No.466146 IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第9話Lさん 2012-08-06 21:07:04 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:10881 閲覧ユーザー数:10577 |
シンとルナマリアが恋人同士だという事が学園中に知れ渡った日の放課後、キラ、シン、ルナマリアは千冬と共に生徒指導室に来ていた。
「キラ、シン、ルナマリア、一夏の事だが、最近どうなんだ? まぁ、あいつの今の実力ならかなり成長しているから大丈夫と思うが、お前達の希望について行けてるレベルか?」
「一夏の事なら大丈夫ですよ、最近はかなりの速度で上達しています、もう本当にスタートラインが後ろかな?と思えるくらいにですよ」
「まだ最初だからか、まだ荒削りな部分も見受けられますが」
「だけど、代表候補生とそれなりに渡り合える実力です、それと」
「皆まで言うな、キラ」
千冬は手を前に出しキラは発言を止めた。
「あいつはあぁ見えて強い意思と覚悟を持っている、今の女尊男卑の世界ではあいつははっきり言って異端だ、万一の時はお前達と共に世界を相手に戦うだろう」
千冬のきっぱりした厳しい声である。
だが、その中には弟を心配する姉の声が混じっている。
キラは千冬の言葉から感じ取れるのは世界を相手に戦う時、千冬はどっちに着くかという迷いにも見えた。
姉としてはらしいと言えばらしいが、逆に千冬としてはらしくなかった。
「では、僕達はこの辺で」
「あぁ、また明日」
「はい」
「失礼します」
一礼して、キラとシン、ルナマリアは生徒指導室から出て行った。
千冬と別れたキラ達はMSの整備の為、地下格納庫に来ていた。
一度はMSを解体する事も考えたキラ達ではあったが、解体するための設備がない、それにストライクフリーダムとデスティニーには核を搭載しているため下手に解体すると核爆発を起こす可能性がある為、解体出来ないのであった。
定期的にMSを整備を行う事は千冬と話し合って決めていた。
「ふっ、これで終わりっと」
ストライクフリーダムの整備を終えたキラは近くに置いてあったペットボトルを取り口に運んだ。
キラは先ほど千冬と話をしていた会話を思い出していた。
(千冬さんにはああ言ったが、一夏の成長スピードは僕から見ても異常だ)
ISを2回しか動かしていない一夏が引き分けはしたが代表候補生であるセシリアを撃破、さらに代表候補生でも取得が難しい
(成長スピードの速さ、まるでコーディネイター並だ)
一夏の成長スピードはコーディネイターと非常に似ていた。
だが、ナチュラルでもコーディネイターと同じ、成長スピードを持っている人は居る。
そんな事を考えているキラの元に整備を終えたシンとルナマリアが近づいてきた。
「そういえば、キラさん、オレ達、布仏から何か誘われてましたよね?」
「ああ、確か一夏のクラス代表就任記念パーティーだっけ? 寮の食堂の一角を借りてやるって言ってたね」
昼休みに昼食を取っていたキラ達の所に布仏 本音が一夏のクラス代表就任パーティーを行う事伝えられていた。
「整備も終わった事だし行こうか」
キラとシン、ルナマリア地下格納庫を後にして食堂へと向かうのであった。
食堂に着いた三人は、既に食堂は一年一組の皆が全員揃っていて、その真ん中に主役である一夏が座っていた。
「よっ、キラ、シン、ルナマリア」
「ゴメンね、少し遅れた」
「別に構わないよ、そっちも忙しいのは分かっているし」
テーブルにはそれぞれお菓子やジュース等が置いてあり、自由に食べたり飲んだり出来るようになっている。
席順は、一夏が真ん中で左にセシリア、右に箒の順である。
「それでは! 織斑君のクラス代表決定おめでとうーーっ!!」
『おめでとうーー!!』
クラッカーが鳴り響き、それぞれが手に持ったグラスで乾杯をするとパーティーが始まった。
「織斑くん頑張ってね!」
「応援してるよ!」
「あ、ありがとう……」
女子たちがパーティーという事で妙にハイテンションになっている所為か、一夏はそのテンションに付いて行けず少し引いていた。
「あっ! いたいた……織斑く~ん!」
「ん?」
誰かに呼ばれた一夏は声がした方を見た。
すると、廊下の向こうには二年生の眼鏡を掛けた女子生徒の姿があった。
「話題の新入生のインタビューに来ました! 新聞部副部長二年の黛薫子です、はいこれ名刺! よろしくね~!」
薫子が差し出した名刺を受け取る一夏。
キラは何となくだけど予想していた事が起きたなと思ってしまった。
史上初の男性IS操縦者が三人、キラとシンは教師で一夏は生徒としてIS学園にきたのだから、学園でも話題にならない筈がない。
間違いなく新聞部か何かの部活に取材を受ける事になるだろうとは思っていたのだ。
「まず織斑君に、ずばりクラス代表になった感想とか聞かせてくれるかな?」
「まあ……何と言うか……頑張ります」
「え~、それだけ~? ま、いっか……そこは適当に捏造するから良いとして」
一夏は捏造するのか……と心の中で突っ込むのであった。
「じゃ、次にシン先生とルナマリア先生に質問! お二人が恋人同士って本当ですか?」
「ええ、本当よ! 付き合ってもう一年になるわ」
「お~、それでお二人は出会ったのは何時ですか?」
薫子の飛んでくる質問にルナマリアは答えていく。
周りの女子達はルナマリアの話に耳を傾けていた。
良く見れば箒とセシリアもルナマリアの話に耳を傾けていた。
キラと一夏は苦笑しているのに対し、シンは恥かしそうに頬を赤くするのであった。
「ありがとうございます、それじゃ、次はセシリアちゃんもコメントちょうだい」
「コホン、ではまず、どうしてわたくしがクラス代表を辞退したかというと、それはつまり……」
「あ~、長そうだから良いよ適当に捏造して織斑君に惚れたからって書いとくから」
「ちょっ!?」
慌ててセシリアが一夏の方を向くが、当の一夏は箒と雑談していて聞いていなかった。
安心した様な、残念な様な……複雑な心境でセシリアは頬を膨らませるのだが、それに気付いた一夏は疑問符を浮かべて首を傾げてしまう。
キラとルナマリアはそんな一夏の様子を見て苦笑していた。
「じゃあ最後に写真撮らせてよ。1年1組の専用機持ちの写真! はい二人とも並んで~」
薫子の言う通りに一夏とセシリアは並んだ。
「じゃあ、握手してくれると良い絵になるかな~?」
そう言われて一夏とセシリアは握手して、真っ直ぐカメラのレンズを見る。
「は~い、それじゃあ……3、2、1……」
シャッターが切られる瞬間、箒が一夏の横に立ち、クラスメート全員が枠に収まる様に乗り出してきた。
「な、何でみんな写ってるんですの!?」
折角一夏と一緒に写真を写せるチャンスだったのに、見事に邪魔されてしまってセシリアが憤慨した。
箒は一夏が鼻の下を伸ばしている様に見えたのか鋭い眼光で彼らを睨みつけていて、キラはそんな様子を眺めながら、どこかやんちゃな妹達と弟を見ている気持ちで微笑んでいるのだった。
その後、織斑 一夏クラス代表就任パーティーは夜十時まで続いたのであった。
翌朝、教室ではとある噂が広まっていた。
何でも隣の2組に転校生が来るという話である。
それも中国の代表候補生らしい。
「中国の代表候補生ですか……私の存在を危ぶんでの転入かしら」
「このクラスに転入してくるわけではないのだろう? 騒ぐほどのことでもあるまい」
セシリアと箒はあまり興味が無さそうであった
「代表候補生か……どんなやつなんだろうな」
「一夏さん、興味あるのですの?」
「ん? ああ……少しな」
「今のお前に女子を気にする余裕はないぞ! 来月にはクラス対抗戦があるんだからな!」
確かに箒の言うとおり今の一夏に他のクラスの人間の事を気にしている余裕は無い。
只でさえ実戦経験が不足しているのに他の事に気を取られてる暇なんて無かった。
「そうそう! 織斑くんには是非勝って貰わないと!」
クラスの女子がハイテンションなのはクラス対抗戦優勝賞品である学食デザート半年無料パス券があるからだ。
しかもクラス全員分があるというのなら、当然スイーツ大好きな女子はテンションが上がるのも無理はない。
「まあうちには専用機持ちが二人もいるし、楽勝だよ! ね! 織斑くん!」
「えっ……ああ……」
「その情報、古いよ!」
突然、教室の入り口から会話に乱入してくる者が現れた。IS学園の制服を着た小柄なツインテールの女生徒アジア系の顔付きだが日本人とは少し違う所を見ると、中国かその辺りの人間だろう。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの! そう簡単には勝てないから!」
「お前……鈴…………お前、鈴か!?」
一夏の知り合いらしい。二組の専用機持ち……一年で専用機を持っている人間がいるのは一組と四組だけの筈だが、二組の専用機持ちという事は彼女が中国の代表候補生という事になる。
「そうよ! 中国代表候補生、鳳 鈴音! 久しぶりね……一夏」
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第9話です。
プロローグ
http://www.tinami.com/view/463196
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