No.394061

IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 第一話~異世界の人間は女装をするのか?

これは十河様の「「IS~インフィニットストラトス~ 壊すものと守るもの」とのコラボ小説です。 

夏休み始め、部屋でのんびりしていた光輝は部屋の前の音を聞き、開けると美少女が倒れていた。

2012-03-18 21:46:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2441   閲覧ユーザー数:2397

 臨海学校も終わり、夏休みが始まって何日かした頃のことだ。僕は部屋のベットに寝転がり小説を読んでいた。もちろんIS学園にも宿題は存在するけど、毎日少しずつすれば大丈夫! 量も多い方じゃない。

 

「せっかくの夏休みだし、みんなで何処かに行きたいな〜」

 と呟いてみる。アムロさんはお母さんと話してるし、夏兄は白式の手続きで忙しいし、他のみんなはそれぞれの家に帰ったからなぁ。

 

 要は暇なのです! う〜ん、どうしよ……。とか考えてると、いきなり部屋の外から今まで感じたことのないプレッシャーを感じた。

人とは違うプレッシャーだ。純粋と狂気が混ざってるような……。

 

とにかく僕は乞わばっている身体を動かし、勇気を出して扉を開く。開けた目の前に人が倒れている。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 さっきまでの乞わばりはどこに行ったのか、すぐさまその人を肩に掛けてベットまで運ぶ。長身なだけに重い……。だけど今は気にしている場合じゃない!

 

「後少しでベットに……!」

 

 なんとかベットまで運んでその上に寝かせる。黒のロングヘアに綺麗な顔立ち。女子なんだと思うけどこの人の着ている制服は男子用の特注だ。まさか……ね。

 

「ん……ここは?」

 

 彼女は目を覚ましたのかゆっくりと瞼を開ける。その瞳を見て驚いたよ。だって右目が金色に輝いているんだもの! そもそもこんな女性がこの学園にいたっけな?

 

「ここはIS学園の寮だよ。正確には僕の部屋だけどね。君ってどこのクラスなの?」

「俺か? 一年一組だ」

 

 ……はい? そんなことあるはずが……

 

「僕も一組だけど君を見たことないよ?」

「なに? 俺もお前を見たこと無いぞ。ったく、どうなってんだよ……」

「じゃあさ、名前は? 僕は織斑光輝っていうんだけど……」

「俺は織斑唯。って同じ織斑か!? 待てよ……織斑、臨海学校はまだ始まってないよな?」

「え? 臨海学校なら終わったよ? 今は夏休みなんだけど……」

 

 頭を抱え込む唯さん。でもなんでこうも情報がすれ違うんだろ? 考えているうちに僕も頭を抱え込んでいた。一体何が起こったの!?

 

「織斑よく聞け。もしかしたら俺はお前の世界とは違う世界から来たようだ。信じれないかもしれないがそれしか考えられん……」

「じゃあ織斑さんは僕から見たら異世界の人間ってこと?」

 

 織斑さんはゆっくりと顔を縦に振った。そんな、そんなことって……。僕はただ驚愕することしかできなかった。

 

 

 

「じゃあ唯さんの世界じゃあ、夏兄は女子なの?」

「そうなるな。しかし、まさかこっちじゃ男とはな……細かいところの違いが多いな」

 

 光輝と唯はお互いの世界のことを話していた。二人とも始めは信じられない様子だったが世界のことを話すたびに二人が違う世界の人間同士であるという確信がでてきた。

 

 ここで違いをまとめておこう。

 

 一夏の性別の違い(光輝側は男。唯側は女。しかも双子で一夏は姉)

 

 光輝から見て千冬は母だが、唯から見たら長女であること。

 

 光輝の世界では束は世界指名手配中だが、唯の世界では指名手配は取消にされIS学園の講師をしている。

 

 唯の世界ではヤミーやドーパントという怪物が暴れていることがある。もちろん、光輝の世界ではそんなものは存在しない。

 

「他にもあるがざっとこんなところか」

「唯さんの世界は凄いね。そうだ! オーズに変身してみてよ!」

「オーズか? そうしてもいいんだが……ベルトもメダルもないんだ……」

「そうなんだ。でも唯さんはオーズとしても戦ってISも使って、凄いよね」

 

 純粋に光輝は唯に尊敬の目を向けている。だが、唯にとってはあまり嬉しくなさそうだ。

 

「俺自身、戦いは好きじゃない。だが誰かを助けれるのなら俺は戦う。手を伸ばせるのに伸ばさないのは嫌だからな」

 

 唯の左右非対称の瞳が光輝をまっすぐ見据える。光輝はその想いが唯の強さだと思った。

 

「唯さん……」

「そんなに深く考えられても困るんだが……話を変えようか。織斑、お前は男だよな?」

「そうだよ。こんな容姿にロングだから女子と間違われるよ……」

「女装したことは?」

 

 唯のぶっとんだ質問に光輝の顔が一気に赤くなる。

 

「えっと、友達に一度だけこの学園の女子の制服を無理矢理着かされたことがあるよ……」

 

今にも消えそうな声で光輝は答える。対して唯は冷静沈着。まるで自分は慣れているかのようだ。

 

「よし、今から服を見に行こう。お前の容姿なら必ず似合う女物の服がある筈だ」

「本当に言ってるの!? い、嫌だよ! 唯さんはどうなのさ?」

「俺は頼まれたら喜んでするぞ。束や愛琉に仕込まれたからな。もう慣れた」

「……僕には無理――」

「やっほー! エリス・リムスカヤただいま帰ってきました~!」

 

 大声で叫びながら入ってくるのは実家に帰ったはずのエリスだった。予定より早く帰ってきたようで部屋で荷物の整理をした後にこの部屋に訪れたというわけだ。

 

 しかし光輝の隣にいる唯を見た瞬間、エリスから笑顔が消えた。

 

「光輝くん? その子誰?」

「そ、そんな怖い顔しなくても……。この人は織斑唯さん。僕たちと同い年の男子だよ」

「嘘だっ! そんな可愛い子が男の子なわけがないじゃない!」

 

 いつかの過ちを繰り返しそうな光輝に唯が助ける。

 

「織斑の言っていることは本当だ。ちなみに俺はこの世界の人間から見たら異世界人らしい」

「異世界人!? でもよく考えると不思議でもないかな」

「む? どういうことだ?」

「そのままの意味だよ。光輝くんのISだって異世界人みたいなものじゃない」

 

 話についていけない唯は首をかしげる。

 

「確かにそうだね。唯さん、僕のISってHI-νガンダムっていうんだけど、そのIS自体が意思を持ってるんだよ。しかもそのISは元は人間だったんだ。でもこの世界に来たらISに変化してたって話だよ」

「なに!? そんなISが存在するのか……!」

 

 唯自身もIS『黒百合』を製造し、自分専用にしているが意思を持ち会話ができるなんてことはない。おそらく束にもそんなISを作るのは不可能だろう。唯は驚きを隠せなかった。

 

「凄いな、お前のISは……。今どこにあるんだ?」

「今はお母さんと話してるよ。なんでも大切な話らしくて部屋には入ってほしくないってさ。ごめんね」

「そうなのか。一度話してみたいなその人物と。いいか織斑?」

「もちろん! アムロさんも歓迎するよ!」

 

 光輝の純粋な笑顔に心が和む唯。光輝には何かしらの力があるのだと唯は確信している。だが、その想いまでは分からないし、深く心の中に入る気もなかった。

 

「唯くんだっけ? 私はエリス・リムスカヤ。エリスかリムで呼んで欲しいな」「そうか。よろしくなリム」

 

 挨拶を終わらすとエリスは唯の身体をまじまじと見る。

 

「へぇ、男の子とは思えないほどの顔とスタイルだね。そうだっ、これから三人で服見に行かない!?」

 

すぐに逃げようとした光輝を唯はすぐに捕まえる。光輝の目は明らかに怯えていた。

 

「ぼ、僕はけっこうですから!」

「え~、光輝くんも行こうよ。ほら、唯くんとの交流を深める為だからさ~」

 

 光輝は唯の反応を見ようと顔を見るが、にこっと微笑んだ。しかし、光輝からすると悪魔の笑みだ。

 

「織斑、さっきの件は無理にとは言わないから一緒に行かないか?」

「え……あ、うん……なら行くよ」

 

 真っ赤に染まった顔で光輝は答える。

 

「ん? なになに、二人でなにか約束でもしたの!?」

 

 

 

「や、やっぱり恥ずかしいよぅ……」

「そうか? 凄く似合ってると思うんだが、リムから見てどうだ?」

「二人とも完璧だよっ! これぞまさしく男の娘だねっ」

 

 三人はレゾナンツのファッション店に来ていた。エリスに先ほどの女装のことを話したら「二人とも着てみてよ!」と言われ、今に至るのである。

 

 光輝はヒラヒラのドレスみたいな白のワンピース、唯は白の半そでフレアワンピースに黒のミニスカート。二人とも腰まで伸びているロングヘアなのだがこれがまた似会っている、とエリスから一言。

 

「足がすーすーするね……しかもけっこうヒラヒラしてるし……唯さんはどうなの?」

「俺はもう慣れたな。女装も慣れれば悪くないぞ」

「どんどん他の服も着てみよう!」

「おう、どんどんいこうか」

「そ、そんなぁー!」

 

 頑張れ光輝。ある人は男子でありながら女子高にいったということがあるんだぞ。

 

「そ、そんなの僕には関係ないっ!」

 

 

 

「本当にこの服で入るの!? 変な目で見られちゃうよ!」

「大丈夫だって! ここまで来るのに誰も気づいてなかったしね」

「そ、そういう問題じゃ――」

「織斑、ここまで来たら覚悟を決めろ。さあ行こう」

「うぅ、分かったよ……行けばいいんでしょ!」

 

 ある部屋の扉の前に立ち、何やら話している三人だが光輝は覚悟を決めノックする。

 

「どうぞ」

 

 その一言に更に緊張する光輝だが意を決して部屋に入る。

 

「し、失礼します……」

「失礼しまーす!」

「失礼します」

 

 緊張、笑顔、冷静の三連弾。部屋に居た――千冬とアムロは絶句する。そこには女装した光輝と唯、エリスがいた。レゾナンツで着たものを買ったのだ。そしてその格好で部屋に乱入。これはエリスが提案したものだ。

 

「まさか……光輝、なの、か?」

[この感じは光輝に間違いないが……なんて恰好してるんだ!?]

「え、いや、その……」

 

 恥ずかしくなった光輝は唯の後ろに隠れる。親と自分のISの前で女装なんて誰でも恥ずかしいのは当たり前だろう。

 

「どうです? 光輝くん似会ってますよね」

[確かにそうだが……まさかエリス、君が着せたのか?]

「そうですよ。どうです二人とも?」

[どうと言われても……似会ってるとは思うが……]

「リムスカヤ、もう一人の女子は誰だ?」

 

 光輝の感想を言うアムロに対し、唯を尋ねる千冬。話をずらすということは答えたくないのだろう。どう答えようか戸惑うエリスに唯は答える。

 

「どうも、初めまして。織斑唯と言います」

「私達と同じ苗字か。お前はここの生徒か?」

「そうです。でもこの世界のIS学園の生徒じゃありませんよ」

「なに? まさか異世界人か?」

「そうですね。俺もこの世界に来た理由は分かりませんが気付いたら織斑の部屋のベットで寝てました」

 

 いきなりの告白に困惑を隠せない千冬だがアムロは冷静に聞いていた。アムロには感じていた。唯の内なる闇に――もう一つの存在に……。

 

[唯君だったか? すまないがこれから二人で話したいんだけどいいかな?]

「いいですよ。でも本当にISが意志を持っているとは。驚きますね」

[すまないが千冬、しばらく部屋を貸して貰えないだろうか? 唯君と一対一で話したい]

「分かりました。織斑弟、リムスカヤ。出るぞ」

 

 二人は千冬の指示で部屋を後にした。光輝は唯の凄まじいプレッシャーについて話すのだと分かったが、アムロは他に何かを感じ取ったのだろうか? それだけが光輝にとって不安だった。

 


 
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