No.447802

東方霧雨兄録 其の十六

春風さん

東方霧雨兄録の其の十六です。楽しんで頂けたら嬉しいです。

2012-07-07 02:14:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:844   閲覧ユーザー数:837

紅霧異変から数日が過ぎた頃。紅魔館の図書館の扉の 前で流星はパチュリーと話をしている。

 

「今日中に返してと言われてもな」

 

「無理なら良いわよ?妹様の新しい遊び場として連れて行くから」

 

穏やかに言っているパチュリーだが目が笑ってない。 本当にフランを連れて来られて遊び場にされたら魔法 店が無くなってしまう。

 

最初の時はパチュリーも唯返してくれればと魔理沙に 言っていただけだが流石に一週間以上も経つとパチュ リーの返事が凄い内容になって来てるのが分かる。

 

そしてパチュリーが流星に言っているのは魔理沙が借 りて行った本の事だ。どの位の数の本を借りて行った かは流星にも分からない。

 

「せめて明日にしてくれ。俺も魔理沙が何処に本を置 いてるか分からないんだ」

 

パチュリーの表情が曇る。仕方無いと言う感じで溜め 息が出て流星に問いかける。

 

「分かったわ。でも明日迄よ」

 

図書館の扉を開けてパチュリーは中へと入って行った 。そして扉の向こうから小悪魔が何かを叫んでいるの が聞こえる。

 

「パチュリー様!?気を確かに!」

 

其れを聴いて流星はパチュリーに何が起きたかが想像 がつく。恐らく気を失ってしまったのだろう。

 

流星は階段を上がって図書館をあとにした。そしてエ ントランスの所を歩いていると一本のナイフが流星の 所に飛んで来た。

 

流星は其のナイフを指で止め直ぐに其のナイフが放た れた方を向く。

 

だが誰も居なかった。ふと流星はナイフに貼られてい る紙に目が行く。

 

流星は其れを見て少し驚いた表情をする。其れはパチ ュリーが言っていた明日までのタイムリミットの時間 が書いてあるからだ。

 

「どうやら本気だな」

 

流星は直ぐに隙間を開けて隙間へと入り姿を消した。

 

そして霧雨魔法店の入口の前に出て来て直ぐに魔理沙 の事を呼ぶ。

 

「魔理沙、居るか?」

 

奥の部屋の方から魔理沙の元気の良い声が返ってきた 。そして直ぐに魔理沙が来て流星に語りかける。

 

「兄貴、どうした?」

 

「さっきパチュリーの所に行ったんだけど本を明日迄 に返してくれって言われたよ」

 

「返せる時にって言ってあるから大丈夫だぜ」

 

「いや流石に今回は不味い。返さないとフランを連れ て行くと言われたし」

 

「やっぱりあの本は不味かったか」

 

流星は其の言葉に?を浮かべる。魔理沙が言うあの本 とは何か分からないからだ。

 

でもパチュリーがフランを連れて来るとまで言ってい た位だ。余程大切な本なのだろう。

 

「あの本って?」

 

「パチュリーの机に置いてあった本だぜ。興味があっ たんで借りたんだ」

 

「じゃあ其れを返せば大丈夫だな」

 

其の時、魔理沙の表情が曇る。直ぐに魔理沙は奥の部 屋へと走って行き引き出しを開ける音が聴こえてくる 。

 

暫くして魔理沙が戻って来た。そして凄く困った表情 になり流星に問いかける。

 

「本が見当たらないぜ…」

 

其れを聞いて流星は一瞬だけ冷や汗が出る。そして直 ぐに凄く恐い物を見た表情へと変わる。

 

「なっ何か思い当たる場所はないのか?」

 

深刻な顔で魔理沙が考え出す。周りを見て歩き魔法店 を出て空を見上げ始める。

 

「あ!?」

 

ふと思い出したのか流星の方を向いた。流星も魔理沙 の方を向き本の在処を聞く。

 

「思い出したのか?」

 

「アリスだ。アリスの所に本が在るぜ」

 

流星は其の名前を初めて聞く。直ぐに魔理沙は中から 箒を取って来て凄いスピードで飛んで行ってしまった 。

 

そして流星は飛んで行った魔理沙の後を追う様に宙に 浮き飛んで行った。

 

そして魔理沙を見失わない様に飛んでいると魔理沙は 1つの洋館の在る場所へと降りて行く。

 

直ぐに流星も降りて魔理沙の居る其の洋館の玄関まで 走る。

 

魔理沙が玄関をノックする。直ぐに扉が開き1人の女 性、アリス・マーガトロイドが流星と魔理沙を見てい る。

 

流星をじっと見てる。直ぐに魔理沙はアリスに問いか ける。

 

「アリス、急に悪いんだが前に私が置いて行った本を 渡してくれないか」

 

アリスは魔理沙の方を向く。そして魔理沙に流星の事 を問いかける。

 

「この人は?」

 

「私の兄貴だぜ」

 

「そう、お兄さんね」

 

アリスは二人に中に入る様に言う。直ぐに流星と魔理 沙は家の中へと入る。

 

其の時、魔理沙がアリスの雰囲気が何時もと違う様に 感じたのは気のせいなのだろうか。


 
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