No.406805

ACE学園 第10話『いつか絶対に私はあなたを捕まえて見せます!!』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-11 21:41:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:930   閲覧ユーザー数:925

士樹達と比較的親しいナカジマ家のクイント・ナカジマはこう言った。格闘技には、持久力のある柔らかい筋肉が必要だと。そのため、格闘技をやっている面々は季節に関わらず定期的にプールに行っている。

 

今回は、それに付き合う形で士樹が来ていた。

 

 

「負けませんよ、ヴィヴィオさん!!」

 

「それは、こっちの台詞です!!」

 

 

競泳水着を着ているヴィヴィオとアインハルトは50Mのプールで競争していた。士樹は近くの休憩用スペースからアインハルトに見とれていた。

 

 

(アインハルトにここまで競泳水着が似合うとは思わなかったよ)

 

「何を見てるんだい、士樹?」

 

 

士樹がハッとして後ろを振り返ると、右手にドリンクを持った大樹がいた。

 

 

「ああ、ストラトスさんとヴィヴィオが泳いでいるのか。あっ、ヴィヴィオの方が先に向こう側まで着いたね」

 

「ヴィヴィオも瞬発力が有りますからね。御神流も少し習っていますからライダーでも下手したら死にますよ」

 

「ここの生徒は怪人とやり合うのにある程度慣れているからね。それじゃあ、僕はあっちの方に行くよ」

 

 

大樹が士樹から離れていくと、プールから上がったヴィヴィオとアインハルトが歩いてきた。

 

 

「なかなかやりますね、ヴィヴィオさん」

 

「アインハルトさんこそずいぶん速かっ――イクス、何してるの?」

 

 

ヴィヴィオの声に反応した士樹が左斜め後ろを見ると、木の陰に隠れていたイクスヴェリア(白いフリルのある青いビキニ)の姿があった。

 

 

「いえ、その……」

 

 

イクスヴェリアはもじもじしながら大樹をチラッと見ていた。それを確認した士樹はヴィヴィオとアインハルトにアイコンタクトをした。

 

 

「い、いきなりなんなんですか?」

 

「容疑者を逮捕します」

 

「さっそく取り調べをしましょう」

 

 

2人に腕を掴まれたイクスはそのまま士樹が座っていたテーブルまで連れてこられた。

 

 

「いきなり本題に入るけど、イクスは大樹さんのどこが気に入ったの?」

 

 

次世代型文系格闘魔法少女は単刀直入に切り込んだ。

 

 

「いえ、そ、そんな……」

 

「現場は目撃されているから言い訳は出来ないよ」

 

「さあ、素直に吐いちゃってください」

 

 

ヴィヴィオとアインハルトは刑事ドラマさながらの取り調べを行っていた。第三者が見れば、絵になる光景だが、迫られている当人からすればたまったもんじゃない。2人の迫力に負けたイクスはしぶしぶ白状した。

 

 

「きっかけは6年ほど前になるんです」

 

(僕が高町家に住むようになって2年目ぐらいの時か)

 

「知っての通り、それまでかなりの年月を眠ってはわずかな間だけ起きるを繰り返していた私は平和な青空というものを知りませんでした。そんな私に光を示してくれたのが大樹さんなんです」

 

(あの人、1人で原作でのマリアージュ事件を解決したのか)

 

 

イクスの話を聞き、士樹は己が師匠の行動に素直に感心していた。

 

 

「いろんな世界を旅した話だったり、お宝を取る時に苦労した話だったり、大切なものを守るために絶望的な状況に立ち向かうライダーの話をしていたあの人の話はとても輝いていました。それだけでなく、あの人は私を縛っていた鎖を壊して青空を見せてくれたんです」

 

 

そう言って、イクスは女性型の人形と思われるものが描かれたカードを取り出した。これは、ブレイドタイプの仮面ライダーが主に使用しているラウズカードを学園が改良した物で、特定人物の能力を封じる効果がある。もう分かっている読者もいると思うが、今のイクスにはマリアージュと呼ばれる人形を生成することは出来ないということである。

 

 

「その後、私はACE学園に来てヴィヴィオやスバルと出会ったんです」

 

 

イクスは微笑みながらそう言った。

 

 

「それからあの人の側にいたいと想うようになっていろいろやってみたんですが……」

 

 

イクスはため息をついた。

 

 

「鋼糸は間違って自分をがんじがらめにしてしまうし、銃は重くて使いにくいですし、なかなか上手くいきません」

 

「恭也さんの盆栽が全滅したのは、君のせいだったのか」

 

 

士樹は合点がいった。

 

 

「私にはあの人の側にいる資格が無いんでしょうか?」

 

 

イクスは意気消沈し、「どうせ私なんか……」とだんだんネガティブな状態になっていった。分かりやすく言えば、キックホッパーになった後の矢車状態である。

 

 

「元気出してよ、イクス」

 

「そうです、戦いばかりが全てじゃありませんよ」

 

 

 

「彼女達の言う通りだよ」

 

 

 

突然登場した通りすがりの怪盗に4人(特に冥王)はびっくりした。

 

 

「だ、大樹さん!?」

 

「あなた、さっき向こうに行きましたよね?」

 

「落し物を探していたら、たまたま君達を見かけたんだよ」

 

 

想い人に突然話しかけられてイクスはテンパるが、士樹は普通に大樹に話しかける。

 

 

「イクス」

 

「は、はい!!」

 

 

イクスは緊張のあまりテーブルを叩きながら返事した。

 

 

「ストラトスさんも言ったが、人間は戦うことが全てじゃない。サッカーだったり、農業だったり、アイドルだったり、いろいろ道はある。君はもっと視野を広げて自分が何をしたいのか考えた方が良い」

 

 

大樹の言葉を聞いたイクスはしばらく考え込んだ後、何かを決意して顔を上げた。

 

 

「大樹さん!!」

 

「なんだい?」

 

「私には何が出来るか分かりません。ですが、いつか絶対に私はあなたを捕まえてみせます!! そして、私のものにしてみせます!!」

 

“これ、告白だよね……?”

 

“告白ですね”

 

“強引かつ情熱的な告白……、こんな告白は初めてだね”

 

 

イクスの告白を聞いてしまった3人は念話で話し合う。

 

 

「楽しみにしておくよ。君は良いお宝になりそうだからね」

 

 

大樹はイクスに指でっぽうを向けて撃つようなポーズを採って4人から離れていった。

 

 

「あの人らしい返事だね……」

 

「どうしたんですか?」

 

「アインハルトとどうイチャイチャしようか考えていただけさ」

 

「もう、士樹ったら……」

 

「イクス、誰かと付き合う時には自重という言葉を忘れないでね」

 

「分かりました」

 

 

あいかわらずのバカップルに、ヴィヴィオはイクスと大樹がそうならない事を祈るばかりであった。

 

 

 


 
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