「くっ!遅かったか!せめてコイツだけでもtぐあっ!?」
俺はシグナムを縛っているバインドとクロノを撃ち抜き、シグナムを抱きかかえて後方に一旦退く。
「・・・うぐっ・・・まったく、・・・遅い・・ぞ?」
シグナムはかなりダメージを受けているようだった。
「待っていろ、すぐに回復してやる!・・・この者に祝福を、ヒール!」
淡い光がシグナムを包み込む。見る見るうちにシグナムの傷は塞がっていく。
「・・・相変わらず零冶の回復魔法はすごいな。」
「どうやら無事みたいだな。・・・ありがとうな、シグナム。おかげで時間を稼げた。」
俺はシグナムの頭を撫でた。
「ば、馬鹿者!子供扱いするな!///」
『お喋りはそのくらいにしたら如何です、主?』
それもそうだな。
「・・・零冶、お願い!元の零冶に戻って!零冶は闇の書に操られているんだよ!!」
「戻ってきてよ、零冶君!皆の所に帰ろうよ!!」
二人が叫ぶ。まだ、解っていないのだろう。もしくは諦めたくないのか・・・だ。
「・・・言ったはずだ。俺は自分自身の意思でこの場に立っていると。いい加減諦めろ。」
「っ!!・・・どうしても戻ってきてくれないのなら、」
「・・・・無理矢理にでも零冶君を、」
「「連れ戻すだけだよ!!」」
二人が俺に向かって魔力弾を撃つ。だが、俺は避けないし防がない。だって、俺には・・・
バチィィィン!!ガキィィン!!
「貴様等の相手は、」
『
「なのは、フェイト。俺と戦いたければ二人を倒すことだな。まぁ、お前等では無理だがな。」
「っ!?そんなことない!勝って、零冶の目を覚まさせる!!」
「私たちは零冶君を連れ戻してみせるんだから!!」
二人は飛び上がり、クシャナとシグナムも追いかける。
「さて、お前等は俺が相手してやる。」
俺はバレットをあいつ等に向ける。
「・・・何故だ?」
ん?
「何故・・・お前は闇の書と一緒なんだ!?」
クロノが怒鳴る。俺はそれに少し驚いた。あそこまで感情を抑えなかったクロノを初めて見たからだ。
「簡単なことだ。大切なモノを守る為だよ。」
「・・・お前はそれが何なのか知っていて使うのか?そんなモノで何かを守れやしない。それは元々「知っているよ。プログラムにバグがあるんだろ?」!!なら何故使おうとする!?」
クロノは防衛プログラムのバグを知っていた。どうやら、こいつらも自分たちで調べたようだ。
「逆に俺も聞くが、お前達は闇の書をどうする?あれは無限転生機能があるから実質的に破壊は無理だぞ?」
まぁ、闇の書ごと空間を消滅させるだけの力があれば無理では無いが・・・。
「アルカンシェルで破壊する。それは空間を数百kmに渡って消滅させる威力がある。」
あるのかよ・・・。でも、それなら尚更やらせる訳にはいかない。地球でそんなもんを撃たれたら洒落にならん。
「・・・そうか。なら、尚更ダメだな。」
「っ!?何故だ!!」
お前では解らないだろうな。良く考えて見ろ。お前は地球で撃ったりしないだろうが、上はどうだ?上の命令は絶対だ。長年に渡って多くの世界を破壊し続けた闇の書が現れたらどうすると思う?バカな上層部のことだ。間違いなく命令を下すだろうな。複数の世界が破壊される前に地球ごと撃て、と。
「自分で考えろ。さて、お喋りは終わりにしよう。・・・行くぞ!」
[カオスショット!]
「「「っ!!」」」
俺は3つの魔力弾を撃ち出す。だが、三人は動かなかった。
・・・何故だ?
「サークルプロテクション。」
ユーノが魔法を発動し、三人の周りが半球状のシールドに包まれる。そして、俺が放った魔力弾はいとも簡単に弾かれ、霧散した。
「・・・バカな。」
シールドにヒビすら入れられなかった!?こいつ、この短期間でこれほどまでの防御魔法を習得したのか!?
「無駄だよ。この魔法はなのはのスターライトブレイカーにも耐えきる事ができるんだ。」
その言葉を聞いて俺は驚愕した。
あのバカ魔力集束魔法にも耐えきるだと!?
「今度はこちらの番だ!」
「覚悟しな、レイジ!!」
アルフ、クロノが俺に接近戦を仕掛ける。
「っく!ルナ!!」
[了解マスター!エムカムトルム!]
俺はルナを覇剣エムカムトルムに変え、二人の攻撃をガードする。
っく!前よりずっと重い!?
「っち!相変わらず訳の分からないモノ持ってやがるね、レイジ!」
俺はアルフの拳によるラッシュを捌いていく。そこにユーノのチェーンバインドやスパイラルショットが加わり、苦戦を強いられている。
「っ!!調子に・・・・乗るなっ!!」
俺はエムカムを全力で振り下ろす。
ドッゴオオオオオン!!!
「「「ぐあっ!?」」」
三人は振り下ろした衝撃波で吹き飛ばされる。そして辺りは砂煙で包まれる。俺は高く跳躍し下を見る。砂煙が晴れると、そこには爆心地みたいな後があった。魔力でブーストした状態でここまでの威力があったことに少し驚いた。そして三人は多少の傷を負っていたが、致命傷では無い。
・・・少し甘く見ていたか。
「・・・お前等の評価を改めよう。ルナ!」
[了解!インファイトモード。]
俺はエムカムからインファイトモードに変更した。
「籠手に変えただと?中距離とサポートがいる相手に一体何を考えているんだ、あいつ?」
「頭が狂っちまったんじゃないかい?」
「随分舐められたもんだね。」
別に俺は舐めている訳では無い。拳は俺が最も得意とする武器だ。生前、俺は弾薬が無くなった時、拳一つで戦場を駆けていた。練度では銃よりも上だ。
さらに、インファイトモードは籠手を自分の魔力で最大限に強化したスピード特化型である。魔力を流すと、籠手を走っているラインが紅く明滅する。
「・・・見切れるか?」
「な!?うあっ!!」
俺は一瞬で三人に詰め寄り、アルフを殴り飛ばした。続いてクロノを地面に蹴り落とし、ユーノの腹に掌底を叩き込み、腕を掴んでクロノの方に向かって投げる。
「「ぐはっ!!?」」
クロノとユーノは衝突して相当なダメージお負う。
「・・・ば、バカな!」
「・・・み、見えなかった。」
二人は俺のスピードに驚愕する。俺のスピードは神速を超える最速である。そう簡単に見切られたら落ち込む。そして周りは突然砂嵐が巻き起こった。
ん?・・・砂嵐?クシャナが本気を出したのか?
「これが俺の本気だ。理解したか?お前等では絶対に俺に勝てない。速さ、力、技術、全てに置いてお前等を凌駕している。」
俺は荒い呼吸で膝を突いている二人に迫る。そこに、
「それがどうしたああああああ!!!」
「っ!」
アルフが突っ込んできた。それを俺は片手で受け止める。
「速さ?力?技術?はっ!!そんなの関係ないね!」
アルフは高速で無数の打撃を打ち出す。
「レイジ!アタシはアンタを殴り飛ばす!!」
「はああああ!!」
俺は難なく捌いたが、それでもアルフは拳を止めない。さらにユーノも拳に魔力を込めて突っ込んでくる。
お前はサポート役だろうが!
「アンタは一つだけやっちゃいけないことをしたんだよ!!」
「そうだ!!」
俺も拳を打ち出し、俺と二人のの拳がぶつかり合う。
「「理由はどうであれ・・・レイジ(零冶)、アンタは(お前は)・・・・・」」
俺と二人は一旦距離を取り、一気に加速して最大の拳を繰り出す。そのまま三人の拳は迫り、そして・・・
「フェイトを・・・」
「なのはを・・・」
「「泣かせたんだああああああ!!!!」」
「っ!!?」
その言葉を聞いて俺は拳を止めてしまった。
「がはっ!!」
アルフの拳は俺の頬に、ユーノは腹に当たった。二人の攻撃は今までの中で一番の威力だった。俺は顔面と腹部にまともに受けてしまい、後方に吹き飛ばされた。飛ばされた先にはもの凄い土煙が立ちこめる。
「はぁはぁはぁ・・・うっ!!」
「はぁはぁ・・・やったか?」
アルフとユーノは今ので力を出し切ったんだろう。肩で息をしている。さらに拳からは血が出ていて、とても痛々しかった。ユーノは殴る瞬間にチェーンバインドで自分の腕を捲いて即席の籠手を作ってやがった。
「・・・今の一撃は効いたぞ?」
「「っ!?」」
だが、それでも俺を倒すことはできない。俺は悠然と歩いて土煙の中から姿を現す。
「なっ!?あの一撃を受けて立てるのか!?」
「・・・やっぱりダメか。」
「サポートタイプと言っても、今のは最高の一撃だったんだけどなぁ・・・。」
クロノは俺に驚愕し、アルフとユーノは少しガッカリしていた。別に俺だって無傷ではない。今の一撃を顔と腹部に咄嗟に魔力を流し込んで強化したにも拘わらず、痣になっている。正直かなり痛かった。
「言っただろう?お前等では勝てない、と。・・・さて、向こうも終わったようだな。」
「「「!?」」」
シグナムはともかく、クシャナは手加減しているかどうか心配だ。さっき砂嵐が起てたから多分アレをやったんだろうなぁ・・・・・・心配だ。
「「きゃあああああ!!」」
そう心配しているとクロノ達の後方に二人が落ちてきた。そしてクシャナとシグナムが降り立つ。
「二人とも大丈夫か?」
「ああ、かなり苦戦したが大丈夫だ。しかし、あと少しでこちらもやられそうだった。」
ほぅ、シグナムにそこまで言わせるとは・・・。フェイトも短期間で強くなっているようだな。
『|私(わたくし)も僅かに手傷を負いましたが、大丈夫ですわ。』
クシャナが手傷を!?まったく・・・なのはも強くなったな。
「お前が手傷を?」
『はい、油断しましたわ。それでは、|私(わたくし)はこれで失礼しますわ。』
そう言ってクシャナはさっさと戻っていった。さて、後は結界を破壊するだけだ。
「ルナ、封印解除。」
[了解マスター、封印解除!]
地面に魔法陣が展開され、斬魔刀の柄が現れる。俺はそれを引き抜いた。
「・・うぅ・・・待って・・・零冶!」
「お願い、待って・・・零冶・・・君!ちゃん・・・と・・・話・・を。」
フェイトとなのはは今にも泣きそうな顔をして行くなと訴える。そんななのは達に俺は胸を痛めるも、止まることは無かった。
「シグナム、結界を破壊したら転移して逃げるぞ!」
「了解した!」
俺達は上空に飛び上がり、
「・・・真名解放。
結界の壁を斬り裂く。
「
そして結界はガラスが割れるような音を立てて消滅した。
「ルナ!」
[座標をポイントαに固定・・・固定完了。転移します!]
「・・・なのは・・・フェイト・・・強くなれよ。」
俺たちは皆が待っている家に帰還した。
Side なのは
また転移魔法を感知した。今度は最初に零冶君と戦った砂漠だった。相手は零冶君と守護騎士の一人、シグナムのたった二人だった。今ならチャンスということで、リンディさんは私達5人に出撃命令を出した。
「今度こそ、零冶君を連れ戻さなきゃ!」
「うん、なのは!」
そして私達は零冶君の居る場所へ転移した。結界はユーノ君が張ってくれた。
これで転移で逃げられることはできないの。
「「零冶(君)!!」」
「零冶・・・悪いが君を拘束する!」
「大人しくしな!レイジ!!」
「今度こそ君を捕らえてみせるよ、零冶!」
「零冶・・・悪いが君を拘束する!」
「大人しくしな!レイジ!!」
「今度こそ君を捕らえてみせるよ、零冶!」
私達は零冶君たちを囲んで構えた。そして二人はいくつか話していた。多分、あのドラゴンみたいなのをまた召喚するつもりみたい。
「みんな、零冶に詠唱させちゃダメだ!全力で止めるんだ!」
「「「「うん!!(あいよ!!)(分かった!)」」」」
あんなのをまた召喚されたら私達全員でも倒せるか分からない。だから、詠唱を完成させるわけにはいかないの!
「させるかっ!!はあああああああ!!!」
一斉に零冶君に向かって攻撃を仕掛けようとしたら、シグナムさんが私達の前に立ちはだかる。
「っ!邪魔をしないで!!」
「私たちは零冶君に話があるの!!」
私はフェイトちゃんと一緒に魔法を撃った。
「我が意に集いし友よ。その身体は鋼で覆われ、あらゆる刃を拒む。」
急がないと詠唱が終わっちゃう!
「クソッ!邪魔だ!!」
「ああもう!!ちょこまかうるさいよ!!」
皆もシグナムさんを倒そうとしているけど、なかなか倒せない。
「させるかああああああ!!!」
でも、私達5人の相手はさすがに無理みたい。徐々に攻撃が当たって、傷がたくさん付いている。
「その爪は全てを斬り裂き、翼は竜巻を起こし、尾は大木を薙ぎ倒す。」
あと少し!
「チェーンバインド!!」
「なっ!?」
そして、ユーノ君がシグナムさんをバインドで捕まえた。私はシグナムさんにディバインバスターを放ってダメージを与えた。ちょっと可哀想だった。そしてフェイトちゃんが零冶君の詠唱を止めるために魔法を撃った。
「今だ!フォトンランサー!!」
「しまっ!?零冶!!」
そして魔力弾は零冶君に迫る。みんなはやったと思って少し安堵したの。もちろん私だってやったと思ったの。でも、
バチィィィン!!
フェイトちゃんの魔法は弾かれてしまったの。
[私のマスターには指一本触れさせません!!]
「なっ!?」
フェイトちゃんも驚いているみたい。私達はルナさんの事を忘れていたの。
「古の龍よ、我が前に立ちはだかる敵を吹き飛ばせ!来い!クシャルダオラ!!」
そして零冶君の詠唱は完成してしまったの。
「しまった!遅かったか!」
零冶君の目の前に魔法陣が展開してその中から、
「・・・鉄の・・・竜?」
鉄のような鈍色で美しく輝いていた竜が現れたの。
・・・この子、とっても強い。
「せめてコイツだけでもtぐあっ!?」
クロノ君がシグナムさんをアースラに転移させようとしたら零冶君がクロノ君を殴り飛ばした
「・・・うぐっ・・・まったく、・・・遅い・・ぞ?」
シグナムさんはかなりダメージを受けているみたい。
・・・ちょっとやり過ぎたかな?
「待っていろ、すぐに回復してやる!・・・この者に祝福を、ヒール!」
そして零冶君が魔法を使うとシグナムさんの傷はすぐに治った。
「・・・相変わらず零冶の回復魔法はすごいな。」
「どうやら無事みたいだな。・・・ありがとうな、シグナム。おかげで時間を稼げた。」
ああっ!!シグナムさんの頭を撫でている!?むぅ~!それは私とフェイトちゃん専用なのに~!!
「ば、馬鹿者!子供扱いするな!///」
『お喋りはそのくらいにしたら如何です、主?』
って、そんなことより零冶君を連れ戻さなきゃ!
「・・・零冶、お願い!元の零冶に戻って!零冶は闇の書に操られているんだよ!!」
「戻ってきてよ、零冶君!!」
零冶君はきっと闇の書に操られているんだ。だから零冶君の目を覚まさせて上げなきゃ!
でも、私は本当は零冶君が闇の書に操られていないって、零冶君自身の意思で私達と戦っているって解ってたのだと思う。
「・・・言ったはずだ。俺は自分自身の意思でこの場に立っていると。いい加減諦めろ。」
それでも!!私達は零冶君に戻ってきて欲しい!
「っ!!・・・どうしても戻ってきてくれないのなら、」
零冶君がいなくなって、アリサちゃんやすずかちゃんも泣いてた!
「・・・・無理矢理にでも零冶君を、」
だから・・・私達は絶対に・・・
「「連れ戻すだけだよ!!」」
零冶君を連れ戻すの!!
私とフェイトちゃんは零冶君に向かって魔力弾を撃った。先手必勝だと思ったけど、
バチィィィン!!ガキィィン!!
「貴様等の相手は、」
『|私(わたくし)たちですわ!』「「零冶(君)!!」」
私の魔法はあの竜が零冶君の前に出て防ぎ、フェイトちゃんのはシグナムさんに斬られた。
残念・・・。
「なのは、フェイト。俺と戦いたければ二人を倒すことだな。まぁ、お前等では無理だがな。」
むっ!そんなのやってみなきゃ分からないよ!!
「っ!?そんなことない!勝って、零冶の目を覚まさせる!!」
「私たちは零冶君を連れ戻してみせるんだから!!」
私とフェイトちゃんは空に飛び上がり、それぞれの相手をした。
『さて、最初に自己紹介でもいたしましょうか。私は古より生き続けた古龍の一種、鋼龍クシャルダオラのクシャナと申しますわ。以後、お見知りおきを・・・高町なのはちゃん。』
「え!?どうして私の名前を!?」
私、一度もこの子に会ったこと無いんだけど?
『ああ、そのことですか。私達は主と契約した際に零冶の中に住まわせて頂いているのですわ。そして契約により、主との繋がりが出来て、五感の内の“視覚”と“聴覚”を共有することができるようになったのですわ。つまり、私は主を通して見たり聞いたりしていたのですわ。』
「ふ、ふぇえええええ!?」
じゃ、じゃあ今までの、泣いたり抱きついたりした事を全部見られていたの!?
『ふふふ、楽しませて頂きましたわ。』
は、恥ずかしいよぉ///
『さて、お喋りはこの辺にいたしましょう。主との約束通り、私を倒すことが出来れば、主との戦わせてあげますわ。それと・・・主に貴女たちの所に戻るよう進言してもよろしくてよ?』
「っ!?ほ、本当に!?」
それなら、零冶君を連れ戻すことができるかも!?
『ええ。私たちは嘘をつきませんわ。我が誇りに賭けて誓いましょう。』
それを聞いたら尚更私は全力でクシャナさんを倒さないといけない!
「・・・いくよ、レイジングハート!」
[はい!勝って零冶を連れ戻しましょう!]
「うん!」
『準備はよろしいですか?では改めまして・・・。』
クシャナさんは一度目を閉じた。するとクシャナさんの纏っている空気が変わった。冷たくて、刺すように痛い空気だった。そして目をカッと開いて言った。
『我が名は鋼龍クシャルダオラのクシャナ!主の命によりこれより先には一歩たりとも近づかせません!ここを通りたくば、我が屍を踏み越えて行きなさい!!』
クシャナさんの気迫はとてつもなかった。思わず震えてしまったけど、こっちだって負けていられないもん!!
「うっ!アクセルシューター!」
私は今できる最大数の魔力スフィアを形成した。その数は10個。それを連続的に発射して操作する。クシャナさんはそれを器用に避けていく。今度は8個を正面から向かわせて、2個を後方から挟んでみた。これなら後ろから接近する魔力弾に築かないだろうと思った。でも、それをクシャナさんは後ろを見ずに避けてしまった。
「な、なんで!?気づかれないようにしたのに!?」
『甘いですよ!その程度で私を落とそうなどと、笑止千万です!!喰らいなさい!!』
クシャナさんは口を開けて何かを吐き出したように見えた。でも何も見えないの。
「え?何を[プロテクション!!]きゃあああああ!!」
私は何が何だか分からないまま吹き飛ばされた。咄嗟にレイジングハートがプロテクションをしてくれなかったら一体どうなってたんだろうか?
『あら、今のを耐えますか・・・。少し見誤っていたようですね。なら、少しだけ力を使いましょうか・・・。』
え゙!?まだ本気じゃ無かったの!?
『私達古龍種の大半は特殊な力を有しています。その中で私は風を操る力を有しています。先ほどのあなたの攻撃を見切ったのは周囲の空気の変化を察知しただけに過ぎません。』
「ま、魔法も無しに風を操るの!?」
そ、それは反則だよぉ!!
クシャナさんが空に向かって吠えるとクシャナさんの周りに風がもの凄い勢いで流れ始めた。
『さあ、行きますよ!!』
クシャナさんはまた突進してきた。私はそれを避けたけど、
「きゃああ!」
通り過ぎる瞬間、クシャナさんの周りに渦巻いている風に吹き飛ばされた。もうあれは風というレベルじゃない。どちらかというと台風だ。
「うぅ、これじゃ近づけない・・・でも!私は諦めない!!レイジングハート!」
[了解!]
私はレイジングハートを構えて魔力を集束する。
「これで決めるよ、クシャナさん!レイジングハート!」
[エクセリオンバスター!]
『受けて立ちます!あなたの想いを私にぶつけてみなさい!!』
クシャナさんも圧縮した空気を撃ち出した。そして私も撃つ。
「エクセリオォォン・・・・・バスターーー!!!」
これが私とレイジングハートの新しい技。ディバインバスターを改良して攻撃力、貫通力、射程距離を高めた魔法。私のエクセリオンバスターとクシャナさんのエアブレス?(なのは命名なの!)はぶつかり合って競り合う。そして、私が更に魔力を込めて押し切る。
『!?』
ドカアアアアアン!!
「やった!!」
クシャナさんは避けきれずに直撃してしまった。私は今度こそやったと思い、安堵した。そして煙が晴れると・・・
『・・・・油断しました。「!?」まさかアレを押し切るとは思いもしませんでした。』
クシャナさんには多少傷が付いているけど、そこにいた。
「そ、そんな!?直撃したはずなのに!?」
『ええ。確かに直撃しましたよ。ですが、古龍種の力を侮っていたみたいですね。』
[マスター。恐らく、風の防壁が威力を軽減させたと思われます。あの防壁を破るには先ほど以上の攻撃が必要です。]
そ、そんな!?あれ以上の攻撃は時間が掛かるから無理だよ!
『しかし、私にここまで傷を付けた事を褒めて上げましょう。私に傷を付けた人間はこれまでで二人、主とあなただけです。』
褒められても勝てなきゃ嬉しくないよ!!
『私も本気で行きましょう。あまりこれは使いたくなかったのですが、そうも言ってられませんね。では・・・■■■■■■ーーーーッ!!!』
またクシャナさんが空に向かって吠えた。でも今度はさっきのと違った。なんだか空全体がおかしいような・・・。
「マスター!!周囲の気圧が変化しています!!」
「え!?きゃっ!!」
周囲には暗雲が立ちこめて、砂嵐や竜巻が起きた。
『見なさい!!これが私の力!!風を操り、天候も変えてしまうほどの力を!!』
「ううっ・・・・上手く・・・・飛べない!?」
台風以上の風が私を襲い、上手く飛ぶこともできない。
『これで・・・終わりです!!』
「きゃああああ!!」
私が飛行制御に四苦八苦しているところにクシャナさんのエアブレスが私に迫り、直撃する。そして私は地面に落ちていった。
Side フェイト
「改めて名乗ろう。我が名は守護騎士が一人、烈火の将シグナムだ。」
「・・・時空管理局民間協力者フェイト・テスタロッサ。」
私は零冶と戦うために目の前の人物を倒さなくちゃならない。いや・・・倒さなきゃならない。・・・この人たちが零冶を!!
「私は・・・貴女たちを許さない!行くよ、バルディッシュ!!」
[イエッサー!]
私は新しく生まれ変わったバルディッシュ・アサルトと共に戦う。そして私はフォトンランサーを撃った。
「!?いきなりだな!」
烈火の将シグナムは私の先制攻撃を避けた。
うるさい!
「こちらからも行くぞ!レヴァンティン!」
「ヤボー!!」
シグナムは剣型のデバイスで私に肉迫する。私もサイスフォームにして斬り合う。でも、シグナムの攻撃は重くて鋭い。
攻撃では向こうが上・・・なら私は、速さで勝負だ!!
「っく!バルディッシュ!」
「フラッシュムーブ!」
私は高速でシグナムの後ろに回り込み、上段から斬りつける。でも、それも防がれてしまった。
「!?見切られた!?」
「はあああ!!」
シグナムは鍔迫り合いの状態で力を込めて、私を弾いた。
「くあっ!・・っく!バルディッシュ!」
[サンダースマッシャー!]
「サンダー・・・・スマッシャーーー!!!」
私は近距離では時間が掛かると判断して、砲撃戦に持ち込んだ。
戦い方なんて気にしていられない!早く零冶と戦って勝たないといけないのに、何で邪魔をするの!?
「その程度の速さでは捕らえられんぞ!」
シグナムは右に回避する。その行動に私は薄く笑みを浮かべる。
掛かった!!
「なっ!?罠か!?ぐああっ!!?」
シグナムは私があらかじめ仕掛けておいたバインドに捕まり、そのまま直撃した。だけどまだ終わっていない。シグナムは今の一撃を受けてかなりダメージを負ったようだ。
「私達の邪魔をしないで!私は貴女たちに操られている零冶を助けに行かないといけないんだ!!」
そしてシグナムさんは私の言葉を聞いて表情が怒りに染まった。
「貴様・・・言うに事欠いて我らが操っている、だと・・・?ふざけるな!!!」
「っ!?」
何故怒っているのか私には解らなかった。
「何も知らない貴様が勝手なことをほざくな!!零冶がどんな思いで貴様達と戦っていると思っているんだ!!」
・・・どういうこと?零冶は・・・操られているんじゃないの?
「大切な人を守る為に・・・大切な友人を傷つける零冶の気持ちが・・・貴様等は解るものか!!」
[エクスプロージョン!]
シグナムのデバイスから薬莢が二つ排出された。そして剣の刃が別れて鞭のように撓る。
「貴様に・・・零冶と戦う資格など無い!!」
「っ!?そんなことない!!」
[カートリッジロード!]
そして剣の鞭は私に一直線に伸びて襲い来る。私もカートリッジをロードして正面から挑む。
「サンダーレイジ!!」
二つの攻撃は互いにぶつかり合って拮抗した。でも、向こうが僅かな柄に上だったみたいだ。
「きゃああ!!」
私の攻撃は押し切られ、地面に向かって叩きおとされる。
「う・・・うぅ・・・・。」
「ふぇ・・・フェイト・・・ちゃん。」
痛む身体に鞭を打って少しだけ起き上がるとなのはも倒れていた。きっとあの竜にやられたんだ。
「ルナ、封印解除。」
[了解マスター、封印解除!]
零冶は魔法陣の中からあの大きい剣を取り出した。
ダメ!あの剣はならユーノの結界を壊すことが出来る!零冶が行ってしまう!
「・・うぅ・・・待って・・・零冶!」
お願い!行かないで零冶!!
「お願い、待って・・・零冶・・・君!ちゃん・・・と・・・話・・を。」
どうして私達に何も言ってくれないの!?どうして相談してくれないの!?
「シグナム、結界を破壊したら転移して逃げるぞ!」
ああ・・・ダメ・・・身体が動かない。止めたいのに・・・すぐそこに零冶がいるのに・・・この手が届かないよ・・・。
「了解した!」
いや・・・止めて!
「・・・真名解放。
結界を壊さないで!行っちゃ嫌だよ、零冶!
「
零冶は上空の結界の壁を斬り裂いて、ガラスの割れるような音を立てて結界は崩壊した。
・・・零冶、待って!!
「ルナ!」
お願い!行かないで!!私、零冶と一緒に居たいのに!まだ少ししか零冶と学校生活を送ってないよ!
[座標をポイントαに固定・・・固定完了。転移します!]
待ってよ!!私、零冶のことが・・・
「・・・なのは・・・フェイト・・・強くなれよ。」
好きなのに!!大好きなのに、何で行っちゃうの!?
そして零冶は転移して消えた。
「どうして・・・行っちゃうの?」
私の目から雫がこぼれ落ちる。
「好きなのに・・・・どうして好きな人と戦わなきゃ・・・いけないの?」
私は拳を握りしめて空を見上げる。
「何で・・・?教えてよ・・・零冶・・・うぅ・・うぁ・・・うああああああああああああ!!!!」
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第十三話 クシャルダオラ、戻ってきて欲しい人