No.465241

IS《インフィニット・ストラトス》 SEEDを持つ者達 第7話

Lさん

第7話です。

プロローグ
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2012-08-05 03:15:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:11466   閲覧ユーザー数:11114

試合は引き分けという形で終わった。

一夏はピットに戻ると千冬と真耶、キラにシン、ルナマリア、箒が待っていた。

 

「……どうして引き分けたんだ?」

 

先ほどの試合が、どうして引き分けたのか一夏は訳が分からなかった。

そこに千冬が答えた。

 

「雪片の能力が原因だ、あれは、自分のシールドエネルギーを攻撃に回す代わりに相手のバリアーを切り裂く力を持っているんだ、簡単に言うとバリア無効化攻撃だ」

「自分のエネルギーを攻撃に……ってことは」

「そうだ、お前がオルコットに止めの一撃を入れたの同時に白式のシールドエネルギーが無くなったのだ」

「そうか……だから、引き分けたのか」

 

シールドエネルギーが0になった時点でISの勝負は終わる。

0になっても少しは動いていられるが武器は使えなくなる。

千冬の後ろに立っている真耶が一夏に近づいてきた。、

 

「えっと、ISは今待機状態になってますけど、織斑くんが呼び出せばすぐに展開できます。ただし、規則があるのでちゃんと読んでおいてくださいね、はい、これ」

 

そう言って電話帳並みの資料を一夏に渡すが、あまりの厚さに一夏が絶句している。

 

「何にしても今日はこれでおしまいだ。後は帰って休め……」

 

 

その日の夜、シャワーノズルから熱いお湯が噴き出していた。

水滴は肌に当たっては弾け、またボディラインをなぞるように流れていく。

白人にしては珍しく均整の取れた体と、そこから生まれる流線美はちょっとしたセシリアの自慢だ。しゅっと伸びた脚は艶めかしくもスタイリッシュで、そこいらのアイドルに引けを取らないどころか勝っているくらいである。

シャワーを浴びながら今日の試合の事を考えていた。

 

(今日の試合……)

 

あの試合は間違いなくセシリアの負けであった、だがどうして引き分けたのかは、分からないが今それよりも考えることがあるとセシリアは考えていた。

 

(……織斑、一夏……)

 

一夏の事を思い出す。あの強い意志の宿った瞳を、彼女の父とは、まるで正反対の力強い瞳をそれと一緒に両親を思い出す。

三年前に亡くなった両親どこまでも強く厳しかった母そんな母に媚びるだけの弱い父、だから『将来は情けない男とは結婚しない』そう思っていたでも出会ってしまった。

織斑 一夏と、理想の強い瞳をした男と。

 

「織斑、一夏……」

 

名前を口にするだけで胸の中が熱くなるセシリア。

熱いのに甘く、切ないのに嬉しい。

 

(……なんだろう。この気持ちは)

 

意識をすると途端に胸に広がる、この感情の奔流はなんなのかセシリアにもわからない。

 

(……知りたい)

 

その正体を。その向こう側にあるものを。

 

(……知りたい、彼のことを……そのためには……)

 

何かを考えるセシリア、浴室には、ただただ水の流れる音だけが響くのみであった。

 

 

翌日、朝のSHRの席で山田先生がクラス代表の発表を行っていた。

 

「と、いうわけで! クラス代表は織斑一夏くんに決まりましたぁ!!」

「……は?」

 

何を言っているのだと思っていた一夏だが、その内容を理解していく内に如何いう事態なのかを悟った。

 

「えぇぇぇ!!?」

 

その瞬間、一夏の頭に出席簿が落ちた。

 

「静かにしろ馬鹿者」

「い、いや千冬姉! 何で俺が!!」

 

再び出席簿が一夏の頭に落ち、その痛みに一夏が悶え苦しんだ。

 

「織斑先生だ、何度も言わせるな馬鹿者」

「お、織斑先生……なんで俺がクラス代表なんでしょうか? あの試合は引き分けじゃ……」

「それは……」

「それはわたくしが辞退したからですわ!」

 

千冬が理由を言おうとしたらセシリアが理由を述べた。

 

「勝負は確かに引き分けましたが、しかし、あの試合はわたくしの負けでしたわ……それで、まぁ、わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして…………"一夏さん"にクラス代表を譲ることにしましたわ、やはりIS操縦には実戦が何よりの糧。クラス代表になれば戦いには事欠きませんもの」

「いやあ、セシリアわかってるね!」

「そうだよねー。せっかく男でISを使える人が居るんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとね!」

 

他の女子たちもセシリアに賛成し始める。

 

「それでですね、やはり一夏さんといえども、練習の相手は必要だと思うんですの」

 

セシリアは頬を赤く染めもじもじしながら答える。

一夏は不思議がるが、それを見たキラとルナマリアはセシリアが一夏に恋をしてしまったんだと気付いてしまった。

 

「一夏さんの相手をつとめるとなると、やはり、代表候補クラスでないと力不足だと思いまして、もしよろしければ、私が……」

 

セシリアが続けていようとするが、箒が机を叩く大きな音とともに、席を立ち上がった。

 

「一夏の相手は、私が務めている、第一お前のISは射撃型だ、一夏のISとはタイプが違う」

 

箒はセシリアを睨みつけながら言うがセシリアは微笑みながら答える。

 

「あら、適性ランクCの篠ノ之さん、ランクAにしてイギリス代表候補の私以上に一夏さんの練習相手が務めると思いなのかしら?」

「ら、ランクなど関係ない! い、一夏がどうしても頼まれたから」

 

確かに一夏は箒に頼みはしたが、どちらかって言うと箒の方からお願いした様なものだ。

箒とセシリアの言い争いが続くかに思われたが、二人の頭に出席簿が落ちる。

あまりの痛さに悶え苦しむ箒とセシリアである。

 

「さえずるな雛ども! 私に言わせれば、この時期でのランクなど大して意味はない」

 

さすがに千冬には逆らえない箒とセシリアは大人しくなるのであった。

 

「クラス代表は織斑 一夏、異存はないな」

 

一夏以外の生徒が一斉に「は~い」と答えるのであった。


 
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