「さて、先ずは佐倉さんと刹那さんの戦闘スタイルを見ないとね。刹那さんは一度相手をしたけど、まだまだ十分じゃないからね。」
俺は土曜日に二人の訓練をすることにした。
「あ、あの・・・零冶さん。その・・・零冶さんが年上なのですから、私たちに敬語を使うのは・・・。」
佐倉さんが申し訳なさそうに言う。刹那さんも頷いていた。
「そう?じゃあ・・・愛依と刹那でいいな?」
「あ、はい!」
「それで構いません。」
「じゃあ早速やろう。二人とも、先ずは俺と模擬戦をするぞ。」
「そう・・・ですね。その方が手っ取り早いですけど・・・。」
「うぅ・・・あまり痛くしないでくださいよ?」
この間の事が若干トラウマになっていたかもしれない。そして俺はルナを夜天連刃【黒翼】に変えて構える。
「分かったよ。・・・・来い!」
「はあああ!!」
刹那は俺に突っ込んできた。愛依はというと、
「アデアット!」
カードを取り出して呪文みたいなのを唱えて箒を取り出した。
「よっ、はっ、ほっ!」
俺は刹那の斬撃を躱す。
「はああっ!神鳴流、
俺の周囲に桜が舞い散り、俺を切り刻もうとする。だが、
「影忍流屠殺術、烈風陣!!」
俺の周囲が衝撃波が巻き起こり、周囲を吹き飛ばす。
「っぐぅ!」
刹那は空中で姿勢を整えて着地した。その時、
「
ドカン!!
突然爆発が起こり、炎に包まれた。だが、その程度の威力では俺の障壁を破れない。
「中々やるじゃないか?さあ、どんどん攻めて来い!」
「
愛依が11発の魔力弾を撃ってきた。俺はそれらを全て躱す。
「
今度は数を多くしてきた。が、完璧にコントロールできていない。5発は誘導が効かず、直線的に撃っていた。
俺はそれを全て躱し、叩き斬った。そして再び突っ込んできた刹那を迎え撃つ。
「乱舞。」
俺の乱舞が刹那を襲う。
「くぅ!相変わらず重い攻撃ですね!」
それぐらいじゃないと生き残れなかったんでね。
「ぐあっ!」
俺は僅かな隙を突いて刹那を蹴り飛ばす。
「え?わわわっ!?」
そして愛依に直撃する。俺はルナをライフルモードに変え、射撃体勢を整える。
「頑張って耐えろよ?」
「「え゙っ!?」」
二人は青ざめた。そして俺はニッコリと笑いながら、
「デモンズ・バスター!」
「「うああああ!!(きゃああああ!!)」」
砲撃魔法を撃った。
「・・・・まぁ、今ので大体解ったよ。」
「「あうぅ~・・・。」」
試合が終了して二人を少し休ませた。
「先ずは愛依だな。お前はもう少し魔法のコントロールの訓練をした方が良いな。無詠唱であれだけ多くの魔力弾を撃つのは凄いが、コントロールできないと意味が無いぞ?それと、お前は近接戦闘は苦手だな?」
「あ、はい・・・。」
ちょっと落ち込みながら頷く愛依。
「いくら魔法使いが後衛だといっても、護身術ぐらいは身につけた方が良いぞ。でないと真っ先に狙われて無力化されるぞ?」
「あうぅ・・・。」
「ま、俺は基礎を教える事は苦手だから、誰かに教わると良いよ。それと・・・刹那。」
俺は刹那の方を向いた。
「はい。」
「・・・お前はもう少し攻撃にフェイントを入れるんだな。スピードは中々だが、真っ直ぐすぎる攻撃は簡単に読まれるぞ?今はそれだけ直せば十分だ。」
「はい・・・。」
刹那も少し目を伏せてしまった。
「さて、まだまだ時間はあるんだ。二人とも、今日はみっちり鍛えてやるから覚悟しておけよ!」
「「は、はい!」」
俺は一日中刹那達の訓練に付き合った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
週明けになった。今日は学園長に呼び出されている。
「どうせ厄介事を押しつけるのだろうなぁ・・・。」
『仕方ないよ。衣食住は向こうが提供してくれるんだから、ある程度は聞いて上げないとね。』
それはそうだが・・・なんか納得いかない。
『さ、着いたよ。』
そうこうしている内に学園長室にすいた。そしてドアをノックした。
「入りなさい。」
中に入ると女子中学生二人と・・・子供?がいた。
「失礼します、学園長。」
「お~、やっと来たかのぉ。」
「あ!管理人さん!?」
「おはようございます~。」
「よう明日菜、このか。」
「あ、あの~、学園長。この人は・・・?」
「うむ、紹介するのぅネギ君。この者は黒澤零冶君じゃ。女子寮の管理人であり、指導員でもある。何か困ったことがあれば高畑君や零冶君を頼ると良いじゃろう。」
頼るのはいいのだが・・・。
「学園長、この子供は一体?」
「この子はネギ・スプリングフィールド君じゃ。修行で教師にならないといかんらしいでのぅ。今日から教育実習生としてになってもらうのじゃ。期間は今日から3月までじゃ。」
・・・・いいのか?子供に教師なんて事させても?何の修行かは知らんが、その課題を出した奴はアホだな。
「ちょ、ちょっと待って下さい!!私は嫌ですよ!こんなガキんちょに教師なんて務まるわけ無いじゃないですか!」
「まぁ、やってみなければ分からんからのぅ。そういう意味での教育実習生なのじゃ。おお~、そういえば零冶君。」
ん?
「何でしょう?」
「彼女はいるかの?もしおらんのであればどーじゃな?うちの
・・・・・は?この爺さん、何を考えているんだ?それに、頭から血が出ているぞ?・・・このかも激しいツッコミだなぁ。
「・・・彼女はいませんけれど、このかの意見を尊重してあげて下さい。」
「ほら、零冶さんもそう言うとうるやろ?」
「うう~む。中々いいアイデアじゃと思ったのじゃが・・・。」
どこがだよ?
「それじゃあ、零冶君。一応話は終わりじゃ。仕事に戻って構わんぞ?」
・・・後半は全く意味が無かったような気がするが?
「分かりました。それでは失礼します。」
「またな~、零冶さん。」
このかは手を振って挨拶してくれた。俺は手を振り返すと、学園長室を出て見回りに行った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「さて、屋上も異常なし・・・ん?」
屋上を見回っていると、金髪の幼女とロボ少女が見えた。
「よぉ。ここで何をしているんだい?」
「あ、零冶さん。こんにちわ。」
俺が尋ねると、茶々丸はお辞儀して、エヴァンジェリンは眠そうな目を擦りながら答えた。
「見て分からんか?授業をサボって昼寝しているんだ。」
いや、そんな堂々と言われても・・・。
「・・・まぁ無理に出ろとは言わないけど。」
「ほぉ、珍しいな。大抵の奴は真面目に授業を受けろと言うのだがな。」
「俺も学校をよくサボってたからね。」
俺は苦笑しながらエヴァンジェリンの隣に座った。エヴァンジェリンはしばらく黙っていた。だが、突然口を開いて聞いてきた。
「・・・お前は吸血鬼が怖くないのか?」
「全然?」
俺は即答した。
「・・・変わった奴だな。私は吸血鬼の真祖だぞ?いくら弱体化しているとはいえ、少しぐらい怖がってもいいのだがな。」
そういう俺は神様だけどね。
「昔、大切な人達の中に吸血鬼がいたからね。」
遠くを見つめながら俺はかつての大切な人達を思い出しながら言った。
「・・・“いた”・・・か。」
「・・・ああ。」
エヴァンジェリンはそれ以上何も言わなかった。
「さて、俺は見回りの続きにいくよ。それじゃあね。」
「ふん、さっさと行ってしまえ。」
「行ってらっしゃいませ。」
俺はその場を後にした。一通り見回りをすると、俺は学園の敷地内にある喫茶店で休憩していた。周りには学校帰りの学生がたくさんいた。
「ご注文はお決まりですか?」
「ええ。コーヒーをお願いします。」
「かしこまりました。」
俺はコーヒーを注文すると時間を確認した。今は5時半だった。もうすぐ寮へ戻らないといけない時間だ。
「お待たせしました。」
「ありがとう。」
俺はコーヒーを一口飲む。すると、
「相席よろしいカ?」
やや不自然な日本語で話しかけられたので顔を上げると、女子寮に住んでいる、超鈴音がいた。
「・・・どうぞ。」
席はまだ空いているのに相席したいということは、何か話があるのだろうと思い了承した。
「失礼するネ。」
俺は通りがかったウェイトレスさんに声を掛けた。
「すいません、この人にもコーヒーをお願いします。」
「はい、かしこまりました。」
「む?ご馳走してくれるのかネ?いやぁ~ありがたいネ。」
超は人懐っこい笑みを浮かべてお礼を言った。
「気にしなくていいよ。それより、何か話したいことがあるんだろ?」
「あや~、やっぱり分かるネ?」
俺は超に用件を尋ねた。そこに、注文した品がきて、超はコーヒーを一口飲んだ後に言った。
「実はれいじサンに聞きたいことがあるネ。」
そして、超の雰囲気が変わった。
「貴方は一体何者ネ?」
俺は口に持って行きかけたカップを止めた。
・・・超も魔法関係者なのか?だが、あの顔合わせの時はいなかったよな?
『確かにいなかったね。』
ロキもいあにと言っている。
「・・・質問の意味がよく解らないんだけど?」
「恍けなくてもいいネ。私は魔法関係者ではないが、魔法の存在は知っているネ。貴方の事少し調べさせて貰たネ。だが調査の結果、黒澤零冶という男はこの世に存在しないネ。貴方は本来存在しない人間ネ。もう一度聞くヨ。れいじサン、貴方は一体何者ネ?」
よくもまぁこの短期間に調べ上げたものだ。
「・・・神様さ。」
ちょっとぶっちゃけてみました。
「・・・私は結構真面目に聞いているけどネ。」
はい、予想通りの反応をありがとうございます。
「・・・ふむ、俺が一体何者か・・・か。ただの魔法使いという事だけじゃダメなのか?」
「当然ネ。さっきも言ったが、貴方は本来存在しないはずの人間ネ。」
ここまで断言されては言い逃れは難しいだろうな。
「・・・・・超は平行世界を知っているか?」
「平行世界・・・パラレルワールドのことカ?」
「ああ。俺はその平行世界から来たんだよ。だから戸籍も目撃情報もなく、突然現れたんだよ。」
超は少し考えてから頷いた。
「なるほどネ。それなら納得いくヨ。それじゃあ、れいじサンは別の世界の魔法使いなのカ?」
「ああ。そういうことだ。」
「・・・・分かったネ。今日はここまでにしておくヨ。・・・・ああ、そうそう。コーヒーありがとネ。」
超は手を振って帰って行った。俺は冷めてしまったコーヒーを飲み干して溜息をついた。
「はぁ・・・この世界の魔法使いは皆こうなのか?」
俺は会計を済ませて帰宅することにした。
Tweet |
|
|
9
|
1
|
追加するフォルダを選択
どうも、クライシスです。最近、良いアイデアが浮かばなくて困ってます^^;
でも、頑張って書きます!