「アリシアっ!!」
プレシアは培養器の外側を両手で触り、嬉しくて涙を流しながらアリシアを見ていました。
何年というものの年月をかけて、やっとアリシアが生き返ったことに嬉しくて仕方がなかったのでしょう。
「母さん……?」
逆に肝心のアリシアですが、どうして培養器に居るのかさっぱり分かっておらず、しかもなんでプレシアが涙を流しながら嬉しそうな顔をしているのか、さっぱり分かっていないような顔をしているのでした。
さらに言えばどうして前見たときより老けているのだろうと思っているような感じで、何がどうなっているのかさっぱり分からない状態でした。
「ごめんねアリシア……今まで何も出来なくて」
プレシアは仕事のせいで今まで何もも出来なかったことを悔やんでいるような感じでした。
さて、感動の再開は良いのですけど、そろそろ次の事に取り掛かりたいのでさっさと次の話をしますか。
「感動の再開の所すみませんが、そろそろプレシアの病気の方へいきたいのですので、準備してもらっていいですか?」
「……えぇ、分かったわ」
プレシアはアリシアが入っている培養器から離れていき、私はアリシアの近くまで寄っていきます。
そして私は機械を操って、培養器の中にある液体をすべて抜き取り、培養器が開いてアリシアを出させます。
アリシアを出させると、アリシアは自分で立とうとしますが、まだ生き返ったばかりだからか体が鈍っているような感じで、すぐに倒れてしまったので私がすぐに支え、それからとりあえず近くの所で座らせます。
プレシアはその様子に大丈夫かと思っているようでしたので、私にどうしてこうなっているのか聞いてきます。
「アリシアが自力で立てなかったようだけど大丈夫なの?」
「大丈夫です。数年以上も培養器に居たのですから体が鈍っているのは仕方ないことです。リハビリすればすぐに歩けるようになるかと思いますので」
「そう。ならそれは私が手伝うわ。それで構わないわよね?」
「えぇ。でもその前にプレシアの病気の方も治すのが先ですけどね。プレシアの方はすぐに終わりますので」
そう言って私は先ほどアリシアに使ったものと同じ液体、ベルザイオスが入ったボトルを吊るしてある点滴装置を私の近くまで持ってきて、プレシアの近くまで寄ります。
「これは、今までやったことがないらしいのですけど、理論上ではベルザイオスを血液の中に投与すれば、たとえ癌などでも体の細胞を一時的に活性化させて自己免疫能力をかなり高めるので治ると思うのです。まぁ、プレシアの場合は病気が何か分かりませんが、かなり悪化しているようなので点滴を二週間ほど付けてもらおうような感じになります」
「そう。でもそれで直るのならありがたいわ」
「それとそれが終わりましたらこれからの事とかいろいろと話がありますので、ついて来てくれますか」
「分かったわ」
それから私はプレシアに点滴の針を右腕に刺して、すぐに車いすを持ってきてアリシアちゃんを乗せて、私が押しながらプレシアと一緒に一階の応接間へと向かう事にしました。
この建物にはなぜかエレベーターまで付いていたりするのでそれで一階へと上がり、応接間がある部屋へと向かい、応接間に着くとプレシアを適当なところへ座らせて、車いすに乗っているアリシアをプレシアの隣に移動させ、私はその反対側に座りました。
「さて、まずこれからの事について話したいのですが――」
そして私がプレシアに話したいことを話そうとしたその時、突然応接間のドアからノックが聞こえ、私は言葉を止めてそちらに向きます。
「一体、誰ですか?」
「エリナです。先ほど応接間に入るところを見ましたので、紅茶を持ってきました」
「えっと……とりあえず入ってきてください」
私はとりあえずエリナを中に入れて、メイド服姿をしていたエリナはティーカップと紅茶が入っているだろうと思うポットを持って、私たちの目の前で紅茶を注いでそれぞれの目の前に紅茶を注いだティーカップを置いて行き、中央に角砂糖を置きました。
……完全にメイドみたいなことをしているのですが、別に私もくーちゃんもメイドになって欲しいとは言っていないのですし、普通に暮らして貰ってよかったのですけどね。
「あの、別に私とくーちゃんはメイドにならなくても良いと言っているのですが……」
「確かにお二人はそう言ってますけど、死ぬ寸前だった私たちを救ってくれたことの感謝がどうしてもしたいので……」
「だからと言って一生メイドとしてここに暮らすのですか? 別に強制的にメイドをしなくていいとは言いませんけど」
「なら良いじゃないですか。一応メイドやるからには一生メイドとして仕えていきますけど、私たちから進んでやっている事ですので」
「……分かりました。とりあえず今はこれから大事な話がありますので、ここには来なくていいですので」
「分かりました。それでは私はこれで」
エリナそう言って応接間から出て行き、出て行ったのを見て私はプレシアの方へと顔を振り向きます。
「すみません、ちょっとこちらの話を優先してしまって」
「別に構わないわ。それで、一体何の話なのかしら?」
さて、今度こそ話せますね。まぁ、そこまで急いでいる必要もないのですけど。
「何の話かというとこれからの事です。多分今回の事でプレシアは管理局に逮捕状が出ているとは思いますし、迂闊に外に出ることは出来ないでしょ?」
「えぇ、だからあなたがそのまま転移してきた『時の庭園』でアリシアと一緒に暮らそうとは思っていたのだけど」
「それでもいいかもしれませんが、もし管理局に見つかった場合を考えるとアリシアにまで被害が及びかねません。個人的に言うとそれは好ましくないのです」
私の言葉にプレシア納得していた。プレシア自身も『時の庭園』でアリシアと暮らして、もし管理局に見つかった場合はアリシアにまで被害が及ぶ可能性は確かにあると思ったのでしょう。さすがにアリシアにまで自分の迷惑をかけるわけにはいきませんからね。
「なら、どうすればいいの?」
「まぁ、簡単に言えばここに暮らしませんかという事です。正直言ってこれほど広い建物が手に入るとは正直思っていなく、かなりたくさんの部屋が余っている感じですので……」
「でもそれだとあなた達が困るのではないの?」
「別に困りませんよ。唯そのかわりという事なんですが、『時の庭園』を移動するときの拠点として使わせてもらっていいでしょうか? 他に手に入れるのもめんどくさいですし、暮らすとなった場合に何も使わないのはもったいないと思いましたので。それにここは管理外世界ですし、アリシアのリハビリするにはのどかで持って来いだと思いますからね」
「……そこまで言うのならば、そうしましょうかね。ここが管理外世界なら管理局に見つかりにくいというのは確かだからね。アリシアもそれでいいかしら?」
アリシアはその言葉に頷き、どうやらプレシアの事に従うような感じでありました。
さて、最後にもう一つ言ってから私は海鳴に戻りますか。
「それで決まりですね。それともう一つ、プレシアに聞きますがあの時フェイトちゃんに言った言葉は嘘であるんでしょ?」
「っ!? どうしてそう思ったのかしら?」
「唯の勘です。だけどその驚きようだとやはりそのようですね。だったら、何年かかってもいいですから、フェイトちゃんにあの時言った言葉について謝ってください。当分は無理かもしれませんけど」
「……分かったわ。フェイトには色々と酷いことをしてきたからね……」
プレシアはいつかフェイトちゃんに謝ることを約束してくれましたが、アリシアは私とプレシアが言った言葉に理解できていない状況でした。っていうか、プレシアが管理局に逮捕状が出ている事とかいろいろと知りたい事は多いとは思いますけど、それはプレシア本人から聞いてもらいましょうか。
「さて、私は第97管理外世界に戻ります。数日の間はここに戻ってこれないと思いますので、この建物の事は私の使い魔であるくーちゃん、久遠やさっき紅茶を運んできたメイドのエリナやその妹のミリアに聞いてください。それでは私はこれで」
私はティーカップに残っていた紅茶を一気に飲み、それから応接間から出て行くことにしました。
さて、これからは第97管理外世界でアリサちゃんの魔法の事や、管理局に一度顔出さないといけませんので頑張りますか。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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