No.413924

真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」外史編ノ九

お待たせしました。

今回は記憶を無くした凪のお話です。

所々お見苦しい点はございますかとは

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2012-04-25 17:56:53 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:10303   閲覧ユーザー数:7797

 

 

 

 

「私は誰ですか?・・・何も思い出せない・・・」

 

 目を覚ました女の子から衝撃的な一言が発せられる。

 

「すまない、俺達は戦場で死にかけた君を保護しただけで、君の

 

 事は何も知らないんだ・・・」

 

「そうですか・・・」

 

 

「やっぱり記憶喪失なのか?」

 

「・・・おそらく大怪我による大量の失血とその後の高熱が原因

 

 だと思われます」

 

「どうやったら元に戻るん?」

 

「わかりません。何かの衝撃を与えればいいのか、何かきっかけが

 

 あればいいのか・・・」

 

「それを今論じていても仕方が無い。とりあえずは彼女の怪我の回復

 

 を待ってからにしよう」

 

「でも、この娘を呼ぶ時、どないするん?まさか『おい』とか『お前』

 

 とかで呼び続けるわけにもいかんやろ?」

 

「そうだな・・・記憶が戻るまでの間、仮につける名前がいるよな」

 

「あの、私の事など構わずに・・・名前なんて無くっても」

 

「そういうわけにはいかない」

 

「そうや、名前は大切やで」

 

「無くていいなんて、そんな悲しい事言わないでください」

 

 

 次の日の朝。

 

「おはよう、具合はどう?」

 

「おはようございます。おかげ様で大分楽になりました」

 

「そうか、それは何より。ところで、君の名前の事だけど」

 

「そんな、命を助けてもらっただけでも申し訳ないのに・・・」

 

「じゃあ、君に何か考えがあるの?」

 

「そ、それは・・・別に私は『おい』とか『お前』でも」

 

「そういうわけにはいきません。という事で幾つか考えたから

 

 どれがいい?」

 

 そして彼女が選んだのは・・・

 

 

 

「というわけで、今日からこの娘の名前は『岳飛』です。記憶が

 

 戻るまでの仮の名前ですが、仲良くしてあげるように」

 

「よろしくお願いします」

 

「おおっ、一刀まるで先生みたいやな~」

 

「こちらこそよろしくお願いします、岳飛さん。私は諸葛亮です」

 

 朱里を皮切りに皆、自己紹介をする。但し、真名は彼女が自分の

 

 真名を思い出すまで預けない事になった。自分が預ける事が

 

 できないのに、皆の真名だけ預かるのは申し訳ないとの彼女

 

 からの申し出によるものだ。

 

「しかし『岳飛』って何や、もの凄く強そうな名前やな~」

 

「あわわ、まるで神様みたいな名前です」

 

「その名前って北郷さんが考えられた名前でしたよね?」

 

「さすがは北郷様です」

 

「確かに一刀さんの考えられた名前が一番格好いいですね」

 

 ・・・別に俺が一から考えた名前ではないので、そこまで褒められると

 

 何だか申し訳ない感じだ。

 

「・・・とりあえずは岳飛の処遇なんだが」

 

「戦場におったんやから、武官でええんちゃうの?」

 

「そこは本人が決める事だ。・・・どうだろう?いける?」

 

「その・・・私自身、ちゃんと戦えるのかよくわからないので・・・」

 

「ほんなら、ちょっと手合わせや!」

 

 霞はそう言うやいなや、岳飛の腕を掴んで走っていった。

 

「待て、霞!岳飛はまだ怪我が治ったわけでは・・・」

 

「もう、行っちゃったみたいですが・・・」

 

「ああ、もう!俺達も行くぞ」

 

 

 

 

 城の中庭にて霞と岳飛が対峙する。

 

「本当に武器はいらへんのか?」

 

「はい、何だかその方が合ってる気がするんです」

 

 岳飛はそう言って構える。・・・こっちもやる気か!?

 

「ちょっと待て、霞!岳飛の怪我はまだ完治していないんだから・・・」

 

「軽~くだけや♪」

 

「そういう問題じゃ・・・」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

 止めようとする前に岳飛の方から仕掛けた。鋭い蹴りが飛ぶ。

 

「何の!・・・ほう、さすがやな」

 

 霞は蹴りを紙一重でかわす。

 

「まだまだ!」

 

 岳飛は続けざまに拳と蹴りを繰り出す。・・・本当に怪我人なのか?

 

「なかなかの動きやな。でも」

 

 霞は岳飛の一瞬の隙をついて攻撃を仕掛ける。しかし・・・

 

「はぁぁぁっ!」

 

 岳飛の拳から何かが放たれ、霞に直撃する。

 

「えっ!?あれって・・・」

 

「はわわ!岳飛さんの拳から何か出てきました!!」

 

「大丈夫か!?霞!!」

 

「・・・何とか大丈夫や」

 

 霞は何とか立っていたが・・・

 

「強いなぁ~、予想以上過ぎてウチもう抑えが利かんわ~」

 

 ・・・やばい!!

 

「いくでぇーー!!」

 

「おおおおおお!!」

 

 二人が本気でぶつかろうとする。・・・間に合うか!?

 

 

 ガキィィィィン!!

 

 

「なっ、一刀!?」

 

「北郷様!?」

 

 間一髪、俺は二人の間に入って止める事に成功した。でも、すごく痛い・・・

 

「ここまでだ。・・・霞、岳飛は怪我人だぞ。岳飛も、自分の身体の状態を考えろ」

 

「「うっ・・・」」

 

「そもそも怪我の治っていない岳飛に手合わせさせる事自体が問題だ。・・・やる前に

 

 止められなかった俺達にも責任はあるがな」

 

「ごめん・・・」

 

「とりあえず、医務室だ。岳飛の傷がまた開きかけてる」

 

 

 その後、医務室に岳飛を連れて行って包帯を巻き直してもらった。・・・やっぱり

 

 医者からもの凄く怒られてしまった。

 

 

 

 

それからしばらく、岳飛には静養の努めてもらいつつ皆の仕事の手伝いをしてもらった。

 

 とても真面目な性格で、皆からの評判も高かった。

 

 ちなみに岳飛の拳から放たれた物は気弾だったようだ。・・・何かアニメかゲームの

 

 キャラクターみたいな能力だが。

 

 

「おはようございます。北郷様」

 

「おはよう。どう?身体の具合は?」

 

「おかげさまで、すっかり治りました。・・・記憶以外は」

 

「それに関しては、気長にやっていくしかないよ。何か思い出した事があったらすぐ

 

 言ってくれ」

 

「はい!」

 

「それと、明日の朝議には岳飛も参加してくれ」

 

「私が・・・よろしいのですか?」

 

「よろしいもよろしくないも、君の処遇を正式に決めるのでね」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 そして次の日。

 

「俺としては、武官として加わってもらいたいと思っているが、皆の意見はどうかな?」

 

「ええんちゃう?ウチは賛成」

 

「霞さんとあれだけ立ち合えるのであれば問題無いかと」

 

「張遼殿を本気にさせるなんて私にはできませんでしたし、心強いかと」

 

「何言ってんねん。丁奉も結構強かったで~」

 

「あはは・・・ありがとうございます。張遼殿」

 

「あの、本当にいいのですか?・・・私みたいなのが臣下に加わっても」

 

「臣下では無く、仲間としてだよ」

 

「えっ!?でも・・・」

 

「まあ、そんな細かい話は気にしない方がええで。・・・ウチはそういう一刀が

 

 好きやけどな」

 

「はわわ!霞さん、それはどういう意味でしゅか!」

 

「大丈夫やって、別に朱里から奪おうっちゅうわけやないで。尊敬とか敬愛とか

 

 いう感じでの話や」

 

「そ、そうですか・・・」

 

「でも、一刀がそういう事を望むっちゅうのならウチはいつでもええけどな」

 

「えっ!・・・」

 

 霞が!?俺を!?・・・ゴクッ。

 

「ゴ主人様?」

 

「いやいやいや、そういうのじゃないから。ね、落ち着いて、朱里」

 

「本当ニ?」

 

「そ、それより!どうかな?岳飛」

 

「えっ!・・・あ、はあ、あの・・・」

 

 岳飛は一瞬考える感じだったが・・・

 

「わかりました。私で良ければ喜んで」

 

「なら、決まりだ。・・・ただ」

 

「ただ?」

 

「記憶が戻って帰る場所を思い出したのなら、言ってくれ。俺達に遠慮する

 

 必要は無いからな」

 

「えっ、でも・・・」

 

「気にしなくていいのですよ、ご主人様はそういう人なのですから」

 

「そうそう、だから力を貸してるんや」

 

「わかりました。・・・その時が来たら、必ず」

 

「では、今日から正式に岳飛も仲間ということで。明日から八人で朝食だな」

 

「朝食は皆で食べるのですか?」

 

「そういう決まりがあるわけではないけどね」

 

「岳飛も、朱里の味噌汁食べたら自然とそうなるで~」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、極上の味だ」

 

「はわわ、そんなに持ち上げないでください~//////」

 

 

 

 こうして、岳飛が仲間に加わった。記憶が戻ったらいなくなってしまうかも

 

 しれないが、その間だけでも心強い味方だ。

 

 

 

 

~次の日の朝食~

 

「はわわ!岳飛さん、お味噌汁にそんなに唐辛子を入れたら・・・」

 

「えっ!?・・・ダメですか?」

 

「・・・ダメっちゅうか、大丈夫なん?」

 

「あわわ、お味噌汁が真っ赤です」

 

「普通はそこまで入れたら身体に悪いはずですが・・・」

 

「岳飛は辛党なのですね」

 

「それでも岳飛殿のは桁外れですね」

 

「まあ、本人が大丈夫だというのなら・・ね」

 

 しかしこの娘も独特なものを持ってるんだな・・・

 

 もし岳飛が現代の世界に行ったら「激辛商店街」の常連になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃・・・

 

 

「二人共私に仕えるという事でいいのね?」

 

「「はい」」

 

「では、これから私の事を華琳と呼ぶ事を許しましょう。期待しているわよ

 

 真桜、沙和」

 

「あの、それで・・・」

 

「ああ、行方不明になっているという友達の事ね。残念ながら楽進という者が

 

 どこかに保護されたという情報は入ってないわ」

 

「そうですか・・・」

 

「凪ちゃん・・・」

 

「何か情報がわかり次第、すぐに連絡するようにはしておくわ」

 

「「よろしくお願いします」」

 

(凪・・・絶対生きてるって信じてるからな)

 

(凪ちゃん・・・また会えるって信じてるの)

 

 

 

 

                             続く(方向にて)

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 

 mokiti1976-2010です。

 

 今回は記憶を無くした凪に仮の名をつけました。

 

 ・・・中国の歴史上の人物の中でも超大物の名前です。

 

 皆様からもいろいろ名前の候補を頂戴いたしました。ありがとうございました。

 

 凪の記憶が戻るまで(いつの事になるのか・・・)しばらくこの名前で行かさせて

 

 いただきます。岳飛ファンの皆様、そして凪ファンの皆様、いろいろ文句もありましょうが、

 

 ご容赦の程を。

 

 次回より黄巾との本格的な戦が始まります。そして、今まで出会いの無かった各勢力

 

 の方々との出会いも徐々に描いて行く予定です。

 

 

 それでは次回、外史編ノ十にてお会いいたしませう。

 

 

 

 

 

 追伸 このまま行ったら黄巾編だけで膨大な話数になってしまいそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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