No.406802

ACE学園 第9話『敵情査察』

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
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プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-11 21:37:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1092   閲覧ユーザー数:1085

高町家リビング。そこでは、桃子がネルフの某司令を思わせる様子でテーブルに座り、その周りには士樹を含めて高町家に住んでいる人たちがそろっていた。

 

 

「では、これより会議を始めます。まず、手元の資料を読んでください」

 

 

桃子の言葉に従い、皆が手元にある資料を読み始めた。

 

 

「こ、これは…!?」

 

 

その内容を読んだ途端に士郎は震え始めた。

 

 

「何てことなんだ……」

 

 

士郎はその資料を読んで、まるでこの世がもうすぐ終わる様な表情をしていた。

 

 

「翠屋よりもフローラの方が僅差で人気が上だなんて!?」

 

 

士郎は盛り上がっているのに反して他の面々はそれほど盛り上がっていない。

 

 

「士郎さん、慌てすぎですよ」

 

「士樹の言う通りだ、父さん」

 

「リアクションがオーバーすぎるよ」

 

 

士樹、恭也、美由希の発言に士郎はテーブルを思いっきり叩いた。

 

 

「何を悠長に構えているんだ、3人共!?」

 

「そうよ、これはほっとけばいずれ大きな差になるわ」

 

 

「はぁ」、「まあね…」、「確かにそうだね」とそれぞれにリアクションを取りながら3人は話を聞く体勢に入る。

 

 

「で、どうするの、ママ?」

 

 

現状をどう打開するのか気になったヴィヴィオが桃子に尋ねる。

 

 

「敵を知り、己を知らば、百戦危うからずと言うわ。そこで、フローラへの偵察を決行します」

 

「誰が行くの、お母さん?」

 

 

なのはが桃子に質問する。

 

 

「それは、もちろん――」

 

 

 

★★★★★

 

【商店街】

 

 

「というわけで、僕達はこうしているの」

 

「いきなりフローラに行こうと言ったのは、それが理由だったんですね」

 

 

桃子司令(誤字ではない)の命により士樹はアインハルトを伴ってフローラを目指していた。それから数分歩くとフローラに着き、2人は中に入った。

 

 

「いらっしゃいませ~」

 

 

どこかのんびりした声で2人を迎えたのは、土見ラバーズの一員でACE学園高等部3年のカレハだ。なお、余談だが、「癒しのカレハ」という2つ名を持っている。

 

 

「まあ、士樹さんとアインハルトさんじゃありませんか」

 

「カレハ先輩、こんにちは」

 

「今日、バイトだったんですね」

 

「えぇ」

 

 

不意に出会った3人は、軽く言葉を交わす。

 

 

「お2人様でよろしいですか?」

 

「はい」

 

 

人数を確認するカレハに士樹が答える。

 

 

「では、こちらにご案内します」

 

 

カレハは2人を窓に近い席に案内し、2人は向かい合うように座る。

 

 

「ご注文がお決まりになったらお呼びになってくださいね」

 

 

カレハはペコリとお辞儀をして立ち去っていった。カレハが立ち去ったのを見た士樹は周りを見渡しながら念話でアインハルトと話す。

 

 

“改めて見るけど、特に問題点はないな”

 

“店員の教育もきちんとなされていますし、店の掃除も行き届いて――ん!?”

 

“どうしたんだ、アインハルト?”

 

“あっちを見てください”

 

 

士樹がアインハルトの指さす方を見てみると、

 

 

 

「では、少々お待ちください」

 

 

 

何故かウェイター姿でバイトをしている大樹の姿があった。2人の視線に気づいた大樹は注文を厨房に伝えると、近づいてきた。

 

 

「やあ、お2人さん。今日は、デートかい?」

 

「そんあところです」

 

「大樹さん、何故フローラでバイトをしているんですか?お宝の情報収集ですか?」

 

 

士樹は、怪盗が本業である大樹が何故こんなところでバイトをしているのかを尋ねる。

 

 

「違うよ、士樹。たまには喫茶店で働くのも良いかなと思ってここにいるのさ」

 

「そうだったんですか」

 

「それより、僕が開発した新メニュー、君達が試してくれないかい?」

 

 

そう言って、大樹は1枚の紙を取り出して士樹とアインハルトの前に置く。

 

 

「変哲もないチョコとバニラがツイスター状になっているドリンクですか」

 

「何か仕掛けでもあるんですか、大樹さん?」

 

 

士樹の質問に大樹は不敵な笑みを浮かべながら答えた。

 

 

「それは、実際に注文してからのお楽しみだよ、士樹」

 

 

 

★★★★★

 

【商店街、ビルの屋上】

 

 

「こちら偵察B班のなのは。A班の2人が大樹さんと接触したもよう」

 

『了解したわ、なのは。そのまま偵察を続けてちょうだい』

 

「分かったよ、お母さん」

 

 

なのははヴィヴィオと一緒に双眼鏡でフローラとその周辺の様子を偵察していた。桃子との通信を終えたなのははいったん双眼鏡を外し、隣のヴィヴィオに話しかけた。

 

 

「疲れるねぇ、ヴィヴィオ。偵察ってここまでやる必要あるのかな?お兄ちゃん達もどこぞのスパイみたいにフローラの建物を探っているし」

 

 

なのははため息をつきながら愚痴をこぼす。

 

 

「今更だよ、お姉ちゃん。こういうのは、スパイ映画を実演していると思えばいいんだよ」

 

 

聖王の血はサムズアップをしながらノリノリで某初代機動戦士のパイロットと同じ2つ名を持つ少女に答える。

 

 

「士樹達はともかく私達は下手したら捕まるよね…?」

 

 

なのはは自分の身を心配しながらもとりあえず偵察を続けることにした。

 

 

 

★★★★★

 

【フローラ】

 

 

「お待たせしました。ご注文のチョコバニラドリンク特別《・・》サイズお1つ(・・・)でございます」

 

 

結局、士樹とアインハルトはチョコバニラドリンクを注文した。

 

が、注文してからしばらくしてカレハが持ってきたのは、明らかに1人用じゃないサイズのドリンク1つだった。

 

 

「………」

 

「……このサイズを頼んだ覚えはないのですが……」

 

「ちょっとしたサプライズですわ。はい、これ」

 

 

士樹が沈黙し、アインハルトが困惑する中、カレハは先が2つに分かれたカップル用のストローを渡してきた。

 

 

「面白いサプライズですね、カレハさん。あなたが考えたんですか?」

 

「このサプライズを考えたのは、私じゃありませんわ。あの人です」

 

 

再起動を果たした士樹が素直に思ったことを述べるが、カレハはその言葉を否定し、笑顔で大樹を見つめる。

 

 

「あの人か」

 

「そうですわ。大樹さん、ここに来てからいろいろと面白いアイディアを出してくれるので最近客足も増えてるんですの」

 

 

それを聞いた士樹は事件の謎を解いた某少年探偵の様な顔をした。

 

 

「なるほどね、そういうことか…」

 

「本当に自由な人ですね、大樹さんは」

 

「せっかくだし、楽しもうか」

 

「えぇ、ドリンクの味をしっかりと味わいませんとね」

 

 

今日フローラに来た目的を達成した士樹とアインハルトは用意されたサプライズを楽しむことにした。

 

 


 
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