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魔法少女と竜と漆黒の狂戦士とA’s編 空白期 第十三話

卒業です。

2012-08-25 21:10:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5661   閲覧ユーザー数:5110

 

 

 

 

 

     零冶が教官になってから1年が経ち、ギンガ達の卒業式の日になった。零冶達を含めた教官と訓練生全員が講堂に集まっていた。

 

 

校長  「これより卒業証書を授与する。名前を呼ばれた者は前に出よ。」

 

 

零冶―――あれから一年、もう卒業か。長いようで短かったな。

 

 

     一人一人名前が呼ばれていき、証書を受け取っていく。そんな中、零冶は少し、物思いに耽っていた。

 

 

ロキ  『そうだね。中々楽しかったと思うよ。』

 

 

     そこへロキが話しかけてきた。

 

 

零冶―――まぁ、楽しくないと言えば嘘になるかな・・・。

 

 

ロキ  『もう、零冶は素直じゃないねぇ。ハッキリ楽しかったって言えばいいのに。』

 

 

零冶―――そう・・・だな。楽しかった。

 

 

ロキ  『ふふ、でしょ?』

 

 

校長  「以上で卒業正賞授与を終了する!」

 

 

     そして、そうこうしているうちに全員が終わったようだ。この後、校長の話が少しあって、訓練生達がそれぞれの教室に入り、

     配属先が決定される。

 

 

零冶  「先ずは俺から賛辞を贈らせてくれ。卒業おめでとう。」

 

 

     集まっている皆は嬉しそうに笑っていたが、どこか寂しそうだった。

 

 

零冶  「よくぞ俺の訓練に耐えきってくれた。皆気付いているだろうが、オレの訓練は通常の訓練プログラムより大きく異なっている。」

 

 

     零冶の訓練内容は完全に教導隊が教えるような実践的である。

 

 

零冶  「理由は簡単だ。お前達を強くするためだ。最初は耐えきれるか不安もあったが、最後まで脱落者が出ること無く全員が

     卒業することが出来てオレは嬉しい。」

 

 

     訓練生達の目から涙が溢れていた。中には完全に泣いている子もいる。

 

 

零冶  「さて、名残惜しいがそろそろ配属先を伝えなければならない。先ず、A班からだ。キャシー・フェリル二等陸士!

     ルイン・ヴォルテック二等陸士!」

 

 

キャシー「はい!」

 

 

ルイン 「はい!」

 

 

     二人は零冶の前に立った。

 

 

零冶  「お前達は104部隊に配属だ。これでお前達は訓練生でなくなった。おめでとう。」

 

 

キャシー「うぅ・・・ユンカースきょうかぁ~ん。」

 

 

ルイン 「教官・・・グスッ。」

 

 

     二人は寂しさのためか、泣いていた。

 

 

零冶  「おいおい、泣くなよ。やっと卒業できたんだ。最後は笑っておけ。」

 

 

キャシー「うぅ・・・はい!」

 

 

ルイン 「はいっ!」

 

 

     そして、二人は笑顔になって零冶と握手を交わして自分の席に戻っていった。

 

 

 

零冶  「次、B班。ジュドー・ベルカス二等陸士!ユーリ・ブラウン二等陸士!」

 

 

ジュドー「は、はい!」

 

 

ユーリ 「はい!」

 

 

零冶  「お前達は108部隊に配属だ。ジュドー、お前の投擲術はこれから先、何かしら役に立つだろう。毎日の鍛錬を怠るな。」

 

 

ジュドー「は、はい!ありがとうございます!」

 

 

零冶  「それとユーリ。お前はこの中で数少ない双剣使いだ。俺直伝の双剣捌きを曇らせるとただじゃ置かないぞ!」

 

 

ユーリ 「はっ!今までのご指導、ありがとうございます!!」

 

 

     そして、握手をして二人は席に戻った。

 

 

零冶  「次、C班。ミュー・レイストン二等陸士!ギンガ・ナカジマ二等陸士!」

 

 

ミュー 「ひゃ、ひゃい!」

 

 

ギンガ 「はい!」

 

 

零冶  「お前達はジュドー達と同じ108部隊に配属だ。ミュー、そんなに緊張するな。お前は俺の訓練を耐えきったんだ。もっと

     自信を持て!ギンガ、お前は俺の技をいくつか教えておいた。それを生かすも殺すもお前次第だ。よく頑張ったな。」

 

 

ミュー 「は、はい!」

 

 

ギンガ 「教官から教えて頂いた技、絶対に生かして見せます!!」

 

 

     そして、二人は握手すると席に戻った。そして、D班になると、

 

 

零冶  「ああ、D班とG班の4人は後で配属先を伝える。少しだけ待っていてくれ。次、E班・・・・」

 

 

     4人は少し不安になった。もしかしたら、自分たちが最初に取っていた態度に問題があってとても皆の前では言えない

     場所に配属になったかもしれないと思ったからだ。だが、実際はそんなことでは無かった。

 

 

零冶  「以上をもって訓練全課程を終了する!さっきの4人は残っていろ。では解散!!」

 

 

     そして、4人以外は教室を出て、各々の配属先へと向かって行った。そうして残ったのは零冶とエリス、バライカ、

     ヘンリーにキールの5人となった。

 

 

エリス 「あ、あの・・・ユンカース教官。何故私達は配属先を教えて頂けなかったのかしら?もしかして、私達に問題が・・・。」

 

 

     エリスは不安で堪らず零冶に聞いた。他の3人を見ると皆不安そうにしていた。

 

 

零冶  「いや、お前達に何か問題があったわけでは無い。」

 

 

バライカ「では、どうして私達をここに・・・?」

 

 

零冶  「それを今から説明する。さて、お前達の配属先だが・・・・お前達はとある部隊に入って貰う。」

 

 

キール 「そのとある部隊ってのは?」

 

 

零冶  「ああ。俺と管理局地上本部本部長のボース少将が新たに設立する部隊だ。その名は“特務特攻部隊”だ。」

 

 

ヘンリー「特務・・・」

 

 

エリス 「特攻部隊・・・?」

 

 

     4人は首を傾げた。

 

 

零冶  「ああ。ただし、この部隊名は仮の名前だ。部隊名は決まり次第連絡する。それとこの部隊、表向きは他の部隊が任務に

     当たっている時、何らかのイレギュラーが発生、もしくは敵の突破が困難な戦闘場面での場合、それらを排除、

     処理するのが主だ。」

 

 

エリス 「え?それってもしかして・・・・。」

 

 

バライカ「所謂・・・エリート部隊ですか?」

 

 

     エリスとバライカが恐る恐る聞いた。

 

 

零冶  「そうだ。」

 

 

     その問いに零冶は即答する。

 

 

キール 「ちょ、ちょっと待てよ!何で俺たちがそんなとんでもない部隊に選ばれたんだよ!?自分で言うのも何だけど、

     俺達ヒヨッ子には荷が重すぎるんじゃねぇのか?」

 

 

ヘンリー「それに、それだけの実力があるかも問題です。」

 

 

     ヘンリーとキールは納得出来なかった。本当はそんなエリート部隊に選出された事は嬉しいが、納得出来るだけの

     理由が欲しかったのだ。

 

 

零冶  「バカを言うな。俺の厳しい訓練に耐えきった上に、模擬戦までやるお前達だからこそ俺は決心したんだ。」

 

 

キール 「だけど!他の奴もいるだろ!?例えばユーリとかギンガとかよ。」

 

 

零冶  「ああ。もちろんアイツ等にも適正はあった。だが、この部隊の設立は今はまだ極秘なんだ。何人も一辺に入れてしまうと

     部隊設立そのものが消えてしまう可能性もある。だからお前達4人だけを選んだわけだ。」

 

 

キール 「・・・・・・・はぁ。分かったよ。」

 

 

ヘンリー「まぁ、ある程度は納得しました。」

 

 

エリス 「で、さっき言ってた表向きの理由があるということは、裏の理由もあるのですわよね?」

 

 

     そこへエリスが質問してきた。

 

 

零冶  「ああ。裏の理由、それは・・・・・・違法研究とその研究所、また汚職している管理局局員を潰す事だ!」

 

 

エリス 「っ!!?」

 

 

バライカ「違法研究所を・・・潰す?」

 

 

キール 「・・・またとんでもねぇ部隊だな。」

 

 

ヘンリー「なるほど・・・。」

 

 

     4人はそれぞれの反応をした。そして零冶は爆弾を投下した。

 

 

零冶  「これは極秘事項なんだが、違法研究は最高評議会の下で行われている。」

 

 

4人  「なっ!?」

 

 

     これを聞いた4人は驚愕する。まさか、非人道的な研究を時空管理局のトップ、最高評議会によって行われているとは

     思わなかったからだ。

 

 

零冶  「つまり、この部隊はある意味同族狩りと同じだ。それに、それ相応の危険や悲惨な光景を見ることになる。故にこれは

     強制ではない。お前達自身で決めろ。それと、これを断ったからと言って問題があるわけでは無い。その時はちゃんと

     他の部隊に配属してやる。」

 

 

エリス 「・・・まさか最高評議会が。」

 

 

バライカ「・・・腐ってるわ。」

 

 

零冶  「悪いが返事は今すぐして貰う。本当ならゆっくりと考えさせてやりたいのだが、辞退した時の為に他の部隊へ配属する事を

     連絡をしなければならないんだ。」

 

 

     そして、4人は互いに顔を見合わせた後、

 

 

エリス 「・・・分かりましたわ。謹んで受けさせて頂きますわ!」

 

 

バライカ「私も受けるわ。」

 

 

ヘンリー「俺もです。」

 

 

キール 「へっ、折角教官が誘ってくれたんだ。断るわけないだろ?」

 

 

     快く承諾してくれた。 

 

 

零冶  「そうか・・・ありがとう。では、お前達4人は来週に設立される部隊、特務特攻部隊(仮)に配属となる!これから精一杯に励め!」

 

 

エリス 「もちろんですわ!」

 

 

バライカ「教官の力になれるのは光栄だわ!」

 

 

キール 「言われなくてもそのつもりだぜ!」

 

 

ヘンリー「これからよろしくお願いします!」

 

 

 

     こうして新たな部隊、特務特攻部隊が設立するのであった。

 

 

 


 
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