No.465774

IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第8話

Lさん

第8話です。

プロローグ
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2012-08-06 00:19:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:11396   閲覧ユーザー数:11047

クラス代表が決まって、次の日、この日の授業からISの実習が始まった。

1年1組の生徒はグラウンドに出てセシリア以外は学校支給のISスーツを着て正立していた。

ジャージを着た千冬、真耶、キラ、シン、ルナマリアが生徒たちの前に立っていた。

 

「それでは本日よりISの実習授業を始める、まずは専用機を持っている者に見本を見せてもらおう、織斑、オルコット前に出ろ」

 

千冬に言われて前に出た一夏とセシリアはISを展開する。

セシリアは1秒も満たないで展開できたが一夏は1秒を少し超えて展開された。

 

「織斑、熟練のIS操縦者なら展開に1秒と掛からん、精進しろ」

「は、はい」

 

千冬の厳しい言葉が飛ぶ。

 

「では織斑、オルコット、武装を展開しろ」

「はい!」

「了解!」

 

雪片弐型を展開した一夏とスターライトmkⅢを展開したセシリアだが、タイムはセシリアの方が速く、0.5秒で、一夏は0.6秒も掛かってしまった。

 

「遅いぞ織斑! 0.5秒で出せる様になれ!」

「はい……」

「オルコットは流石だというべきか、だが銃口を真横に展開する癖は直せ。織斑を撃つ気か?」

 

確かに千冬の言うとおりスターライトmkⅢは真横に向けて展開されており、銃口は一夏を捉えていた。

 

「で、ですがこれは、私のイメージを纏める為に必要な……」

「直せ……いいな?」

「は……はい…………」

 

流石にセシリアでも千冬には逆らえない。

鋭い眼光で睨まれれば15歳の小娘程度、萎縮するのも当然だ。

 

「次だ、オルコットは近接武器を展開しろ」

「りょ、了解ですわ……ふん!……むん!……あ、あれ? くぬぬぬ……」

 

ブルーティアーズに唯一搭載されている近接武器、インターセプターを展開しようとしたセシリアだが遠距離主体の彼女は近接武器の扱いに慣れていないため、展開が中々出来ないでいる。

 

「ああもう! インターセプター!!」

 

やっと展開出来たみたいだが、あまりに遅すぎた。

 

「何秒掛かっている馬鹿者、それでは敵に接近された時に直ぐ落とされるぞ」

「じ、実戦では接近なんてさせませんわ!!」

「ほう、素人の織斑に簡単に接近を許した者の言葉とは思えんな」

「う……」

 

千冬の指摘にセシリアは言い返せないのであった。

 

「次はISの基本的な飛行操縦を実演してもらう、織斑、オルコット、その場から急上昇しろ」

『はい!』

 

セシリアが先に飛び立ち、それに続いて一夏も急上昇した。

 

『何をしている! スペック上の出力はブルーティアーズより白式の方が上だぞ!』

 

そうは言われても、一夏は白式に乗るのは今日が二回目で、それでスペック上の出力を全力で出せと言われても無理がある。

 

「ええっと……急上昇は確か前方に角錐を展開するイメージで…………」

 

必死に教科書に載っていた事と、キラ達に言われていた事を思い出しながら飛行をするが、中々思うようにいかない。

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージですわ、教科書に書いてある事は所詮は模範的ですから、一夏さんに合った方法を模索した方が建設的ですわ」

「セシリア……そうは言ってもな、大体……空を飛ぶ感覚自体がまだあやふやなんだよ」

 

セシリアはイギリスでずっと訓練していたから自分なりのイメージを浮かべる事、空を飛ぶイメージは簡単に掴めている。

しかし、一夏は今までISに触れたことはないのだから、イメージがまだ掴めていないのも無理は無い。

 

『一夏っ!! いつまでそんな所にいる! 早く降りて来い!!』

「箒だ……何してるんだ? あいつ……」

 

ハイパーセンサーを駆使して地上を見れば、山田先生からインカムを奪い取って一夏を睨んでいる箒の姿が見えた。

ただ、すぐに千冬に頭を叩かれてインカムを山田先生に返していた。

 

「しっかし、すげぇなハイパーセンサーて……こんなに離れてるのに箒の睫毛までくっきり見える」

「あら、当たり前ですわ! ISは元々、宇宙空間での活動を想定しております、当然、宇宙空間では何万キロも離れた星の位置で自分の居場所を確認しないといけませんから、これ位はハイパーセンサーにとって大した距離ではございませんわ」

『織斑、オルコット、いつまで私語をしているつもりだ! 次は急降下と完全停止だ! 目標は地表から10cm、オルコット、織斑の順番で降りて来い!』

 

千冬からの指示が来た。

最初に急降下実演をする事になったセシリアはトップスピードになりながら急降下して、地上すれすれの所まで近づくと急停止を掛ける。

ブルー・ティアーズは地表10cmギリギリの所で完全停止した。

 

「さすが、代表候補生だな」

 

一夏はセシリアの動きに感心していた。

 

『次! 織斑!!』

 

そして最後、一夏が急降下してきたのだが……最初は良かった、だが急停止するタイミングが遅れ、減速ままならないまま、グラウンドの地面と激突、グラウンドに小さい穴を開ける結果となってしまった。

 

「馬鹿者……グラウンドに穴を開けてどうする! 誰が地面に激突しろと言った?」

 

穴の中で倒れている一夏に容赦無い千冬の激怒が飛んだ。

白式が解除されて地面に座り込んでしまう一夏、何処か落ち込んでいる様に見えるのは気の所為ではないだろう。

 

「一夏、大丈夫?」

「怪我はない?」

「ああ、キラ、ルナマリア……悪い、折角色々と教えてもらったのに失敗しちまった」

「仕方ない、一夏はまだ白式に乗って2日目だからな、慣れるまで少し掛かる」

 

シンの優しさに心救われた気分になったのか、少し元気になった一夏は勢い良く立ち上がる。

 

「織斑、後で開けた穴は自分で埋めておくように……」

「はい……」

 

相変わらず厳しい千冬だが、キラとシン、ルナマリアは一夏に背を向けた後の千冬の表情を見て悟った。一夏に怪我が無い事に安心して少しホッとした表情を浮かべているのだ。

何となく、素直じゃない千冬に苦笑した。

 

「さて、次はアスカ先生に実践してもらおう、アスカ先生」

「はい、来い、デスティニー」

 

シンはISを展開する。

 

「あれが、シン先生のIS!」

「まるで鎧を着てみるみたい」

 

展開されたISを見て生徒達が騒いでいた。

その中、セシリアが驚きの声を上げる。

 

全身装甲(フルスキン)タイプですって!? あの様な機体、見た事がありませんわ!?」

 

だが、シンは生徒達が騒いでいるのを気にせずにそのまま飛び立ち上空を飛行する。

 

『では、アスカ先生そのまま急降下と完全停止を頼む! 目標は地表から5cmで!』

「了解」

 

千冬の指示と共にシンはヴォワチュール・リュミエールシステムを起動させトップスピードで急降下に入る。

トップスピードを維持したまま地上すれすれの所まで近づくと急停止を掛ける。

キラ、ルナマリア、千冬以外の誰もが地面と激突すると思ったが、見事デスティニーは地表5cmの所で完全停止していた。

 

「さすがだな、アスカ先生」

「これぐらいは朝飯前ですよ」

 

シンの華麗な操縦に生徒達が黄色い声を上げる。

 

『キャーーーー!!!』

「カッコイイです、シン先生!!」

「私に操縦を教えて!!」

 

生徒達の反応に少しだけ嬉しそうにするシン。

だが、ルナマリアはそんなシンの様子を見て不機嫌であった。

 

「何よ、あの微妙に嬉しそうなリアクション……!」

 

明らかに嫉妬しているルナマリアにキラは苦笑するのであった。

 

「静かにしろ!!」

 

千冬の渇で騒いでいた女子達は静かになった。

その時、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

千冬は授業を終わらせシンもISを解除しており、キラ達と一緒に職員室に戻ろうとした時だった。

 

「あのアスカ先生、ホーク先生」

 

セシリアがシンとルナマリアを呼び止めた。

 

「オルコット? どうしたんだ?」

「何か用かしら?」

「えっと……私の事はセシリアで宜しいですわ! アスカ先生とホーク先生、ヤマト先生の事もシン先生とルナマリア先生、キラ先生と呼んで宜しいですか?」

「俺は構わないぜ」

「私も名前で呼んでくれた方が嬉しいわ」

「それと授業以外の時は先生と呼ばなくて良いから」

 

周りのクラスメートが何事かと集まってきている。一夏と箒も何事だろうと穴埋めそっちのけで聞き耳立てているのだった。

 

「それで……シンさんとルナマリアさんは、どの様な関係なのでしょうか?」

「俺とルナ?」

 

セシリアの言葉にシンはどう答えばいいか悩んでいると、突然、ルナマリアはシンの腕に抱きついた。

突然のルナマリアの行動に女子達は悲鳴を上げる。

 

「私とシンは恋人同士よ!」

「る、ルナ!?」

 

シンは顔が真っ赤にするが、ルナマリアは良い笑顔で生徒達に言うのである。

クラス中が大きなショックを受けていた。

 

『恋人ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!??』

『そ、そんなあああああああああああああっ!!??』

(ルナマリア先生(さん)に、アドバイスを貰えば、私(わたくし)も……)

 

箒とセシリアはシンと恋人であるルナマリアにアドバイスを貰いたいという気持ちは偶然にもシンクロした。

IS学園にたった三人しか存在しない男、その一人であるシンがルナマリアというお似合い過ぎる女性と恋人同士と判り、シンに魅了されていたお年頃の乙女達はショックを受けていた。

 

「騒がしいぞ馬鹿者共!!」

 

結局、千冬のお怒りが飛んできて、罰として次の授業まで1年1組の生徒全員はグラウンドをランニングする事になってしまうのだった。


 
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