翌日、フィルノの命令である一室に呼ばれる。
なのははその場所に向かって部屋の中に入ると、その部屋の中には命令を出したフィルノ本人、エメリア、アリシア、シルフィア姉妹の五人が長円型のクロステーブルを間にそれぞれ座っていた。
昨日の夜リィナは目を覚ましてその後デュナと、なのはをこっ酷く起こって叱ってすぐにデュナの所へ向かったアリシアから状況を説明した。だからどうしてここに居るのかという事はリィナもなんとなく把握しているのだ。
なのはも余っている椅子に座り、クロステーブルを挟んで反対側に座っているフィルノが口を開いて話し出す。
「さて、全員集まったところで今後の行動について語りたいと思う」
フィルノに集められた理由はツュッヒティゲンのこの先の予定だった。その為に全員この場所に集められたのだ。
しかし、集められたと言ってもたったの六人。その事に疑問に思ったなのはの左側に座っているデュナが質問をする。
「全員って言ったけど、たった六人しかいないわよ?」
「その通りだが、それがどうした?」
その言葉に、なのはとシルフィア姉妹は目が点となった。このツュッヒティゲンってこれほど人数が少なかったのかと思ったのだ。組織名があるからかなりの大組織だと思っていたのだが、まさかのたった六人という事に驚いたのだ。デュナとデュナの左側に居るリィナのそれぞれ反対側に居るアリシアとエメリアは、やはりそこを質問してきて来たかと思い、またフィルノの答え方に溜め息を吐いていた。確かにここに居る全員だけなのだが、簡単に言いすぎだと思っていたのだ。
「まぁ、人員に関しては確かに少なすぎるかもしれないが、一週間もしない内にものすごい強力な仲間が手に入るさ」
今度はフィルノ以外の全員が首を傾げる。アリシアやエメリアにも全く言っていなかったことであったので、どこにそんな人物が居るのだろうと思ったのだ。今のメンバーでもなのは、アリシア、そしてリィナはSSの魔導師ランクを持っているが、今のメンバーだけでは管理局に勝てないのは分かっており、そんな人物が仲間に居るのならば嬉しい事である。しかしたった一人でそれほどの力となるのならばSSSランクの人間に限られている筈。そんな人物が仲間に居るのかと疑問に思うが、フィルノは突然微笑み始め、余裕な顔を見ていると本当なんだろうかと思ってしまうのだった。
ちなみにリィナの魔導師ランクが姉のデュナより高いのかというと、実験の被験者にされていたからである。唯一の実験の成功者であり、それによって元々の魔力総量がかなり跳ね上がっているのだ。あの時の実験でフィルノは隠れ潜んでいたが、実はリィナが実験に成功するという事を実験を始める前から知っていた。そしてここに全員が集まる数時間前に、別の場所でリィナの魔導師ランクを調べてSSランクだと判明したのだ。
「一体、どういう人物なの?」
フィルノ以外の全員が思っていた事を、なのはが代表してフィルノに聞く。相変わらず微笑みながらもフィルノは言う。
「それは後でのお楽しみだ。それよりも今はこの後の事を報告しておく」
真面目な顔に戻り、他の全員も誰か気になっていたが、フィルノ言葉を従って今は気にしない事にした。
「エメリアは管理局に素性がばれてしまったから、アリシアと変わってこの艦船内でメンバーの連絡を担当してくれ」
「了解しました」
「シルフィア姉妹はこの後の残っておいてくれ。少し知りたい事があるのでな」
シルフィア姉妹は何も言わずに頷く。
「そしてなのははこの場所に向かってくれ」
エメリアは自分の近くに置いてあった一枚の紙をなのはに渡す。なのはがそれを貰ってすぐに読むと、そこには第12管理世界にある研究所の場所が書かれてあった。
「その場所にある研究所を復旧が出来ないほどに破壊しろ。アリシアから聞いたが、エメリアが居た研究所みたいに怒りに任せるなよ」
「それは分かっているよ。それに、もうあんな思いはしたくないし……」
昨日のアリシアのO☆HA☆NA☆SHIもとい、叱られた内容を思い出したのか、何故か震えていた。なのはの震えぶりをみてか、フィルノはアリシアに『何をした?』と念話で良い、アリシアは『ちょっとやりすぎたかも』と言って苦笑いをしていた。それを聞いてフィルノは溜め息を吐いた。
「……とりあえず、なのははそこへ向かって研究所を破壊してくれるか。念のためアリシアも連れて行くつもりだが、アリシアは手伝わないからな。アリシアはなのはがしっかりと出来るかを見るために連れて行くだけだからな」
「わ、分かったなの」
未だに少し震えながらもなのはは言うのだった。本当に大丈夫なんだろうかと思ったが、失敗したらまたアリシアから叱られると思ってしまえば失敗する事は少ないだろうと思った。実はフィルノも一度アリシアから経験しており、なのはが怯えて震えてしまうのも分かっていたりしていた。
「それでは各々頼むぞ!!」
そう言うと、フィルノとシルフィア姉妹以外の三人が立ち上がり、部屋から出ていくのだった。
なのは、アリシア、エメリアが部屋から出て行ったのを確認すると、フィルノはいぶんから見て右側に座っている二人に話し始める。
「さて、君たち姉妹を残した理由はちょっと聞きたい事があってね」
「聞きたい事ですか?」
全員が居る時に一度も言葉を話さなかったリィナが口を開いて聞き返した。
実は言うと、フィルノが二人をのした事にはかなり重要な事であったりする。聞いておかなければこの先の事がかなり大変な事になりかねないくらいである。そしてこの事はシルフィア姉妹以外にはまだ言えない事でもあった。
「あぁ、でも君たちは俺がこの後何を言うか分かっているのではないか?」
「……何のことですか?」
フィルノ言い草にシルフィア姉妹は緊張が走る。もしかしたら、質問によってはかなり変わってくる事であったので、かなり慎重になっていたのだ。そしてそれは、シルフィア姉妹の思っていた通りになる。
「じゃあこういえば良いか?
「「っ!?」」
その言葉に、シルフィア姉妹は動揺する。どうしてその事を知っているのかと。
シルヴェルン一族。オリヴィエ聖王女の命ならば、確実に任務を遂行すると言われおり、失敗したことはないと伝われておる。しかしその一族の名を知っている人間はほんのごく少数でり、シルヴェルンの末裔を知っている人物は誰も居ないと思われていた。
だからシルフィア姉妹はシルフィアの一族の正体がシルヴェルンの末裔だと知られている事はないのである。しかも、シルフィアの一族自体がその事を隠し通すように昔から言い伝われており、知られるとは思いもしなかったのだ。緊張が走った理由はもしシルヴェルンの末裔だとばれたのかという事であったのだが、本当にばれるとは思っていなかったのだ。
「その驚き方だとやはりそうなのか」
「……それで、一体なんなのですか?」
嘘を突き通しても意味が無いと察し、デュナはシルヴェルンの末裔だと認める。リィナはデュナが認めたので、それに従う事にした。
そして確認をし終えたフィルノは本題へ入るのだった。
「これからする事にお前たち姉妹の力が必要となる」
「それは一体どういう事ですか?」
リィナが何で必要になるのかと聞く。シルヴェルンの末裔が必要になる事は様々あり、そのうちの幾つかは世界を変えるような事である。だから何かによって大きく変わるのだった。
しかし、フィルノが頼もうとしていた事は世界を変えるような事であった。
「何、簡単な事だよ。オリヴィエ聖王女の末裔にオリヴィエ聖王女が残した
そのフィルノの言葉はシルフィア姉妹を驚かせる事であった――
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J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。
その青年はなのはに関わりがある人物だった。
だがなのはにはその記憶が消されていた。
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