まどろみの朝、目覚ましの音を聞いた零二は目が覚めるとそこは見え覚えのない部屋だった。
「……そうか、俺達は」
昨日の記憶がゆっくりと思いだしていく。
「夢、じゃねーんだな」
現実を受け入れ着替えを始める。それは自分が来ていた私服ではなく、ここ機動6課の隊員の服だ。
はやてから部屋のカギをもらった時に一緒に渡されたもので、民間の協力者でも零二達は仮にもこの世界で危険なものであるロストロギア、
(だから、俺達がこの服を着てここにいることで、言い方は悪いが味方として分類するってわけか)
しかし、これでも許可をしてここに置いてくれてるだけでも零二達にとっては感謝してもしきれないのだ
「さて、食堂にでも行くか」
「おっ、芳やんも今起きたんか?」
着替え終わり、部屋を出ると剣悟がいた。ちなみに剣悟の部屋は隣にある。本来2人1部屋なのだが、紗雪の「この人が兄さんと一緒にいると何をしでかすか分からない」という一言で別の部屋になった。
「まったく、せっかく芳やんと夜のエロトークでもしようかと思っとたのに」
「そう愚痴るなよ。わざわざ部屋を用意してくれたんだから」
「まぁ、せやな。んじゃ、食堂行くんやろ?サクラちゃん達も行っとるやろうから、ワイらもはよ行こうか?」
「だな。サクラのことだ山盛りに食ってんだろーな」
「で、他の人らが唖然とする。もう目に見えとるなぁ~」
食堂
「「そんなふうに思ってた時期もありました」」
「あ、マスター朝ごはんの用意できてるよ~!!」
いつもならここで「お前が作ったみたいに言うな」と零二がツッコムところだが、それよりも零二と剣悟が眼はとある一点に集中していた。
「あ、芳乃さん。おはようございます」
大量のサラダが置かれたお皿を片手に声をかけてきたのはスバルだった。
「あ、兄さん……」
紗雪もどこか困惑したような顔で零二達を迎える。だがそれよりも眼が行くのはテーブルの中央に置かれた大きなボウルに入った山盛りのサラダだった。少なくとも6人前以上はある。
「あ、あぁ。つか、よく食うな
そう零二が指したのはサクラだけではなく、昨日出会ったフォワードの4人もだった。特にエリオやキャロは10歳とは思えないほどの量を既に食べているのにそれでもまだ口に食べ物が消えていく。さらにスバルにいたっては皿からこぼれ落ちそうなくらいの量を入れている。
「え、そうですか?」
とさも当たり前のことを聞いたのに逆にそうきかれるとは思わなかったのか零二は頭をかく。
「まぁ、確かにそう思うのは仕方がないかもしれませんね。それに、訓練がハードですからその分おなかが空きやすんですよ」
と返したのはオレンジ髪のツインテールのティアナだった。
「訓練?そういや、俺らも今日の昼前くらいからやるんだったよな?」
零二達は初めてということで、初日は昼ごろと午後の訓練だけということを言われたのを思い出す。
「うん。朝見てきたけど、かなりハードだった」
「朝って、お前早起きして見てたのか?」
零二は紗雪が言ったことに対して質問をした。
「ううん。自主トレーニングがてらで」
「ああぁ、なるほど」
と納得していると、スバルが反応する。
「あ、紗雪見てたんだ!」
「うん。勝手にごめんなさい」
「気にすることないわよ紗雪。これから一緒に訓練だってするんだから」
「うん。ありがとうティア」
最初は紗雪の方が年上ということでさん付けだっというのに既に呼び捨てでしかもあだ名もいい合うほどにここの関係は良好だった。
「うーん!でりーしゃすなんだよ!」
「でお前は何もしてない癖によく入るな!」
「マスターも霧埼君も、早く食べた方がいいんだよー!」
サクラは幸せそうに食べていた。
「ったく。まぁここでじっとしてるのもなんだし、さっさと食うか」
「せやな」
ちなみにサクラがロストロギアの
「あ、サクラちゃんほっぺにパン屑がついてるよ」
「あ、ありがとうなんだよスバルちゃん!」
「なにかしらねーこのなんだか守ってあげたい感」
「むー!子供扱いしないでほしいんだよティアちゃ~ん」
このように全員普通に接している。
「(つか、こいつはいつも通りか)バーカ。お前は充分子供だろーが」
「あー!マスターひどいんだよ~!ねー」
といって近くにいるミニ状態の竜フリードに手を出して話しかけるが
「あだだだだだーー!!!」
案の定噛みつかれた。
「ったく。すまんキャロ、助けてやってくれ」
「あ、はい!」
その後も何度か噛みつかれサクラがしくしく泣いていたのは言うまでもない。
そして、昼前の訓練があるということで零二達は訓練場に案内されて来た。が、
「って、ここ何もないじゃないですか!?」
「まぁ、広い所やけど周りに海が見えるだけで、ほんまに何にもないフィールドやなぁ」
そには広い金属プレートが繋がったフィールドが海に接しているが、それ以外には障害物や的もなにもない場所だった。
「そういえば、紗雪はみたんだよな?ここで訓練をしてるの」
「うん。でも兄さん達が思ってるよりここはすごい」
「まぁ、見てたらわかるよ。シャーリー」
〔了解しました〕
紗雪のその言葉の意味を零二が聞く前になのはがシャーリーに合図を出す。その直後、視界に映るものは変貌した。
「なっ!」
「こらすごいなぁ!」
今彼らの目の前には廃ビルが立っている。それも1つではない。いや、もはや1つの町と言っていいくらい廃ビルが彼らの周りに並び立っている。
「立体映像……じゃない!ちゃんと触れられる!」
「どう言う原理なんや!?」
「実体を持った映像とでも言うべきかな。ここでフォワードの皆は訓練をしてるの」
なのはが説明をするが、あらためて零二達は自分たちの世界の技術の違いを実感するのだった。
「それじゃ、スターズとライトニングは少しだけ見学。芳乃君たちは、まずポジションを決めたいから、かく能力のチェックと戦闘訓練をって、そういえばサクラちゃんは?」
なのはは、サクラがいないことに気付き、マスターである零二に尋ねた。
「あぁ、あいつならたぶん今頃……」
SIDE・END
SAKURA
「ほへぇ~なんだよ~」
零二の思った通りサクラは日のよく当たるベンチに座り、のほほほ~んとしていた。
「ってあり、おめーサクラじゃねーか」
「あ~ヴァイス君。こんにちわなんだよ~」
サクラは先日自己紹介をしたヘリパイロットのヴァイスにあいさつをする。
「あぁ、こんにち……じゃなくて!お前、なにやってんだ?」
「見ての通り、日向ぼっこなんだよ~」
「いや見りゃわかる!俺が言いたいのは、こんな所であぶらを売っていいのかってことだ。いまなのはさんが、お前のマスターである零二達の訓練を見てくれてんだぞ」
「大丈夫。それに私は、日光を魔力に変換することができるから、戦闘時になるべく万全に戦えるようにこうやってエネルギーをチャージしてるんだよ。だから、日向ぼっこは私のらいふわーくなんだよ~」
「そう聞くとすり替えのようにも聞こえるぞ。つか、お前ほんとに
「兵器だけど、ちゃんとした女の子なんだよ!シャーリーさんだって言ってたし」
サクラはここに来た日に零二の許可を取り身体検査を行ったその結果は驚きのもで、
「検査結果では、たしか『魔力が高いがそれ以外は普通の女性と変わらない』だったな?けどロストロギアの反応はある…ほんと不思議だよな」
「うん…あ!」
「どうした?」
「今日シャーリーさんが用があるって言ってたような……まぁ、もう少し日向ぼっこしてか……ZZZZZ」
「寝るのかよ!」
もうこれは起きないパターンだなとこの時ヴァイスは確信した。
「まぁ、俺は訓練場の方に行くから、お前もなるべく早く来いよ」
「は~いなんだよ~」
やれやれと言った感じでヴァイスはその場を去った。
SIDE・END
REIZI・YOSINO
「あははは、日向ぼっことは思わなかったなぁ」
なのはがそう言うと他のメンバーも苦笑していた。
「すいません。けどまぁ、あいつが万全に戦うには必要不可欠なことですから。というより、あいつはたぶん言ってもやらないと思います」
実際零二はサクラが新婚さんごっこと言うものをやってきたとき「ごはんにする、おふろにする、それとも私?」と言う質問に零二は私を選んだ。ちなみにそっちの意味ではなく、
「柱にしがみついて泣きながら暴れたんで、結局あきらめたんですよ」
(芳やんは変な所で鈍いなぁ~いや、わざとか?)
((((芳乃さんって、意外と鈍感?))))
(兄さんらしいな)
零二の答えに皆色々と考えるが、とりあえず今は置いておくことにした。
「まぁ、ともかく始めましょうか?」
「そうだね。それじゃあ、紗雪と霧埼くんはまず武装を展開して」
「はい―――
「了解―――
2人は互いの武器を展開する
「いつ見ても、霧埼くんの武器はなんかすごいよねー」
スバルは初めて見た時からの感想を素直にいう。
「霧埼くんの能力は、生物以外の物質を自由にコントロールするんだったよね?」
「そうやけど、このストリームフィールドをコントロールすんのだけで手一杯やから、他の物を動かすのは事実上無理なんやけどな」
「紗雪の力はまだわかってねーから、とりあえず戦闘訓練でもすっか?」
「うん。わかった」
とヴィータにいうが
「おいお前ら、一応あたしが年上だってこと理解してんのか?」
「「「えっ!?」」」
そう。一見すればヴィータは子供に見えるような体格だが、その年齢は零二達を遥かに超える年齢である。
「いやまぁ、そいつはすいませんでした」
「ごめんなさい」
「あれ、随分とあっさりと返すね」
フェイトの疑問はもっともだが零二達も似たような人(苺である)を知っているのですぐに返せたのだ。
「ともかく、紗雪ちゃん以外は皆ビルの上で観戦するよ」
なのはに案内され、見晴らしのいい位置に上った。既に紗雪の周りには複数の模擬戦専用のガジェットがいる。その数は5機
「紗雪ちゃんの武装を見る限りだと、狙撃型かな」
「だとしたら、ティアナやなのはと同じポジションだね」
となのは達は考えたがすぐにそれは覆された。なぜなら狙撃型の行わない行動を紗雪がとったのだから
「動いて、攻撃を?」
SIDE・END
SAYUKI・KUROBANE
初撃の攻撃を難なくかわし、攻撃を仕掛ける。魔力を込めた弾丸は魔力を消し去るガジェットの能力AMF通称アンチマギリングフィールドを考慮したものだ。
「まずは1機」
紗雪は連射せず、わざと敵を逃がす。紗雪は前回の戦闘でこの機械はある程度の魔力を消し去ってしまう力がることがわかり、魔力を充分に装填し撃てば破壊できることも分かった。だがそれは紗雪のバトルスタイルにはあわない。
ガジェットの1機が仕掛けてくると残りの3機も徐々に攻撃をしてくる。
「ふっ!これで!!」
魔力を多少チャージして放つが量が足りず四散する。
「!やっかいきわまりない」
たしかに充分に装填すればどうということはない相手だが、紗雪の魔力総量はけして多くない。故に紗雪は長い期間をかけ、いかに魔力を消費せずに敵を倒すかというものへとたどり着いた。紗雪の最も得意とするのは射撃ではない。狙い撃ちをするために止まる必要はないからだ。
《
この能力があるかぎり紗雪の弾丸は確実に相手に当たるのだから。故に、紗雪が磨き上げてきたのは射撃ではなく、スピードによる回避と持続力をつかった持久戦こそが紗雪の真骨頂のバトルスタイルである。
「これで!」
だがこの敵は紗雪のように魔力でできた攻撃をし、なおかつ威力が弱ければそのすべてが無力化となる。前回は小型のため勝てたものの、大型相手では紗雪は勝てる気がしていなかった。なぜならこの兵器は紗雪のようなタイプにとっては天敵中の天敵なのだから。
だからこそ、紗雪はこの訓練でどれだけおさえながら戦って、もつかをいま実験をしながら戦っていた。
「―――
白と黒の2つの弾丸はクロスを描いて2機に向かう。だがこれも魔力不足で四散してしまう。
「ッ!!(かこまれた)」
いつの間にか数が増えた敵に囲まれて一斉攻撃を受ける。全方位からのレーザー攻撃。常人の人間にこれを避ける手段など存在しない。
「―――
そのとき、紗雪は音速を超越し、光速をも軽々と越えた。
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別世界に来て最初の次の日、朝食をとった零二達はその日の午後訓練に参加した。
まず紗雪がその能力を見せる