No.455662 IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−ファントムさん 2012-07-19 14:07:11 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:4467 閲覧ユーザー数:4228 |
episode25 提案
それから一週間が過ぎて学年別トーナメント・・・・・
特訓を受けた箒はルームメイトである鷹月さんとペアを組んで出場し、順調に勝ち進んでいったが、三試合目にて一夏とシャルルペアと当日までパートナーを秘匿してきた隼人は簪と組んで出場し、難なく二人を撃破した。
そうして二日後に行われた第十試合にて箒と隼人が衝突したが、奮闘するも隼人が勝利を収めた。その後エリーナ、ティアのペアと隼人、簪のペアによる決勝戦が行われて、隼人はバンシィのユニコーンモード限定で奮闘し、二人に勝利した。
そうしてその翌日のこと・・・・・
「・・・・・・・・」
隼人はため息をついて自販機のコーヒーを買った。ちなみに微糖・・・・
時間帯的に言えば放課後であり、空がオレンジ色に染まっていた。
(・・・うーむ・・・原作と違う方向になってしまった・・・・。これじゃ色々と後々のことが分からなくなってしまうなぁ・・・・どうしたものか・・・)
そう考えながら缶のプルタブを開けて一口飲む。
(セシリアと鈴、ラウラのISも修復が完了したことだしな・・・・なんかいい案が無いものか・・・・原作と似たような現象を起こせれるいい案が・・・・・)
「悩んでいるのね」
「・・・?」
後ろから声を掛けられて隼人が振り向くと、そこには楯無がいた。
「楯無さんですか・・・・色々とあるんですよ」
「ふーん・・・。でも、ある程度隼人君の考えは分かるわよ?」
「・・例えば?」
「・・・・今回のトーナメント・・・隼人君は腑に落ちなかったんでしょ?」
「・・・・・・・」
「・・・なぜかというと、専用機持ちが三人棄権していたから・・・・手応えのある相手が少なくなったから・・・違うかしら?」
「否定はしません。それが一つの要因ですから」
「・・・・だから、隼人君はトーナメントじゃ強敵と当たらなかったから、物足りなかったんでしょ?戦い甲斐が無いことに・・・」
「・・・・・・・」
事実であるので、隼人は何も言わなかった・・・
実質上あの戦闘以来どうしても『戦いたい』という欲望が体の中で疼いており、トーナメントではその発散をやっていたが、少なからずバンシィの本来の姿であるデストロイモードの使用をなるべく控えていた。
なぜならば・・・・その感情がデストロイモードで増幅されて、あの時の自分のようになってしまう恐れがあったからであった・・・・つまり不安定な状態なのだ・・・・
「それで、専用機持ち全員と大規模で自由に戦闘ができる案を考えていたんでしょ」
「・・・・・・・」
「それなら、私に良い案があるわ」
「・・・え?」
隼人は目をぱちくりとさせて楯無を見る。
「それはね――――」
と、楯無は隼人に耳打ちをした・・・・
「――――と、言ったところよ。後は織斑先生に私名義で言えば、通るはずよ。まぁ最終的に決めるのは上の方だけど、織斑先生が言うとなれば、通る確率は結構高いわ」
「・・・・・・」
「どう?これならあなたも満足いくはずよ」
「確かに・・・いい案でもありますね」
「まぁ、言うか言わないかはあなた次第ね」
「・・・・・」
「じゃぁ隼人君。後で生徒会室に来るのよ。仕事を手伝ってもらいたいから」
「・・分かりました」
そうして楯無は手を振ってから、その場を後にした・・・・・
「・・・・・・」
隼人は息を深く吐くと、職員室に向かった・・・・・
「珍しい物だな・・・お前から私に頼みごととは」
「たまにはありますよ。そうやって前にも頼んできたはずですが・・・」
そうして隼人は職員室にいた千冬の元にやって来た。
「そうだったな・・・。それで、頼み事とは一体なんだ?」
「・・・・実はですね・・・少し考えてみたんですが・・・今回のトーナメントでは出場できなかった専用機持ちがいましたね」
「・・・そうだな・・・・そのうち一人はお前のせいだがな・・」
「・・・そういう面もあってですね・・・・一年の専用機持ちだけによる模擬戦を行いたいんですが・・・」
「模擬戦か・・・」
「模擬戦といっても、アリーナで行うのではなくて・・・・この学園の西に十キロメートル離れた海上でやりたいのですが・・・」
「ほう・・・アリーナではなく、あえての海上か・・。それなりに理由というものがあるのだな」
「えぇ。アリーナと違って広さに制限がありませんからね。思う存分戦うことができて、違う環境による戦闘の訓練にもなりますからね」
「なるほどな・・・。そういう点ではいい実戦訓練に繋がるな」
「はい。それと、その模擬戦では少しばかり特殊なルールで行いたいんです」
「例えば・・?」
「・・・・専用機持ちは一年で八人います。それで、俺一人で、残り全員がチームを組んでの模擬戦を行いたいんです」
「なんだと・・?お前一人で専用機持ち七人を相手にするというのか?」
「そういうことです」
「・・えらく大きく出たな・・・。それほど自信があるのだな」
「・・自信というより・・・俺から見れば特訓みたいなものです」
「・・・・特訓か・・・。そういうことか」
「・・・・・」
「・・・ところで、この案はお前が考えたのか」
「いいえ。ある程度俺の案で修正されていますが・・・・楯無さんが言ってくれた案です」
「更識が・・・?」
「はい。・・・織斑先生は聞いていないと思うので伝えておきます。少し前に・・・楯無さんこと生徒会長の助手に任命されましたので」
「ほう・・・あいつの助手か。よほど信頼されているのだな・・あいつに」
と、千冬は少し驚いた様子であった。
「そんなに凄いことですか?」
「当然だ。あいつは助手なんか必要ないほどの実力の持ち主だ。それに当の本人も今まで必要としていなかった。が、あいつがお前を助手に任命したということは。恐らく絶対的な信頼があったからだろうな」
「・・・信頼・・ですか」
「・・だが、お前が自分から言うわけがないだろ」
「・・・よ、よくお分かりで・・」
「ふん・・。お前は昔から面倒なことは嫌いなはずだ。確かに生徒会長助手は生徒会長とほぼ同じ権限が使用できる。だが、助手と言っても側近といったほうが分かりやすい」
「・・・・・・」
「それに、あいつから生徒会に入るように言われて、何らかの条件をつけて助手になったのだろ」
「・・・・・・はい」
「・・・だろうな。何かと条件をつけていることが多かったからな、お前は」
「・・・・・・」
「・・・まぁいいだろうそれは・・・。だが、真意は別にあるのだろ」
「・・はて?何のことでしょうか・・」
図星だったのか、隼人は若干ピクッと反応する。
「嘘を言っても無駄だ。視線が泳いでいるぞ」
「うっ・・・」
隼人は言葉を詰まらせる。
「お前は嘘を言うと視線が泳ぐ癖があるからな。分かりやすいものだ」
「・・・その点では未熟ですね・・・」
「はははは・・・」と隼人は笑う。
「それで、どうなんだ?」
「・・・・ラウラのことの思っての・・ことです」
「・・・・・・」
「言い訳になるかもしれませんが・・・怒りを我を忘れていたとは言えど、ラウラをあんな風にしてしまったのは俺です。俺にも大きく責任があります。償いとか罪滅ぼしのようにも聞こえるかもしれませんけど・・・・俺なりの責任の取り方です」
「・・・そうか。まぁ、それなりには考えていると言うことか・・・」
「・・・・・・・」
「・・良いだろう。今から上層部に言ってみよう」
「本当ですか!」
「だが、最終的に決めるのは上の方だ。あまり期待しないことだ」
「そうですね・・・」
「明日ぐらいには分かるはずだ。それまでできるように祈るのだな」
そうして千冬は席を立つと、職員室を出て、隼人も少しして職員室を出た・・・・・・・
その夜・・・・・
「はぁぁぁぁ・・・・・」
と、ふかーく息を吐いて隼人は湯に浸かった。
実のところトーナメント一日目の夜に男子の大浴場が解禁となったので、それから大浴場に通うようになった・・・が、使用時間は女子よりかなり短い・・・が、それでも一時間はあるが・・・・
ちなみに一夏は先に入ってもう上がっているので、実質一人での入浴である。
(やっぱり風呂が一番だな・・・・一日の疲れを取ってくれる・・・それに心地よい・・・)
隼人は極楽な気持ちなようだ・・・・
カラカラカラ・・・・・・
(・・・?・・・今脱衣所の引き戸が開く音がしたような・・・・・)
あまりもの気持ちのよさにいつもより思考がぼけーとしていた。
「お、おじゃまします・・・・」
「っ!?」
その声を聞いた途端早との思考が戻り、とっさに後ろを向くと、そこには一糸纏わぬシャルルの姿があった。一応スポーツタオルを前にかけているが、湿っていて向こう側の素肌が少し透けて見えていた。
「なぁっ!?」
そして隼人は驚いて後ろに倒れて水しぶきを上げた。
「な、な、な・・しゃ、シャルル!?」
そして隼人はとっさに立ち上がると、水分を吸った長い髪が体にへばり付いていた。
「あ、あんまり見ないで・・隼人のエッチ」
「す、すまん!?そ、そんなつもりじゃ・・・!?」
そして隼人は一瞬で90度急速反転した。
「・・え、えぇと・・な、なんで来たんだ・・・?」
「え、えぇと・・・僕も入ってみようかなって・・思ったんだけど・・・?」
「『思ったんだけど・・・?』って言われてもなぁ・・・・」
「・・ぼ、僕とじゃ嫌なの・・?」
「い、嫌とかそういうわけじゃないんだが・・・」
「・・・・め、迷惑なら、僕は上がるよ?」
「い、いや!お、俺が上がる!もう十分堪能したことだしな!」
そして隼人は後ろを向いたまま湯船より上がろうとしたが・・・・
「ま、待って!」
するとシャルルに呼び止められた。
「・・・?」
「・・大事な話があるの・・・。隼人に・・聞いて欲しいから・・」
「・・そ、そうか・・・分かった」
隼人は湯船から上がるのをやめると、再び浸かる。
そして二人は背中合わせになって湯船に浸かっていた。
「・・そ、それで・・・話って一体なんだ・・?」
「・・・そ、その・・・前に言った話なんだけど・・・」
「・・前って言えば・・・学園に残ることか?」
「うん・・・。それでね・・・ここに残ろうと思うの」
「・・・え?」
隼人は一瞬唖然としたが、すぐに気持ちを切り替える。
「・・いいのか?」
「うん・・。僕ね・・あれからずっと考えたんだ・・・。隼人の言っていたことを」
「・・・・・」
「・・・考えた末にね・・ありのままの自分で居たいと・・・そう思ったんだ」
「・・ありのままの自分、か・・・」
「・・それにね・・こうしてここに残りたいって思えるのは・・・隼人のおかげなんだよ?」
「・・俺のおかげ、か・・・俺はただ・・その・・なんていうか・・・」
「・・あんなに真剣になって、必死に叱ってくれたのは隼人が初めてだよ。・・・平手打ちをされたのは少し痛かったけど、あぁでもしなかったら、僕は今の僕を得なかったと思う」
「シャルル・・・」
「・・隼人」
「なんだ・・?」
すると、シャルルはゆっくりと隼人の方を向くと、そのまま体を隼人の背中に密着させた。
「・・・!?」
「・・僕の名前は・・・二人っきりのときで良いから・・・シャルロットって呼んで」
「シャルロット・・・それが・・・君の・・」
「うん・・。僕の本当の名前。お母さんがくれた・・大切な名前・・」
「・・そうか・・・。分かった・・・・シャルロット」
「・・・それに、言っていたよね・・」
「な、何を・・?」
「もしもの事があったら・・・『俺が家族になってやる』って」
「あ、あれか・・・。あの時は・・なんていうか・・その・・・思い付きとかそういうものじゃなくてだな・・・・」
「・・・・・?」
「・・・俺はただ・・・・シャルロットを一人にさせたくなかった・・・半分思いつきな感じだがな・・・」
「隼人・・・」
「父親と決別すれば・・・君は天涯孤独の身になる・・・。そうなると考えたら・・・心配で・・・」
「・・・・・」
「・・だ、だからといって・・無理に受け入れようとしなくて良いんだ・・・。俺の勝手みたいなものだからな・・・」
「・・・大丈夫だよ」
「え・・?」
「・・僕は一人じゃない・・・。これからずっとね」
「どういうことだ・・?」
「・・明日になればたぶん分かるよ」
「・・・・・・・・?」
そして次の日の朝・・・・・・
(・・シャルロット・・・一体何をする気なんだ・・・?まぁ原作じゃ女子として再入学を果たすんだが・・・・なんか違う気がする・・・」
隼人は昨日のシャルルことシャルロットの言葉に疑問を抱いていた。
「お、おはようございます・・・・」
すると山田先生が入ってきて、生徒は全員席に座ったが・・・山田先生の様子がおかしかった・・・
「・・・?」
「で、では・・SHRを始めますね・・・・と、その前に・・」
どうも山田先生にはいつもの元気が無い・・と、言うより唖然というか・・愕然と言うか・・・なにやら衝撃の事実を知ってしまって放心状態になってる・・・ってな感じ・・
「みなさんには・・・お知らせすることがあります・・・」
「・・・・・・・」
「じ、実はですね・・・このクラスに・・・転入生が入ってきました」
山田先生がそういうと、教室中にざわめきが起こる。
「って、言っても・・もう自己紹介を終えているのか・・終えていないのやら・・・あ、でも、一応終えていない・・・かな」
「・・・・?」
隼人は山田先生の不可思議な言葉に首をかしげる。
「で、では・・入ってきてください」
「失礼します」
すると、どこかで聞き覚えのある声がして、一人の女子生徒が入ってきた。
そして教室にざわめきが起こる・・・・それもそうだ・・・その転入生というのが・・・シャルロットであった。昨日の男子の制服ではなく、元の女の子として女子の制服を着ていた。
「っ!?」
すると隼人はびくっと驚いた。その理由は後ろにある電子黒板には・・・・・
「シャルロット・D・神風です。みなさん・・改めましてお願いします」
と、シャルロットは礼儀正しく挨拶をした。
「え、えぇと・・・デュノア君は・・・デュノアさんということでした・・・・・あっ・・デュノアさんじゃなくて・・・神風さんでしたね・・・。はぁ・・また部屋割りを決めなければいけませんね・・・。それに加えてと席の大幅変更も・・・」
と、山田先生はため息をつく・・・・・
「え・・・?デュノア君って女だったの?」
「変だと思った。美少年じゃなくて美少女だったのね」
「って、織斑君!同室だったから知らないってわけないよね!?」
「ちょっと待って!?何で神風君と同じ苗字になっているの!?」
「どういうこと神風君!」
そして案の定女子陣は驚いていた。
(シャルロット・・・!!!なぜそうなった!?)
隼人は心の中で今までないくらい驚いていた・・・・
そうして昼休み・・・隼人とシャルロットは屋上にいた。
「・・・シャルロット・・・どういった考えなんだ・・?なんで苗字を代えたんだ?」
と、隼人は少し疲れ気味で言う。さっきまでクラスメイトより質問攻めをされていたから・・・・
「どういったって言うと・・・・僕はあの人と決別したから・・・その表れだよ」
「いや・・・・だからといってなぁ・・・なんで俺の苗字と?」
「昨日も言ったけど・・・隼人は僕をひとりにさせたくないって言ったよね」
「まぁ・・・そうだが・・」
「だからね・・・こうすれば僕は一人じゃない・・・隼人だって・・もう一人じゃないから」
「・・シャルロット・・・」
「これからもよろしくね・・・お兄ちゃん」
「・・・・!」
その瞬間隼人は何かで心を打たれたかのようになる。
(うぅ・・こんなに可愛い笑顔でお兄ちゃんって・・・破壊力ありすぎる・・・)
先ほどのことに結構動揺していた・・・・
「しゃ、シャルロット・・・」
「なに?」
「・・その・・だな・・・お、俺は別にそう呼ばれても良いが・・・でもな・・・なんていうか・・・義兄妹だって言っても・・・年は同じぐらいだしな・・・えぇとなぁ・・・」
「・・・?」
「・・・ふ、普通に名前で呼んでくれないか?できれば」
「・・駄目・・なの?」
と、シャルロットは首をかしげる。
「・・いや、駄目というわけじゃないが・・・あぁ・・・もう・・・・・なんて言えばいいんだ・・・・・・。あっそうだ。す、少しの間は名前で呼んでくれ・・・・慣れというのも必要だしな」
「・・・そう・・。分かったよ、隼人。・・・・やっぱり驚いている?」
「そりゃそうだろ・・・・いきなり義妹宣言されたら・・・誰だって驚くだろ。俺のようなやつでも・・・」
「そうだね」
シャルロットは微笑んだ。
「僕は隼人を驚かそうとしただけだから・・あえて黙っていたんだよ?」
「・・十分驚かされたよ。・・・・・・・まぁでも、これからもよろしくな・・シャルロット」
「うん!」
後書き
あの時のフラグはヒロインフラグではなく、義妹フラグでした・・・。と、言ってもオリ主のヒロイン勢に入っているのには間違いないので・・・・。しかしメインヒロインは未だに決まっていない・・・。鈴か楯無、簪の三人の内誰かにしようと考えています。
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!