No.401059

【獣機特警K-9】金塊を追え!白昼の追跡【戦闘】

古淵工機さん

前回(http://www.tinami.com/view/400887 ) の続き。カーチェイス回です。K-9隊は全員出てます。
はたしてK-9隊はローゼン海賊団に金塊が渡るのを阻止することが出来るのだろうか!?ハラハラドキドキのカーチェイスが今始まる!!

○今回の補足
車両の割り当てですが、キャリアーが1号車、チャリオットが2・3号車になります。

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2012-04-01 12:54:19 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:890   閲覧ユーザー数:844

すぐに会計を済ませ、店を飛び出していくクオンとリク。

その店先には巨大な車両が停車していた。ナインキャリアーだ。

その運転室のドアが開くと、グーテ・シュタールシルトが身を乗り出しながら叫んだ。

 

「クオン!リク!話は聞いたよ!!急いでキャリアーに乗るね!!」

「「グーテ(お)兄ちゃん!!」」

クオンとリクが乗り込んだのを確認すると、グーテは一気にアクセルを踏み込む。

パトランプを点灯させながら、ナインキャリアーはその巨大な車体に似合わぬ猛スピードで街を駆け抜けていくのだった。

 

 

その頃ラミナ市内の都市高速道路、キャピタルハイウェイ上では、

ロードハウンド隊が怪しい数台の大型車両をマークしていた。

 

「スピード違反に蛇行動…明らかに怪しいわね、あのトラック」

と、ロードハウンド隊の隊長、九段下詩音は呟きながら、例の車両を睨み付けるように見つめていた。

ふと、随伴するパトカーから連絡が入る。

 

『それにしても隊長、あのトラック一体何がしたいんでしょうかね』

「わからないわ…ただ、どこの会社のトラックかもわからないし、あんな怪しい行動してるんだもの。疑わないほうがおかしいと思わない?」

『そうっすかねえ』

トラックは依然として走り続ける。すると、その前方にはスポーツカーが走っていた。

しかし、そのトラックはスポーツカーの存在など無視するかのように加速を続けていく。そして次の瞬間、突然トラックの前方で爆発が起きた!

 

『な…!』

「バカな、あいつら武器積んでるのか!!」

 

転がってくるスポーツカーの破片。よく見ると熱線によって溶かされた跡があるのがわかる。

シオンはその破片を見て、スポーツカーが攻撃されて破壊されたことを察知したのだった。

 

「何なのよもう!あの暴走トラック!」

『でも、ウチら交通課じゃあんなのに勝てっこないですよ』

「くっ…指をくわえてみてるしかないって言うの…!?」

 

 

同じ頃、ナインキャリアーもまた同じ道路を進んでいた。

するとその両サイドからは速そうなパトカーが二台。

さらに頭上にはヘリコプターがぴったりとくっ付いた。ナインチャリオットとナインチョッパーだ。

ナインチョッパーにはK-9隊の隊長であるエルザ・アインリヒト、そして二台のチャリオットにはイシス・トライスターとフィーア・天神が搭乗していた。

 

「隊長!」

「話は聞いているな?実は先刻、現場検証にあたっていたミンスター警部から連絡が入ってな」

「それで、隊長の弟さんが入手した情報を基に追っていたら、怪しいトラックが二、三台この道路に入ったということなんです」

「さらに、そのトラックには武装がつけられているという情報もあったそうよ」

その話をキャリア内部で聞いていた他のメンバーにも緊張が走る。

 

「やれやれ、またひと悶着あるってワケですか」

と、愛用のライフルを磨きながらため息をついているのはアレクセイ・フトライミツィ、隊の中でもきってのスナイパーだ。

その隣ではシス・セザンヌがただ一言、

「…把握」

とだけ呟いていた。

そして運転室の背後からは、超 五華が身を乗り出してきた。

 

「しっかし例のトラックどこ行くつもりなんだ?…あ、いたいた!」

「ちょ、ウーいきなり割り込まないよ!運転のジャマね!!」

「全速でかっ飛ばすぞ!運転代われ!!」

 

そういうと、ウーはさっさとグーテを追いやり、ハンドルを握りしめると、アクセルを勢いよく踏み込んだ。

「さあ、どこの誰だか知らねえがとッ捕まえてやる!お前ら舌噛むんじゃねーぞォ!!」

「ボクらロボットだから舌噛んでも平気だけど…ってちっがーーーう!!!!」

クオンの悲鳴がハイウェイにこだまする。

 

「…やれやれ、相変わらずだな。各車両聞こえるか!ウーが例の車両を発見した。これより追跡を開始する!チャリオット2号車、3号車、ならびにキャリアーは全速前進!他の車両との接触事故に注意しつつ、例の車両を追え!私は上空より指揮を執る!!」

「「「了解!!」」」

 

 

同じ頃、ロードハウンド隊は後方から近づいてくる車両に気づいた。

『こちらK-9隊、エルザ・アインリヒト警部だ。九段下詩音警部、あのトラックは我々に任せていただきたい!』

「ったく…来るのが遅いのよ!とはいえ、私たちだけじゃあいつは手に負えそうもないから任せるわ」

『協力感謝する!』

「ご武運を!」

そう言うと、ロードハウンド隊はトラックの後方から離れ、近くの出口から一般道路へと降りていった。

 

「さて、上空から見る限りでは…これは小型戦車用のレールガン(電磁投射砲)か。随分厄介だな」

そう言うとエルザはすぐにキャリアーに向けて通信を入れる。

「聞こえるか、アレク」

「聞こえてます、どうぞ」

アレクセイは運転台上部のハッチを開き射撃体勢をとる。

「実はあのトラックに接近したいのだが、一つ厄介なことがある」

「ああ、あのレールガンですね」

「そうだ、そいつを君の射撃で破壊できるか試してみてくれ」

「任せてください隊長。俺に撃ち抜けないものなんてありませんよ」

「ああ、よろしく頼む」

 

通信を終えると、アレクセイはライフルを構え、サイトスコープを覗き込む。

「…悪いけど、その大砲…ふっ飛ばさせてもらうよ」

ただでさえ振動のある車両上からの狙撃。ましてや相手も蛇行動を起こしてはいるが、

それでもなおアレクセイは落ち着いた表情で狙いを定める。流石は超一流スナイパーである。

 

「…今だ!いけっ!!」

アレクセイはトリガーを引いた。ビームが一直線に進み、狙い通りにレールガンを撃ち抜いたのだ。

基部に直撃を食らったレールガンは爆発、跡形もなく吹っ飛んだ。

アレクセイは次から次に正確に相手の砲台を撃ちぬいてゆく。これで少なくとも、K-9隊が攻撃されるリスクは減少した。

 

「これは…金塊?例の現金輸送列車から奪ったものか?」

上空からトラックを追うエルザがあることに気がついた。

トラックのうち一台は、先の爆発の衝撃で荷台の上面部分が吹き飛んでいた。

そしてそれと同時に、トラックが積んでいたものが明らかになった。

そう、あれこそ先日の事件で現金輸送列車から盗まれた金塊だったのである。

 

「エルザだ。あのトラック軍団の中身が判明した!先日の事件において盗み出された金塊と思われる。引き続き追跡を行うぞ!」

トラックは流石にK-9隊の存在に気づいたのか、必死でスピードを上げていく。

負けじと、K-9隊も速度を上げ猛追する。白昼堂々、カーチェイスが展開されているのだ!!

 

と、ふいにトラックは隊列を組んで右側車線に入った。何があったのだろうと見つめていたK-9隊の面々だったが、

2号車に乗っていたイシスがあることに気づいた。

「あれは…まさか!!」

すぐにイシスはエルザに通信を入れる。

 

「隊長!聞こえますか?」

「どうしたイシス、何があった!」

「あのトラックはおそらく宇宙港に向かうようです!」

すると、その通信にクオンが割って入る。

「ちょっと待ってイシス姉ちゃん。あの宇宙港って確か10年前に廃止されたはずじゃ…」

「ええ、確かに廃止されています。ですが宇宙船が発着できる設備はそのまま放置されています。そして彼らは今そこへ向かっている、ということは…」

「ということは?」

「…あの宇宙港から金塊を宇宙へ運び出すつもりかもしれません」

さらに、ウーが通信に割り込んで尋ねる。

「しかしなぁ、わざわざ廃港に行く必要あるか?だいいちあそこは港としてはもう機能してねーんだから、宇宙船が発着できるはずが…」

「その逆ですよ。『廃港だから』行くんです。例えばもし、今機能している宇宙港に行ったら目立ってしまいますよね?ましてや強奪した金塊を運び出すつもりならなおさらです」

「なるほど、宇宙港には人が集まるからな」

「つまり『気づかれずに金塊を運び出せる』格好の場所こそ、あの廃港なんです」

「じゃあ、なんでわざわざ宇宙に運び出す必要があるんだよ?」

と、イシスとウーがまるで掛け合い漫才のような会話をしている最中、エルザは落ち着いた様子で答えた。

「ローゼン海賊団だ。おそらくあの金塊を奴らの活動資金にしようという考えなんだろう」

K-9メンバーの表情がより一層険しくなる。

 

「……やはりローゼン海賊団か」

「自分たちが遊ぶために人を殺すなんて…グーテ許せないね」

「オレも…ああいうのはいけ好かねーぜ」

「奴らを港に行かせるわけにはいかない!行くぞ!!」

「了解!!」

 

かくして、廃港を目指し逃走するトラックを追跡し続けるK-9隊。

果たしてK-9隊は、金塊がローゼン海賊団の手に渡るのを阻止することができるのであろうか!?


 
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