No.448512

魔法少女リリカルなのは~過去に縛られし少女~  第二話

高凪さん

第二話です。ここから原作キャラたちが本格的に出てきます。
「にじファン」にて投稿してた、十九話+αを一気に投稿します。

2012-07-07 22:41:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:521   閲覧ユーザー数:513

「それにしても、訓練場に来てってどういうことだろう?」

『とりあえず行ってみなくては何もわかりませんね』

私達はとある理由から、訓練場へと向かっていた。

その理由とは少し前にある人から言われたことによるものだった。

 

 

 

 

私達が宿舎に戻って、少し休んでいるときのことだった。

部屋がノックされ、とある女性が扉越しから話しかけてきた。

「リリスちゃん。用事があるんだけど、大丈夫かな?」

それはなのはの声だった。

「なに、なのは?」

「今すぐ訓練場に来てもらえる?」

「……どうして?」

「詳しいことは向こうで話すよ。それじゃ、待ってるね」

「な、なのは?」

私は急いで部屋の外に出ると、もうなのははいなかった。

「唐突すぎる……」

『確かにいつもの彼女とは違う感じでしたが……』

「……しょうがない。行こうか?」

『はい。マスター』

 

 

 

 

こんなやりとりがあり、私たちは訓練場へと向かっているのだった。

「……でも本当に、なのはは何を考えているんだろう?」

『何かしら理由はあると思いますか……』

彼女、高町なのはという少女は一方的に相手に話すことはまずない。

それだけになのはのあの態度には私も少し驚いたのだった。

そんなことを考えたり会話したりするうちに私達は訓練場についた。

しかしそこに待っていたのは、なのはだけではなかった。

「おっ、来てくれたみたいやな。待っとったよ」

「ごめん、リリス。急に呼び出して」

私に声をかけたのは二人の少女によるものだった。

最初に話しかけた独特の口調の少女は、八神(やがみ)はやて。

次に私を心配するように話しかけたのは、フェイト・T・ハラオウン。

どちらもなのはの友達であり、私にとっても仲がいい二人だ。

だが、二人が何故ここにいるのだろうか?

「ヴィータちゃんやシグナムさんは?」

「あの二人やったら、少し用事があって来れないみたいや」

「なのは、はやて。それよりまず先に、リリスに色々と説明しないと」

「そうやったな。じゃあ、まずここに読んだ理由やけど、なのはちゃんと模擬戦をしてもらうため」

「……どうして、模擬戦?」

「新しく作る新部隊に、リリスちゃんも誘おうと思ってな」

「新部隊?」

「ある事件の捜査を私が受け持ったことは知ってるやろ?」 

「知ってるけど、それが?」

「実はその事件の捜査に、今の新人たちで構成された新部隊をを使って、みんなに経験を積ませようと思ったんよ」

「……そういうこと」

はやての考えていることがようやく理解できた。

確かに私を含めて今の新人たちは、全員がほとんど事件に対しての経験がない。

事件が起きたときどのような行動をすればいいのかという知識はあるが、知識があっても経験がない。

それではいざという時に、思うように動けないかもしれない。

だからこそ、そんなことにならないように、経験を積ませておこうとはやては考えたのだろう。しかし……

「事情は理解したけど、模擬戦をする理由はない……」

「理由ならあるよ~」

今の話を聞いただけでは、模擬戦をする理由はないと思ったが、はやては間延びした声で答えた。

「その新部隊の隊長はなのはちゃんとかに任せるつもりやけど、副隊長をリリスちゃんにと思ってるんよ」

「えっ?」

「それでな、今のリリスちゃんはどこまで戦闘の中で正確に分析でき、どこまで正確に自分の動きを把握しながらデバイスに指示をできるか知りたいんよ」

「……どうして?」

「そういった才能は、副隊長みたいな誰かを引っ張っていく立場の人間にも必要なんや」

「そういう意味じゃない。どうして、私が、副隊長なんて……」

経験もなければ人望もあるとはいえない。

そんな私が、誰かを指揮する立場にもなる副隊長なんて正直なとこ無理だ。

そんなことわかっているはずなのに、はやては何を考えているのだろう?

そもそも私にそんな才能はないのに……

「リリス、自分には副隊長なんて無理だって考えてる? なら、それは間違いだよ」

「フェイト?」

フェイトまで何をいってるのだろう?

私には絶対に無理だって、どうしてそう思わないだろう?

「……以前の集団での模擬戦のこと覚えてる?」

「覚えてる……」

「あの時、貴方は他のみんなに、どうすればいいのか正確に素早く指示していた。それも初めての模擬戦だったのに」

「だけど、あれは……」

はやてが私にあるはずがない能力を持っていると言っていた理由がわかった。

確かに私は他の人に指示をしていた。だけどそれは全部、私が考えたものではなくエターナルパルスに言われていたことなのだ。

私はただそれを他の人に伝えていただけ。

「あれを見た人なら誰だって、リリスにそういう資質があるってことはわかるはずだよ」

「……でも」

あれは、エターナルパルスが言ったことだから。

私の言葉はそう続くはずだったが、途中で詰まってしまった。

それを見ていたなのはが心配そうに声をかけてきてくれた。

「リリスちゃん、無理はしなくていいんだよ」

「なのは……」

「私は本当のことを言うと、リリスちゃんにはどんな事件にもあまり関わってほしくないの」

「……どうして?」

「心配だからだよ」

「……」

私は、はやてやフェイトに期待されるほど優秀ではない。

二人が言っていた才能だって、本来は私のものではなく、私のデバイスのものだ。

だから、私がそんな立場になっても、私は何もできない。

だったら新部隊の話も断ればいいだけだ。

そうすれば事件には関わらない。なのはに心配もかけない。

いいことだらけの、はずなのに……

(このままで、いいの? 自分に自信をもてないままでいいの?)

「リリスちゃん。どうやろ?」

「少し、考えさせて……」

それがとりあえず私がだした結論だ。

とにかく今は時間がほしい。

「まあ、いきなりやったからな。ゆっくり考えてな、リリスちゃん」

「焦る必要はないからね、リリス」

はやてとフェイトはそう言うと、私に別れを言って戻って行った。

なのはだけこの場に残っていた。

何か声をかけるべきか悩んでいると……

「リリスちゃん、後悔しないでね」

なのはが先に声をかけてきた。

「後悔って、なにに?」

「自分が出した答えにだよ」

「わかってる……」

「それならいいよ。あと、さっきは何も説明しないで唐突に呼び出してごめんね」

「いつものなのはらしくなかった……」

「にゃはは、やっぱりそうだった?」

「どうして?」

「心配だったの。リリスちゃんがもし安易に考えて答えを出したらどうしようって。そうしたら、少し一方的に焦るように話しちゃって」

「……ありがとう、なのは」

「ほえ?」

「それだけ、私のことを気にしてくれて」

「あっ、どういたしまして」

「私、真剣に考えてみる」

「うん、それがいいよ。じゃあ、私も戻るね」

なのははそう言って、戻って行った。

「私たちも戻ろうか?」

『そうですね、マスター』

そうして私たちも自分に部屋に戻って行った……


 
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