「すまんがよろしく頼むのぅ。」
「分かりました。」
俺は帰宅した後、学園長から電話が掛かってきた。用件は今日は学園に侵入しようとする輩を排除して欲しいとのことだった。一応給料が出るそうなので、引き受けることにした。
『また面白い事になったね!』
ロキがはしゃいでいた。
「先に言っておけど、お前は絶対に出さないからな。」
『ええー!?なんでー!?』
やかましい!お前を出すわけにいかんだろ!
「・・・この辺り一帯を消し飛ばすつもりか?」
『ゔっ・・・いいじゃん・・・ちょっとぐらい。』
良くない!それでお前は何度、山や平原を荒れ地に変えたと思っているんだ!?
「ダメだ。」
『むぅ~・・・ケチッ!』
そういうとロキは奥に引っ込んでしまった。
「やれやれ・・・。さて、行くか。今日は魔法生徒二人と行動しなきゃいけなかったな。」
俺は忍者みたいな服に、漆黒のマントを着て出発した。結界の外の森に着くと先に魔法生徒が着いていたみたいだった。
「あ、零冶さん!」
「こんばんわ、零冶さん。」
その生徒は刹那と愛依だった。
「ああ、二人が今日一緒に行動する魔法生徒だったのか。」
「はい!私たちが志願しました!」
愛依が答えた。なるほど、俺の戦いを見ようと思ったわけだな。
「そうか。なら俺の戦いをで参考になるならそうするといい。」
「はい。勉強させて頂きます。」
刹那がお辞儀をした。その時、少し離れた所から何かが現れた。
「零冶さん・・・来ました。恐らく鬼を召喚したのでしょう。妖気が感じられます。」
「か、数は20強ぐらいです!」
へぇ~、鬼かぁ。どんな感じなんだろうか?
「さて、始めるか・・・ルナ、デュアルソード。」
[ええ!ブラックウィング!]
俺は夜天連刃【黒翼】を構える。すると、茂みの奥から鬼達がワラワラと出てきた。・・・何か、普通の感じだった。
「なんや?こんな青臭いガキ三3人がワシらの相手っちゅうんか?」
「見るからに弱そうじゃ。」
「拍子抜けじゃわ。つまらんのぉ。」
鬼達が笑う。
・・・鬼だから殺しても問題ないよな?
二人がムッとして構えたが、俺は二人を止めた。
「二人とも・・・今日は俺の初仕事だ。ここは俺に任せて、討ち漏らした奴だけを叩いてくれないか?」
二人は俺を不安そうに見たが、頷いてくれた。
「おい坊主。あんまワシらをナメとると痛い目みるぞ?」
嘗めているのはどっちだ?
「さて、それじゃあ・・・いくぞ!」
俺は一番手前にいる鬼に向かって黒翼を前に伸ばして突き刺して斬り開く。そうすると鬼は煙になって消えていった。
・・・なるほど。致命傷になったら勝手に還送されるわけか。
「な!?」
俺は跳躍して上空から斬りかかってもう一体を切り裂く。
「は、速っ!?」
「遅い・・・遅すぎる。・・・影忍流屠殺術、烈風陣!」
俺は身体を回転させて周囲に衝撃波を飛ばし、7体ほどの鬼を吹き飛ばした。その時、刹那達の方に2体ほど向かっていった奴がいたが、俺は懐からクナイを2本取り出して投擲する。
ドォン!!
2体の頭に刺さった後、クナイは爆発した。あのクナイには魔力を込めて、接触すると爆発するようにしてある。
「なっ!?爆発したやと!?」
まだ生き残っている鬼達が驚く。
「驚いている場合か?」
俺は縮地で懐に潜り込んで鬼を蹴り上げ、斬り裂く。そのまま全ての鬼を縮地で翻弄して斬り裂いた。
「ふぅ・・・終わったか?」
俺が一息つくと、
「っ!?た、大変です零冶さん!今、念話で連絡があったんですが、突然敵が増えたそうです!他のエリアを担当している人達が敵を抑えきれずにこちらへ続々と流れ込んできています!!」
愛依が慌てて言う。
「数はどんどん増えています。恐らく、数百体はいるかもしれません。何処も人手が足りていない状況で、応援が来るのはかなり後になると連絡がありました。」
刹那も真剣な表情で言った。
「・・・たしか、この先に開けた場所があったな?そこで殲滅する。」
「そ、そんな!?いくら零冶さんでも、数百体以上を相手するのは無理ですよ!私たちでもせいぜい数十体をまとめて相手するのが精一杯です!」
愛依が俺を止めようとする。刹那も同意見らしい。
「ここで食い止めなくてどうする?二人は後方へ退いてくれ。怪我をさせるわけにはいかないからね。俺は行くよ。」
俺は敵との合流地点へ急いだ。
「れ、零冶さん!?ああもう!死んじゃったらどうするんですか!?」
「仕方ありません。佐倉さん、行きましょう!」
合流地点へ着くとまだ敵は来ていなかった。どうやら間に合ったらしい。すると、後方から刹那達が現れた。
「・・・何故来たんだ?」
「零冶さんだけに任せられる訳ないでしょう!それに、少しは私たちを頼ってくれてもいいじゃないですか!?」
刹那は少し怒っていた。
「そうですよ!私たちだって戦います!」
愛依も怒っていた。・・・だが、お前達が戦う必要はないと思う。
「・・・なら二人はさっきと同じように俺が討ち漏らした敵をやってくれ。」
「っ!?それでは零冶さんに負担が「いいから。心配ないよ。」っ!」
俺は刹那の言葉を遮って言った。そして敵がどんどん現れてきた。だが、鬼に混じって悪魔のようなやつもワラワラと出てきた。
「っく!西洋魔術師と組んだのか!?」
刹那と愛依が驚いている。まぁ、俺は驚かないが。
「・・・ルナ、久々にあの頃に戻るか?」
[ええ。懐かしいですね、あの戦いの日々が。]
「ああ。あの部隊の仲間達を思い出すよ・・・。」
俺は少しだけ思い出に耽っていた。
「れ、零冶さん?」
愛依は不安そうに聞いてきた。
「愛依、刹那・・・・俺の部隊が“虐殺部隊”と呼ばれていた理由を見せてやるよ。」
「「・・・え?」」
俺は敵に向き直る。まるで雪崩のように迫ってきている。俺は夜天連刃【黒翼】を構えた。
「この感覚・・・戦場の感覚だ。俺の古巣だ。」
そして、今まで抑えていた殺気を周囲に放つ。すると、敵が止まった。俺の殺気に動揺しているらしい。
「特務特攻部隊、零番隊隊長、黒澤零冶・・・・・・参る!!」
縮地で敵のド真ん中を突っ切る。俺が通った後には鬼や悪魔が斬り裂かれていた。
「影忍流屠殺術、烈風陣!!」
先ほどの烈風陣よりも倍近い範囲の敵を殲滅した。そしてルナをライフルモードに変えて、
「デモンズバスター!!」
俺は敵に砲撃魔法を撃ち込む。今ので数十体が倒れた。それでも敵は止まること無く俺に向かってきた。
「
周囲の敵を多くの札が付いた鎖が半径30mの敵を束縛する。そして、
「・・・滅!」
ドオオオオオオォォン!!
札が大爆発した。俺の周りは焼け野原になっている。そして、残り80を切ったところで俺は手を空に翳す。俺の頭上に巨大な魔方陣が浮かび上がる。それは俺たちや敵を全てを呑み込むほどの大きさだ。
「汝らの行く道には雨が降り注ぐ。その雨は死の雨なり。何人も抗うこと適わず、皆等しく無慈悲な死を与えん。消えろ・・・対軍魔法、
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!
魔方陣から全ての属性の槍が敵に降り注ぐ。手、足、腕、腹、胸、頭を貫き、打ち砕いていく。そこには無慈悲な死だけだった。まさに死の雨だ。
降り注ぐ雨が止むと、そこには・・・何も無かった。
「いつの時でも・・・戦の後は虚しいな。」
[ええ、・・・そうね。]
俺は焼け野原に背を向け、二人の所へ戻った。
Side 刹那
「さて、始めるか・・・ルナ、デュアルソード。」
[ええ!ブラックウィング!]
今日は零冶さんと佐倉さんと一緒に仕事をすることになった。もちろん、自分で零冶さんと一緒にやることを志願した。
「なんや?こんな青臭いガキ三3人がワシらの相手っちゅうんか?」
「見るからに弱そうじゃ。」
「拍子抜けじゃわ。つまらんのぉ。」
私達の前に現れた鬼は卑下た笑みを浮かべながら言った。私は少し頭に来たので斬り倒そうとすると、零冶さんが手で私達を制した。
「二人とも・・・今日は俺の初仕事だ。ここは俺に任せて、討ち漏らした奴だけを叩いてくれないか?」
確かに、この程度の数なら零冶さん1人でもどうにかできるでしょう。私達は頷いて零冶さんに譲ることにしました。
「おい坊主。あんまワシらをナメとると痛い目みるぞ?」
当然鬼達は嘗められていると思うでしょう。ですが、それは大きな間違いです。
「さて、それじゃあ・・・いくぞ!」
零冶さんは瞬動術で敵に肉薄した。そして突き刺して左右に斬り裂いきます。鬼は煙となって消えていきました。
「な!?」
鬼が驚いている間にもう一体が斬り裂かれます。
「は、速っ!?」
「遅い・・・遅すぎる。・・・影忍流屠殺術、烈風陣!」
確かに鬼は遅いが、そこまで遅いわけでは無かった。零冶さんが速過ぎるのです。そして、零冶さんが周囲の鬼達を吹き飛ばしていきます。その時、私達の所に2体の鬼が向かってきたので私達が迎え討とうとすると2本のクナイが鬼達に刺さりました。
「く、クナイ!?零冶さんは忍者ですか!?」
佐倉さんが驚いて言った。そういえば、零冶さんの動きはどことなく楓の動きに似ている気がします。そして、その刺さったクナイが、
ドォン!!
爆発した。魔力を感じたので、恐らくクナイに魔力を込めていたのだろう。
「なっ!?爆発したやと!?」
「驚いている場合か?」
鬼達が驚いている間に次々と鬼達を殲滅していきました。とても鮮やかな手並みです。
「ふぅ・・・終わったか?」
彼が一息ついた所で、ガンドルフィーニ先生から連絡がありました。
(刹那君!愛依君!緊急事態だ!突然敵の増援が現れて他の人達が押されていて、君たちの所に敵が雪崩れ込んでいる!私達はそれぞれの場所の応援に向かっているが人手が足りず、君たちの所へ駆けつけるのはかなり後になりそうだ。君たちはできる限りそこを守ってくれ!無理と判断した場合は撤退しても構わない!では気をつけてくれ!)
私は戦慄した。先生達が遅れるほどです。恐らくかなりの数の敵が来たのでしょう。
「っ!?た、大変です零冶さん!今、念話で連絡があったんですが、突然敵が増えたそうです!他のエリアを担当している人達が敵を抑えきれずにこちらへ続々と流れ込んできています!!」
佐倉さんが零冶さんに現状を報告した。
「数はどんどん増えています。恐らく、数百体はいるかもしれません。何処も人手が足りていない状況で、応援が来るのはかなり後になると連絡がありました。」
私も補足した。現状でここを守るのは不可能に近いです。一度撤退する方がいいのですが、零冶さんは
「・・・たしか、この先に開けた場所があったな?そこで殲滅する。」
迎え討つと言い出しました。
「そ、そんな!?いくら零冶さんでも、数百体以上を相手するのは無理ですよ!私たちでもせいぜい数十体をまとめて相手するのが精一杯です!」
佐倉さんは無理だと判断したようです。私も佐倉さんに同意見でした。しかし、
「ここで食い止めなくてどうする?二人は後方へ退いてくれ。怪我をさせるわけにはいかないからね。俺は行くよ。」
零冶さんは行ってしまった。
「れ、零冶さん!?ああもう!死んじゃったらどうするんですか!?」
本当にです。1人で行くなんて無茶です!
「仕方ありません。佐倉さん、行きましょう!」
「はい!」
私達は零冶さんの後を追いかけた。そして零冶さんに追いついた途端、
「・・・何故来たんだ?」
と言ってきた。私は頭に来た。
「零冶さんだけに任せられる訳ないでしょう!それに、少しは私たちを頼ってくれてもいいじゃないですか!?」
私達だって零冶さんの役に立ちたいのです!
「そうですよ!いくら零冶さんでも危険ですよ!私たちだって戦います!」
佐倉さんも怒っていた。当然ですね。
「・・・なら二人はさっきと同じように俺が討ち漏らした敵をやってくれ。」
零冶さんは仕方ないといった風に肩をすくめた後にそう言った。
「っ!?それでは零冶さんに負担が「いいから。心配ないよ。」っ!」
私が抗議しようとしたら零冶さんに止められました。そして、敵が続々と出てきましたが、その中には鬼に混じって悪魔がいたのです。
「っく!西洋魔術師と組んだのか!?」
敵も形振り構っていられなかったようですね。そして、零冶さんは深呼吸してルナさんに言った。
「・・・ルナ、久々にあの頃に戻るか?」
[ええ。懐かしいですね、あの戦いの日々が。]
「ああ。あの部隊の仲間達を思い出すよ・・・。」
どうやら、別の世界にいた時の事を思い出していたようです。
「れ、零冶さん?」
佐倉さんは不安そうに聞きました。私も少し不安です。でも、零冶さんは私達に静かに告げた。
「愛依、刹那・・・・俺の部隊が“虐殺部隊”と呼ばれていた理由を見せてやるよ。」
「「・・・え?」」
そして零冶さんは敵に向き直ります。敵はまるで雪崩のように迫ってきていました。私達は少し不安でしたが零冶さんは無言では夜天連刃【黒翼】を構えました。
「この感覚・・・戦場の感覚だ。俺の古巣だ。」
そして、零冶さんから凄まじい殺気が溢れてきました。
「「っ!?」」
私は今までこれほどまでの殺気を放てる人間を知りません。強いて上げればエヴァさんぐらいでしょうか?そして、零冶さんの殺気に敵が止まってしまいました。
「特務特攻部隊、零番隊隊長、黒澤零冶・・・・・・参る!!」
零冶さんは名乗りを上げた後、瞬動術で敵のド真ん中を突っ切ります。零冶さんが通った後には鬼や悪魔が斬り裂かれて倒れていました。
「い、いつの間に・・・。」
私はその瞬間を目で追うことができませんでした。
「影忍流屠殺術、烈風陣!!」
零冶さんの周囲の敵が一瞬で殲滅されました。零冶さんはその後、持っていた双剣が大きな銃に変わり、
「デモンズバスター!!」
以前私達を倒した魔法を撃ちました。今ので数十体が倒れています。それでも敵は止まること無かったのですが、
「
零冶さんの周囲からたくさんの札が付いた鎖が伸びてきて半径30mの敵を束縛しました。そして、
「・・・滅!」
ドオオオオオオォォン!!
大爆発を起こして敵が吹き飛びます。そして、残り80を切ったところで零冶さんは手を空に翳しました。零冶さんの頭上を見ると巨大な魔方陣が浮かび上がっています。それは私達や敵を全てを呑み込むほどの大きさです。
「なっ!?こんな巨大な魔方陣を!?」
佐倉さんが口をあんぐりと開けて驚いています。かという私も開いた口が塞がりませんでした。そして零冶さんが詠唱を始めました。
「汝らの行く道には雨が降り注ぐ。その雨は死の雨なり。何人も抗うこと適わず、皆等しく無慈悲な死を与えん。消えろ・・・対軍魔法、
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!
魔方陣からありとあらゆる属性の槍が敵に降り注いでいます。それはとても無慈悲で残酷な魔法みたいです。まさに死の雨と言う名にふさわしい魔法と言えるでしょう。
攻撃が終わり、辺りを見回すと、そこには・・・何も無かったのです。全ての敵が消滅していました。
「いつの時でも・・・戦の後は虚しいな。」
[ええ、・・・そうね。]
零冶さんは焼け野原に背を向け、私達の所に戻ってきます。でもその姿に私は思わず声を漏らしてしまいました。
「・・・バーサーカー。」
その姿はまるで・・・戦いに酔いしれる狂戦士のようでした。
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零冶って本当にチートですねw