私はまだ、何をしようとしているのか自分でもわからない。
突然過去の世界に戻され、前と同じようにジュエルシードを集めてはいたが、その後の私は一体何をしようとしているのか。
そんな事、今の私には絶対に理解できない事。
拠点なんかを作った理由だってそもそも私が殺した管理局員の情報を知るためでもあり、それ以上の事は求めていない。唯それだけが知りたかった。
だが、今でも私は悩んでる。悩んで悩んで仕方なく、それ以上の事をしてしまうのではないかと。
それはそう、夢の中でもその光景が目に浮かぶかのように――
「……朝か」
私はまた見てしまった夢を見て、朝から元気がなかった。
この世界に来てからたまに見る同じ夢、少し内容が違ったりはするが、夢にしては細かすぎるぐらいの夢であった。まるでそれが現実になるかのように――
「いや、さすがにそれはないでしょう。あれが現実になったらどうして私がそうなるのかとたくさんの疑問があふれますし」
私はすぐに自己完結させて、夢の話は今は置いておくことにしました。今はそれよりもやることがありますからね。
実は昨日、リンディさんから突然連絡がありまして、今日の朝方にフェイトちゃんが会いに来られるらしいので予定の時間にかなり近いので急いで制服に着替えます。
ちなみにここ数日間はくーちゃん達が居る洋館へは行かず、学校へ行って放課後はアリサちゃんの習い事がないときだけ山奥で魔法の練習をしていましたね。別にアリサちゃんを洋館の方へ行って練習させるのもよかったのですけど、わざわざそちらに向かう時間を使うのならばこっちで練習した方が早いですからね。
これまたちなみに、ここ最近アリサちゃんは魔法のコントロールはかなり出来るようになっていまして、普通に魔法が使える程度にはうまくなりましたね。アリサちゃんもコントロールが出来るまで魔法が使えるようになったことには喜んでいましたし、これからも自分から進んで魔法を練習するだろうと思いましたね。
まぁ、今はその話はどうでもよくさっさと制服に着替えて髪を整えたりしてから、家を出ようとして玄関を開けて待ち合わせ場所へ行こうとしました――
「な~のは♪」
……目の前にアリサちゃんが居なければ気分はかなりよかったのですけどね。
考えてみれば、ここ最近アリサちゃんはいつも私が学校に向かうときに家の外で待っているし、それからすずかちゃんと合流して一緒に登校してましたからね……
っていうかなんでこんな朝早くからアリサちゃんが居るのです? まさかいつもこんな朝早くから待っているわけではないような気がするし……
「それは、唯の勘よ!! さすがに毎日こんな時間に来てないし」
「……そういえば、アリサちゃんは他人の心の内容を読めるのでしたね」
それ以前に勘で朝早く来るって何ですか。心が読めるのは魔法のせいで仕方ないとしても、なんでよりにもよって今日はこんな早く来ているのですか……
とりあえずどうしましょうか? 別にアリサちゃんをアルフさんやクロノ君に気づかれないところに居るのなら別にみていても構わないとは思うのですけど。
「とりあえず、今日は学校へ行く前によるところがありますので、別について来ても構いませんが、その場所に着いたらなるべく私の知り合いには気づかれないようにしてください」
「ついて来ていいのなら私は別に構わないけど……なんで?」
「それを聞きます? さっき私の心の中で考えていたのは分かると思うのですが……」
「……あぁ、そういう事ね」
一応、アリサちゃんには管理局の存在については教えてありますし、名前なども全員伝えていますね。アリサちゃんも管理局とかに目を付けられるのが嫌らしかったので、海鳴に居る時はなるべく管理局に気づかれない程度で魔法の練習をしているのです。なるべく事件とかに巻き込まれたくないですからね。
「じゃあ、なのはが向かう場所に着いたらなのはが見える所で見ているよ。どうせフェイトの事で行くんでしょ?」
「分かっていましたか。まぁ、事件については終わりましたけど、フェイトちゃんは一度管理局側に逮捕されて裁判を受けないといけませんからね。その辺りはクロノ君とかリンディさんが何とかしてくれると思いますが」
「そう、それじゃあさっさと行って終わらせましょ」
「ちょっと急に引っ張らないでくださいよ!!」
アリサちゃんは私の右腕を引っ張りながら走っていきました。っていうか絶対に早く終わらせていつも通り腕に抱き着きたいだけでしょうが。あと行き先もまだ教えていないのですが。
とまぁ、そんな感じで私はアリサちゃんに引っ張られながらも、目的地をアリサちゃんに教えて海鳴臨海公園へと向かうのでした。
あ、触れていませんでしたが、ユーノ君はずっと私の肩に居ますよ。ちなみにユーノ君にもアリサちゃんが管理局の事情を教えた事は言っていますね。
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海鳴臨海公園に着きますと、そこにはフェイトちゃんとクロノ君とアルフさんが居るのでした。
ちなみにアリサちゃんはその時には別れており、多分見れるところで私たちの所を見ているはずです。
フェイトちゃんの近くに着くと、ユーノ君はアルフさんの方へと行き、それから数秒もせずにクロノ君が言います。
「それじゃあ。時間が余りないがしばらく話すと言い。僕たちは向こうに居るから」
「分かりました」
そう言ってクロノ君とアルフさんは私とフェイトちゃんから離れていき、遠くで見守る感じになるのでした。
それを確認してから、フェイトちゃんは私に話しかけるのでした。
「……話したいことはたくさんあるのだけど、とりあえず今言いたいことだけを言うね」
「うん」
「最初なのはに会った時、とても強くてどうしてこの子はこんなにも強いのだろうと思ってた。魔法がない世界なのにどうやって魔法の事を知ったのかとか」
「うん」
私は唯うんと言って頷くだけで、フェイトちゃんの言葉を唯聞いていました。
「そして戦っていくうちになのはの事が気になり始めて、一瞬悲しそうな顔をしたのも感じた」
「……うん」
「今、なのはが何を隠しているのかという事は聞かない。けどいつかは、その事情を話してほしい。私はなのはに救われたから、今度は逆になのはを救いたい」
……なるほど。そういう事ですか。
確かに今の私はいろいろと悩んでいます。だけどそれは絶対に誰にも言えないことであり、私で答えを見つけなければ意味がないことですから。
正直フェイトちゃんの話は無理な話なんですけど、ここで完全否定するのもフェイトちゃんを傷つけるだけですので、今は言葉を合わせることにしますか。
「分かりました。話せるときになったらフェイトちゃんにも教えたいと思います。私が何を抱えているのかを全て」
「ありがとう。それともう一つ言いたいことが」
「もう一つ? 一体何の――」
私がフェイトちゃんに何の話かと問うとする前に、私の唇はフェイトちゃんの唇に押さえられていました。
私は何が起こっているのか全く持って状況が把握できず、理解が出来ていませんでした。
それから少ししてからフェイトちゃんの唇が離れ、それからこういってきました。
「私は、なのはを恋愛感情として好き。突然キスしちゃったのは謝るけど、それでもなのはの事が好きで仕方ないの」
その言葉を聞いて、私はやっと状況整理が出来ました。
えっと……突然キスされたかと思ったら、さらにフェイトちゃんは私の事を恋愛感情として好きと言われて……
「え、ええっと……あ、あの……そ、その……」
「だ、大丈夫!?」
フェイトちゃんは私の様子がおかしくなったことにすぐに気づきましたが、これのどこが大丈夫だというのですか!? しかも原因はフェイトちゃんですよ!!
なんかアリサちゃんみたいに私は何かフラグを建ててたのですか!? なんで私を好きになる人が多いのです!?
っていうかこれ、アリサちゃん見ていたのですよね!? ……あぁ、なんかいろいろと終わった気がします。
……とりあえず冷静になって落ち着きましょう。
「ふぅ、突然キスされたからさすがに驚きましたが……」
「ご、ごめん」
「まぁ、大丈夫です。私の知り合いにも私の事が好きな人が一人いますし」
その言葉を聞いてフェイトちゃんの顔が変わりました。たぶん自分以外にも私の事が好きな人物が居るとは思っていなかったらしく、その人物に敵対心を持っているようにも感じました。まぁ、私がそのように仕向けたのですけど。
「さて、そろそろ時間だが平気か?」
「ちょっと待って」
クロノ君が時間になったようなので、私たちに近づいてきましたが、フェイトちゃんはクロノ君に待ってと言い、それから自分のリボンを外します。
……あれ、前は私からリボンを外しましたけど、まさかフェイトちゃんからリボンを外してくるとは思いませんでした。
「当分会えないと思うから、お互いのリボンとか交換しない?」
「え、えぇ、私は構いませんよ」
多分私の想定ですが、さっき私が言った好きな人に対抗するためでしょうね。当分会えないですからね。
そして私たちはお互いのリボンを交換し、お互いに交換したリボンを付けるのでした。
「それじゃあ、そろそろ行かないといけないから」
「うん、また会える時まで」
フェイトちゃんは私から離れ、クロノ君とアルフさんの近くへと歩いて行きました。
フェイトちゃんが近くに来たのを見て、クロノ君は転移魔法を発動させて、アースラに戻ろうとします。
そして、フェイトちゃん達は転移魔法で目の前からいなくなるのでした。
「ふぅ、とりあえず予想外な事も起りましたが、さて――」
アリサちゃんをどのように対処すればいいのでしょうか……
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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