

     零冶は仕方ないとばかりに肩をすくめて真実を話すことにした。

 

 

零冶  「・・・ボース少将の言った通り、俺はゼロ・ユンカースではない。本当の名前は黒澤零冶だ。」

 

 

ヘンリー「だ、だがそれが本当なら“闇の書”を虚数空間に道連れにして死んだはずだぞ?」

 

 

     ヘンリーの疑問はもっともだ。虚数空間に落ちた人は今まで誰一人戻ってきていない。だが、零冶は奇跡的にも生還することが

     出来たのだ。

 

 

零冶  「俺も詳しいことが分からないんだが、俺が落ちた時に偶然できた空間の歪みの中に入ってしまったらしい。

     そして空間の歪みから別の世界へ通じていたらしい。俺が気がついた時にはとある人に助けられていたんだ。」

 

 

ボース 「そして今に至る訳だ。」

 

 

エリス 「・・・・・・・。」

 

 

零冶  「さて、俺の話はここまでにしよう。続きは追々話すよ。さて、部隊名を言おうか。」

 

 

バライカ「え?特務特攻隊ではないのですか?」

 

 

零冶  「ああ、それが作者の奴が手抜きしやがって格好いい部隊名にしろという要望があったんだよなぁ。」

 

 

バライカ「ちょっ!?それメタ発言ですよ!?」

 

 

     すいません、今度はちゃんと考えてきました。   By 作者

 

 

零冶  「きにするな。」

 

 

ボース 「さて、そろそろ部隊名を言ってもいいかね?新しい部隊の名前は“Dragon Of Guardian”。

     その名の通り、竜の守護者だ。」

 

 

エリス 「・・・なるほど。ユンカー・・・黒澤教官の竜に因んでの名前ですか。」

 

 

     先ほどから口を閉じていたエリスが納得したように言った。

 

 

零冶  「俺も昨日聞かされたんだよ」

 

 

ボース 「はっはっは。零冶君の力は本当に恐ろしいな。一昨日に一部を見せて貰ったが、あれは凄かった。この私が見ただけで思わず後ずさってしまう程だ。」

 

 

     実は零冶は一昨日、ボース少将に仲間を一体だけ召喚して見せた。召喚したのはブラックだ。試しにバインドボイスを

     見せて岩を砕いて見せたらみたら驚愕して固まっていた。

 

 

エリス 「そ、そんなに凄いのですか?」

 

 

バライカ「本当に・・・教官は凄いわね。」

 

 

キール 「っていうか人間止めてね?」

 

 

ヘンリー「おいキール、いくら本当のこととは言え言って良い事と悪い事があるだろう?」

 

 

零冶  「・・・酷い。」

 

 

     零冶は二人の言葉に少なからず傷ついていた。

 

 

ボース 「はっはっは。さて、今日の所はここまでにしておこう。正式な設立は4日後だ。それではまた二日後にここへ来てくれ。」

 

 

零冶  「了解だ。」

 

 

4人  「了解しました!」

 

 

     そして零冶達は部屋を後にし、設立当日まで各々の実家へ帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

     零冶達がボースと話してから翌日、ミッドチルダ北部にある聖王教会ではやては教会騎士団の騎士であり、時空管理局理事官

     でもあるカリム・グラシアに呼ばれていた。

 

 

カリム 「いらっしゃい、はやて。」

 

 

はやて 「カリム!ひさしぶりやな!」

 

 

カリム 「ええ、本当にね。今お茶を用意するから少し待っててね。」

 

 

     そして二人はカリムの部下、シャッハが持ってきたお茶を飲みながら、本題に入った。

 

 

カリム 「今日はやてを呼んだのは予言のことよ。」

 

 

はやて 「予言・・・?また新しい予言が出たん?」

 

 

カリム 「・・・ええ。内容が全く分からないから、はやてに見てもらおうかと思ってね。」

 

 

     そういって、カリムは端末を操作して予言の内容をはやてに見せた。そこにはこう書かれてあった。

 

 

    『星々を翔け治めた三つの光 光が闇に染まり 罪無き子羊を食す』

 

    『世界が闇に染まりし時 巨大な剣と黒き狂気の鎧を纏いし者現る』

 

    『彼の者 その世界に嘆き怒り その手を再び紅く染める』

 

    『それを止めるは悲劇と慈愛の乙女等なり』

 

    『真の怒りに触れし時 白き破壊神が降臨せしめん』

 

    『訪れるのは破壊か変革か混沌と闇か』

 

    『三つの運命を選択するは悲劇と慈愛の乙女等のみ』

 

 

 

はやて 「これは・・・。」

 

 

     はやてはジッと預言の内容を見ていた。

 

 

カリム 「私も解読しようとしてみたけど殆ど分からないわ。唯一具体的に書かれているのは『巨大な剣と黒き狂気の鎧を纏いし者』

     かしら?多分、そのままの意味だと私は思うのだけれど・・・って、はやて?聞いてる?」

 

 

はやて 「え?あ、うん。ウチも分からんわ。」

 

 

カリム 「やっぱり分からない・・・か。ま、普通はそうでしょうね。」

 

 

はやて 「なぁ・・・カリム。話は変わるんやけど、ちょっとお願いがあるんやけど・・・ええ?」

 

 

     はやては預言書から目を離し、カリムに頼み事をした。

 

 

カリム 「?何かしら?」

 

 

     はやては一度俯き、再び顔を上げて言う。

 

 

はやて 「実は・・・探して欲しい人がおるんや。」

 

 

     そう言うと、はやては胸ポケットから一枚の写真を取り出し、カリムに見せた。

 

 

カリム 「これは・・・はやてがまだ小さい時の写真ね。シグナムさん達も映っているわね。でも・・・はやての隣にいる

     黒髪の男の子は・・・・?」

 

 

はやて 「その人は6年前に起きた事件“闇の書事件”で行方不明になった・・・黒澤零冶や。」

 

 

     はやての言葉にカリムは驚いた。

 

 

カリム 「え!?黒澤零冶ってはやての義理のお兄さんよね?確か虚数空間に落ちたって聞いたのだけれど・・・?」

 

 

はやて 「うん、ウチもそう思って諦めとったんや。・・・でも、以前起こった臨海空港火災の時、漆黒の鎧と巨大な剣と銃を

     使った人が現れて被災者を助けたらしいんや。」

 

 

カリム 「え?それと黒澤零冶とどういう関係があるの?」

 

 

     カリムは首を傾げた。

 

 

はやて 「その漆黒の鎧と巨大な剣と銃、零冶兄ぃも同じような物を使ってたんや。」

 

 

カリム 「っ!?預言の人物と一緒だわ・・・。」

 

 

はやて 「しかも、助けた人の魔力光は漆黒だったらしいんやけど・・・零冶兄ぃも同じ色やったんや。」

 

 

カリム 「そんな・・・まさか。・・・でも、あり得ない話じゃないわ。虚数空間は殆ど解明されていない謎の多い空間。

     その空間の中が歪んで他の世界に繋がっている可能性もゼロではない・・・。」

 

 

     カリムは少し独り言を呟いた後、はやてに言った。

 

 

カリム 「分かったわ。この写真を元に私の方からも探しておくわ。」

 

 

はやて 「忙しいのにごめんな、カリム。」

 

 

     はやてはカリムに頭を下げた。カリムは気にしないでという。

 

 

カリム 「気にしないで。はやての為なら協力を惜しまないわ。それよりもはやて、黒澤君ってはやての恋人さん?」

 

 

     だがこの時、カリムが爆弾を投下した。

 

 

はやて 「う、うぇええええ!?ちょっ、こ、こここここ恋人って!!?」

 

 

     はやてはカリムの言葉に酷く慌てふためいた。そんなはやてを見てカリムの目が光る。

 

 

カリム 「あら、違うの?はやてが黒澤君の名前を言う時、微かにラブ臭がしたのだけれど?」

 

 

     はやてより年上とはいえ、カリムも立派な乙女である。そういう話には興味はあるのだ。

 

 

はやて 「そ、そんな・・・恋人って///た、確かにウチは零冶兄ぃの事好きやけど・・・でも、それはウチが一方的に

     思ってるだけで////・・・・って!何を言わせるんやカリム!!」

 

 

     はやてはカリムに怒鳴るが、どこからどうみても自爆である。

 

 

カリム 「あら、自分で勝手に話したんじゃないの。それにしても中々可愛い子ね。このまま育つと今頃きっと素敵な男性に

     なっているわよ?」

 

 

     そしてはやての頭にカリムは核弾頭を落とした。

 

 

カリム 「・・・・・・・・・うん、好みかも。」

 

 

はやて 「ちょっ!?いくらカリムでもそれだけは絶対にダメや!!零冶兄ぃはウチのもんや!!」

 

 

カリム 「零冶君は物じゃ無いのよ?それに女性を選ぶのも彼だわ。はやてじゃないもの。」

 

 

     ドサクサに紛れてカリムは下の名前で呼んだ。

 

 

はやて 「何をドサクサに紛れて零冶兄ぃを名前で呼んどるんや!?・・・はぁ~、ただでさえライバルが多いのに・・・

     これ以上増えたら困るやん。」

 

 

     はやては涙目になりながら嘆いていた。

 

 

 


 
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